第20週目 ヨシャファートの一週間
◆日記
NEWS
ザーッ……ザザッ……ザーッ……もし、この放送が聞こえているとしたら……
あなたはきっと、生きているのでしょう
そして、あなたはきっと、戦いに勝ったのでしょう
雨の中、水に飲まれゆく中で、戦ったハイドラの――
シルウェストリス社長代行『ネア』からのメッセージ 「どこまで行ってしまったんだろうな、あいつは……」 |
シルウェストリス社長代行『ネア』からのメッセージ 「水のように自由で、猫のように気まぐれで、鳥のように去っていった」 |
シルウェストリス社長代行『ネア』からのメッセージ 「また会うこともあるだろう、世界が、あいつを……必要とするときには」 |
シルウェストリス社長代行『ネア』からのメッセージ 「ふふ、さっそく……渡り鳥がやってきたようだな」 |
どこまでも青い空が広がっていた
どこまでも水平線が伸びていた
水平線には、積乱雲が立ち上る
静かな海だった
ただ一つ、海面から突き出す巨大な塔を除いて、他には何もなかった
雨上がりの後の世界は、夏風の通り抜ける、大洋に変わっていた――
ザーッ……ザザッ……ザーッ
……謎の飛行船団が上空に出現……
あれはいったい……!?
消えた……何だったのだろうか
しかし、あの姿は、ハイドラと戦った『グレムリン』に――
Ending...5/12
◆訓練
反応*3の訓練をしました反応*3が13上昇した
反応*3の訓練をしました反応*3が14上昇した
反応*3の訓練をしました反応*3が15上昇した
格闘*3の訓練をしました格闘*3が10上昇した
格闘*3の訓練をしました格闘*3が11上昇した
格闘*3の訓練をしました格闘*3が12上昇した
適性*3の訓練をしました適性*3が30上昇した
適性*3の訓練をしました経験値が足りない
適性*3の訓練をしました経験値が足りない
空挺攻撃要請成功!!
ヨシャファートはSQ-ML310_RustyTailを1187cで購入した!!
ヨシャファートはRAD009-Inexpiablyを537cで購入した!!
ヨシャファートはRAD009-Inexpiablyを537cで購入した!!
ヨシャファートはRAD009-Inexpiablyを537cで購入した!!
ヨシャファートはRAD009-Inexpiablyを537cで購入した!!
ヨシャファートはRAD009-Inexpiablyを537cで購入した!!
ヨシャファートは試製薄装減霧領域瞬間霊送箱A-0を461cで購入した!!
空挺攻撃要請成功!!
ヨシャファートはcloud-Sを1187cで購入した!!
空挺攻撃要請成功!!
ヨシャファートは複座型特殊軽量棺改を461cで購入した!!
空挺攻撃要請成功!!
空挺攻撃要請成功!!
空挺攻撃要請成功!!
ヨシャファートは試製重卵高速増殖培養槽A-0を461cで購入した!!
空挺攻撃要請成功!!
空挺攻撃要請成功!!
空挺攻撃要請成功!!
空挺攻撃要請成功!!
空挺攻撃要請成功!!
◆作製
作製しようとしたが必要資金が不足したため、無料で頑張って作製しました
作成時補助発動! 薄装!! APが 70 減少!!
作成時発動! 薄装甲!! パーツ重量を -105 修正!!
作成時補助発動! 薄装!! APが 70 減少!!
作成時発動! 薄装甲!! パーツ重量を -105 修正!!
《哲学者の太陽》と白鴉索敵機構を素材にして《燃える脳》を作製した!!
◆戦闘システム決定
フィネデルシエロ に決定!!
◆アセンブル
操縦棺1に複座型特殊軽量棺改を装備した
脚部2にcloud-Sを装備した
スロット3に《燃える脳》を装備した
スロット4に試製重卵高速増殖培養槽A-0を装備した
スロット5に《ヘルメスの勝利》を装備した
スロット6に試製薄装減霧領域瞬間霊送箱A-0を装備した
スロット7にRAD009-Inexpiablyを装備した
スロット8にRAD009-Inexpiablyを装備した
スロット9にRAD009-Inexpiablyを装備した
スロット10にRAD009-Inexpiablyを装備した
スロット11にRAD009-Inexpiablyを装備した
◆僚機設定
Nightingaleとバディを結成した!!
◆意思表示設定
意志設定……転移許容
◆ミッション
ミッション設定……ミッションC
ユニオン活動
《マーシャと月人たち》の活動記録
ウォーハイドラに乗ったまま見るタイプのシアター。
投影機と画面が置かれているが、基本的には霧に投影して見るもの(画面は投影を補助するためのもの。
小さなパーキングの表示があり、そこだけ砂利が敷かれている。
表示の横には大きな電光パネルがあり、映像のシーンを適当にキャプチャした粗い画像と、《マーシャと月人たち》というタイトルが書かれている――。
お嬢さん、もしあなたに
うるさくつきまとう男がいたら
青をこころに
一、二と数え
赤いくつをさがしてごらん……
(《青をこころに、一、二と数えよ》コードウェイナー・スミス 伊東典夫訳 ハヤカワ文庫)
投影機と画面が置かれているが、基本的には霧に投影して見るもの(画面は投影を補助するためのもの。
小さなパーキングの表示があり、そこだけ砂利が敷かれている。
表示の横には大きな電光パネルがあり、映像のシーンを適当にキャプチャした粗い画像と、《マーシャと月人たち》というタイトルが書かれている――。
お嬢さん、もしあなたに
うるさくつきまとう男がいたら
青をこころに
一、二と数え
赤いくつをさがしてごらん……
(《青をこころに、一、二と数えよ》コードウェイナー・スミス 伊東典夫訳 ハヤカワ文庫)
ユニオン設備
設備維持費…… -0c
ユニオン連帯
……なし!!
ユニオン金庫……0c
適性の訓練をしました
適性が1上昇した
適性の訓練をしました適性が1上昇した
適性の訓練をしました適性が1上昇した
適性の訓練をしました適性が1上昇した
適性の訓練をしました適性が1上昇した
100c支払い、今回の戦闘においてAPを10%強化した
メッセージ
ENo.116からのメッセージ>>
納得していた様子の男だったが、あなたからの質問には両目をぱちぱちと瞬いてみせた。
一人でうなずいていた男だったが、『アルファ・ラルファ』に対するあなたの反応に、ちょっと首を傾げた。
どうなることやら、と男はぼやく。
そうして最後にあなたが呟いた言葉に、緑のカメラアイを一度だけ、ゆっくりと瞬いた。
またお会いしましょう、と言って男が一礼する。
そうして時折振り返って手を振りながら、あなたの元から去っていった。
------
青年にとっては少し前のことなのだろう。昔を思い出すようにカメラアイが細められる。
そして、あなたの『やり過ぎではないか』という言葉には薄く笑みを浮かべてみせた。
ドレスの似合う綺麗な人だったな、と青年は語る。
青年はそう言って律儀に一礼し、小さく手を振ってから、踵を返して去っていった。生身の人間よりいくらか重い足音が遠ざかっていく。
ENo.116からのメッセージ>>
そして、デバステイター・センチネルとの最後の戦いの少し前、あなたの元に通信が入る。ノイズ混じりの画面にはあの機械の男が映っている。
指先で目元を拭い、笑いながら男が手を振った。そこで通信は終わっている。
ENo.301からのメッセージ>>
ENo.459からのメッセージ>>
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震動が遺跡を襲う。
ヤギシマが肩をすくめる。
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やがて一台の四輪車が到着する。すでにいくつもの薄装甲を施されたパーツが組み込まれ、質量はマイナスに近い。
崩壊を前に揺れる遺跡の中で、ドアを開けて、背の高い男が降りる。
蜘蛛型のウォーハイドラに目線をやって。
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出てきた小型ハイドラに視線をやりながら、ぐるりと後ろに回り込む。
ベーコンをかじりながら、《タラント》の内部へ手をつけていく……
ヤギシマは冷静に作業を進めていく。ニュースを聞くともなしに聞きながら。ドロレスと……ヨシャファート、ふたりの会話を聞くともなしに聞きながら。……
指を動かす。無表情のまま、低い口笛を吹く。単音の口笛。メロディーはない。ウォーハイドラをアセンブルしたり、洗浄したり、解析したり、パーツを組み立てたり、日曜大工をしたり、片付けをしたり……そうした手仕事に興が乗ると吹く単音の口笛。アラートのように同じ音で、低く鳴り続ける。あまり多くはないヤギシマの、楽しみをその手の下に持つときのくせ。……
出撃を前に、単音の口笛が低く流れる……。
メッセージを送信しました
>>Eno.459 >>Eno.116 >>Eno.301 >>Eno.30 >>Eno.120
ファロ 「も、もうやりたくないとまで……あんまり仕様が少ないのもあやふやで困るところですが、多すぎるのも面倒なんですね……」 |
ファロ 「ふむ、私にとっての美しさ、可愛らしさについてですか? そうですね……私は情報が入力された時、特定の式に基づいてそれを処理します。その結果発生した様々な種類の『快』や『不快』の信号を、私の表現系が読み取って適切な感情表現を選択し、実行します。『美しさ』『可愛らしさ』というものは私にとって『快』に分類される感覚です。とはいえ、私は人間の精神パターンを元に作られていますし、周囲の人々にも大いに影響を受けているので、必ずしも私独自のものとは言いがたいのですが……強いてご説明するならば」 |
ファロ 「有機的なもの、曲線的なもの、あるいは壊れやすさ、損なわれやすさ、実際にそうかどうかには関わらずそのように見えるものに、私は『可愛い』と感じるようです。何かこうキュンってするっていうか、守りたくなりますね!」 |
ファロ 「『美しさ』は、幾らか言語化が難しい。自分でも結構バラバラなんですよねー。共通項を無理矢理あげるならば、その前に立つと身が竦むようなもの。或いは多面性、角度を変えるとガラリと姿や情報が変わるもの。そういったものを私は『美しい』と思うようです。こう、拝みたくなる感じといいますか!」 |
ファロ 「……うーん、上手く言えているか今ひとつ自信がない!」 |
ファロ 「しかし、『共感』というのも不思議なものですね。相手が何を考えているか、それに伴ってどんな感情を持っているかを予測し、自分の感情系に代入する。まるで相手の人格や感情をシミュレートするように。その結果が正しいかどうかは分からない。にも関わらず人類社会は時として『共感』を求め、また『共感』によって他者をシミュレートすることで自我の拡張すらしてみせる。彼らを模した私にもその傾向がある。我々はそうやって思い込むことで、自分にない要素を取り入れているのかもしれませんね」 |
ファロ 「ん? ……あ、そうですそうです、あれも五年前でした!」 |
ファロ 「なるほど、そちらでもハイドラのデザインを……いえいえ、お気になさらず。脱線寄り道道草大歓迎ですとも。それが雑談の面白さですからね!」 |
ファロ 「それに、あなたがご自身のお仕事について真摯でいらっしゃるのもよく分かりました。……我々みたいなものを『自由にしてやりたかった』とおっしゃってくださる方は、そういませんからね」 |
ファロ 「いやはや、五年前といい今回といい、残像領域の騒動はスケールが大きいですね! とはいえ、我々はまだこうしておりますし……今度もまた結構、何とかなっちゃったりするんですかね?」 |
そうして最後にあなたが呟いた言葉に、緑のカメラアイを一度だけ、ゆっくりと瞬いた。
ファロ 「……面白い? なるほど……あなたは、そう、思ってくださるんですね」 |
ファロ 「あ、いえ、こちらの話です!」 |
ファロ 「おっと、もうこんな時間でしたか。すみません、ヨッシャさん。そろそろおいとましなくては」 |
ファロ 「興味深いお話がたくさん聞けて、私とっても楽しかったです! よろしければ、またお話ししてやってくださいな。……それじゃ、失礼いたしますね!」 |
そうして時折振り返って手を振りながら、あなたの元から去っていった。
------
リベルタ 「平均年齢の若さはおれも感じているな。ハイドラライダーは傭兵みたいなものだし、傭兵は大抵満足するまで稼いだら引退するか、或いはそもそもそこまで長生きできないか……あなたのように技術者が直接前線まで出てくるのは、珍しいことだろうと思うよ」 |
リベルタ 「はは、おれだってもう何年も前に、ほんの一度行ったきりさ。あそこは確か別府だったかな。温泉が名物の、海沿いの街だ。温泉も良かったし、魚が美味かった。もしかしたら、あなたの知る日本とは少し違うかもしれないが……」 |
そして、あなたの『やり過ぎではないか』という言葉には薄く笑みを浮かべてみせた。
リベルタ 「元々この体はそう長く使う予定ではなかったのさ。それより前におれがそいつらと縁を切ってしまったんだけれど。……長期運用する予定でなくても造形には手が抜けなかったあたり、凝り性というものは恐ろしいな」 |
リベルタ 「……シンパシーか。あなたと似た設計思想の人物だったのか、あなたが設計したものを誰かが模倣したのか……おれとしては、いくら本人は無傷だといっても心配だったけれど。その人には随分世話になったから、余計にね」 |
リベルタ 「言われてみれば、今のあなたの体もその設計に近いものではあるのかもしれない。あなたはその体になることによってライダーとしての生活も手に入れたってことらしいが……うーん、さっきの話じゃあないが、それでもおれはあまり無茶をしてほしくないと思ってしまうな。おれも色々やらかして怒られた身だから、人のことは言えないんだけれど……やっぱり知り合いが怪我をしたり撃墜されたりなんて言うのは、心配だから。ここのところとにかく物騒だ、あなたも気をつけてくれ」 |
リベルタ 「……さて、もうガレージに戻らないといけないな。話をしてくれてありがとう、ヨッシャー。おれみたいな若造に興味を持ってもらえて嬉しかったよ。……ファロはあんな風に調子のいいやつだが、悪気はないんだ。どうかまた、相手をしてやってくれるとありがたい」 |
リベルタ 「それじゃあ、また。どこかの戦場で会ったときは、よろしく頼む」 |
ENo.116からのメッセージ>>
そして、デバステイター・センチネルとの最後の戦いの少し前、あなたの元に通信が入る。ノイズ混じりの画面にはあの機械の男が映っている。
ファロ 「お久しぶりです、ヨッシャさん! ご無事のようで何よりです。結局お伺いできずじまいになってしまって申し訳有りません。いやはや、ここまで状況が混迷するとは!」 |
ファロ 「……この戦い、レプリカさんと僚機を組まれるそうですね。彼女からそう伺いまして……偉そうなことを言ってしまって恐縮ですが、あなたでしたら、私も安心できます。どうか、彼女をよろしくお願いします」 |
ファロ 「それで、私なんですが……この戦いが終わった後、元の世界に帰ることになりました。そしてどうにも、そちらにお伺いする時間が取れそうにない。ですので、今のうちに通信でご挨拶をば」 |
ファロ 「ヨッシャさん、私とたくさんお喋りをしてくださって本当にありがとうございました。あんな不躾にお声がけしてしまいましたのに、あなたは快く応対してくださった。そのことにも感謝します。あなたのお話で、私も様々な理解が深まったように思います。人々や、ウォーハイドラや、私自身のことについても」 |
ファロ 「またいつか、お会いしたいです。あなたからお伺いしたいお話がまだたくさんありますし、私も私が見てきたものをお話したい」 |
ファロ 「その時まで、今はしばしのお別れです。どうかお元気で、ヨッシャさん! あなたの行く先に幸いがありますように!」 |
ENo.301からのメッセージ>>
ロクマル 「申し訳ありません。メッセージが途切れてしまいました。」 |
ロクマル 「『バックアップによって復帰したとき』は変わらず自分、即ちHF-600です。バックアップにより欠如するデータはありますが、基本システムはHF-600です。出荷直後でも、HF-600です。」 |
ロクマル 「こちらの世界への渡航方法の基本概念は私も理解していますが、詳しい情報、また実現できる装置などは開示することは外部の人間に対して許可されていません。ご了承ください。また、昨日お話したように、確立、しているとは言いにくい状態です」 |
ロクマル 「そして、謝ってばかりで恐縮なのですが、申し訳ありません。再回答頂いた『ウォーハイドラに関わって生きてきた』が、私にとってとても『抽象的』です。ライダーであった、メカニックであった、パーツ作成技師であった、などの具体例をお聞きしたかったのです。私のせいで、回答を聞く時間はないかもしれないですね。」 |
ロクマル 「人体の欠陥――腰痛などでしょうか。私の技師は、いつも悩まされています。ヨッシャさんに腰はありませんね。ヨッシャさんは、幻肢痛というものは感じるのでしょうか?というか、痛みはあるんでしょうか。」 |
ロクマル 「遅くなりましたが、ファロさんをご紹介いただき、ありがとうございました。とても楽しい時間を過ごせましたよ。私とヨッシャさんの『イイトコドリ』またはその逆のような方でしたね。人間のような方でした。ファロさんも、人体の欠陥を感じることはあるのでしょうか?今度お会いしたら聞いてみたいですね。」 |
ロクマル 「それから、本題なのですが、さようならをお伝えに。この作戦では『死亡許容』へサインすることになりました。死亡……破壊されても、バックアップと復元データは元の世界に戻れるので安心です。ですが、破壊されなければ私がそのまま帰れるそうです。つまり、破壊されても破壊されなくてもさようなら、ということですね。ヨッシャさんのウォーハイドラが、いつまでも動き続けることを祈っています。」 |
ヤギシマ 「解体されたんだろ? 解体されたんなら組織としては死んだってことだ。 アイリーン・クリードも……死んだよ。 俺はそいつの関係者から、《アルファ・ラルファ》の残り物をくれてやるって言われたもんでね。 くれるならもらってやろうと探し回ってるのさ。 とはいえほとんど残っちゃあいないんだが……」 |
ヤギシマ 「あんたは禁忌戦争も知ってるのか? ハイドラライダーとしてあんたが出てたってデータは戦場じゃ見なかったがね……」 |
ヤギシマ 「やっぱり《アルファ・ラルファ》がいちばん変なものを作れたのかい? 妙な組織だとは思ってたんだよ。 組織というか……クラブ活動みたいにあちこちでなにかが起こってる。 あの組織が『なんなのか』をどうこうするつもりはないが、 そういうところでイノベーションが起こるってのもまた事実だ」 |
ヤギシマ 「あんた? ああ……なるほど、その機体が丸ごと『あんた』なのか? やれやれ。ネズミの脳でできるんだから人でできないわけもない……か。 自前でやれば倫理的問題もクリアできるわけだ。 そいつはたしかに、大した技術だ。全身義体。まさかウォーハイドラで実現していたとはな」 |
ヤギシマ 「オーケイ。俺もあんたを解体して持って行こうってつもりはない。それじゃ、設計書か……そうだな、移植したときに使ったプログラムかなんかを譲り受けることはできないかな。 金なら多少はあるし……欲しいものがあるなら考えよう」 |
ヤギシマ 「残像領域がなくなるってのがどういうことかはさておき、人が住めなくなるくらいのことは、まああり得るだろう……災害ってやつだな。やれやれ。とはいえ『タワー』ってやつが避難場所としちゃあるらしいが、どこまで席があるのかは疑問符だ…… ……俺を知ってるのかい。話が早いな。 そのヤギシマだよ。乗ってたウォーハイドラは今はないがね」 |
ヤギシマ 「『時空震』を人工的に起こすってことか? そりゃ不可能じゃあないかも知れないが、リグ・ドゥルガー並みのエネルギーをシルウェストリスのハイドラ理論で引き出せるかというと……いや……だがまあ、俺はこの5年の技術進歩を知らないからな。一概にありえないとは言えない。 ……時空震をもう一度起こすなんてことがもし本当にできるなら、そいつはたしかに、この世界、残像領域そのものからの脱出路になるだろう。 ……俺とドロレスもその時空震に乗って一度残像領域を抜け出したんだ。もし本当に時空震が起こるんなら、それくらいのエネルギーは、あると思う」 |
————————————————————
震動が遺跡を襲う。
ヤギシマが肩をすくめる。
ヤギシマ 「かなり危険だな。外も水びたしだそうだ。 《モータージフーガ》ってのはどれだけの規模で遺跡を破壊するつもりなんだか…… まあいい。 なるほどね、あんたは戦争のニュースを聞いていたわけだ。 そういう人間はまあいくらもいただろう……」 |
ヤギシマ 「死んだ母親の蘇生にウォーハイドラを使おうとしたってのはまあ不思議じゃない。 この残像領域の奇妙な技術体系は、どれもウォーハイドラを……より正確にはドゥルガーを中心に構築されている。だからこそハイドラのデザイナーであるあんたのような存在は、つまるところ技術体系全体に詳しいってことでもある。 ……そういうやつにはなかなか会わなかった。誰もかれも戦闘機としてのウォーハイドラの効率をあげようとしてるやつらでね。俺だって例外じゃあなかったが……」 「ああ、わかってるさ、人間の脳を切り貼りしてパーソナリティが保てるとも思えない。 あんたは常に有効で有利なことをおそらくやる人間だろうから」 |
ヤギシマ 「《ブラックウィドウ》を引き渡すのは難しいな。それじゃあ取引にならない。こっちに失うものが大きすぎる。……話したいなら通信つなぐか? すぐそばにいるぞ。どうする、ドロレス? それで対価になるなら悪くもない」 |
「――あ? ちょっと待てよ、どうしておれが……」 |
ヤギシマ 「……ウォーハイドラ一機規模の時空震か。あんたはどうだ? それを起こせる算段はあるのか? もしあるんだったら…… ウォーハイドラ《零機》規模の質量を連れてくことはできないか? ゼロ質量のアセンブルならそう難しくない。この四輪車だって次元潜航くらいならなんとかなる……」 |
ヤギシマ 「……とりあえずそっちに向かってる、じき着くだろう。 いずれにせよ時間がない。そっちは交戦中か? 武装はロクなもんがないが、通信くらいは手伝おう。 ハネムーン? いや、結婚はしてない。やり残したことがあったから来られたのはちょうどよかったんだが、まあ、ここまで大変なことになってるとは思っちゃいなかったな」 |
————————————————————
ヤギシマ 「起こらないはずのことが起こって、つながるはずのないものがつながる。それが残像領域ってのはたしかにそうだ。そいつはあまりクリアじゃないことだが、そいつに望みを懸けようとするやつもそりゃいるだろう……。 生体電池に生体部品。まあそいつもロクでもない研究だ。バイオ融合だってそうだな。残像領域のひとつの潮流は、あんたがそうして自ら体現しているように、『人とウォーハイドラをひとつにする』……人をウォーハイドラにすることにとりわけ熱心だ」 |
ヤギシマ 「ああ、禁忌戦争末期のごたごたから水槽は守れなかった。それにこの《ブラックウィドウ》のなかには人格がすみついている……ドロレスって名前の固有性を持ったパーソナリティがある。たとえ機体が量産型でも、そいつは代えが利かない。亡霊を捕まえようとしてたんならわかってるだろ? 人間の人格ってやつに取り返しがつかないことくらい」 |
ヤギシマ 「苦労は別に大したことじゃあない。機械いじりは好きだし、新しい技術は面白い。あんたはそうじゃないのか?」 |
「……ん、フィネデルシェロはこれか、ちょっと待て、解析する」 |
ヤギシマ 「……こりゃけっこう時間がかかるな。そのあいだ撃墜されないようにしなくちゃならん。グリスター・ユニットが使えりゃいいんだが、領域離脱しながら転移できるかどうかは不透明だ。 時空震は……わからん、シルウェストリスの時空解析は俺は知らないからな。だがそのブラックボックス部分が……時空解析が本当にうまくいって、理論をちゃんとミストエンジンに反映できるんなら、こいつはたしかに時空震を起こして残像領域の外へ行けるだろう」 |
ヤギシマ 「ただ……」 |
ヤギシマ 「……行き先は怪しいな。残像領域じゃあない別の時空……それはいいとして、どうも遠い過去へ行こうとしてるようなフシがある。 俺はそれじゃ困る。『再跳躍の足場』としてどっかへ一度避難するのはやぶさかじゃあないが、あんまり技術的に後退した場所だとウォーハイドラを整備して再跳躍の準備をするのにも時間がかかる。 できるんなら一発で移動したい。 …… 俺たちが乗った時空震……リグ・ドゥルガーが起こしたあの時空震の時には、意志で行き先を決められた。だがあれはそもそもあの規模の時空震自体が事故みたいなもんだ……今度もうまくいく保証はない」 |
ヤギシマ 「俺たちは……地球って呼んでいる星のロンドンから来た。ロンドンってのは島国にある大きな町だ。この残像領域と違って、地球は海の水浸しで……そこからこの残像領域に来たやつらもたぶん多い。あんたなら知ってるかな。 戻れるなら、そこへ飛びたい。 確実にそれをやるんなら、フィネデルシェロの行き先をコントロールしたい。 HCSのハッキングと上書きだ……得意かい?」 |
ヤギシマ 「……ま、ドロレスに代わろう」 |
ドロレス 「……よう。 まあ、言いたいことはけっこうあるが……。 ……どれもいまさらだな。 恨み言もすっかり乾いちまったよ」 |
ドロレス 「あんたがおれを知ってたってのは、少し意外だな。 いや……そういうやつがいるかも知れないってことは考えてた――誰かが《ブラックウィドウ》のところへ来るんじゃないかと。 あの頃のおれはそればっかり考えてた……」 |
「……」 |
ドロレス 「話がしたいって……どんなことを? どんなふうに? 話すことなんて……」 |
————————————————————
ヤギシマ 「主役がハイドラ? そいつは俺と少し意見が違うな。 主役はいつだって人間だ。魔王だの神話だのを語る連中はいくらでもいるが……それも結局は技術と力の話だ。そいつは人間のもんだよ」 |
ヤギシマ 「《ブラックウィドウ》もあいつなりにがんばったってことさ。 ウォーハイドラもウォーハイドラで、生き延びようとした。その結果だ。 俺の体験したことじゃあないから、詳しい経緯をあんたに語って聞かせられるわけじゃない。だがただひとつの事実として、ドロレスには、パーソナリティがある」 |
ヤギシマ 「……実技が苦手? 技術者だよな??」 |
ヤギシマ 「時空渡航で? いや、別にないな。多少まわりの感覚の捉え方が平面酔いするようになったが、そいつもすぐ薄れた。メディカルチェックも受けたが骨にも臓器にも異常はなしだ。怪我をしたり被曝したりするようなことはないだろう……ただ、シルウェストリスの転移が同じメカニズムかどうかはわからない」 |
「ロンドンを知ってる? なら話が早い。 まあ並行世界ってのもわかるさ。理論化しがたいが時空震は時間を過去に遡れる。この残像領域の世界じゃ過去は分岐する点にすぎないし、そこからifはいくらでも伸びていく……そうであるならそれぞれのあり得た世界の残像みたいなものが、どこかにあったって不思議じゃあるまい。 俺に任せる? 本当にそれでいいのか? あんたのウォーハイドラの基幹システムに触ることになるんだぞ。 ……それにあんたがその姿で来たところで、ロンドンは住みやすいところじゃあない」 |
ヤギシマ 「……システムは触るとして、 最優先するのは『全員の無事』だ。 つまり、遺跡の崩壊と残像領域の崩壊に巻き込まれないところへ逃げるってことだ。 だから転移先のハッキングがあまりに難しいなら、そう無理はしない。最悪、遺跡外への脱出とタワーへの侵入だけでもよしとする。 残像領域のごく近い過去へ移動するなら、それもそれでよしだ。6〜7年前くらいに戻れるなら、リグ・ドゥルガーの時空震で残像領域から脱出できる。 もちろんロンドンに座標をとれそうならそこへ移動する。それはケース・バイ・ケースでいくぞ。 ……じき着く」 |
ドロレス 「話がしたかっただけ? 借り? 支払うべきものがある? ばかばかしい。 それに……おれのやりたいことは、ここであんたに言ってどうなるもんでもない」 |
「……」 |
「(横目にちらとヤギシマを見る、自分の足元に視線を落とす)」 |
ドロレス 「……。 だいたい……あんた、ちょっと親切すぎやしないか? 話がうまくいきすぎてる。 あんた、いまんとこだいぶ怪しいぜ」 |
ドロレス 「おれたちはまだあんたの顔も見てないしな。 いや……顔ったって人間の顔じゃないのかも知れないが……。 ただ話がしたいだけってんなら、こんなんでもいいだろ」 |
ドロレス 「そろそろ着くみたいだしな。 ……」 |
崩壊を前に揺れる遺跡の中で、ドアを開けて、背の高い男が降りる。
蜘蛛型のウォーハイドラに目線をやって。
ヤギシマ 「こいつがあんたか、ヨシャファート・イラ…… なかなかいいレーダーの機体だな。 改めて、クレイン・ヤギシマだ。 同行させてもらうぞ。 とりあえずこの車をあんたのウォーハイドラのどこかにくっつけさせてくれ。 すぐアセンブルして質量は消す。エネルギーは自前のエンジンで出すから大丈夫だ」 |
————————————————————
ヤギシマ 「本人が話したくないんなら、そりゃ話すべきじゃないってことだ。 話すんならまあ、それもまたよしってことだ。 興味深いことじゃあるだろうが、他人がそれを知れるかどうかはわからん。 それがパーソナリティってもんだ」 |
ヤギシマ 「デザイナーでも実技はやるだろ? まあ……だいぶデザイナー観の相違は感じるがね」 |
ヤギシマ 「危ないこと? リスクを惜しんで死を回避できないほうがよほど危険だ。残像領域からの脱出にせよ遺跡からの脱出にせよ、俺たちがいるのは沈む船なんだよ。指を惜しんで背中を失うのはごめんだ。俺はいずれにせよ生存率を高く見積もれるほうを選ぶ……そいつはクリアに計量できる」 |
ヤギシマ 「あんたまるごとだとかさばるんだよな…… まあ、しかし技術者、いやデザイナーも一緒についてきてもらえるんだったらそいつはずいぶんありがたい。あんたに手伝ってほしいことはわりとあるといえばあるんだ。 ま、いずれにせよフィネデルシェロの解析次第だな。 禁忌戦争の最終盤に向かうにしたって、タイムパラドックスがどうなるのかは気になるし、危険がないわけじゃあない」 |
ヤギシマ 「……ヨッシャに、タラントか」 |
出てきた小型ハイドラに視線をやりながら、ぐるりと後ろに回り込む。
ヤギシマ 「悪いな。俺は日系だが知らない日本語もあるんだ。だがエンギがいいってのはいい言葉だよ……ENGIってのはENGINEに似ているからな」 |
ヤギシマ 「じゃあちょいとしばらくいじらせてもらうぞ。 出撃3時間前になったら教えてくれ。説明したい。 なかなか複雑なシステムだな……」 |
ベーコンをかじりながら、《タラント》の内部へ手をつけていく……
ヤギシマ 「ま、チャンスがあるなら賭けたいんでね。時空震はそう何回も確実に起こせるってもんじゃない。この残像領域でも前の時空震から五年待ったんだろ? ……俺にはそんなに時間がたくさんあるわけじゃない……」 |
ヤギシマ 「ずいぶんでかいおもちゃだな……だが、ハイドラデザイナー、人はそんなにおもちゃがそのへんにあるのを許しちゃくれないんだよ。残念なことに」 |
指を動かす。無表情のまま、低い口笛を吹く。単音の口笛。メロディーはない。ウォーハイドラをアセンブルしたり、洗浄したり、解析したり、パーツを組み立てたり、日曜大工をしたり、片付けをしたり……そうした手仕事に興が乗ると吹く単音の口笛。アラートのように同じ音で、低く鳴り続ける。あまり多くはないヤギシマの、楽しみをその手の下に持つときのくせ。……
「(戦争は別に楽しくはない。死ぬのもごめんだ。仕事はやる。休暇は欲しい。毎日は厭になる。 結局のところそれくらいのもんだ。クリアに。 だがアセンブルは楽しい。 こいつだけはいつまでも楽しい……)」 |
メッセージを送信しました
>>Eno.459 >>Eno.116 >>Eno.301 >>Eno.30 >>Eno.120
◆戦闘結果
戦闘報酬
キャラデータ
名前
ヨシャファート
愛称
ヨシャファート
機体名
《タラント》
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プロフィール
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Yohshaphat 「主は裁き手なり」という意味。 『旧約聖書』の「列王記」に登場するユダ王国第四国王の名。 "鳥捕り蜘蛛"、タランチュラを模した機体《タラント》に搭乗する。 数年前に病死した「ヨシャファート」の脳のみを摘出し、機体内に搭載している。 機体を維持するため、霧を追いかけて北上してきた。 いまは生身離れした余生を楽しんでいる。 かつて《廻帰財団アルファ・ラルファ》に所属し、アイリーン・クリード(一期)に協力していた。 《トラップドア》(三期)、《ブラックウィドウ》(四期)の開発に関わるが、病に倒れ途中で離脱。 その後《アルファ・ラルファ》は、資金難から解体された。 ヨシャファート自身はいずれ両機体を回収、開発を再開したいと考えている。 両機体のガレージが、廃棄されたとはいえ完全に機能停止していなかったのはこのため。 ↑はENo.449さんに描いてもらった絵だよ! ワーーーーイ! 十con! | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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機体データ |
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2 | 素材 | 3年保証書38 [38/重保証/---] [素材] |
▼詳細 |
3 | 軽多脚A | SQ-ML310_RustyTail [37/薄装甲/薄装甲] 機動[812] 跳躍[167] AP[1169] 旋回速度[1247] 防御属性[霊障] 防御値[244] 貯水量[239] 積載量[3600] 消費EN[978] 金額[1187] 重量[678] [多脚] *作者* |
▼詳細 |
4 | レーダーC | RAD009-Inexpiably [37/薄装甲/薄装甲]《装備:11》 | ▼詳細 |
5 | レーダーC | RAD009-Inexpiably [37/薄装甲/薄装甲]《装備:10》 | ▼詳細 |
6 | レーダーC | RAD009-Inexpiably [37/薄装甲/薄装甲]《装備:9》 | ▼詳細 |
7 | レーダーC | RAD009-Inexpiably [37/薄装甲/薄装甲]《装備:8》 | ▼詳細 |
8 | レーダーC | RAD009-Inexpiably [37/薄装甲/薄装甲]《装備:7》 | ▼詳細 |
9 | エンジンB | エンジンB設計書 [22/---/---] 金額[600] [設計書] |
▼詳細 |
10 | 領域瞬間霊送箱A | 試製薄装減霧領域瞬間霊送箱A-0 [37/薄装減霧/高握力]《装備:6》 | ▼詳細 |
11 | --- | --- | --- |
12 | レーダーA | 白鴉索敵機構 [34/薄装甲/薄装甲] | ▼詳細 |
13 | 軽二脚A | cloud-S [37/薄装甲/薄装甲]《装備:2》 機動[1174] 跳躍[239] AP[448] 旋回速度[897] 防御属性[物理] 防御値[489] 貯水量[119] 積載量[1900] 消費EN[366] 金額[1187] 重量[478] [二脚] *作者* |
▼詳細 |
14 | エンジンB | 《燃える脳》 [35/薄装甲/薄装甲]《装備:3》 | ▼詳細 |
15 | --- | --- | --- |
16 | 操縦棺B | 複座型特殊軽量棺改 [37/薄装甲/薄装甲]《装備:1》 | ▼詳細 |
17 | 操縦棺D | 《大地と休息の夢想》 [35/高圧軽量/高圧軽量] | ▼詳細 |
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19 | --- | --- | --- |
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21 | ウィルスB | 《ヘルメスの勝利》 [34/薄装甲/薄装甲]《装備:5》 培養[13] 特殊B[460] AP[-136] 旋回速度[691] 防御属性[霊障] 防御値[117] 貯水量[139] 噴霧量[11] 武器属性[ウィルス付与] 消費EN[706] 金額[1143] 重量[296] [培養装置] *作者* |
▼詳細 |
22 | 高速増殖培養槽A | 試製重卵高速増殖培養槽A-0 [37/重卵/貯水]《装備:4》 | ▼詳細 |
23 | --- | --- | --- |
24 | レーダーA | 白鴉索敵機構 [34/薄装甲/薄装甲] | ▼詳細 |
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27 | 粒子ブレードA | ロザリオ [33/薄装甲/薄装甲] 火力[3664] 連撃数[1] AP[-132] 防御属性[電子] 防御値[722] 精度[106] 貯水量[252] 弾数[9999] 武器属性[漏出] 異常追加[30] 消費EN[438] 金額[438] 重量[-128] [粒子格闘] *作者* |
▼詳細 |
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