ENo.0017　恐怖騙り

星の満ちる場所に、ワタシは辿り着いた。
聞こえはしないがきっとあの騒がしい連中は、まだ宴を楽しんでいるのだろう。

薄汚れた星空の拡がる、鉄屑が転がる、恐らく遠い昔は花畑だった場所にワタシは降り立つ。

此処にきっと、あの子達はいない。
次へ行くとしよう。

一歩踏み出したその時、なぜか。
ワタシは振り返ってあの子達のいないはずの、あの賑やかな場所に目を向けてしばらく見ていた。

…あるいは転生したあの子達があそこにいたのだろうか？
そうなると、恐らくもうワタシにはわからないのだろうが。まあ、精々幸せになるといいと思った。

「こんな世界に生まれてきたのだとしたら、運が悪いな」

独り言を呟く。

「あいつらは、星空と花畑に囲まれて呑気に生きるべきだ」

視線を前に戻す。
もう振り返る事無く、ワタシは前に進んだ。
先へ、先へ。
喧騒を背に向けて。
花畑であった場所を踏み越えて、僅かな星の光を浴びながら。
より暗い方へ。

「じゃあな、鉄の鎌を持つ鋼の襤褸騎士。オマエに意思があるかは知らんが、後は好きにしろ」

横目に機体を見ながら。

「廃棄場のような世界だが、星空と花畑はそれなりに満足したよ」

どうでもいい感想を呟いて。
ワタシはその世界を後にした。