ENo.0584　キーナツャレ・パトレンヘッラ

..........

...
.

......

目覚めると、体からは植物のような何かが生えていて。

なんとなく、仮初の命のようなものだと自覚した。

ハイドラにも私自身にも、蔦とか草が生い茂っていて

既にこの屍体はまともなモノを喉に通さないだろう



ああ、わたしの娘の姿が見える。
幼い、お星さまやチーズが大好きな可愛いシェチア

「あの事故で、居なくなってしまったのはシェチアも、そうなのね？」

「……シェチア？どうしたの？キーナお母さんだよ？」

シェチア、姿はそのままなのに反応がなくて。

…………親に向けるような愛情の眼ではなくて
全く異質な『視線』が、植物と同化したわたしにむいていた

『ソレ』の口元には八重歯が生えていていやらしく口を曲げる。
『ソレ』の背中からは、二対の黒い羽が生えていた


「きゃははははははっはははは！！！　時空の裂け目からのぞいたら　アノトキの泣き虫ちみっこじゃないの！！！　すこし、植物っぽくなって綺麗になってるじゃーん！！！」

明確に、娘ではなかったのだ。外身はそっくりなのだが表情が悪意と好奇心にあふれたナニカが中身を占拠していたのだ。

―――キーナ「シェチ……いや、お前は誰なの？」

？？？「そうね！この姿だと　ちみっこちゃんの大事なむすめちゃんと間違えちゃうものね！」

「ディアーナとでも、名乗ろうかしら！！久しぶりの再会祝いにその美味しそうな植物ぼでぃを･････」

キーナ「………私の娘を返して！さもなくば、この機体で制圧するまで！」

「ハァ？！？！」
古い機体でもアルラウネで再起動したハイドラ、その装甲が瞬断された。
硬質ダガーより小さな鎌によって伐られたのだ

「舐め腐るなよ、植物混じりの泣き虫ちゃん。折角の良質媒体を譲り返すとか出来るかヨォ？！きひひひひひひひ！！」

焼夷機関砲を向けて威圧することすら敵わなかった。
砲身がねじ曲げられ燃料ラインは塞き止まり、発火する。

ディアーナ「あー。もうただの植物の燃えかすになっちゃったわ。面白くなーい　なえなえだー。もう、帰るわ。じゃじゃーねーん」

羽の生えた『悪意』は、時空間の裂け目からどこかへ去っていく。


Continue to TVC......