第20週目 リョウゴ=サクラバの一週間
◆日記
荷物は、肩掛けの袋一袋に収まるくらいだった。
人一人が旅立つにしては少なめの荷物を片手に、リョウゴ=サクラバはマテリアルベルト発動機に背中を向ける。
正門前の階段を下りたところでおーい、と後ろから声が掛けられる。
振り返ると階段の上、太陽を背にして桃色の髪が風に靡いた。
「……普通黙って行く?」
霧中ネネは怒ったようなそうでもないような表情で階段の上から声を投げた。
リョウゴは首を振ると質問に答える。
「いや、厩舎の方に寄ろうと思っていた。
そこにも居なければ電話をしようかとも。
……流石に、無言で立ち去るほど無粋じゃない」
「どうだか。一昔前ならあり得たと思うけど」
呆れたように苦笑してネネは肩を竦める。
旅立ちの日だった。
門出の日とも言える。
もう少し砕いていれば――別れの日でもある。
「軍に戻っても、あんまり迷惑掛けるんじゃないわよ。
存在するだけで周りは困惑するんだから」
「そうか。気を付けよう。
霧中も……健勝で居てほしいと願う。
健勝で居てもらわねば……日々の楽しみが一つ減る」
「君にチャンネルのこと教えたネネが馬鹿だったわ。
そんなにドはまりされると逆に気持ちが悪いんだけど」
「そろそろブロックとやらを解除してくれ、アカウントの切り替えが困難だ」
「ブロックされてるんだからおとなしくブロックされときなさいよ。
君のせいでmistube、コメントの文字数に文字制限が掛かったんだから、反省しなさい」
「わかった。次回よりDMで送る」
「やめろ!!」
変わらぬ会話。
今までと同じ調子と、同じ語調。
ここが別れの場であることも、
そして数日前に交わした言葉やそれ以外も、何一つ影響していないような、そんな会話だった。
「……世話になった。
今更語りつくすことはできないが、礼を言う」
「それはまあ、お互い様ってことで。
……ネネも、自分を考えるいい機会になったと思う」
「互いに健勝であることを祈ろう」
「君は、祈らなくても多分健勝だろうけどね。
ただ、迷ったときはすぐ連絡入れなさいよ、一人で考えてもろくなことにならないんだから」
「分かった。
助かる」
素直に返した言葉に、ネネは満足げに頷いた。
僅かに微笑み、少しだけ目を瞑った。
「君の『お願い』も、まあ出来る限り頑張ってみるわ。
いつどうなるかなんて私も保障は出来ないけど」
「……頼む。
通信の手段はあれど、俺はやはり霧中の配信自体を楽しみにしている自分が今は居る。
負担にならない程度に、配信を続けてくれ」
「君らしいといえばらしいけど。
せっかく何でもやってあげるっていう権利を、そんなことに使うなんてね」
「大事なことだ。
『霧中ネネが今後も可能な限り何かしらの形で、例えハイドラに乗らなくとも配信を続けてくれること』
『言葉を発信することを辞めないでいてくれること』が……今後俺の支えになる」
それがどんな理由で始まったことであっても、
それがどんな感情を伴って続けられたものであっても、
それが言葉であり、発信され、広がることに、支えられている人間は必ず居るものだ。
だからリョウゴはそれを願った。
霧中ネネの言葉が、今は聞きたい。
それが例え、様々なバイアスの中で真実が1/10程度しかなかったとしても。
だったら100の言葉を、1000の言葉を、聞くことでその中から彼女を拾い上げたいと思った。
そしてそれは自分と同じように、きっと誰かの心に届くはずだと、そう思っている。
「……ブロックは、解除しておいてあげるわ」
「ありがとう。俺も新規で取得したアカウント57個を今夜手作業で消しておこう」
「どんだけ作ってんのよ。どんだけ見たいのよ」
「次回の霧中が、何を配信してくれるのかを楽しみにしておく」
「まさか、君にハードル上げられるとはね」
ま、せいぜいその期待には応えられるようにしよっかな、とネネは苦笑した。
沈黙が横たわった。
きっとそれは、スタートラインを切るための合図を待つ沈黙だ。
「霧中、元気で」
別れの言葉は、先にリョウゴの口から出てきた。
その言葉を口にするのは二回目で。
そして二回目だからすんなりと出てきたことを、自分の相棒に感謝をした。
「そうね。キミも元気でね」
帰ってきた挨拶も短く。
きっとそれ以上の言葉は無粋だと、お互い知っていたから。
もう、全てを伝えきったはずだと思い、リョウゴは振り返って道の先へと歩いていく。
霧中は、その背中に小さく嘆息しながら。
きっと振り返らずに行くんだろうなと。
不器用で、不器用で、不器用な男の背中を、見つめていた。
その道の先。
リョウゴが、静かに立ち止まる。
何かを考えるように。
思い出すように。
何を考えているのかわからない無表情で、俯き、止まっている。
それは。
他でもない、彼女からの助言だ。
いつも指標をくれて、人間が下手くそな自分にとっては、その助言全てが的確で。
だからその助言も、きっと正しいとリョウゴ=サクラバは思っていた。
『そうね……まあ『はっきりと伝わるよう』『短く』『簡潔に』言えばいいのよ』
リョウゴは振り返る。
階段の上には、まだこちらを見てきている霧中が居る。
「霧中」
リョウゴが声を掛けると、ネネが何?と首を傾げた。
「好きだ」
「知ってる」
人一人が旅立つにしては少なめの荷物を片手に、リョウゴ=サクラバはマテリアルベルト発動機に背中を向ける。
正門前の階段を下りたところでおーい、と後ろから声が掛けられる。
振り返ると階段の上、太陽を背にして桃色の髪が風に靡いた。
「……普通黙って行く?」
霧中ネネは怒ったようなそうでもないような表情で階段の上から声を投げた。
リョウゴは首を振ると質問に答える。
「いや、厩舎の方に寄ろうと思っていた。
そこにも居なければ電話をしようかとも。
……流石に、無言で立ち去るほど無粋じゃない」
「どうだか。一昔前ならあり得たと思うけど」
呆れたように苦笑してネネは肩を竦める。
旅立ちの日だった。
門出の日とも言える。
もう少し砕いていれば――別れの日でもある。
「軍に戻っても、あんまり迷惑掛けるんじゃないわよ。
存在するだけで周りは困惑するんだから」
「そうか。気を付けよう。
霧中も……健勝で居てほしいと願う。
健勝で居てもらわねば……日々の楽しみが一つ減る」
「君にチャンネルのこと教えたネネが馬鹿だったわ。
そんなにドはまりされると逆に気持ちが悪いんだけど」
「そろそろブロックとやらを解除してくれ、アカウントの切り替えが困難だ」
「ブロックされてるんだからおとなしくブロックされときなさいよ。
君のせいでmistube、コメントの文字数に文字制限が掛かったんだから、反省しなさい」
「わかった。次回よりDMで送る」
「やめろ!!」
変わらぬ会話。
今までと同じ調子と、同じ語調。
ここが別れの場であることも、
そして数日前に交わした言葉やそれ以外も、何一つ影響していないような、そんな会話だった。
「……世話になった。
今更語りつくすことはできないが、礼を言う」
「それはまあ、お互い様ってことで。
……ネネも、自分を考えるいい機会になったと思う」
「互いに健勝であることを祈ろう」
「君は、祈らなくても多分健勝だろうけどね。
ただ、迷ったときはすぐ連絡入れなさいよ、一人で考えてもろくなことにならないんだから」
「分かった。
助かる」
素直に返した言葉に、ネネは満足げに頷いた。
僅かに微笑み、少しだけ目を瞑った。
「君の『お願い』も、まあ出来る限り頑張ってみるわ。
いつどうなるかなんて私も保障は出来ないけど」
「……頼む。
通信の手段はあれど、俺はやはり霧中の配信自体を楽しみにしている自分が今は居る。
負担にならない程度に、配信を続けてくれ」
「君らしいといえばらしいけど。
せっかく何でもやってあげるっていう権利を、そんなことに使うなんてね」
「大事なことだ。
『霧中ネネが今後も可能な限り何かしらの形で、例えハイドラに乗らなくとも配信を続けてくれること』
『言葉を発信することを辞めないでいてくれること』が……今後俺の支えになる」
それがどんな理由で始まったことであっても、
それがどんな感情を伴って続けられたものであっても、
それが言葉であり、発信され、広がることに、支えられている人間は必ず居るものだ。
だからリョウゴはそれを願った。
霧中ネネの言葉が、今は聞きたい。
それが例え、様々なバイアスの中で真実が1/10程度しかなかったとしても。
だったら100の言葉を、1000の言葉を、聞くことでその中から彼女を拾い上げたいと思った。
そしてそれは自分と同じように、きっと誰かの心に届くはずだと、そう思っている。
「……ブロックは、解除しておいてあげるわ」
「ありがとう。俺も新規で取得したアカウント57個を今夜手作業で消しておこう」
「どんだけ作ってんのよ。どんだけ見たいのよ」
「次回の霧中が、何を配信してくれるのかを楽しみにしておく」
「まさか、君にハードル上げられるとはね」
ま、せいぜいその期待には応えられるようにしよっかな、とネネは苦笑した。
沈黙が横たわった。
きっとそれは、スタートラインを切るための合図を待つ沈黙だ。
「霧中、元気で」
別れの言葉は、先にリョウゴの口から出てきた。
その言葉を口にするのは二回目で。
そして二回目だからすんなりと出てきたことを、自分の相棒に感謝をした。
「そうね。キミも元気でね」
帰ってきた挨拶も短く。
きっとそれ以上の言葉は無粋だと、お互い知っていたから。
もう、全てを伝えきったはずだと思い、リョウゴは振り返って道の先へと歩いていく。
霧中は、その背中に小さく嘆息しながら。
きっと振り返らずに行くんだろうなと。
不器用で、不器用で、不器用な男の背中を、見つめていた。
その道の先。
リョウゴが、静かに立ち止まる。
何かを考えるように。
思い出すように。
何を考えているのかわからない無表情で、俯き、止まっている。
それは。
他でもない、彼女からの助言だ。
いつも指標をくれて、人間が下手くそな自分にとっては、その助言全てが的確で。
だからその助言も、きっと正しいとリョウゴ=サクラバは思っていた。
『そうね……まあ『はっきりと伝わるよう』『短く』『簡潔に』言えばいいのよ』
リョウゴは振り返る。
階段の上には、まだこちらを見てきている霧中が居る。
「霧中」
リョウゴが声を掛けると、ネネが何?と首を傾げた。
「好きだ」
「知ってる」
NEWS
ザーッ……ザザッ……ザーッ……もし、この放送が聞こえているとしたら……
あなたはきっと、生きているのでしょう
そして、あなたはきっと、戦いに勝ったのでしょう
雨の中、水に飲まれゆく中で、戦ったハイドラの――
あなたは戦いの後、サルベージ船に回収され、タワーに運ばれていました
無数の人々が肩を寄せ合い、生き延びていました
そして、あなたのハイドラは、動くことはありませんでした
あなたはそれを復旧させることができたかもしれません
HCSのコンソールには、ただ一行だけ、「Mission complete」の文字が浮かんでいました
どこまでも青い空が広がっていた
どこまでも水平線が伸びていた
水平線には、積乱雲が立ち上る
静かな海だった
ただ一つ、海面から突き出す巨大な塔を除いて、他には何もなかった
雨上がりの後の世界は、夏風の通り抜ける、大洋に変わっていた――
ザーッ……ザザッ……ザーッ
……謎の飛行船団が上空に出現……
あれはいったい……!?
消えた……何だったのだろうか
しかし、あの姿は、ハイドラと戦った『グレムリン』に――
Ending...12/12
◆訓練
◆戦闘システム決定
バーサーク に決定!!
◆アセンブル
操縦棺1に黒棺を装備した
脚部2に四つ足 回空を装備した
スロット3にtopolinoを装備した
スロット4に加速機構を装備した
スロット5にRapidGear[Ver.02]を装備した
スロット6に電磁マサカリ『ブンカナ』を装備した
スロット7に高速ブースターを装備した
スロット8にtopolinoを装備した
スロット9に雲散霧消を装備した
スロット10に汎用型ひよ子ちゃんエンジンを装備した
スロット11に薄針を装備した
◆僚機設定
霧中ネネとバディを結成した!!
◆意思表示設定
意志設定……生存優先
◆ミッション
ミッション設定……ミッションA
ユニオン活動
鍛錬機構の活動記録
制御鍛錬用
ユニオン設備……なし!!
ユニオン連帯
……なし!!
ユニオン金庫……1000c
利子配当…………100c
制御の訓練をしました
制御が1上昇した
制御の訓練をしました制御が1上昇した
制御の訓練をしました制御が1上昇した
制御の訓練をしました制御が1上昇した
制御の訓練をしました制御が1上昇した
メッセージ
◆戦闘結果
戦闘報酬
キャラデータ
名前
リョウゴ=サクラバ
愛称
リョウゴ
機体名
シングルショットリペア SS-S01R
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| ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
プロフィール
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NAME:桜庭良悟(サクラバ リョウゴ) AGE:20 所属:マテリアルベルト発動機 STATUS:180cm 75kg 茶髪灼眼 来歴:軍属パイロット・融通が利かず感受性に難がある。 機体名:シングルショットリペア SS-S01R 四足歩行型軍用哨戒機。機体としては現行機から1世代前のモデルとなる。 機動力と旋回機能に優れるが哨戒機のため殲滅力は戦闘機に劣る。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
__0__1__2__3__4__5__6__7 __8__9_10_11_12_13_14_15 _16_17_18_19_20_21_22_23 |
機体データ |
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1 | 操縦棺A | 黒棺 [33/突撃態勢/突撃態勢]《装備:1》 | ▼詳細 |
---|---|---|---|
2 | 素材 | 噴霧ノズル38 [38/噴霧/---] [素材] |
▼詳細 |
3 | 素材 | マニュピレーター36 [36/高握力/---] [素材] |
▼詳細 |
4 | 素材 | 消火装置38 [38/耐火/---] [素材] |
▼詳細 |
5 | 素材 | バッテリー39 [39/出力/---] 特殊B[460] [素材] |
▼詳細 |
6 | 電磁アックスA | 電磁マサカリ『ブンカナ』 [31/高握力/高握力]《装備:6》 火力[3269] 連撃数[1] 防御属性[物理] 防御値[338] 貯水量[154] 弾数[9999] 武器属性[漏出] 異常追加[15] 消費EN[1709] 金額[1100] 重量[250] [電子格闘] *作者* |
▼詳細 |
7 | 速射砲A | 魔法の石笛改 [35/高機動/突撃態勢] 火力[762] 発射数[4] AP[-70] 防御属性[電子] 防御値[333] 精度[487] 貯水量[11] 弾数[30] 武器属性[速射] 異常追加[35] 消費EN[75] 金額[1158] 弾薬費[12] 重量[150] [物理射撃] *作者* |
▼詳細 |
8 | 電磁ブレードA | 薄針 [30/重量軽減/重量軽減]《装備:11》 火力[2652] 連撃数[1] 防御属性[物理] 防御値[849] 精度[86] 貯水量[272] 弾数[9999] 武器属性[貫通] 異常追加[30] 消費EN[1341] 金額[1085] 重量[80] [電子格闘] *作者* |
▼詳細 |
9 | 補助輪A | RapidGear[Ver.02] [26/高機動/高機動]《装備:5》 | ▼詳細 |
10 | 重ブースターA | 加速機構 [28/高機動/高機動]《装備:4》 | ▼詳細 |
11 | 中車輪A | 四つ足 回空 [35/高機動/高機動]《装備:2》 機動[644] AP[1428] 旋回速度[11] 防御属性[電子] 防御値[450] 貯水量[219] 弾数[1] 積載量[2400] 消費EN[185] 金額[450] 重量[900] [車輪] *作者* |
▼詳細 |
12 | 飛行ユニットA | 獣翼機 改 [21/旋回/旋回] 飛行[146] AP[478] 旋回速度[231] 防御属性[電子] 防御値[157] 貯水量[191] 噴霧量[191] 弾数[1] 消費EN[353] 金額[954] 重量[100] [飛行補助] *作者* |
▼詳細 |
13 | エンジンB | topolino [36/高機動/重量軽減]《装備:3》 | ▼詳細 |
14 | エンジンB | topolino [36/高機動/重量軽減]《装備:8》 | ▼詳細 |
15 | 素材 | 排出装置39 [39/薄装減霧/---] 特殊B[460] [素材] |
▼詳細 |
16 | --- | --- | --- |
17 | エンジンB | 汎用型ひよ子ちゃんエンジン [31/出力/出力]《装備:10》 | ▼詳細 |
18 | 重ブースターA | 雲散霧消 [28/高機動/高機動]《装備:9》 | ▼詳細 |
19 | 電磁ブレードA | EB-02ブランディッシュ [20/臂力/臂力] 火力[2264] 連撃数[1] 防御属性[物理] 防御値[735] 精度[75] 貯水量[235] 弾数[9999] 武器属性[貫通] 異常追加[30] 消費EN[1161] 金額[939] 重量[200] [電子格闘] *作者* |
▼詳細 |
20 | 操縦棺A | 耐電棺『フランケンシュタイン』 [28/耐電/重量軽減] | ▼詳細 |
21 | --- | --- | --- |
22 | エンジンB | たいやきエンジン6号機 [27/高圧軽量/高圧軽量] | ▼詳細 |
23 | --- | --- | --- |
24 | 蒸気アイマスク | 蒸気アイマスク [35/薄装飛行/---] [素材] |
▼詳細 |
25 | レーダーB | 探知くん3号 [29/広域索敵/広域索敵] | ▼詳細 |
26 | --- | --- | --- |
27 | 重ブースターA | 高速ブースター [37/高機動/高機動]《装備:7》 | ▼詳細 |
28 | --- | --- | --- |
29 | エンジンB | 地速エンジン2 [32/重量軽減/重量軽減] | ▼詳細 |
30 | 電磁ブレードA | EB-04ハイランダー [23/臂力/臂力] 火力[2394] 連撃数[1] 防御属性[物理] 防御値[768] 精度[78] 貯水量[246] 弾数[9999] 武器属性[貫通] 異常追加[30] 消費EN[1215] 金額[983] 重量[200] [電子格闘] *作者* |
▼詳細 |