第10週目 『無名』’’有想霧像’’の一週間
◆日記
「店長、……どこにいるんですか?」
どこを見回しても目に映るのは見慣れぬ光景と夕焼けばかりで、確かにしたはずのその声の主の姿はどこにも見えない。
空耳だったんだろうか。でも空耳に聞こえるような,、何かに聞こえ間違うほどの音さえここにはない。
それとも変なこと続きでとうとう気が動転して、幻聴でも聞こえるようになってしまったんだろうか。
「私の姿が見えないくらい、お店がなくなることに比べたらどうってことないだろう」
「もう、こんな時にまでふざけなくてもいいじゃないですか」
言われてみれば店長の言うことはもっともなんだけれど。
魔法のように頭の中に直接響く声はやっぱり間違いなくそこにあって、でも店長の姿が見えることはない。
「何が起きているんですか? ここはどこなんですか? 私どうなっちゃったんですか?」
「そんなに質問されても、答える私の口はひとつしかないからね」
「はぐらかさないでください!」
思わず語気が強くなって、まるで怒鳴るみたいに叫んでしまった。でもそこにあったのは怒りよりもずっと強い不安だ。
崖の下に落ちかけているのに、掴んでくれている相手が面白半分でその手を離そうとしている。そんな気分だった。
どこにも姿が見えなくとも、私の声に応えてくれる人なんて、私が今頼ることのできる人なんて店長しかいないのに。
「だいじょうぶ、だいじょうぶ」
でも店長の声は相変わらずひょうひょうとしていて、さっきの怒鳴り声もいろんな意味で気にしていないようだった。
その声の言う通り安心するような材料は何一つもらえていなかったから、とても大丈夫とは思えなかったけれど。
「夢の中で何があったって気にすることはないさ。
目を開ければベッドの中だし、お店だって元通りだよ。
明日からはまた働いてもらわなくちゃ。もしかしたら、ゴリラのお客様もお見えになるかもしれないからね」
そしてくれた安心材料は、よりにもよってこんな言葉だった。
散々疑ってそれでも目が覚めなかったから投げ捨てた話。
地面についていた片手を持ち上げて、くるりと髪を絡めて、思いっきり引っ張ってみる。
「……痛いんですけど。本当に夢なんですか? これ」
「そんな夢もあるよ」
頬をつねるんじゃないからダメだったんだろうかと考えてそのまま頬に触れた指を、次の言葉が止めた。
「ほら。目を閉じて、ゆっくり深呼吸してごらん。
静かに大きく、吸って、吐いて。
目が覚めたら、おかしな夢のことなんてすぐに忘れてしまうさ――」
半信半疑のまま目を閉じる。薄暗い夕闇の世界が、瞼の裏の黒に覆い隠される。
深くすっと、胸の奥の奥まで息を吸い込んで、それを全部追い出してしまうように長く長く吐き出す。
一回、二回、三回、四回。
数えるごとに、瞼を閉じていてもなんとなくわかる夕暮れの薄明かりが遠ざかる気がして。
「だいじょうぶ。ぜんぶ忘れていいのよ。あなたは覚えていてはいけないのだから。
代わりに私が全部覚えているわ。だから大丈夫。
安心して、おやすみなさい」
最後に聞こえたその声は、確かに私の声をしていたように思う。
どこを見回しても目に映るのは見慣れぬ光景と夕焼けばかりで、確かにしたはずのその声の主の姿はどこにも見えない。
空耳だったんだろうか。でも空耳に聞こえるような,、何かに聞こえ間違うほどの音さえここにはない。
それとも変なこと続きでとうとう気が動転して、幻聴でも聞こえるようになってしまったんだろうか。
「私の姿が見えないくらい、お店がなくなることに比べたらどうってことないだろう」
「もう、こんな時にまでふざけなくてもいいじゃないですか」
言われてみれば店長の言うことはもっともなんだけれど。
魔法のように頭の中に直接響く声はやっぱり間違いなくそこにあって、でも店長の姿が見えることはない。
「何が起きているんですか? ここはどこなんですか? 私どうなっちゃったんですか?」
「そんなに質問されても、答える私の口はひとつしかないからね」
「はぐらかさないでください!」
思わず語気が強くなって、まるで怒鳴るみたいに叫んでしまった。でもそこにあったのは怒りよりもずっと強い不安だ。
崖の下に落ちかけているのに、掴んでくれている相手が面白半分でその手を離そうとしている。そんな気分だった。
どこにも姿が見えなくとも、私の声に応えてくれる人なんて、私が今頼ることのできる人なんて店長しかいないのに。
「だいじょうぶ、だいじょうぶ」
でも店長の声は相変わらずひょうひょうとしていて、さっきの怒鳴り声もいろんな意味で気にしていないようだった。
その声の言う通り安心するような材料は何一つもらえていなかったから、とても大丈夫とは思えなかったけれど。
「夢の中で何があったって気にすることはないさ。
目を開ければベッドの中だし、お店だって元通りだよ。
明日からはまた働いてもらわなくちゃ。もしかしたら、ゴリラのお客様もお見えになるかもしれないからね」
そしてくれた安心材料は、よりにもよってこんな言葉だった。
散々疑ってそれでも目が覚めなかったから投げ捨てた話。
地面についていた片手を持ち上げて、くるりと髪を絡めて、思いっきり引っ張ってみる。
「……痛いんですけど。本当に夢なんですか? これ」
「そんな夢もあるよ」
頬をつねるんじゃないからダメだったんだろうかと考えてそのまま頬に触れた指を、次の言葉が止めた。
「ほら。目を閉じて、ゆっくり深呼吸してごらん。
静かに大きく、吸って、吐いて。
目が覚めたら、おかしな夢のことなんてすぐに忘れてしまうさ――」
半信半疑のまま目を閉じる。薄暗い夕闇の世界が、瞼の裏の黒に覆い隠される。
深くすっと、胸の奥の奥まで息を吸い込んで、それを全部追い出してしまうように長く長く吐き出す。
一回、二回、三回、四回。
数えるごとに、瞼を閉じていてもなんとなくわかる夕暮れの薄明かりが遠ざかる気がして。
「だいじょうぶ。ぜんぶ忘れていいのよ。あなたは覚えていてはいけないのだから。
代わりに私が全部覚えているわ。だから大丈夫。
安心して、おやすみなさい」
最後に聞こえたその声は、確かに私の声をしていたように思う。
STORY
とうとう経営黒字化を果たした金魚坂グループ無制限フランチャイズ作戦は終わり、雇われ店長さんたちは自由の身となった
そのまま店を続けるもの、店舗を譲渡し経営から去る者…そう、自由に
雇われ店長さんたちには約束通り報酬が支払われた
ゆらぎの通貨は累積闇円と同額の、それぞれの世界の通貨へと姿を変える
それは27314アメリカドルかもしれないし、27314ラオスキープかもしれない
あるいは海外旅行のあと、使えないお金が眠るように……引き出しの奥に眠るかもしれない
そのお金で、あなたは何を買うのだろう
――お買い物、しませんか?――
◆訓練
笑顔の訓練をしました笑顔が40上昇した
◆送品
◆送金
◆破棄
無名は日々の挨拶48を破棄した!
無名は改装のため一時閉店しますと書かれた紙を破棄した!
無名は小さな一筆を破棄した!
無名はいつもの看板商品を破棄した!
無名は大量消費社会48を破棄した!
無名は鸚鵡印の発泡酒を破棄した!
無名は鸚鵡印の発泡酒を破棄した!
無名は入店チャイム40を破棄した!
無名はアルハラ36を破棄した!
無名はメモ帳44を破棄した!
◆購入
無名はド星を1425闇円で購入した!
無名は知恵の果実を648闇円で購入した!
無名はひとくちまぐろを648闇円で購入した!
◆作製
刻沙と鳥の羽44を素材にして吹き去る記憶を作製した!
◆コンビニタイプ決定
ホワイト に決定!!
◆アセンブル
スロット1に失敗どぶろくを装備した
スロット2にド星を装備した
スロット3に酩刻を装備した
スロット4に酩刻を装備した
スロット5に純米大吟醸を装備した
スロット7に知恵の果実を装備した
スロット8にひとくちまぐろを装備した
スロット9にパチモンカップヌードル(フィギュア付)を装備した
スロット10に吹き去る記憶を装備した
スロット11に門出の祝い膳を装備した
スロット12に輝かしき最先端を装備した
◆アイテム改名
◆アイテムアイコン変更
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メッセージ
◆戦闘結果
売り上げ
闇円収入 2866
貢献収入 294
ゲージ突破成功!! ホワイト補正 5%
行動順報酬!! 18%
合計闇円収入3915
商品販売数 2個
◆経験値が57増加しました……
◆体力が173増加しました……
◆素材が本部から支給されました……
貢献収入 294
ゲージ突破成功!! ホワイト補正 5%
行動順報酬!! 18%
合計闇円収入3915
商品販売数 2個
◆経験値が57増加しました……
◆体力が173増加しました……
◆素材が本部から支給されました……
無名は機転マニュアル56を入手した!
無名は気品マニュアル56を入手した!
無名はセールのチラシ56を入手した!
無名は時代の風56を入手した!
キャラデータ
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プロフィール
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とある辺境の村にある、たった一軒の雑貨屋の看板娘。まとめもしない長い黒髪がトレードマーク。 ある日ある時の夕暮れ、黄昏時を通じて店ごと「夕闇国」に迷い込んだ。 心より己をそう信じて生きる、人の形をした人でないもの。 無名のまま死んだ魂たちを、意識もせぬうちに統べる少女。 何かに名を残すほどの害意も熱意も持つことのできない、無名を宿命づけられたまま生きる存在。 爛漫あるいは天然と呼ぶべき少女と、彼女にまったく認識されないままその側にいる無数の影たち――群像と名乗る存在で構成される群体である。 ―――― プロフ絵、IC0~6番:ゆゆづき様「キャラクターメーカー」で作成しております IC8~13番、23番:十con様ご提供のアイコンを使用しております | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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店舗データ | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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