ENo.0035　ワドゥドゥ・ジャッバール

戦術は成功！俺たちがあのスチ…何？の軍勢を撃ち落とした時、通信機から入る「新郎新婦」の声。
モニターの映像が合わせ鏡のように割れる。
他人の視点が多重に重なり合ったような、不思議な感触。
「祝福とは…こういうことか！」
領域に満ちる力が、他者への祈りが自らの力となり、脅威を打ち払う。
膨れ上がる震動の中、他の誰か/無数の俺と同じように。
前を行く彼女に、手を伸ばした。




計器が示すのは見慣れた数値。
時空座標EF195X，al-Q。
それが意味するところは、この見慣れない構造物にどこもかしこも浸食された砂漠が自分の故郷であるという事実だ。
今回の不安定な転移のためか？残念ながら、それを解明できるであろうゴトーはまたもや居ない。

「…何とかなろう。何とかせねば、何ともならんのだから。」

隣に座るベティ、妻とともに祝福を受けた旅路。
同じく、かつて会い、そしてまた知った人々への祝福を祈った旅路。

その続きを幸福に迎える。
そのために出来ることを―
一杯のコーヒーを飲んでる間に考えようじゃないか。