ENo.0030　Crais Leifeyes

装甲を切り裂くダガーってやばいな。

いかにも――――が考えそうな武器ではあったが、まあ実際切り裂いているものな、とか、操縦棺に蒸気が流れ込むような機体ならどのみち大した装甲は積めねえだろ、とか。ふたつほどのツッコミを仕舞い込む。
あの少女のように勢いで多少の無茶をそのまま通すやつとは最近縁があって、つまり言ったところで耳に入れる手合いでないのはよくわかる。
花婿の奴、正気に返ったとき大丈夫だろうか。すごく苦労しそーだな。

「まあ、俺がする心配じゃないか」
[ ]はそういう心配事を周囲に話す方とは言えなかったので、自分のことを棚に上げた発言にすごい顔をする知古は生まれなかった。
興味はすぐに、残り一時間、という言葉の方に向いた。ついでに結婚式。

前回そういう行事に関わったのはもう十数年も前で、おまけに立会人という立場で、ゆっくり祝うって空気でもなかった(とても面倒な事態が並行していた)ので、[ ]は祝う方の作法というのを知らなかった。祝われる方なら知ってるかというとそんなこともないのだが。
パーツ出力器に取り付いても出てくるのは機体パーツだけだ。

「移動ひとつにこんだけ戦わされる世界じゃ、無駄遣いって言われそーだが」
いいのだ。どうせ俺の金じゃないし。