第4回目 午前2時のスリーピング・レイル
プロフィール
名前
スリーピング・レイル
愛称
スリーピング・レイル
| 経歴 記憶喪失のグレムリンテイマー。 自分に関すること、そしてこの虚空領域に関することは何一つわからない。 唯一「グレムリンの操縦」だけは体が覚えている。 『スリーピング・レイル』とは身に着けていたエンブレムに刻まれていた文字列。 (イラストはすのだ様からの頂き物です) | |
僚機プロフィール
名前
ネグロ
愛称
ネグロ
| 経歴 元真紅連理所属、整備士の資格を持つ。 身長166cm 体重79cm 年齢43 両腕バイオ生体置き換え済 第一次七月戦役時、徴兵以来を受け真紅連理の強襲部隊に所属。 戦役中に左腕を失い、右腕を換金した後両腕をバイオ生体置き換え手術を行う。 現在まで拒否反応含む異常なし。 真紅連理降伏後、第一次七月戦役より消息をたつ。 その後、各地でゲリラ的活動の目撃情報有り。【僚機詳細】 | |
◆日誌
『希望も未来も自らの手で絶って。今や、その傷跡だけがお前を物語る』
* * *
――グレイヴネット。
グレムリンテイマーたちの間に開かれている情報網。それが一体誰によってもたらされているものなのか、スリーピング・レイルは知らない。
ともあれ、グレイヴネットがもたらす情報は、グレムリン『スリーピング・レイル』を通してレイルの意識にも届く。
だから、その言葉を聞いたのも、操縦棺でシミュレーターを動かし、戦闘訓練をしていた時のことだった。
『知らないのか? 死んだはずの傭兵を見た、って噂だよ』
虚空領域に生きる、傭兵たちの間の噂話。ただし、単なる「噂話」というだけではなく、死んだはずの傭兵が搭乗していた機体が実際に撮影されているともいう。
しかし、レイルはその言葉を素直に信じることができずにいた。
レイルにとって、身の回りのものはほとんど「知らないもの」であり、知らない以上は教わった通りに飲みこむのが最も手っ取り早い。そういう事情もあり、今まで周りから教わったことを疑うことはほとんどなかった。
そんなレイルが、珍しく、頭から疑ってかかったのが、この噂話だった。
訓練の手を止め、グレイヴネットから流れてくる情報に意識を傾けてみて。その噂が傭兵たちの間に既にある程度広まっているものであることを確かめてみても。レイルはどうしても「死んだはずの者が確認される」という現象を信じることができずにいた。
自分でも奇妙な話だとは思う。レイルには記憶がない。ここで生きるための最低限の常識も抜け落ちている部分の方が多いのだから、「そういうものなのかもしれない」と思った方がよっぽど自然だ。
なのに、頭の中に生まれる激しい反発が、信じることを許してくれない。
死。戦火の中にあれば意識せずにはいられないもの。特に、レイルは敵陣の只中に飛び込んで矢面に立つ戦い方をするのだから、常に意識の片隅にちらつく言葉である。
死。……レイルは己の喉を撫ぜながら、その言葉に思いを馳せる。
例えば、戦場で自分が殺されたとして。すると、海の底に沈んでいったはずの『スリーピング・レイル』が、目撃されることになるのだろうか? 戦場で死んだはずのスリーピング・レイルという人物が、なおも存在し続けることになるのだろうか?
「……それは」
操縦棺の中で、膝を抱えて。
「なんか、嫌、だな」
唇から零れ落ちた声は、いやに、低く響いた。
* * *
食事の時間は、普段めいめいの過ごし方をしている『継ぎ接ぎ幽霊船』の乗組員が集う時間でもある。
食堂で働いているのは主にミアと、今や幽霊船にすっかり組み込まれている居住船、『ニーキャスチェン』でやってきたエリエス。グレムリンテイマーでないこの二人は、いつも幽霊船の中を駆け回って、日々の生活に必要な諸々をこなしている。この二人がいなければ、きっと幽霊船での生活は今よりも数段貧しいものであっただろう、スリーピング・レイルはそんな風に思う。
今日もミアとエリエスが、トレイの上に食料を盛り付けていく。
「今日のご飯は何かな?」
「コーンミールとバイオベーコン、それにドロもつけちゃうぞ!」
なお、こんなやり取りをしてはいるが、メニューはいつもほとんど同じだ。化学的に合成されたものであるらしいそれらをレイルは記憶していなかったが、こうして何度も食卓に出てくれば流石に「そういうもの」だと理解する。
全員分の食事が揃う頃には、乗組員もぞろぞろと食堂に集まってくる。普段はほとんど幽霊船の奥深くに引きこもり、グレムリンの整備をしている僚機のネグロも、この時間だけは顔を出す。……いつも、どこか不本意そうな顔をしてはいるけれど。
「いただきます!」
ミアの声を合図に、食事が始まる。
皆がいっせいに食べ始めるのを横目に、レイルも、コーンミールを口に運ぶ。
この味にも随分慣れたと思う。美味しいかと問われれば首を傾げてしまうが、これ以外の食べ物を知らないので、評価のしようがない、と言う方が正しいはずだ。
はず、というのは、頭のどこかでもっと、ずっと美味しいものを知っているような気がしているからだ。結局、それがどんなものであるのかは思い出せないままなのだが。
そして、食事の時間はお互いの情報交換の時間でもある。赤髪の青年――『ニーキャスチェン』と共にやってきた、グレムリン『ザイルテンツァー』の乗り手であるツィールが、スプーンを片手に「そういえば」と声を上げる。
「さっきニュースで聞いたんですが、今、ヒルコ・トリフネで『にわとりさま』のお祭りが行われているそうですよ。何でも、食用の鶏肉の神様だとか」
にわとりが何なのかは何故か覚えている。コケコッコーと鳴く、とさかのある鳥だ。肉も卵も食用になる……、というレイルの知識は間違っていないようで、ツィールの言葉に続けられたエリエスの解説によれば、このご時勢ではそれこそ祝い事の席で出るような高級食材なのだそうだ。
なるほどなあ、と思っていると、話を振った張本人であるツィールも、レイルと全く同じ反応をしていた。
ツィールも、レイルと同じく過去の記憶を持たないのだという。「とにかく何でもかんでも頭から信じちゃうから危なっかしくて仕方ないよ」とはエリエスの談。そんなエリエスにミアが心からの同情の視線を向けていたことは記憶に新しい。どうやら、ミアから見たら自分も相当危なっかしく見えているようだ。
そのミアが、紫の目でこちらを見上げてくる。
「レイルは何か、気になったニュースとか、ある?」
「気になった、ニュース……」
ミアの言葉を鸚鵡返しにしながら、レイルは思考を手繰っていく。
その時、視界の端で、誰よりも早く食事を終えたネグロが立ち上がったのが見えた。ネグロはいつもこの場の会話に参加しようとはせず、最低限の食事だけ終えるとすぐに食堂から姿を消してしまう。
早々に食堂を立ち去ろうとするネグロを意識の片隅に捉えながら、ふと、頭によぎったのは、先ほどグレイヴネットに流れていた「噂話」。
「ニュースと、言うべきかは、わからないけれど」
ぽつ、ぽつ、と。ほとんど意識もしないままに、唇が言葉を紡いでいく。
「死んだはずの傭兵を見た、って噂話を、聞いた。ずっと昔に死んだ傭兵の機体が撮影された、とか……」
一瞬。
時間が止まったような、錯覚にとらわれた。
実際には全くそんなことはないはずだ。ただ、立ち去ろうとしていたネグロが刹那足を止めたから――そう見えたのだと、一拍遅れて気づいた。とはいえ、次の瞬間には、その姿は扉の向こうに消えてしまったけれど。
レイルは、気を取り直して意識をミアの方に戻し、それから、息を呑んだ。
ミアが、ただでさえ大きな目を見開いて、レイルを凝視していたから。
「ねえ」
小さな唇が、いつになく強い声を放つ。その紫色の瞳に宿っている感情がただならぬものであることくらいは、流石に察することができた。
「その話、詳しく、聞かせて!」
「詳しくと言っても。僕が、聞いたのは、それだけだ」
ごめん、と。別に悪くもないはずなのに、つい謝罪の言葉が口をついて出る。その言葉を聞いて、ミアも我に返ったのかもしれない。目をぱちりと一つ瞬きして、口をへの字にする。
「……こっちこそ、ごめん。そうだよね、レイルに聞いても仕方ないよね」
ミアはレイルから視線を逸らし、ぱっと笑顔になったかと思うと、「ご飯、食べちゃお?」といやに明るい声で言う。
けれど、レイルは胸の奥がざわざわとする心地がしてたまらなかった。
――死んだはずの傭兵を見た。
脳裏に繰り返されるそのフレーズにも、その言葉に対して強く食いついてくるミアにも。グレムリンの操縦棺の中で感じた激しい反発が再び首をもたげてくる。だから、自然と、唇から零れ落ちる言葉も、
「何もかも、何もかも、ただの、噂話だ」
どこか、吐き捨てるような響きを帯びていた。
「レイル?」
「僕は、信じない。死は、死だ。それ以上でも以下でもなく、覆せるものでも、ない」
死とは、そういうものでなければ、ならない。
そうでなければ、僕は、――?
走り始めていた思考が急停止する。頭の中に浮かびかけた言葉が霧散する。大切な何かを忘れてしまっているという、確信。
一体自分は、何を忘れてしまっているのだろう?
そんな風に思っていると、ミアが「そっか」と言葉を落とす。
「そうだよね。死んだ人が戻ってくるなんて、そんな都合のいいこと、あるわけない」
そう言ってレイルを見上げるミアは、微笑んでいた。
「ミアさん」
「でもね」
つい、と。ミアの視線が逸らされる。食卓を囲む誰とも視線を合わせずに、虚空を見据えて。
「信じたくなることだって、あるの。……あるんだよ」
ミアの横顔は笑っているのに、その声がわずか湿った響きを帯びていたから、それ以上何も言えなくなる。
何も、「信じたくなることだってある」と言うミアを否定したかったわけではない。ただ、自分の中に生まれた激しい反発をミアにぶつけてしまったのだと気づいて、いたたまれない気持ちになる。
――ミア。
ぽつり、頭の中に浮かんで消える、少女を呼ぶ声。
けれど、今はもう一度ミアに呼びかける気にはなれなくて。
レイルは、トレイに残っていたコーンミールを一息に飲み下す。
【Scene:0004 グレイヴネットの噂話】
* * *
――グレイヴネット。
グレムリンテイマーたちの間に開かれている情報網。それが一体誰によってもたらされているものなのか、スリーピング・レイルは知らない。
ともあれ、グレイヴネットがもたらす情報は、グレムリン『スリーピング・レイル』を通してレイルの意識にも届く。
だから、その言葉を聞いたのも、操縦棺でシミュレーターを動かし、戦闘訓練をしていた時のことだった。
『知らないのか? 死んだはずの傭兵を見た、って噂だよ』
虚空領域に生きる、傭兵たちの間の噂話。ただし、単なる「噂話」というだけではなく、死んだはずの傭兵が搭乗していた機体が実際に撮影されているともいう。
しかし、レイルはその言葉を素直に信じることができずにいた。
レイルにとって、身の回りのものはほとんど「知らないもの」であり、知らない以上は教わった通りに飲みこむのが最も手っ取り早い。そういう事情もあり、今まで周りから教わったことを疑うことはほとんどなかった。
そんなレイルが、珍しく、頭から疑ってかかったのが、この噂話だった。
訓練の手を止め、グレイヴネットから流れてくる情報に意識を傾けてみて。その噂が傭兵たちの間に既にある程度広まっているものであることを確かめてみても。レイルはどうしても「死んだはずの者が確認される」という現象を信じることができずにいた。
自分でも奇妙な話だとは思う。レイルには記憶がない。ここで生きるための最低限の常識も抜け落ちている部分の方が多いのだから、「そういうものなのかもしれない」と思った方がよっぽど自然だ。
なのに、頭の中に生まれる激しい反発が、信じることを許してくれない。
死。戦火の中にあれば意識せずにはいられないもの。特に、レイルは敵陣の只中に飛び込んで矢面に立つ戦い方をするのだから、常に意識の片隅にちらつく言葉である。
死。……レイルは己の喉を撫ぜながら、その言葉に思いを馳せる。
例えば、戦場で自分が殺されたとして。すると、海の底に沈んでいったはずの『スリーピング・レイル』が、目撃されることになるのだろうか? 戦場で死んだはずのスリーピング・レイルという人物が、なおも存在し続けることになるのだろうか?
「……それは」
操縦棺の中で、膝を抱えて。
「なんか、嫌、だな」
唇から零れ落ちた声は、いやに、低く響いた。
* * *
食事の時間は、普段めいめいの過ごし方をしている『継ぎ接ぎ幽霊船』の乗組員が集う時間でもある。
食堂で働いているのは主にミアと、今や幽霊船にすっかり組み込まれている居住船、『ニーキャスチェン』でやってきたエリエス。グレムリンテイマーでないこの二人は、いつも幽霊船の中を駆け回って、日々の生活に必要な諸々をこなしている。この二人がいなければ、きっと幽霊船での生活は今よりも数段貧しいものであっただろう、スリーピング・レイルはそんな風に思う。
今日もミアとエリエスが、トレイの上に食料を盛り付けていく。
「今日のご飯は何かな?」
「コーンミールとバイオベーコン、それにドロもつけちゃうぞ!」
なお、こんなやり取りをしてはいるが、メニューはいつもほとんど同じだ。化学的に合成されたものであるらしいそれらをレイルは記憶していなかったが、こうして何度も食卓に出てくれば流石に「そういうもの」だと理解する。
全員分の食事が揃う頃には、乗組員もぞろぞろと食堂に集まってくる。普段はほとんど幽霊船の奥深くに引きこもり、グレムリンの整備をしている僚機のネグロも、この時間だけは顔を出す。……いつも、どこか不本意そうな顔をしてはいるけれど。
「いただきます!」
ミアの声を合図に、食事が始まる。
皆がいっせいに食べ始めるのを横目に、レイルも、コーンミールを口に運ぶ。
この味にも随分慣れたと思う。美味しいかと問われれば首を傾げてしまうが、これ以外の食べ物を知らないので、評価のしようがない、と言う方が正しいはずだ。
はず、というのは、頭のどこかでもっと、ずっと美味しいものを知っているような気がしているからだ。結局、それがどんなものであるのかは思い出せないままなのだが。
そして、食事の時間はお互いの情報交換の時間でもある。赤髪の青年――『ニーキャスチェン』と共にやってきた、グレムリン『ザイルテンツァー』の乗り手であるツィールが、スプーンを片手に「そういえば」と声を上げる。
「さっきニュースで聞いたんですが、今、ヒルコ・トリフネで『にわとりさま』のお祭りが行われているそうですよ。何でも、食用の鶏肉の神様だとか」
にわとりが何なのかは何故か覚えている。コケコッコーと鳴く、とさかのある鳥だ。肉も卵も食用になる……、というレイルの知識は間違っていないようで、ツィールの言葉に続けられたエリエスの解説によれば、このご時勢ではそれこそ祝い事の席で出るような高級食材なのだそうだ。
なるほどなあ、と思っていると、話を振った張本人であるツィールも、レイルと全く同じ反応をしていた。
ツィールも、レイルと同じく過去の記憶を持たないのだという。「とにかく何でもかんでも頭から信じちゃうから危なっかしくて仕方ないよ」とはエリエスの談。そんなエリエスにミアが心からの同情の視線を向けていたことは記憶に新しい。どうやら、ミアから見たら自分も相当危なっかしく見えているようだ。
そのミアが、紫の目でこちらを見上げてくる。
「レイルは何か、気になったニュースとか、ある?」
「気になった、ニュース……」
ミアの言葉を鸚鵡返しにしながら、レイルは思考を手繰っていく。
その時、視界の端で、誰よりも早く食事を終えたネグロが立ち上がったのが見えた。ネグロはいつもこの場の会話に参加しようとはせず、最低限の食事だけ終えるとすぐに食堂から姿を消してしまう。
早々に食堂を立ち去ろうとするネグロを意識の片隅に捉えながら、ふと、頭によぎったのは、先ほどグレイヴネットに流れていた「噂話」。
「ニュースと、言うべきかは、わからないけれど」
ぽつ、ぽつ、と。ほとんど意識もしないままに、唇が言葉を紡いでいく。
「死んだはずの傭兵を見た、って噂話を、聞いた。ずっと昔に死んだ傭兵の機体が撮影された、とか……」
一瞬。
時間が止まったような、錯覚にとらわれた。
実際には全くそんなことはないはずだ。ただ、立ち去ろうとしていたネグロが刹那足を止めたから――そう見えたのだと、一拍遅れて気づいた。とはいえ、次の瞬間には、その姿は扉の向こうに消えてしまったけれど。
レイルは、気を取り直して意識をミアの方に戻し、それから、息を呑んだ。
ミアが、ただでさえ大きな目を見開いて、レイルを凝視していたから。
「ねえ」
小さな唇が、いつになく強い声を放つ。その紫色の瞳に宿っている感情がただならぬものであることくらいは、流石に察することができた。
「その話、詳しく、聞かせて!」
「詳しくと言っても。僕が、聞いたのは、それだけだ」
ごめん、と。別に悪くもないはずなのに、つい謝罪の言葉が口をついて出る。その言葉を聞いて、ミアも我に返ったのかもしれない。目をぱちりと一つ瞬きして、口をへの字にする。
「……こっちこそ、ごめん。そうだよね、レイルに聞いても仕方ないよね」
ミアはレイルから視線を逸らし、ぱっと笑顔になったかと思うと、「ご飯、食べちゃお?」といやに明るい声で言う。
けれど、レイルは胸の奥がざわざわとする心地がしてたまらなかった。
――死んだはずの傭兵を見た。
脳裏に繰り返されるそのフレーズにも、その言葉に対して強く食いついてくるミアにも。グレムリンの操縦棺の中で感じた激しい反発が再び首をもたげてくる。だから、自然と、唇から零れ落ちる言葉も、
「何もかも、何もかも、ただの、噂話だ」
どこか、吐き捨てるような響きを帯びていた。
「レイル?」
「僕は、信じない。死は、死だ。それ以上でも以下でもなく、覆せるものでも、ない」
死とは、そういうものでなければ、ならない。
そうでなければ、僕は、――?
走り始めていた思考が急停止する。頭の中に浮かびかけた言葉が霧散する。大切な何かを忘れてしまっているという、確信。
一体自分は、何を忘れてしまっているのだろう?
そんな風に思っていると、ミアが「そっか」と言葉を落とす。
「そうだよね。死んだ人が戻ってくるなんて、そんな都合のいいこと、あるわけない」
そう言ってレイルを見上げるミアは、微笑んでいた。
「ミアさん」
「でもね」
つい、と。ミアの視線が逸らされる。食卓を囲む誰とも視線を合わせずに、虚空を見据えて。
「信じたくなることだって、あるの。……あるんだよ」
ミアの横顔は笑っているのに、その声がわずか湿った響きを帯びていたから、それ以上何も言えなくなる。
何も、「信じたくなることだってある」と言うミアを否定したかったわけではない。ただ、自分の中に生まれた激しい反発をミアにぶつけてしまったのだと気づいて、いたたまれない気持ちになる。
――ミア。
ぽつり、頭の中に浮かんで消える、少女を呼ぶ声。
けれど、今はもう一度ミアに呼びかける気にはなれなくて。
レイルは、トレイに残っていたコーンミールを一息に飲み下す。
【Scene:0004 グレイヴネットの噂話】
◆3回更新の日記ログ
◆2回更新の日記ログ
NEWS
あなたは必要な情報を得るため、あるいは他の理由からか、あるいは強制的にグレイヴネットにログインしますそこでは何か騒ぎになっていました
「認証に成功。思念接続を開始……対流域を確保。ようこそ、グレイヴネットへ!!」
「やはりそうだ……グレムリンが、未識別機動体に……」
「へへっ、ビビってるんでしょうか……スコルパピーさん……」
「ビビりもするさ……あのホーレツァーが……それに……」
「おや、そこの傭兵さんはまだ聞いていない? 興味深いですよぉ……」
「先日話した通りのことが起きた。撃墜されたはずのグレムリンとの戦闘だ」
「会話データだけですがねぇ……当事者たちはいまだ、行方知れずって話さ」
音声データを再生します
グレイフロッグ『ジェト』「……ホッっつあん! 後ろから来ている!!」
スネイクパレット『ホーレツァー』「見えている! だが、速すぎる……この動きは……」
グレイフロッグ『ジェト』「……ホッっつあん! どうしちまったんだよ、さっきから鈍いぞ!」
スネイクパレット『ホーレツァー』「機体の思念接続が上手くいかん!! ジャミングかもしれん、それに……」
スネイクパレット『ホーレツァー』「この動き……俺は、この動きを……知っている」
????????『?????』「ザッ……ザザーッ……こちら、グレ……リン大隊、……クパレット、2番機! 戦果、良好ォ!! ザザーッ」
スネイクパレット『ホーレツァー』「その声、ヘリエローだな!? 俺だ! ホーレツァーだ! お前、死んだはずじゃ……」
グレイフロッグ『ジェト』「様子がおかしい! 敵の動きが機械的過ぎる! いったん退こう、ここは……」
スネイクパレット『ホーレツァー』「すまない、惑わされ過ぎた……撤退を……ぐっ!!」
????????『?????』「ザッ……ザザーッ……こちら、グレムリン大隊、スネイ……ザザッ……番機! 戦果、良好ォ!! ザザーッ」
グレイフロッグ『ジェト』「いま助ける!! 持ってくれ……ッ!!」
音声データを終了します
「会話データだけアップされててねぇ、この二人は他に4機のグレムリンと行動していたけど、全員行方知れず、だよぉ」
「会話に出てきたヘリエローは16年前亡くなっているはずだ。それも重粒子粉塵兵器を受けて消滅。蘇生は不可能……」
「フレッシュの姉貴! 大変だ!! 各地の索敵報告を見てくれ……」
「来やがりましたねぇ……未識別グレムリン、だねぇ……」
「始まる……のか」
「いくよ! コープスメイデン隊は、俺か貴様が、死体になるまで!」
「死体になるまで!!」
ここは氷獄。どこまでも氷山が浮かんでいる
「おーーーーさむさむ。ここは氷獄、よく来たな!」
「古代の知識が眠る氷河さ、ここは! ただ……」
「何の役にも立たねぇよ! いまは、未知なる未来の途中だからな!!」
モコモコの防寒具を来た男が釣りをしている
スリーピング・レイルは機密データを手に入れた!!(フラグメンツ-1)
◆アセンブル
◆僚機と合言葉
ネグロとバディを結成した!!
次回ピグマリオン・マウソレウムに協賛し、参戦します
「フゥーッ!! アイドルしてる? いいね、あげる!!」
移動
あなたはその場に留まった
ユニオン活動
パッチワーク・ゴーストシップの活動記録
迷子の迷子の幽霊船。継ぎ接ぎだらけの幽霊船。
仮初の船長と集まって来た人達を乗せ、目指すのは粉塵の果て、霧の果て――
¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨
戦艦をもとに継ぎ接ぎに足された船に乗る人達や、その船と情報交換してくれる人の集まり。
仮初の船長と集まって来た人達を乗せ、目指すのは粉塵の果て、霧の果て――
¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨
戦艦をもとに継ぎ接ぎに足された船に乗る人達や、その船と情報交換してくれる人の集まり。
「……この船の機構の多くはブラックボックス扱いだ。というか機構そのものがあるのかすら不明だな。少なくとも、私の方から確認できる事は少ない。船内を散歩するのはいいが、行って帰って来れない可能性もある」
「一応、そうはならないようにしてるつもりだが、万が一が起きても保証はしない。気を付ける事だな」
「……そうだな。もう一人くらいオペレーターが出来るものがいれば助かるんだが。例えば、口が達者で小型機体を動かしている者とかが手伝ってくれると、私としても嬉しい」
チャルミィ「広くて迷宮のような船!うふふンッ♪
食事に行こうと部屋を出たのに、
迷子になって倒れてしまったり……なんてことがありそうですわね?」
チャルミィ「ワテクシはマッピングしておりますから、
迷ったりしませんわよ?」
チャルミィ「……あら?でもさっきの場所に似てますわね?」
メッセージ
ENo.15からのメッセージ>>
スリーピング・レイル
「…………」
ミア
「どうしたの、レイル。真剣な顔してコンソール叩いて」
スリーピング・レイル
「少し、……調べ物を、していた」
ミア
「調べ物? 何調べてたの?」
スリーピング・レイル
「『スリーピング・レイル』について」
ミア
「レイルについてって、どゆこと?」
スリーピング・レイル
「僕の、エンブレム。エンブレムに刻まれてた、『スリーピング・レイル』という言葉。……きっと、誰かのもの、なんだよな。記憶を失う前の『僕』かもしれないし、そうじゃないかもしれない」
ミア
「レイル、……気になるんだ、やっぱり」
スリーピング・レイル
「でも、何も、見つからないな。調べ方が悪いのかな」
ミア
「レイル、そういうの下手くそそうだもんね~」
ENo.51からのメッセージ>>
ネグロ
「何のつもりだ。訳知り顔で言いやがって。お前が俺の何を知ってるってんだ」
ネグロ
「テメェの死ぬ理由に他人を使うのは勝手だが俺を巻き込むじゃねえよ。俺は死ぬつもりはない。たとえこの世が地獄だとしてもな」
ネグロ
「逃げねえっていうならせいぜい働くんだな。どうせ、戦場以外じゃ何も出来ねえんだからよ」
ENo.96からのメッセージ>>
チャルミィ
「まあ!機体のお名前も、あなたのお名前も<BR>
スリーピング・レイルとおっしゃるの?
それじゃあ遠くから呼びかけたときに両方とも
手を振ってしまわないかちら?」
チャルミィ
「よろしくですわ!ミア、って呼んでもよろしいかしら?
それに整備士なのね、スリーピング・レイルの整備をしているの?
あ、今のは機体の方のスリーピング・レイルですわ」
チャルミィ
「うふふンッ♪ワテクシはもふもふのアンドロイドですの!
アニマロイドという製品で、超高性能!
そして超高品質もふもふですの」
チャルミィ
「ほら、経年劣化してない。
ふわっふわのモフモフでしょう?うふふンッ♪」
2件のメッセージを送信しました
>>Eno.140 >>Eno.15
「…………」
「どうしたの、レイル。真剣な顔してコンソール叩いて」
「少し、……調べ物を、していた」
「調べ物? 何調べてたの?」
「『スリーピング・レイル』について」
「レイルについてって、どゆこと?」
「僕の、エンブレム。エンブレムに刻まれてた、『スリーピング・レイル』という言葉。……きっと、誰かのもの、なんだよな。記憶を失う前の『僕』かもしれないし、そうじゃないかもしれない」
「レイル、……気になるんだ、やっぱり」
「でも、何も、見つからないな。調べ方が悪いのかな」
「レイル、そういうの下手くそそうだもんね~」
ENo.51からのメッセージ>>
「何のつもりだ。訳知り顔で言いやがって。お前が俺の何を知ってるってんだ」
「テメェの死ぬ理由に他人を使うのは勝手だが俺を巻き込むじゃねえよ。俺は死ぬつもりはない。たとえこの世が地獄だとしてもな」
「逃げねえっていうならせいぜい働くんだな。どうせ、戦場以外じゃ何も出来ねえんだからよ」
ENo.96からのメッセージ>>
チャルミィ「まあ!機体のお名前も、あなたのお名前も<BR>
スリーピング・レイルとおっしゃるの?
それじゃあ遠くから呼びかけたときに両方とも
手を振ってしまわないかちら?」
チャルミィ「よろしくですわ!ミア、って呼んでもよろしいかしら?
それに整備士なのね、スリーピング・レイルの整備をしているの?
あ、今のは機体の方のスリーピング・レイルですわ」
チャルミィ「うふふンッ♪ワテクシはもふもふのアンドロイドですの!
アニマロイドという製品で、超高性能!
そして超高品質もふもふですの」
チャルミィ「ほら、経年劣化してない。
ふわっふわのモフモフでしょう?うふふンッ♪」
2件のメッセージを送信しました
>>Eno.140 >>Eno.15
◆2回更新のメッセログ
◆戦闘結果
戦闘結果は*こちら*
◆ダイジェスト結果
◆友軍からの通信
北北東海域【氷獄】の戦果通信
>>友軍の戦闘結果「............v..」


>>友軍の戦闘結果
ザミエル超速【覚醒】「こちら氷獄61ブロック、全機撃墜。」
ザミエル超速【覚醒】「イゾ坊!定時連絡を!!しろ!!!」


>>友軍の戦闘結果
イゾルフ停滞【覚醒】「兄ちゃぁあああああん!!!!!!!」


>>友軍の戦闘結果
「終わりました~」


>>友軍の戦闘結果
「アダム・ライソン、無事帰還しました。
友軍の皆さんは無事でしたか?」


>>友軍の戦闘結果
S.Owen【覚醒】「......作戦完了。それ以上の報告は不要だろう。」


>>友軍の戦闘結果
通信機からは轟音とノイズと絶叫が響いてくる。勝つには勝ったがひどいことになっているようだ。


精算
報酬 30
売上 1
┗パーツ販売数 1個
今回の購入者-->>66
経費 -1
フラグメンツ獲得 30
【!】弾薬獲得 あなたは弾薬を 8発 入手しました
【!】増殖 フライトレス・フェザーは弾数が増加し 4発 になりました
【!】増殖 フライトレス・フェザーは弾数が増加し 4発 になりました
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【!】増殖 フライトレス・フェザーは弾数が増加し 4発 になりました
【!】増殖 フライトレス・フェザーは弾数が増加し 4発 になりました
あなたはフラグメンツと交換で波紋の化石を手に入れた……
あなたはフラグメンツと交換でキラキラマイクを手に入れた……
あなたはフラグメンツと交換で波紋の化石を手に入れた……
【物資援助】あなたは[反射電波]が付与されたガストエンジンを入手した……
夜空には静かに星が浮かぶ……(コンテナ入手率 10%)
キャラデータ
__0
__6
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_24
_97
103
109



