第19回目 午前2時のオズワルド・エコール
プロフィール
経歴 名前:オズワルド・エコール コード:オスカー・エコー 愛称:オズ 年齢:14歳 155cm 性別:男性 レジスタンス組織アイリス・ヴァンガードの若きグレムリン・テイマーでありパイロット。 この世界に転移してきてから白連天則と戦うレジスタンスとして活動することとなった。 名前:P.D オズの戦闘サポート自律機械。自動人形。 オズの父親のお手製らしい。 ドルオタ。 機体:セイバー・シルフ改 グレイブネットのデータを倉庫で入手した赤錆たフレームを再構築再整備したグレムリン。 セイバー・シルフと呼ばれているマシーン・プランをモデルにしているオズの二代目グレムリン。 元は抵抗運動の象徴としてデザインされた多目的人型戦闘機動兵器計画のものである。 |
僚機プロフィール
経歴 ◇チトラ・ス・ヴォーロ レジスタンスのグレムリンテイマー。 気の強い少女。蒸すので厚着が嫌い。 必然的に操縦棺の中は好きではない。 前線指揮官であるバンデーラ「将軍」とは衝突が絶えない。 が、傍目には仲の良い祖父と孫に見える。 チトラ、の発音が虚空領域標準語では難しいため、 茶虎と呼ばれることが多いが、本人は気に入っている。 曰く、「獰猛な肉食獣だからでしょ!」 ◇Do-S1S イグナイター 零錆戦線第二話より登場。 本来の乗騎・悪鬼神像アグネヤが失われたことから、 謎のグレムリンフレームをベースに急遽組み立てられた機体。 精神遊離巨大腕・ドルニエクローが特徴。 実は機首後方に頭部がある。 Illustration:@camataco Character Design:@maromech【僚機詳細】 |
◆日誌
◆18回更新の日記ログ
それはいつかの話。
それが覚えているのは始まりに最も近い頃だったと思い出す。
「なぜ、彼がただの支援機械ではないのか……」
「えぇ。確かに面白い試みです。でも何故です?ただ単に手詰まりだからというわけではないでしょう。」
先生のことですから、と語る女性の声が聞こえる。
先生と呼ばれているのは……男性のようだ。
そう。後に知り、挨拶をする人ではあるがこの人が自分を作ったのだ。
壮年ともいえる男性の声。
「元々自律機械をこの世界の救済の手段の一つ、終末の時には足りなくなる人のためと計画していた……」
「そこは私も関わっていましたし。でもメインに据えたプランを作るなんて。」
「しかも哲学的思考”Philosophical thinking”を搭載するつもり……ただ人類救済のための手段としては余分な部分がありますね。」
男性は小さく笑い、何かを懐かしむように建造途中の機械を見上げる。
哲学的思考搭載型自律制御機械の体を。
「息子の話になるんだが……」
「えっ先生子供いるの」
「私も人間なんだがね」
えぇ……行者みたいな人だと思ってたんだけど、と女性の声が続く。
当然のことを話していたつもりが前提条件がまずおかしいと思われてしまっていたことに
男性は少し困惑したが、また小さく笑うと女性に向けて話し始めた。
「私が泊まりの仕事から戻ると少し寂しそうに話しだしたんだ。」
「中々家に戻らないお父さんだったんだ。」
「傷ついた天使を助けて世話をしていたが、どこかへ行ってしまったと。」
「天使?」
女性は困惑した。中々戻ってこない父親に対して寂しいという情の話かと思ったら……
目の前の男の息子は、親がいない間に天使を助けて世話をしていたという。
荒唐無稽な話だ。そういう大人の気を引くための小さな嘘というのが誰しもが思う答えだ。
だが男はそうではなかった。
「私は驚いたよ。そして好奇心を抑えられなかった。息子は何を見たんだろうか、と。」
女性は何か言葉を続けようとしたが、その意味を反芻するように思う。
彼の息子の人となりは知らない。
だが……そう……大人の気を引くだけなら「天使を見た」それだけでいいはずだ。
助けて世話をしていた?傷ついていた?消えたとは?
「冬の晴れ間だ。森の小さい湖の湖面をのぞき込むと、そこに傷ついた天使が沈んでいたらしい。」
「それを手で掬い上げて、家に持ち帰り……世話をしていたと。」
世話といっても子供に出来ることは少ない。
話しかけたり、水を与えたり……安静にするように支えたり。
「そうしていくうちに元気になったらしいのだが、私が戻る前には消えていた。」
女性は言葉が出なかった。
男の話は以前から聞いていたが、この世界ではないのだ。
そういう類の霊障が現れるような場所とは聞いていない。
「その時に姿を描いてもらったんだが……それは天使というよりも妖精だった。」
「妖精。」
フェアリー、ピクシー、シルフ……
羽は鳥の羽というよりも別のもの。
頭頂部に光の輪はない。小さき隣人。
「それは天使ではなく妖精ではないか、と私は答えた。天使について教えながらね。」
旧約から新約までの話をしながら、一体どういう姿か。
絵画資料も添えて……
そうすると納得したのか、妖精さんだったんだと笑って答えた。
「私はね。自分の世界でもあぁいうことが起きたのだ。」
「この世界ではそういった類のことがそこかしこで起きるものであるのにただ他者……人に委ねていくだけの機械では本当の意味での人に寄りそうことは難しいのだろうと思うに至った。」
人の心に寄りそうにはただ鏡のように読み解くだけではない。
鏡を見て何を思い、何を考えているか考えていくものでなければならない……
「私の原体験の一つかな。」
「結局なんだったんでしょうね、その妖精さん」
「私もわからない。息子でもわからないかもしれないな。」
そういう不可思議なことと向き合うには人も機械もより深く考えられるようでなければ……
だからこそこのプロジェクトに起用したのが……
その声が遠く……
遠くなっていく。
■MEMMORY■
わっ なに?なんだろう。
ねぇ ケガをしているの?
いきてる?
きみは てんしさま?
でも きしみたいだね
おうちにいこう。
だいじょうぶ。
あんしんして。
それでね……
■SEASON 1 END■
※本更新を持ちまして日誌及びメッセージ更新作業は終了となります。
※今シーズン本キャラクターを視聴していただきありがとうございました。
未来傷跡連環希望祝福
◆17回更新の日記ログ
───SAVER・SERAPH───
FILE No4
No1は7回を、No2は15回及びNo3は16回を参照されたし。
”セイバー・セラフ”は我々が便宜上呼称した霊障存在である。
6枚の翼に炎の剣を持つこと、頭頂部に浮遊する光の輪”エンジェル・ハイロゥ”を準えていることから熾天使”セラフィム”に準えた。
しかしこれが我々の知る熾天使のような存在かは不明。
我々にわかることはあまりにも少ないが、それでもいくつかの事実から推測を書き記しておく。
”ニュー・セイバー・シルフ”の構築は滞りなく完成したもののその最初の起動実験はテストではなく
白蓮天則の十二神将ゴステプトによる強襲。
その折に緊急起動させたことが全ての始まりだった。
※9回より。
※思念制御を完全に解放している白蓮天則神将の前では不完全な機械でしかなかったセイバー・シルフ
※反応速度も追いつかず手も足も出ずに敗北してしまう。
敗北を悟り緊急脱出プロトコルを起動させたP.Dにより真紅連盟から借り受けた14番倉庫へ向かわされたオズワルド少年。
彼により起動したであろうニュー・セイバー・シルフは飛翔するとP.Dの証言した脱出を目的とするためではなく
十二神将ゴステプトへ向かい戦い始める。
※10回より
※飛翔して完全起動を確認するものの、オズワルド少年の思念波形は一切計測されなかった。
そしてゴステプトとの戦闘中に形態が変化し続け、最終的には我々が”セラフ”と呼称するような外見へと変貌していく。
※10回より
※6枚の機械的な翼と光輪を備えている。
※11回より。
※白蓮天則の艦隊と神将を一方的に消滅させていく。
これらは我々にとっても想定外であり、また推測するに十分な材料があまりになさすぎる。
そこで先に述べた通り状況証拠から推察するしかない。
その戦闘能力については語ることがないほどの存在ではあるが
そもそも何者なのか、という説明をするに足るものがないのだ。
※12回より。
※コクピット、操縦棺は無人だった。
※つまりオズワルド少年の不在のまま動いている。
まず決定的なものにした切っ掛け。
これは緊急時の起動のため本来霊障からパイロットであるオズワルド少年への干渉を防ぐ……
精神感応防御のために同伴するべきP.Dの不在故に乗っ取り”ジャック”が起きたと我々は導き出した。
15回で述べた”セイバー・シルフ”の制御系図にあるように操縦棺と頭部
各部位をつなぐ機械精神系配線の強化に加えて外部よりの霊障攻撃
思念防御システムとして搭載されるはずだったP.Dの不在により起動した瞬間にジャックされてしまったことが考えられる。
それを示し合わせるように思念波形探知装置は操縦棺からのパイロットの不在にかかわらず思念制御の実行を行っていた。
頭頂部の光輪”エンジェル・ハイロゥ”からオズワルド少年と同じ思念波形が流れていたからである。
もはや欠片程度しかない状況証拠による推察でもない、妄想の領域でしかないが
おそらくこの光輪が、それか光輪を通して別の次元、あるいは別の世界(ここでいう領域)から侵入及び干渉してきた何者かが
”ニュー・セイバーシルフ”を乗っ取りどのような経緯があってかはわからないが
我々が”セラフ”と呼ぶ形状に成りこの世界に現出したとしか言う他ない。
また妄想を連ねて述べるようで研究開発班としての無力さを晒すようで心苦しいが
グレムリンとは本来的に機動兵器ではない存在ではあるまいか、というグレムリン研究中に浮かび上がった我々の仮説が浮かぶ。
この世界の人類が機動兵器として運用しているだけであり、元来この巨体は器…人の体でもあるような……何か魂の入れ物なのではないのだろうか。
我々はこの世界でそれに最適な、持ちうる技術をつぎ込み……器を作ったが
何者かに請われるままにその器を完成させてしまったのではないのだろうか?
ではなぜこの器を作らせたのか?
その目的も一切不明であり、白蓮天則が消滅した時を同じくして消滅している。
我々が出来るのはこの先、この後のためにこのデータをグレムリン・テイマーである彼女らに託すだけである。
そしていつかこのファイルがオズワルド少年が読むことで彼のなにがしかの役に立てば幸いだろう。
我々にはもう消失してしまった彼のためにできることが何もないのだ。
彼が今どこで何をしているのか、そもそも存在するのかさえもわからない。
願わくば彼の無事の生還……いや、この世界以外での無事の生還を我々は望む。
■NEXT FILE ??■
SEASON1 LAST FILE
───??????・?????───
未来傷跡連環希望祝福
◆16回更新の日記ログ
───NEW-SABER・SYLPH───
FILE No3
No1は第7回を、No2は15更新を参照されたし。
”ニュー・セイバー・シルフ”は白蓮天則との戦闘の中で”セイバー・シルフ”をアップデートした新プロジェクトマシーンである。
白蓮天則と本格的なグレムリンによる戦闘を経験した結果、現在のVFMX計画でのコンセプトで対抗することが難しいことが判明した。
グレムリンフレーム上に仮初の鎧、VFMX計画コンセプトを被せて動かしている我々とは根本からその能力差が開いていたのだ。
そこから引き起こされた相次ぐ戦闘での不足と事実上の敗北と敗走から
本機のテイマーであるオズワルド少年とP.Dの要請により本計画はスタートしていくこととなる。
※5更新広域通信(領域通信)より
※尚後日音声記録を精査したところ、オズワルド少年からの本要請はなく
※オズワルド少年の思念波形を重ねた形で何者かがP.Dを通して偽装していたことが明らかになる。
まずP.D主導により真紅連盟との協力を取り付け、フレーム構築を見直し
この世界でより適正に、適合したマシーンを求めていくこととなる。
これはいくつかの兵装プランにより機動兵器に求められる機能の拡張も求めたVFMX計画とは真逆のものであり
この世界の単一の存在としての現在我々が可能とする技術の結晶、最良にして最高の存在を求めたためである。
そのための要求の1つ、可変機能の排除によるメインフレーム
グレムリンの構造の堅実化である。
これは個体としての能力をより剛健にするものであるが
それらは次の必須条項のための基本要求を実現するために不可欠なものだった。
それは思念制御の完全機能化である。
これはFiLE2にあるような機械制御を挟んだ安全装置も組み込んだ機動兵器ではなく
この世界で当然とされるフォーマットでの最良の、当然あるパフォーマンスを発揮できるプラットフォームを構築するために必要だった。
特に白蓮天則から齎されたDSドライブを用いてよりこれらを発揮させる思念拡張技術の応用には
これらシステムのメインになるプラットフォームはどうしても最適化されたフレームが必要だった。
そしてこれらメインプラットフォームであるグレムリンフレームに追従させ
背部に懸架するサブプラットフォームであり、テイマーの思念制御と思念能力を拡張させる装置の開発
思念拡張誘導索の開発である。
これは搭乗者の思念を増幅拡張させ、グレムリンフレーの制御から
他グレムリンの思念を察知することが可能なレーダー機能も兼ねている思念拡張制御系装置であり
テイマーの脳機能、心理的安全を考慮し合計3基実装することとなった。
拡張兵装を追加していく汎用性と多機能性を追求した旧来の計画とは違い
質実剛健性、この世界での適応性と適合する能力の拡張性を追求したマシーン
これこそ新生したセイバー・シルフ
ニューセイバー・シルフである。
兵装は頭部機関砲以外の新規兵装は思念拡張索、拡張兵装として開発していた対艦粒子砲を小型化した携行式強化粒子砲等シンプルなものが多いが
それらで十分なほどの性能を発揮できることがP.Dとのシミュレーションで検証された。
一つ問題点があるとすれば思念制御と拡張による霊障対策であるが
これはP.Dが機械制御によるファイアウォール・セーフティを請け負うことで
オズワルド少年の負担をシャットアウトすることを折り込んでいる。
この世界のグレムリンという存在として十分以上に完成されたマシーンであるが
そのためこの世界に存在する不可解な現象、霊障に対する適合性や
思念攻撃に対する脆弱性も浮き彫りになったためである。
これらはまだ幼いオズワルド少年に対して防御しきれるものではないと判断されたためである。
これがグレムリンの思念制御能力が高ければ高いほど付きまとう問題であり、まだ幼い少年の適合號能力は我々が思うよりもずっと高く柔軟であり
彼の精神性からは想像できないほどの危うさを持っていた。
そしてその仮説は我々の想定以上の現象により実証される結果となった。
■PROJECT VFMX-01■
■NEXT FILE O4■
───SAVER・SERAPH───
未来傷跡連環希望祝福
◆15回更新の日記ログ
───SABER・SYLPH───
FILE No2
No1は第七回更新を参照されたし。
”セイバー・シルフ”によりVFMX計画は大きく前進したが大きな問題が一つ立ちはだかった。
それはこの世界で兵器運用されている”グレムリン”という存在の不可解さである。
※3回更新より。
━メンテナンスと制御のため、十字架による磔刑のように格納されるグレムリンフレーム。
━これには霊障対策に儀式的意味合いを付与している。
これはグレムリンが単純な機械技術のみによって構築されてるとは言い難い存在であったためだ。
この世界この時代に円熟した技術により生まれた存在ではなく、はるか昔いつかの時代に生まれた未知の技術で構成されている部分と
この時代に解析され運用されている技術により構成されている…所謂発掘兵器というカテゴリーに置かざるおえない存在であった。
この世界では当然のものなのかは判断が不可能であったが
人間の完全な制御下にない兵器を運用しているという事実は研究開発チームにとって理解しがたい事であり
受け入れがたい状態であった。
それらは後日タワーでの戦いの以後、グレムリンが自発的に海に沈んだことで証明される。
これは兵器として信用ができないと。
そこで彼らは調査が可能な限りグレムリンについて調査を始めた。
それらはこの世界での当然の事柄ばかりであったが、研究開発班はここでようやくこの兵器をある程度の制御下に置くことを試みた。
1つは主たる制御系統の掌握である。
この思念制御と呼ばれる操縦者との意識による制御方式。
これは操縦者にとって非常に都合のいいものであったが、完全制御下にない……
制御を離れる不可思議な機械と接続するという大きなリスクを孕んでいた。
そのためいくつかの機械制御による複合式の補助制御機甲を組み込むこととなった。
この世界では異様に発達した生命工学の研究を参考にしそこから制御転用が可能と思われる
人間の身体制御をモデルに各部フレームと装甲の間に補助用制御学習回路を搭載。
それらを統制する学習型コンピューターを頭部に収納及び接続し、操縦棺システムと接続する脊椎部分にあたり
操縦者と接続する部分の箇所に二次型の補助制御回路を作成し制御する方式を被せた。
これにより人間の脳にあたる部分を副次回路を伝い操縦者が担う工学的な制御に限りなく近づけることとなった。
また各部に機械工学制御を介入させたことで、戦闘補助を担当するP.Dも
セイバー・シルフのコントロールに介入することが可能となり
サブパイロットとすることも可能となる。
※5更新より
━機械制御が一部可能になったことでP.Dがオズワルド少年の危機を察知し
━突入及び救援に向かうことを可能にした。
これにより機械制御性と操作性は飛躍的に上がり、戦闘経験のないオズワルド少年が適応することへ大きく貢献した。
また思念制御による恩恵も機械制御学習も合わさり可変分離機能を搭載することも可能となった。
VFMX計画により想定されているゲリラ戦や奇襲という戦闘行動を柔軟に可能とし
白蓮天則との戦いでも大いに活躍した。
しかしそれらの恩恵に対する欠点が明るみになるのはそう遠くはなかった。
機械制御をグレムリンの制御に大きく挟むということは、グレムリン本来の性能を著しく損なうものであった。
それは白蓮天則の十二神将との戦いで明らかになる。
それら思念制御やグレムリンという存在を十二分に活用する者たちに比べると
何手も落ちる兵器となってしまったのだ。
※3更新及び9更新より
━グレムリンをグレムリンとして運用する白蓮天則
━その神将と呼ばれる武装僧兵の長らには十分に及ぶ力ほど届かず悉く敗北をしている。
白蓮天則との戦いがグレムリン同士の本格的な戦いになるにつれてそれは深刻な問題として顕在化してしまった。
そこで研究開発チームはこの世界での方針転換を迫られる。
新たな戦闘兵器プロジェクトである。
■PROJECT VFMX-01■
■NEXT FILE O3■
───NEW-SAVER・SYLPH───
未来傷跡連環希望祝福
◆14回更新の日記ログ
それでピーターは一刻の猶予もないことを知り
「来いっ」と命令すると、すぐに夜の闇へ飛び出して行き
ジョンとマイケルとウェンディが続きました。
パパとママとナナが、コドモ部屋に駆け込んだのは遅すぎました。
小鳥たちは飛び去ってしまいました。
ピーターパンとウェンディ 2節より
■14-2
「いやぁー見事に置いて行かれちゃったねぇ」
白蓮天則の天獄門のみならず、その艦隊や組織ごと消滅した虚無の海
一瞬爆縮の影響で晴れたもの……すぐに元の通り戻った赤錆の粉塵漂う空
そこに浮かぶアイギス・ヴァンガードの母艦ガラヴァーン、その格納庫
あの寸時の破滅的な戦いから少し遅れて到着した彼らは唖然としていた。
いきなり閉じた戦い。
元々将軍が持ち込んだ戦いの兆しではあったが、自由を求める者たちや
この世界での安寧を求める者たちや白蓮天則の凶行に抗う者たちが始めた戦いは……あっけなく終わってしまった。
オズワルドという少年と、そのグレムリン;セイバー・シルフの手によって。
誰の制御も、誰の意志も何もかも置き去りにして。
戦いは終わったというものの漂う空気は勝利に酔いしれる勝鬨の雄たけびではなく
ただただ通り過ぎた災害を見送った後の空虚な虚脱感だった。
それは……間近で見ていた二人、あるいはそのお供の1個体も同じだった。
チトラ・ス・ヴォーロの心中にリフレインするのは、今わの際にあの女が叫んだ言葉。
「いいかいチトラのお嬢ちゃん!これがお前の望み!願い!敵と戦う!敵をを滅ぼすってことだよ!」
これが私の望みなのか?
少女にその解き放たれた女の雄たけびに返す言葉を持ち合わせていない。
いや、形にできなかった。
起きたフラグメント”要素”だけで言えば
白蓮天則と戦うアイリス・ヴァンガードのグレムリンテイマー
オズワルド・エコールの乗るセイバー・シルフによって白蓮天則は敗北した。
しかしそれは事実であり事実ではない。
オズワルドの手を離れたグレムリンと何かが、何もかも滅ぼした。
自分が戦っていた相手が、抗わなくてはならないと立ち向かった者たちがゴミのように払われては消えていく。
そして虚無に還ったのだ。
言い表せない、全ての事柄への不快感。
気持ち悪さ……いら立ちが漂う。
「あ、私はまだこの世界で戦うよ。まだこの世界は戦っているしね。」
「この世界で、この世界で生きる人のために戦う人がいるから。」
「それになんかここの世界ってループしてるみたいじゃない?ならどうなるにせよ戦っていくの悪くないんじゃないかなって」
「まだ起きてから慣らし運転もできてないしね、このグレムリンも私も。」
私はそういう感じだけど貴方はどうするの?と。
聞いても答えが返ってくることを期待していたわけではない。
ただ。
「ダメなら次にかけるさ。テイマーならね。」
戦い続ける、という意志。
その灯はそこにあった。
シーズン1:サイド・オズ メイン おわり
シーズン1幕間とシーズン2へつづく
未来傷跡連環希望祝福
◆13回更新の日記ログ
「はい、コーヒー。もうすぐ迎えに来てくれるらしいからさっきの書類出しておいてね」
「ありがとうございます。」
身分証明書と探すべき父親の詳細が書かれた写真付き手紙を鞄から取り出してから
少年は女性兵士が手渡すコーヒーに口を付けた。
「それで君は戦うの?」
「戦います。」
そうして少し、待機室の壁掛け時計の針がいくつかほど鳴ったあたりで女性は聞いてきた。
突然の質問の意図がわからず……いや、自分がすぐさま答えたことに驚いた。
しかしそこで言葉は止まらなかった。
「何が出来たのかはわかりません。」
「何が出来るのかもわかりません。」
「何が出来るようになるのかも……わかりません」
茶色い泥のようなコーヒー。
まだ何も混ぜずに飲むには苦々しく思う、大人の飲み物。
紙のカップに注がれたそれを見ながら握りながら答えていく。
誰にも止められることなく、自分ですら止めることが出来ない。
その言葉と思いは溢れていく。
「受け入れられないことは、受け入れられないから」
「自分も……誰かも失わないために……誰かに傷つけられても、自分も誰かが傷つくことになっても」
「戦います。」
「その戦いに果てがなくても?」
「戦い続けます。果てがないなら終わらせるために。」
「自分を、誰かを差し出せば終わるかもしれないけど。」
「自分も、誰かも渡さない。そんな必要はないんだ。」
「誰にも……何にも差し出す必要なんてないんだ!」
そうして顔を女性兵士へ見上げた時、思わず紙コップを落としてしまった。
今まで積み重ってきた心……自分と、誰か達の心が重なって生まれた意志。決意。
それをようやく言葉に出来て、口にしたとき。
すぐそばにいたものは。
「ハ。ハハ。」
「アハハハハ。」
だれだ?
今の目の前にいるのは誰だ?
いやそもそもここはどこだ?
何かがおかしい。
何を見ている?どこにいるんだ今は!!
「待たせた。」
待機所の扉が開く。力強く叩かれるように。
とてもではないが何かに配慮した入出に仕方ではない音。
確かこの時にイギリス国籍の兵士が迎えに来たはず。
あの兵士は男性だったのは顔を隠していてもわかったし声もそうだった。
そのはずだった、ではこの人は?と振り返った時には遅かった。
自分の前にはあの時の大人よりも大きい……女。
ヘルメットもゴーグルも、マスクもつけていない。
顔と背丈以外同じの女が立っている。
「……ッ!!!」
何かがおかしい。何が起きている?
今は渡されていないはずであっても、訓練して習慣づけた……防衛か、警戒か、恐怖か焦りか何かが。
そこにあるはずだと腰のショック・セイバーに手を伸ばしたが。
が。
「何故恐れる?何故構える?何故目を逸らす?」
「恐れるな。構えるな。目を逸らすな。」
「私を見ろ。」
女は少年の腕を掴み、易々と持ち上げてしまった。
子供どころではない。狩人がウサギの耳を掴んで持ち上げるように。
「すごいよ。やっぱりそうだった。何も変わらない。とてもうつくしい。」
「あなたがかつて私を見つけてくれた時から」
「あなたがかつて私を”掬って”くれた時から」
「何も変わらない。」
何を言っている?なんのことだ?
何を見つけた?何を”救った”?
何を……いや、いや……何かが見える。
何を見せている?これは水面?
水面に自分の顔が写っている?
誰の…?
「素晴らしい。とても美しい。」
少年を吊り上げた女は捻り回し、もう片方の手で少年の顔を掴みその瞳を開かせて自らものぞき込む。
その開かれた”爬虫類”のような瞳孔と自分の瞳を合わせるように。
「極彩色”プリズム”の瞳。世界と世界を写す鏡の瞳。」
「万華鏡”カレイドスコープ”」
「其方の輝く瞳が我らを映し出す。我々はもう鏡の中だけの存在ではない。」
「認めよう。其方が我らの主。」
「認めましょう。あなたが私の主。」
「「我々はもう彷徨うだけの虚像ではない」」
「ちょどいい名前”黒い竜:チェルノ・ジーラント”の体がある。私はそこから生まれるつもりだ。」
「私らに続きたい子も一杯いるしね。」
「みんな待っていたんだよ。」
「子供一人捕まえてずいぶんなはしゃぎようだね。」
「これだから礼儀も知らないバケモノは困るよ。」
「マ……マリヤさん!」
「何故?」
「思念制御識で繋がっているからだろう。だがまだ意識があるのか。いや取り戻したのか?思念素体にふさわしい人間だ。」
搭乗していたグレムリンと同じく左腕のない女が扉の側にいた。
左顔を何かに浸食された顔で睨みつけながら扉の淵にもたれかかる様に立つ……
「ごちゃごちゃうるさいよ。全くバケモノも人間と大して変わりやしない。」
「都合のいい子供をいい様に使っちゃってさ……気に入らないねぇ」
「邪魔だなコイツは。」
「そういうな。私とすぐに馴染む。強靭であればあるほど、私はいい体で生まれることができる。」
「失せな。」
マリヤの左半身から勢いをつけて浸食していく何か……
しかし無事な右手には起爆スイッチが握られていた。
概念や抽象的なものとして実体化しているそれは、重粒子粉塵制御式融合炉を握りつぶすトリガー。
「この女、危険だよ。この女も……」
「頑なさ、強靭さは重要だが……それ以上は必要ない。それ以上抗うな。それ以上逆らうな人。」
「マリヤさん。」
「失せろっていってるんだよモノノケどもが!」
そうしてトリガーは女の強い意志と共に引かれた。
■13。5
「宗主様お許しください。」
「此度の旅路、ここまででございます。」
「これも我らが増上慢心のため。何を以ても返すことはできませぬ。」
「これもまた定めなのでしょうか。」
「南無阿弥陀仏」
その瞬間超巨大構造体”天獄門”はその周囲ごと、白蓮天則を巻き込んで
まばゆい閃光と特殊な電磁障害の渦を解き放ち……この世界から消滅した。
後に残ったのは……2機のグレムリン。
2人のテイマーと1体のドロイドのみだった。
未来傷跡連環希望祝福
◆12回更新の日記ログ
天獄門
それは白蓮天則が保有する超巨大特殊設備構造体”メガストラクチャー”であり、白蓮天則を白蓮天則たらしめるものである。
一目でわかる超巨大なリング状の構造物とそれに連なる超巨大構造体。
それらがまるで従者のごとく直下……あるいは周囲に……構造物を中心から放射状に広がり侍らせ浮遊している。
白蓮天則の本部、本拠地、本尊である。
虚空の穴のごとく開かれたリングの中心には何か異様な空間の歪みを視認させながらも
その巨大さだけではない何かから威圧的な存在感を放っている。
「こ…これは一体…いやこの空間は…!」
「白蓮天則の経典さ。異界とこの世界をつなぐ門」
「なぜこの場所へ…!其方まさかこのまま我らを……!」
「天獄門によりつながった別世より始祖の教えを伝え、そしてどこからか送られてくる経典を崇めている。」
「白蓮天則はそのどこからか送らてくるものを頼りにこの門をくぐり経典”智慧”を持ち帰る旅を目指している」
「如何にも……」
白蓮天則の”はじまり”はこの虚空の海に漂う船団の1つでしかなった。
謎の構造物を牽引するただの漂流者の集まり。
しかしその謎の構造物を起動させた時より漂流の旅は終わる。
その構造物はこの虚空の海と別世界を繋げる超空間ゲートだった。
そのゲートよりもたらされたのは…どこからか聞こえてくる男の声。
その声により与えられた技術。
電子や医療のみならず思念拡張技術、十二神将と呼ぶグレムリンの構築図
そして何より彼ら船団を救ったのは救済思想である。
これら膨大な、遠大な技術や教えをただただ救済のためと無私に与えてくれる存在がいる……
それらに会うことが叶えば、さらに教えを請えれば
このただただ何もかも足りない海の世界に
赤い錆に覆われた空の世界を救済できるかもしれない。
出来るに違いないと。
遥か彼方遠くの世界を目指す巡礼の旅が始まったのだ。
「ただし一つ問題があった。この天獄門…超空間ゲートを起動し旅立つためのエネルギーを探さなければならなかったのさ。」
「だがそれも既に我らは手中に収めている。何も問題はない」
「重粒子粉塵をかい?問題しかないだろう」
「なっ……そんなものを使っていたなんて……!」
「超空間ゲートを起動するなんてどんなエネルギーでも足りないと思ったけど確かにそれならできそうではあるわね」
「い、いえ出来るかもしれませんがこれだけの構造物のため臨界稼働をさせれば!」
「しかしこれにより我々は真の救済の旅路へと渡れるのだ!」
「できれば、ね。」
「其方何を!」
言っている、との言葉は出なかった。
大僧正の目に映る天獄門守護の直掩艦隊……そして残る神将の思念波形が”ぐずぐず”に歪んでいく。
狂気乱舞。誕生歓喜の羽ばたき。
グレムリン……神将の体、兵装……また背中より”なにがしか”が生えては開いていくのだ。
「何が……」
「わかってはいたが本物のモノノケだね。異界より現出するものが超空間装置の付近に来れば仲間を呼ぶこともありえるわけか。」
「わかっててここに連れてきたのか!これが!」
「こいつらをこのままこの世界に置いてくわけにはいかない」
「そしてお前たちをこのまま私らの世界に連れていくわけにはいかない。」
「ここはどうしようもない世界ではあるが、こんなものを野放しにしていい道理はないしねぇ……」
「私がいる世界もどうしようもないが、お前たちのような連中を連れて行くわけにはいかない。」
「其方……やはり我らが目指す浄土の!」
「宗主様のお名前を聞いて笑ってしまったよ。まさか”あいつ”がこの異なる世界にここまで影響を残しているなんてね。世界の敵だねぇあいつは。」
「そんな世界の敵にこれだけの軍勢をはいそうですかとくれてやるわけにはいかないんだよ!」
残る右腕を護衛艦隊の中でも一際巨大な船舶の動力部に突き立てて吠える…黒いグレムリン!
その手は調整されていた超空間ゲート起動用重粒子粉塵制御式融合炉心を掴み掲げる!
「艦隊全てとはいかないが、現状の稼働率でもあいつと私らぐらい転移させるならこれで十分!」
「動力炉を強制起爆させて飛ぶよ!」
「世界の狭間ならボウヤとモノノケを引きはがすことが出来るかもね……」
「あなたも私たちも無事ならね」
「ダメなら次にかけるさ。テイマーならね。」
「いいかいチトラのお嬢ちゃん!これがお前の望み!願い!敵と戦う!敵をを滅ぼすってことだよ!」
そうして握りつぶそうとした瞬間
失ったはずのグレムリンの左腕が、虚空より生えてきた。
損傷したはずの頭部からまた赤黒い何かが生えていく。
何かがこのグレムリン、チェルノ・ジラーントから現出しようとしていた……
プリズムに輝く光輪、角、赤黒い装甲表皮……
それはチェルノ・ジーラント”黒い竜”の名前の近い赤黒いドラゴン。
「こいつ……私のグレムリンから出てくる気かい!!!」
■午後3時のオズワルド・エコール
・東欧某国 国境”ボーダーライン”付近
「おっと……大丈夫?」
ふと、意識がはっきりとしたのは何かにぶつかった時だった。
とは言っても固いものでもなく、柔らかいものでもなく。
武装した人に受け止められていた。
「あっ……ごめんなさい。」
「長かったでしょう。電車も窮屈だったろうし。」
ここはポーランドと旧東欧地域国境付近の駅に設営された……避難民の一時受け入れ場所。
そこで少年は躓き、倒れそうなところを武装した女性兵士に受け止められていた。
ここでは今NATO:北大西洋条約機構から派遣された欧州機構の兵士や警官が
避難民の整理、警護……そして現地戦争災害調査を行っていたのだ。
「どこへ行く予定なの?お父さんとお母さんは?」
「父がイギリス陸軍の機甲師団と母から聞いています。父を探すようにと……母から」
「そっか。一人ここまで。頑張ったね。」
「……はい。」
「私はフランスの人間だけど、イギリス軍も来てたから、聞いてあげるよ」
「ありがとうございます。」
欧州でも特に過酷な戦災のあったイギリスであるが、その影響力はまだ強く
欧州各地にアメリカ軍と共に基地と戦力を保有していた。
今回の有事にも活動は慌ただしく、それ故にこの東欧の端にも配属されている部隊はあった。
そういった軍事組織の関係者であることや身元がはっきりしていることから少年他の避難民とは違ってこの女性兵士に連れられしばし休憩することとなった。
陸路での軍事衝突地域からの避難は10代前半の子供には心身ともに過酷すぎただろうことを計ってのことでもあった。
「はい、コーヒー。もうすぐ迎えに来てくれるらしいからさっきの書類出しておいてね」
「ありがとうございます。」
身分証明書と探すべき父親の詳細が書かれた写真付き手紙を鞄から取り出してから
少年は女性兵士が手渡すコーヒーに口を付けた。
「君は軍隊に入るの?」
「えっ」
そうして少し、待機室の壁掛け時計の針がいくつかほど鳴ったあたりで女性は聞いてきた。
突然の質問の意図がわからず、つい聞き返してしまった。
「こんな時だし、お父さんの近くにいるようになったらそうなるかなって」
「そう……なるんですか?」
「私はそうだったよ。そういう家系だったけど。」
女性は空いた片手で胸の身分証……国家憲兵隊の証を見せる。
彼らはここで何が起きているかの検分のため派遣されていたのだ。
古くから続く家の仕事として従事していた父を見て……
自分も続くように仕事についたらこんなことになるなんて、とも話す。
「……わかりません。」
「わからないんだ。」
直接言葉には出さないが、咎める声色ではなくただ単に聞き返しているだけで。
それもあって少年はもっとわからなかった。
この人は自分に何を聞いているのだろう……と。
「……わかりません。僕は……僕は…何が出来たんでしょう。」
「何が出来たんだろうね……もしかしたらこの先何か出来るようになるかもしれない。」
「それが軍隊なんですか?」
「私は今君とか助けられてるしね。」
ね。と返す女性は案外悪くなさそうな顔で答えていた。
そこでようやく女性兵士の顔もかなり憔悴していることが見えた。
が……この問答が何かになったらしい、と感じた程度に声色と顔色は少し人間らしさが戻っていた。
それがどんなことか、今この避難所で彼らは何をしているのか。
何を見ていてこのような心情になっているのか……察するほどの少年ではないが、何かよかったのだろうかとは思った。
「……ありがとうございます。」
「いいよ。やりたかったことだしね。」
「あっお迎え来たみたいね。」
「まぁお父さんに色々聞いてみなよ。色々答えてくれるでしょうし」
「そうでしょうか?」
「男親、そういうところあるよ。それから決めたら?」
「それまで私たち大人が守るから安心していいよ。そういう仕事選んだんだからさ。」
「……はい。」
そうして少年は迎えに来たイギリス国籍の兵士に連れられて行った……
午後5時……南部……にて…ー…便が……の……により撃墜さ…と…情報が……
生存者は……航空調査局は……この地……不…能……
つづく。
未来傷跡連環希望祝福
◆11回更新の日記ログ
「間に合ってはいないかぁ~一応無事みたいね」
「Mk2?!フィッティング途中で格納されていたはず…!?」
壁に縫い付けられていたセイバー・シルフ……P.Dの前に現れたのは
いつのまにか倉庫にあった予備用フレームに試験的に外装を付けていたはずの……
管理コード:セイバー・シルフMk2
それがグレムリン用牽引ワイヤーを片手に目の前に飛んできたのだ。
「最近みんな忙しそうだったからね。隠れてちょいちょいとアセンブルさせてもらったよ」
「というより誰ですアナタ!?この波形知りませんよ!?」
「私?私はそうねぇ…オズの次に来たからドロシーなんてどう?まぁいいかそういうところは」
よっこいしょ、とMK2と呼ばれたグレムリンはセイバー・シルフに突き刺さり磔にしていた錫杖を引き抜いていく。
終われば適当なところで自立できないセイバーシルフへ肩を貸すように掬い上げた。
「とりあえず母艦のガラヴァーンに戻ろうか。このままじゃどうにもできないでしょ」
「しっしかしオズさんを追わなければ…!」
「大丈夫だって。サイコ・DS・ドライブ…Psyco-Dimension-Space-Drive……」
「思念拡張亜空間潜航法を用いた通信だっけ。これが引っ張ってくれるから見失うことはないよ。」
「確かにオズさんと……セイバー・シルフは繋がったままです……ですがあれにオズさんは本当に……」
「あなたもそれでいいでしょ?トラちゃん。そのまま立っててもどうにもならないよ」
P.Dが。乗っているのでしょうか。と疑念の声が出る前にドロシーはチトラを促した。
オズワルド少年が乗っていようがいまが事態は動いてしまっている。
それこそ坂道を転げ落ちる石ころのように……誰も止められない。
止められるとしても、止めるために備えなければならないのだ。
少し遅れてチトラから返事が返ってきたことで……幕が閉じて、新たな幕が上がる。
■11
がやがやとに騒がしく、その会合が開かれていた。
電子空間…サイコ・DS・ドライブ”末那識”を用いたデジタルネットワーク上で行われている会議
いや、会議というものでもない。
これは白蓮天則により開かれ設けられた重要な査問会でもあった。
当の、主に呼び出された護法官であるマリヤといえば憮然どころか悠然と彼らを眺めている。
自分以外の全て。デジタルアバター化した僧正や僧侶、はたまた大僧正まで
この白蓮天則を開き運営している者たち全て……肉体を捨てて電子化したものさえいる。
ざわめきつつ問われるのは、先の戦い。
十二神将ゴステプトの敗北……いや、消滅。
前代未聞である。白蓮天則の中でも武門を誇る武装僧侶、僧兵の中でも一握り……
遥か彼方の浄土から送られてくる神将の適正があり、それを乗りこなす者。
そのものが一人、消滅したのだ。
「ことの重さがわからぬようだな!」
「しかしこれはゴステプト自身が招いたことでは?」
「然り。意気揚々と戦いを挑み敗北どころか仏敵の業を重ねる。増上が過ぎたのでは?」
「言葉が過ぎるぞ!もとはと言えばこの者が遊んでいたが故!わかっておるのか!」
「弁明はあるのか護法官よ」
「無論。遊んでいたわけではありません。彼の者は子供。子供故に思念拡張制御との相性はいい。望めば望むように物事を運べましょう。」
「そういった適正がかの者にあった。であれば捕まえこちらで飼い殺しにするか、適当に相手をして遊んでやり適度にあしらえばよろしかったのです。」
「では其方はこうなることがわかっていたと申すのか。」
「えぇ。」
「無礼な!宗主様にしか許されぬ物言い!」
「ではわかっていながら黙っていたと申すか!」
「私はこの通り行動制限を受けておりますが故何か物申すことは憚られましょう。」
「貴様……!」
「大僧正殿!もはや聞くに堪えません!こやつの破門!審議にかけましょう!」
「こやつがいなくとも我らの法力、神将を合わせればあやつを退けることなど!」
「愚か者!既に我ら神将及び艦隊!その半数以上がヤツに燃やされているのだぞ!」
大僧正の一括でその場は静まり返った。
外部を移すイメージモニターには……
6枚羽で頭部に金色の輪をきらめかせるグレムリンが……
炎の剣にて神将を、艦隊を燃やしては消滅させてく。
迎撃に出たものはその全てがこの世界から消滅しようとしていたのだ。
「まさしく……天魔降臨。」
「我々浄土へ向かう者たちの増上慢心を裁きに来たのだ……」
「浄土楽園を守護する天魔の王が……」
大僧正の一声で静まり返っていた空間は次々と僧侶たちの恐怖、不安、懺悔の声が溢れていく。
「これを調伏できると申すか」
「出来ますとも」
「では直ちに」
「しかし権限がありませぬ。この通り謹慎の身故に」
「何を望む」
「それは大僧正様が一番ご理解されているはずです。この一大事でありますから。」
「こやつ!」「貴様!弁えよ!このままでは貴様も」
「私はどうとでもなりましょう」
なにせ神将にも劣らぬ…力があるのだから。
言葉に出さなくてもいい。それは渇望するものではない。
これは儀式なのだ。
外来のものがこの組織が終わるか終わらないかの瀬戸際で示す……力というものの関係を。
「よかろう。神将の位と行動許可”大自在天”を与える」
「なっ……!」
「神将であってもそれを得られるのは宗主様か始祖に認められた者のみ!」
「大僧正様!それは!」
「今ここで滅びれば事すべて同じよ……」
「ありがたく。」
「直ちに救世してみせよ!」
「あやつは全て”わかっている”のだ」
「こざかしい…あさましきものめ!」
「違う」
「……大僧正様?」
「それではない」「大僧正様…?」
「これまでどうであったかも、どうであるかも」
「これからどうなるかも……全てわかっているのだ」
「し、しかしそれでは宗主様や始祖様と同じく」
「なんというものを迎え入れてしまったのだ我々は…」
■11.5
「まったく手がかかる子だねぇ!!」
漆黒の重量級グレムリンが護法艦の甲板を下から”引きはがし”現れる。
突如現れた霊……いや邪気を感じ取ったセイバー・シルフは護法艦ごと切り裂くよう
炎の剣をふるう。
「寝ているのかい?こんな時に。」
「いやだねぇ。虫も殺せない子供だったろうにさぁ……」
周囲には炎上する護衛艦隊、神将だったもの……
まさしく地獄
赤い天”そら”
赤い炎”うみ”
赤い虚空”せかい”
三千世界を焼かんとする地獄が広がっていた。
それとは裏腹にコンソール・モニターにうつる波形
サイコ・DS・ドライブによりつながったオズワルドの思念波形は穏やかだった。
眠っている時のそれにちかい。
だが……それと重なるように、いやそれと連なるように波打つものは異質だった。
歓喜。狂乱。
「何が取りついているやら、不気味なんだよ!悪霊が!」
戦闘機動に入ったセイバー・シルフと漆黒の重機動グレムリン・チェルノ・ジラーントの戦いが始まった。
「捉えました!捕捉完了!」
「派手にやってるわね……トラちゃんいい?私たちからセイバー・シルフに攻撃はしない」
「あれがどう反応するかわからないからね」
「言われなくても……引き裂いて蟹みたいに身をすすってやる気はないわよ」
「し、しかしあれは本当に……セイバー・シルフなんですか!?」
「じゃなかったらよかった、けどね!」
各種レーダーセンサーでの捕捉を開始し接近を試みる。
今は、この突然現れた女しか事態を把握している者はいないのだから、チトラとしても不承不承戦うのみだ。
かつての束縛の象徴である白蓮を焼く悪鬼は、チトラの力でも無ければ救世主などでもない。ただ、気持ちが悪い……。
専属のサポートマシンであるはずのPDすら判断できない”それ”が何者かを探る出撃。
”それ”がまさか護法巡礼艦に向かっていたとは思わなかった上にそれらを殲滅しにかかっている。
地獄のような戦場だ。
あの何かからオズを引きはがすことが出来るかどうかもわからない。
そうしたわからないことだらけの戦場で、事態は動く。
ジーラントが左腕と引き換えにセイバー・シルフの胸部装甲を引きはがした時だった。
操縦棺に最も近い場所がはがされて露になる……そこには。
「……モノノケめ」
「何よあれ……」
「ちょっとこれはまずいわね」
「何が……あったんですあれは!?」
そこには”誰もいなかった”
霊障により残像になっている何かとかではない。
ニュー・セイバー・シルフの操縦棺は空っぽだった。
そしてみるみるうちに修復されていく……セイバー・シルフの装甲。
「残像でもない、干渉もできない。セイバー・シルフがどっか連れ去ったんだ。」
「うまく考えたわね。あれじゃ外部からオズくんどうこうするの、無理だよ」
「そ、そんな……オズさんは……オズさんはどこへ……?!」
「ちょっと前倒しになるが、都合を合わせるのが上策か?上策ねぇ……」
「何を考えているんです!?アナタはこの今!オズさんはアナタを!」
「こいつを白蓮天則の”天獄門”に連れていく!」
未来傷跡連環希望祝福
◆10回更新の日記ログ
「………」
いつもはグレムリンに乗り込めばP.Dが声をかけてくれる。
グレムリンに乗るときだけではない。
戦う時も、戦いに関わるなにがしかの時も……
だから一人の今少し、心細い。
操縦棺の中であっても冷や汗をかく。
右手、左手に握る操作グリップに力が入る。
フットペダルでさえ……うっかり踏み込んでしまいそうなぐらい。
「……」
それでも戦うと決めた。
自分でどうにか、どうするかを決めるために。
こんな世界で流されないために。
誰かとか、誰か達に自分を渡さないように。
既に起動していたインターフェイスを見ながら
エンジン臨界までのしばしの時間を待つ。
新たなフレーム、新たなセッティング。
今以上のパワーと機動性がある。
P.Dはこれで逃げろという意味で伝えたのだろう。
だが……逃げて、逃げて……逃げて、逃げ出すことはしたくない。
あの十二神将をチトラだけで倒せるか、とか。
乗り換えてすぐ、P.Dのサポートもない自分が加わっただけで勝てるかとか……
そういうことではない。
ここで戦術的にであっても逃げることは……
この世界と、この世界で流れる思惑や欲望とかに委ねる気がしてしまう。
それは自分を自分以外の誰かに、それ以外の全てに渡すのとそれは同じだ。
戦わなくちゃいけないんだ。
ようやくわかり始めてきた気がする。
「戦うんだ……!」
この世界でP.Dに起こされ
グレムリンのグレムリンのコクピットで目覚めた時と…
タワーで目覚めた時にうっすらとしか見てなかったコンソール。
それと同じ文字列が表示されていく。
起動画面の再チェックがかかる。
アレクシアさんの言っていたこともわかったかもしれない。
人と戦うこと…殺し合いなんてしたくないこと、避けたいことだ。
だがそれでも……許しておけないことだってある。
こんなものは嫌だ、と。
受け入れられない、と。
何か、そのために戦うんだということが。
抗わなければいけないことだってあるんだ、ということが。
エンジンが臨界突破、フライホイール接続。
格闘試作フレームにより増設された機動ブースターがすべてエンジンにつながる。
「行こう!セイバー・シルフ!」
見開いた瞳は極彩色の光を写す。
その意志の伝えるため力強くグリップを握りこみ……
フットペダルを踏み込んだ!
「うん。でも大丈夫。私があなたを守るから。何も心配いらないよ。」
「えっ」
■10 剣の騎士妖精-saber sylph-
「あれは!」
「オズ!」
赤錆漂う空の空気を爆発させるように飛び上がった白い機体。
P.Dは知っている。あれに導くためにオズだけを逃がした。
新たなグレムリン、ニュー・セイバー・シルフ。
双眸を瞬かせ、14番倉庫の上空を滞空していた。
融合共鳴体とゴステプトを前に……臆することもなく。
「オズさん……まさか!無茶です!マニューバ調整もまだ、武装もナックルしかありません!」
「鎧を変えたか!だがこの完成された最終説法会の前では如何様に姿を変えた悪童であれ非力非力!」
「チトラさん!お願いします!今のオズさんでは!」
「三千世界を輪廻し我ら浄土への旅へと帰依するのだ!」
「……チトラさん?」
チトラはその類まれなる思念制御からの感知
拡張思念領域経由のサイコ・DS・ドライブにより唯一先んじて感じていた。
その感じ取られた何かにより、オズへ向かう融合融合体を見送る程に……
融合共鳴体とセイバー・シルフが戦闘機動に入る。
渦巻く思念と思念共鳴の渦の暴風の中を羽ばたき進むセイバー・シルフ。
グレムリンの戦いでは当然のように行われる不可視の攻撃。
手のひらをかざして振り払えば、その力が融合共鳴体に振るわれる。
だがそれも束の間。すぐさま融合共鳴体は破損した部分を再生し思念と不可視の力を振りまく。
不可視の力同士の応酬があったと思えばほんの少し。
融合共鳴体より少し……早くなったか、と思ったセイバー・シルフに異変が現れる。
「何よアレ……」
チトラが、こぼす。
感じたままの素直な感想がこぼれ落ちた。
セイバー・シルフの背部に羽が生えていく。
対の翼が3つ。6枚の羽根。
うすぼんやりとした輪郭が形をはっきりと形成し終えていく。
「何なのよ…アレは!」
シルエットが大きく膨れ上がっていくというのに速度は変わらない。
変わらないどころか加速していく。
加速していく側から融合共鳴体が潰れていく。
「オ、オズさん……?」
そこでようやくP.Dもサイコ・DS・ドライブから探り理解する。
あの白い……いや、既に黒い鈍色の機体に自分が知る少年はいるとデータは表示しているが
自分の知る少年はそこにいないことに……
「オズさん!?」
音速の領域に達していたころ合いには融合共鳴体は文字通り消滅していた。
セイバー・シルフが戦闘機動に入り加速していけば……潰れて跡形もなく
消えてしまったのだ。
「ヒッ……!」
グレムリンはそういうこともできる、というのは知っていた人間も多いだろう。
だが可能性を表すと思っていた出来るが実際に目の前で実現されているとは大きく違う。
ゴステプトはたった数分で融合共鳴体を圧滅した六枚羽のそれに恐怖した。
伝え聞いたことのある、100機で世界を滅ぼせる力の一端がそこにあったからだ。
その恐怖をセイバー・シルフは見逃さない。
バイザーが上がり、メキメキと煌めく瞳でゴステプトを捉えればすぐ、バイザーが下りてまた加速していく……
「ヒィィィ!!!仏敵退散!!!怨霊消散……」
そして、ゴステプトが消滅していく。
セイバー・シルフの不可視の力により撃滅されていくのだ。
「ギャアアアアア!宗主様ァアアアアアアアアアア!!!!」
その経文を、聖句を唱えるしかできない断末魔さえもつぶされて消えていく。
後には何も残らない……
「霊障?そうだな…この世界の不可思議なものを表すカテゴリーではあるかな。」
「ただそれらは千差万別。我々が感じ取ったり理解できなかったりするだけで個々には何某かの名前や特徴があるものさ。」
「この世界にはそういったものと出会える機会が多い。」
「P.Dも出会うかもしれないが……その時は互いに知り合ったり良い出会いになれるといいな。」
「申し訳ありません……それは最悪なものになりそうです……!」
「♪」
敵対するもの全てを滅ぼした”それ”の”こころ”は弾んでいた。
チトラ、P.D両名ともサイコ・DS・ドライブで探ろうとせずとも……易々と感じ取れるぐらいに
言うならばこの世界に己が誕生したこと、生きていることを謳歌するかのような弾む”こころ”を隠そうともせず
悠々と楽しそうに空を飛んでいた……
本日のニュースです
ジャンク財団について続報です
財団は各25領域全てに影響力を持っています
それゆえに、拠点の場所を割り出すことが難しいのです
我々の未来は、動き出したばかりです
戦いましょう、生き残りをかけて……
本日のニュースです
犠牲は大きく、多くの都市や船が焼かれました
その損害は計り知れません
復興には100年とも1000年とも言われています
戦火の傷跡は大きく、我々はいま試されています
本日のニュースです
グレムリンの決闘をスポーツとして普及させる案が
コロッセオ・レガシィで提唱されました
華々しい競技用グレムリンの世界が広がります
戦火の世にも、人々の連環を。我々はまだ、戦えます
本日のニュースです
バイオ研究所の協力で、失われた人命の補填が計画されています
高知性バイオ兵器による労働力の強化です
バイオ・ワーカーはこれからの新しい常識になるかもしれません
希望がある限り……私たちは、生き残れるのです
本日のニュースです
昨日、雨音列島で戦死者を弔うための音楽会が開かれました
厳かな雰囲気の中、鐘の音の旋律が響きます
毎年の恒例とする案が出ています
戦う人々に祝福を……我々は、生き続けるのです
◆9回更新の日記ログ
「わかっておったこと。」
「然り。なぜここに呼び出されたか。」
異質。東洋神秘的思想の象徴のようなものらが四方八方……
いや、正面にただ一つ以外は規則正しく並んでいる曼荼羅図のごとく。
マリヤを囲うように金色の装飾を纏った僧侶が浮遊鎮座し、各々が順序良くまた好きに発言をしている。
僧会でもほぼ最上位と呼ばれる僧正らがそこに電装化身”アバター”を通して彼女を見ている。
彼女はといえばただ一人、その身を紫の装束を纏い鎮座。
まるで裁判の被告人のようである。
いや、これは宗教裁判でもある。
「問題は宗主様のご意向を無視したことである!」
よりいかつく細身。しかし筋骨を隆々に見せる巨神のようなアバターが叫ぶ。
マリヤが先の護法船襲撃にでバンデーラを祭祀の前に処刑するよう命令したことが問題であると。
「異界より招きし外道法師と言えどこれ以上の無法傲慢は許されぬ。」
「かの者だけではない。悪童一人抑えられぬ其方の力量を疑う者も多い。悪く思われるな。」
その部分については否定しない。
確かにこれまではあの子供一人相手に手を抜いて戯れていたのだから。
言い訳の一つも出ようはずもない。
最もその殊勝な態度に見える今の心持ちは彼の男……
十二神将・隠者のゴステプトにとって大変不愉快であった。
何かしら言葉が出れば出る杭を打つように糾弾できるものを!
そんな思惑、考えが…声色一つとっても考えが肌を撫でるように読みとれた女にとってすべてが茶番でしかなかった。
「此度は私に任せてもらおう。この外道法師ではなく、拙僧と悪鬼神像ゴステプトがかの悪童を調伏してみせよう!」
「とくと見ているがいい!外道法師め!」
この男の増長する欲望など透けて見えるほどに。
発言するたびに揺れめく腰の装飾具からなる音響など木の葉のそよめくささやき声にしか聞こえない。
しかしこれまで遊んでいた自分と違いこの男が、となるとさてどうなるか。
あのチトラのお嬢さんはさておきオズの坊やはどうなるか。
甘えたまま死ぬか…さて宗主様はお見通しだろうかな?
■9
「っ……!」
「速度……いや、違いますこれは!」
未識別融合体を退けたオズとチトラの前に現れたのは白蓮天則の軍団。
先の護法巡礼艦襲撃の際に出現した幹部、十二神将
今回はその時に遭遇したミラリアルではなく別の機体。
同じ階位を持つ十二神将の一人ゴステプトが軍勢を率いて襲い掛かってきた。
これまでとは違う敵。護法官と呼ばれるマリヤや遭遇戦ではなく……
彼らが有する戦力の本隊が襲い掛かってきたのだ!
加えて今回、彼らの軍勢はチトラへ。一方オズへは彼らを指揮するゴステプトが直々に向かってきた。
完全に統制された作戦指揮で最大戦力を分断し、各個撃破にしにきたのだ。
単純だが……合理的!
自分の戦闘能力に自信がなければできない。
セイバー・シルフとオズらは戦闘機動に入るが……
先の戦いのダメージ云々ではなく明らかに劣勢を強いられていた。
「電子装備が不調……?!それに……グレムリンの反応速度が…速い!」
「まさかここまで速く……いえ、遅かったぐらいです!」
「白い悪鬼!噂ほどでもなかったなぁ!」
セイバーシルフの戦果は想定されていた運用試験を考えれば目覚ましいものであった。
しかし戦いが続くにつれて大きな問題が表出することになった。
まず前提として量産していく計画であったがグレムリンは
研究開発班が身を寄せたアイリス・ヴァンガードのような組織的では量産できるが運用できるものではなかった。
パイロット確保が難しい、機械的に生産しても制御できない兵器であった。
加えて量産用に考慮されていた機械構成が大きく負担となってきたのである。
またセイバーシルフにとって致命的な……他のグレムリンと違って大きく劣るものとなる。
操縦制御系である。
グレムリンが高性能な機動兵器である一方、大きな不安定要素を抱えていた。
それが霊障である。
電子的制御以外にも未知で不可思議の介在によるオズワルドへの危険
思念制御型の操縦系統への干渉を危険視したP.Dにより
制御系統に電子装備と機械部品を挟み込み多様することで
ほぼ完全な機械制御を可能にしたのだ。
これにより緊急時にはテイマーではないP.Dにもセイバー・シルフを動かすごとが出来るようになったが
一方で他のグレムリンに対して制御系のレスポンスが大きくお劣る結果となった。
パイロットへの負担軽減を考慮した結果ではあるが、セイバーシルフとしたグレムリンはその性能の100%を発揮できずにいたのである。
先に挙げた領域での量産という前提がないまま、量産試作用の兵装や構成では
今後出現する白蓮天則の強大なグレムリンと戦うことはできない。
それはチトラが共に乗ってきたグレムリン、白蓮天則の悪鬼神像の性能を見ても明らかだった。
そこで開発陣とP.Dは一計を案じる。
開発研究プランの中から特化されたプランを選別し再設計を行う…新たなセイバー・シルフの開発である。
「だめだ!追いつけない!パワーが…出せない!」
「これは…特殊音響による増幅!まずいです!避けきれない!!!」
「まずは半身!」
随伴のグレムリンが掲げる錫杖が揺らめき、音叉のごとく音階が発生し
捕捉されたセイバー・シルフの装甲が軋む。
ブースター出力が狂い、減速したところを投擲された錫杖がセイバー・シルフの左肩を貫いた。
「ぐぁ……!」
「エマージェンシー発動!緊急時プロトコル操作……」
「ふぅん……まだまだだ!」
随伴のグレムリン従者ら錫杖を鳴らし音響共鳴結界を作り出す中で次々と錫杖が投擲され
セイバー・シルフは区画外壁に縫い付けられていく。
左肩、右足、右腕…そして喉
「P.D!?」
「オズさん!14番倉庫です!走って!」
セイバー・シルフが喉を貫かれた瞬間、機械制御でかろうじて
頭部チェーンガン、および腰のマウントされたスモーク・ディスチャージャーが作動。
緊急脱出のための時間稼ぎとなる。
「P.Dも!」
「行ってください!時間を稼ぎます!」
「逃がすと思っているのか!」
ゴステプトのアームが機関砲ごと握りつぶすかのようにセイバー・シルフの頭部を掴む!
「オズさん!行ってください!うおおおおおおおお!」
「ガラクタめ…望み通りバラバラにしてやる……!」
「……!」
走る。ただ泣いて、うつむいていて何かできたことはない……それを学んだはずだ。
14番倉庫は近い。今日この後に行く予定だったから覚えている。
たしかそこには……P.Dが話していた、テスト用の機体があるはずだ。
重いセキュリティ・ロックを解除すれば……14番倉庫が解放される。
「これは……!」
そこには煌めく2つの瞳を瞬かせ主を待つ騎士が操縦棺のハッチを開けて佇んでいた。
たった一人の主の危機を感じて既に待機状態に入る剣の騎士妖精が。
「... ... ... system reboot ok」
「... ... ... rest the ghost
「... ... ... dust to dust
「... ... ... july will be end」
「... ... ... thank you for your ... ... ... 」
!! enter the void s.... !!
!! enter the void se.. !!
!! enter the void s.... !!
!! enter the void sk.. !!
!! enter the void sky !!
!! enter the void sky !!
「システム移行もまだ……現状飛ぶだけしかできませんが、ここから脱出するには十分」
「貴様……!」
「ここでオズさんを奪われることだけは避けたいですからね!あなた方がやりそうなことなど!」
「しかしそれを宗主様は望んでいる!」
「やかましい!」
従者の脇腹を叩くように打ち出されたクローが両断するように粉砕
包囲していた機動兵器軍を焼き払ったイグナイター、チトラのドルニエクローがゴステプトへ鎌首を擡げる…
補助兵装として渡された武装をパージして。
「気色悪い曲に趣味の悪い戦い方!反吐が出るわ!」
「ガラクタの相手など元より手慰みよ。悪童が先か後かの違い!」
上下両断されたはずの従者悪鬼がそのまま二つに分かれ、また破壊されたはずの者らから
武装を誘引させまた一つになっていく。
拡張思念領域を用いた霊障兵器!
まさしく先の未識別融合体のように破壊してきたグレムリンらが集まっていく!
「これぞ融合共鳴読経会!汝らを教化せしめる最終説法顕現!」
「次から次へと!筒!七番から十三番のパッケージ順次射出!」
「この状況でですか!?いえ後先考えている場合じゃありませんね!行きますよ!」
「私だけでやって見せるわこんな下手物連中!」
未来傷跡連環希望祝福
◆8回更新の日記ログ
#8「お正月特番 総集編スペシャル」
「みなさん、新年あけましておめでとうございます!」
「今年も僕たちの戦いへの応援、よろしくお願いします。」
「ハッピー・ニューイヤー!クリスマスはどうでしたか?新年第一回の放送ですよ!」
「末広がりの八回目。今回は総集編を挟みつつ前半のおさらいをしていきますよ!」
(OPのイントロ)
(OPが終わりCM入る前の柱)
「番組の途中にるキーワードを集めてプレゼントに応募しよう!」
「最初のキーワードは”セ”」
※時間と余力がありませんでした。
※お正月特番をお楽しみください。
【未来】
【傷跡】
【連環】
【希望」
【祝福】
(新情報発表のような後半への話)
NEXT NEW SABER・SYLPH
(特徴的なイントロと黒塗りのシルエットに光るツインアイ)
(応募者抽選のプレゼントはゴールド・メッキコーティングのセイバー・シルフ)
◆7回更新の日記ログ
あまりに情けない結果だった。
ジャンクテイマーとの戦い。
いくらマシーン・セッティングプランの変更やフレーム換装のための訓練も兼ねているとはいえ
あまりに無様なもの。
ここ最近は特に思い悩み煩うことが多かった。
これから戦うことについての答えが出せない……
なんとか回収され、セイバー・シルフともども格納庫に収まり
操縦棺の中で答えの出せなかった問いに追い回され続けるのが怖くて怖くて仕方がなくて膝を抱えていた。
P.Dはここにはいない。フレームの換装手続きと装備設計があるだろうと一人にしてもらった。
撃墜。撃破。そして……その姿が、実体が迫ってこようとしていることも恐ろしい。
それを生み出す世界も人間も、そうなる人間も怖くて怖くて嫌で嫌で仕方がなくて
何もどうする気にもなれなくて膝を抱えて、丸くなってしまう。
このままでいれば……気が付けば自分の世界に帰れるだろうか。
そんなありえないことを考えて……ゆっくり、また涙が出そうになっていた。
(なんだろう……これ…)
そんなときに。
小さく、だが端末から音が聞こえる。
個人用に渡されている携帯端末ボードが鳴る。
こんな気分でも律儀に見てしまうのだが、それは見覚えのない相手からだった……
いや、聞いたことがある。あったはずだ。
(確かP.Dが言っていた……ガラヴァアーンに常駐するメンタルケアの人のアドレスだ。)
アイリス・ヴァンガードという白蓮天則に対する反抗組織。
その性質上乗務員や構成員のメンタルサポートを行うための匿名のサポーターがいると聞いていた覚えがある。
P.Dはお悩み相談の人と考えればいいと言っていたはず……
大体の人は彼女を大きな精神的支柱にしているし、将軍やチトラは必要な人間ではないもので忘れていた。
今回のジャンクテイマーとの戦いの結果を見ればわかる。
将軍奪還の作戦以後から始まっている不調。
迫りくる脅威が近い今だからこそあの時に何を感じ、何を思い煩っているのか。
(……)
少しの繋がりしかない外部の他人にでさえも聞いてしまうほどに考え続けてしまう今。
思い煩う何かを打ち込む指を止めるものなどなく、正直に打ち明けた。
「戦うのが……怖いんです。」
「自分がだれかによって殺される、死んでしまうことはもちろん怖いですよ。」
「でも殺してしまってあんなわけのわからないものにしてしまうような……」
「それが仕方ないとか、それが正しいとか思ってしまう……人間になりたくないんです……」
「戦い続けていたら、きっと…きっとそうなってしまう!」
「こんなのおかしいんですよ!あんなのも…間違っている……どうして……!」
最後の方は言葉にすることも難しかったが……
出来る限りを伝えた。
「戦うという行為は手段にすぎない。」
「白蓮天則も、どの勢力もジャンクテイマーも。」
「意志、目的、思想の発露や成就のために戦っている。」
「その結果を見てきた。」
「それが間違っていると感じたのならば、それを否定するために戦えばいい。」
「その意志を通す、発露するための手段として戦う。」
「殺すも殺さないも手段を用いる人間次第。」
「人間次第……」
「すべてはその目的、意志のため手段を用いる人間次第」
「そのために戦い、そのために負けないよう強くなればいい」
「……うまく、言えませんけど。」
「やってみます。」
「セイバー・シルフはそのための力」
「願えばその意志を表現してくれる力になるだろう。」
「セイバー・シルフが……」
操縦棺から出てすぐ見上げた先には、むき出しの瞳で少年を見続ける機械の巨人がいる。
「うん……やってみる。そうだね。そうだよ……うん。」
剣の騎士妖精。その名前をもつ機械の巨人の瞳は瞬く。
(これで本当に思うように戦う…強くなれるのかな……)
あの後、グレムリンでの本格的な戦い方の訓練だと
目隠しをしてヘルメット……操縦棺と繋がれたそれをかぶって。
光る剣、棒のようなものを振っている。
メンタルケアの人曰く、グレムリンは思念制御で動くものであるから、繋がってそのまま戦闘訓練をすれば自然と体も心もついていく。
また思念制御識の力を十分理解するためでもあるとか……
こうして目隠ししたまま何か浮いてるものを光る剣……
熱で切る剣ではなく衝撃を与える剣のようなもの
ショック・セイバーで自身に向かってくる浮遊標的をはじく訓練が始まったのだ……、
本日のニュースです
ジャンク財団は各地からコンテナを回収、集積しているようです
これが何を意味するか、我々はまだ察知していません
一説によると、ジャンク財団の新型グレムリンの開発に
何かしら関わっているというものがあります
我々の未来は、いまだ闇の中です
戦いましょう、生き残りをかけて……
本日のニュースです
巨大未識別融合グレムリンに対し、各地で迎撃が始まっています
青花師団の遊撃隊によって、安全かつ優位な位置へと誘導しています
遊撃隊の損耗は大きく、傭兵と真紅連理軍の最終防衛ラインに全てを託しています
戦火の傷跡は大きく、我々はいま試されています
本日のニュースです
小群島では白い鳥の群れが見つかったと話題になっています
鳥類は粉塵によってほぼ絶滅しましたが、
一部の種は生きながらえ、粉塵に適応しました
戦火の世にも、人々の連環を。我々はまだ、戦えます
本日のニュースです
領域に存在する次元の歪みに侵入し
まだ見ぬパーツや素材を手に入れられる可能性が高まっています
ヴォイド・エレベータと呼ばれる侵入システムがいま思念研究所で提唱されています
希望がある限り……私たちは、生き残れるのです
本日のニュースです
昨日、巨人の島でラジオの収録が行われました
巨大粉塵獣を追う企画で、何かの死体を見つけたようです
持ち帰るには大きすぎ、探検隊は粉塵獣の卵を手にタワーへ帰還しました
戦う人々に祝福を……我々は、生き続けるのです
■PROJECT VFMX-01■
───SABER・SYLPH───
セイバー・シルフはアメリカ陸軍のVFMX:Army Fighter Maneuver Experimental 計画により誕生した次世代戦闘機動兵器である。
1980年代アフガニスタンにてCIAと共に現地勢力の教育と反抗活動をしていたアメリカ陸軍は
現地山岳地帯でソ連軍が実践導入した攻撃ヘリや最新型AGM:オート・ジャイロ・マニューバ(歩兵装着型旋回機動装置)の脅威を垣間見た。
当時現地で試験及び現地勢力に供給していた携行式防衛システムFIM-43CレッドアイやFIM-92スティンガーは投入されたソ蓮のMi製航空戦力に十分効果を発揮したものの
それ以上の回避能力と攻撃能力を持つAGMという小型の航空旋回機動兵器の脅威を浮き彫りにする結果となる。
現地で活動してたCIAのエージェントと陸軍特殊部隊員のレポートを受けた国防総省は
今後ソ連によりAGMが第三国及び反米勢力に供給されることに対して備えなければならなかった。
特に山岳部や都市部という三次元的な攻撃機動能力を持つAGMは次世代の脅威と改めて認識されることとなる。
そこで国防長官は陸軍の要請により同時期に行われていた海軍のVFAX計画、空軍のVFX計画に次いで
VFMX計画という次世代の戦闘機動兵器開発プロジェクトを申請し大統領はこれを承認した。
単なる武装兵器の開発計画とは違い、近い未来に起こることが予想される次世代戦闘でのメインストリームとなる兵器の開発であったため
望まれる機動兵器に対する要求案件の会議は紛糾したが最終的に2つに絞られた。
AGMより高い機動能力を持つこと。
第三国でも展開できる量産性であることの2つである。
条件の1つであるAGMを上回る機動性は小型化に成功したジェットエンジンを搭載することで要求を満たし
量産性の問題は軽量化されたフレーム構造を採用することでこれらの条件をクリアする試みが行われることとなった。
また、この段階では人型ではなく小型航空機の形をとった高速迎撃機の形態を予定していたことも追記する。
しかし国内試験区域での試験中の事故によりプロジェクト開発チームが世界転移してしまう。
そこで出会ったのがグレムリンというフレーム構造の人型機動兵器とP.Dと呼ばれる自律思考機械であった。
グレムリンの重粒子イオン・パルス駆動と操縦棺、制御識にエンジン構造、およびP.Dとの出会いは研究員たちを大きく驚かせた。
これら別世界で生まれていた先進的機械技術は技術的な要求が高かったVFMX計画を大きく前進させるだろうことが明らかだったためである。
そこでチームはP.Dを頼りバンデーラ将軍やアイリス・ヴァンガードへの協力を取り付けるため
白蓮天則への抵抗運動への技術的な人員の協力を見返りにVFMX計画の開発を組織内で行えるよう便宜を図ってもらうこととなる。
加えて同時期に招かれた一人の少年による協力とグレムリンの提供もあり、抵抗運動と共にこの実機にてVFMX計画は開発試験が行われていくこととなる。
VFMX01と改められたグレムリンは適合者であり提供者である仮称:オズワルド・エコール少年がテストパイロットを務めることとなり
彼により”セイバー・シルフ”の名前を与えられ以後プロジェクトのメインテストマシーンの正式名称となる。
◆6回更新の日記ログ
チトラとバンデーラ”将軍”と共にオズとP.Dはアイリス・ヴァンガードのメンバーによって
とある場所に連れてこられていた。
そこは庭園船団ガーデン。
この粉塵があふれてしまった世界において世界救済のため環境復元と生物再生を目的とした研究機関の船団である。
その庭園船団の温室エリアの庭園にバンデーラ将軍とチトラがまず先に呼び出されオズとP.Dは待機していたが
しばらくして喧々な怒鳴り声の応酬が続いたと思えば……二人とも職員の男に引きはがされつつ戻ってきた。
よく見る光景ではあるのだが、こんなところでもとぼんやりと……オズが思っていたところ。
職員に促されたことで入る順番が回ってきた。
そこはこの粉塵広がる世界の中でも花が咲き、風そよぎ……
生き物の声が聞こえる場所。
環境再現、保護目的として秘密裏に作られて場所である庭園。
ここを知ったような……知っている口ぶりのP.Dに促されるままに人工庭園施設を歩いていく。
粉塵とは無縁である外の世界から来たオズからすればどこか懐かしさを感じる場所だった。
少し、川のせせらぎのようなものが聞こえた先で……待ち受けていたのが、彼女だった。
菖蒲財団の総帥である彼女……オフィーリア・カヴァラ
P.Dがスカウトしたアイドルの人であった彼女。
その才能と志から多くの人に愛され、引退の後も慕う者たちと共に
現役のころのコネクションや財力を用いて慈善及び福祉事業を粛々と続ける彼女。
そしてかつて将軍が白蓮天則という脅威を訴えた相手でもある。
つまり……アイリス・ヴァンガードの出資者でありそれを率いているのがオフィーリア。
彼女がオズとP.Dを呼び出した要件は顔を見る、見せておきたかったこと。
これは以前から予定されていたことではあったが急遽変化した情勢も加わり…
その目でみた白蓮天則の実態をオズから直接聞きたかったためである。
「こうして顔を合わせるのは初めてね。P.Dは久しぶり。」
「えぇ。アイリス・ヴァンガードの結成以後はお会いできる時間が限られていましたからね~!」
「こうして開いたお茶のお話が物騒になってしまったのは残念だわ。」
そうしてオフィーリアは問いかける。何を見てきたのかを。
オズは…ゆっくりと答えていく。
自分が見た白蓮天則という組織。
この世界情勢にあっても人々は賑やかに、生きている心の拠り所として存在していること。
根拠は不明だが、この世界から逃れるのではなく世界を救済するためここではないどこかを目指していること。
その希望のために旅をしているのだろうこと。
そして……彼らが行っていた祝祭。そして救済。
人を……人を資源として溶かす動力炉。転換炉へ放り込む祝祭。
そこへ人々のために捧げると喜んで身を投げていく者たち。
そこへ断罪だと悪人救済だと捧げられるように放り込まれた……最後まで抵抗していた者たち。
自分で見聞き……いや、体験したことを語るオズの顔色が悪くなっていたのか。
時折茶を薦めながら休憩を挟んだ。
その茶葉だけでも船が買えそうな世界で、勧められた菓子さえも手付かずだった。
全て聞き終えた後に深くうなずき、答える。
半ば白蓮天則の脅威という実在を探るための組織設立であったが
実態がわかり、この世界の人類にとっての脅威ということが分かった今。
これからの決断としては改めて戦うことを決意すると。
そして彼女自身から告げる。
グレムリンにアイリスのエンブレムを付けていない、身に着けていないあなたは
ここで降りることもできると。
今まで一応の協力者としていたが、このような実態が明らかになった今は
選んだほうがいいと。テイマーであるならいくらでも生きていける世界であるとも。
オズは答えを出さず…出せず、会合は終わった。
最後に菓子の包みと……この船団であるから可能な入浴の許可証を持たされて。
今回の作戦の労いらしかった。温室設備用の熱エネルギーを利用した温泉施設だという。
ペンギン諸島にある天然温泉以外の貴重な人工入浴施設がここにはあった。
入浴にはあまり馴染がないな、と思い。後回しにしてセイバー・シルフのところに行こうと考えていたところ。
チトラに何やら無理やり連れていかれることになってしまった。
あまりに突然で有無も言わさぬ権幕だった上にわけもわからず、足を踏み外しても半ば引きずられるように連れていかれてしまった……
P.Dはグレムリンについての用事があるから、とどこかへ行ってしまったが助けてほしかった…
入浴後、いや入浴中もよくわからなかった。
よくわからなかったというか……言葉にできなかった。
だからこそこのガラヴァーンの格納庫……整備エリアで再びセイバー・シルフの前にいた。
セイバー・シルフは緊急作戦後のジャンクテイマーとの戦いもあり隅々まで再分解され再構築されていく最中……
目の前の端末を開いてラジオをつける。
本日のニュースです
ジャンクテイマーを裏で支配する組織を
三大勢力はジャンク・ファウンデーション、ジャンク財団と名付けました
いくつかの企業が裏でジャンク財団に参入しているとの噂が流れています
我々の未来は、いまだ闇の中です
戦いましょう、生き残りをかけて……
本日のニュースです
未確認グレムリンの集合体に対し、翡翠経典の大部隊が先制攻撃を試みました
残念ながら、生存者はなく、データだけを回収した形です
翡翠経典は多くの戦力を失い、苦境に立たされています
戦火の傷跡は大きく、我々はいま試されています
本日のニュースです
氷獄ではいま絵本の読み聞かせが人気です
書籍行商船では絵本の人気が高まっているようです
霧の伝説の絵本は、いまでも人気の話です
戦火の世にも、人々の連環を。我々はまだ、戦えます
本日のニュースです
ジャンク財団の拠点と見られる島が虚ろの海で摘発されました
この島では秘密裏に新型グレムリンを量産する設備が整っていました
このような暴挙を許すことなく、我々は戦います
希望がある限り……私たちは、生き残れるのです
本日のニュースです
昨日、星の海にて海上映画祭が開かれました
戦火の中でも、愛の物語は人気です
人々は涙を流し、戦い疲れた体を癒しました
戦う人々に祝福を……我々は、生き続けるのです
ラジオを聴きながら……セイバー・シルフを眺めながら思う。あの巡礼艦で流れていたラジオ。
ジャンクテイマーに新グレムリンが、ジャンクテイマーが徒党を組んでいる……
この世界のことを思う。
白蓮天則だけではない。欲望のままにグレムリンという暴力をふるう者たちがいる。
その暴力をふるう理由は様々だろう。
それこそ将軍からチトラだってそうだ。二人とも戦う意志が強くある。
自分にはそれがない。
出来るからやっていただけで、ジャンクテイマーにも白蓮天則の人間にも憎しみはない。
戦ったとして……戦う。この巨大な暴力装置で戦うということは
自分も相手もどうなるかなど子供の自分だってわかる。
その先の……その先どうなるかを夢で見てしまったから。
いやただの夢ならいい、なにかの気の迷いと忘れられる。
だが……あれは夢というものではない。
おそらく夢で追体験をしている。何か……思念で繋がった何かを見ているような……
現実感ではないが、あれはこの世界での現実のものだと確信できるものが感じられた。
あの、実体のあるような、ないようなわからない空虚な操縦棺の中身に……
人が死んだらなってしまう。特にグレムリン・テイマーは。
それが……自分がなるか、するのか……
怖い。どちらも怖い。
みんなそのつもりでやっているのか?その……その覚悟があるのか?
自分にはない……そんなものはない。持ちたくない。
マリヤさんが自分を子供扱いするのはこれだろう。
自分は……グレムリンというロボットで戦うことが出来るだけの子供なんだ…
なりゆきで戦っているだけでしかない。
自分がいた世界に帰るその日まで……生きるために求められることをやっているが
それ以上はできない……あんなことになることなんて、できないし……したくはない。
帰りたい。
家に帰りたい……決して豊かとはいえなかったが
こんな暴力と欲望が常に溢れている世界にいたくない。
帰りたい……
あの庭園に入ったことも影響しているのかもしれない。
自分の家に帰りたい……
誰もいない、自動で想定されたメンテナンスシークエンスに入ったセイバー・シルフの前で……
声を殺して泣いた。
声を上げられなかったわけじゃない。
何も言葉にするごとが出来ず口に出せなかったから、声が出せなかった……
自分はどうすればいいんだろう……
無人の整備エリアに風がそよぐ。
オズの頬を伝う涙をぬぐうように、さらうように風がそよぐ。
なかないで
わたしがあなたを”まもる”から
なかないで
わたしがあなたを”はこぶ”から
なかないで……
◆5回更新の日記ログ
「これが白蓮天則のいう救済なんですか!?」
「これが、これがあなたの願いなんですか!おかしいですよ!!!」
「如何にも?衆生を救済し悪逆の徒を調伏するのが私の役割であり願いであるが?」
そんなことを微塵も思っていないことは子供のオズにさえわかった態度だった。
いやわかりやすく伝えているのだろう。お題目は唱えるがそんなことに心酔していない。
こいつらのようにな、と。
「しかし一人で来るとはねぇ。あのドロイドもつれていない。」
「たった一人で何かできると思ったのかい?敵地のど真ん中で。」
「感情に任せて飛び出してきてよかったのかい?」
じりじりとオズを包囲するように白蓮天則の僧兵が集まってくる。
バンデーラ諸郡は何事か訴えているが、完全に拘束されているため何も伝えることが出来ない。
「”将軍”を離してください!」
「”将軍”は今殺さない。こいつを捧げるのは明日の祝祭だよ。宗主様の前でな。救済さ。」
「撃ちますよ!!!」
「世界救済の巡礼の旅路を阻む悪逆の反徒を救済するのだとさ。よかったねぇ。一等席だよ。」
「撃ちますったら!!!」
「坊やは渡さないよ。連中に渡したところで”教化”されて戦力に組み込まれるのがオチだしねぇ。」
「マリヤさん!!!」
「捕らえろ。」
「おとなしくしろ少年!」
そこへ突如轟音と共に隔壁を破壊して乱入してきたものがいる。
オズのグレムリン……セイバー・シルフ!
テイマーはいないはずだが……
セイバー・シルフの頭部連装チェーンガンの砲火が僧兵らへ放たれた!
「やめろーっ!!!オズさんに手を触れるなぁーッ!!うおおおおっ!!!」
「うわあぁぁ!!!護法官殿!!こ、こいつは!!」
「ちぃっ!そういうことかい!AGMは!」
「だめです!全機交戦中です!」
「僧正殿の護法悪鬼”グレムリン”も迎撃に出ています!」
「謀ってくれたね!”将軍”を放りこめ!!」
「しかしこやつは明日」
「逃げられるよ!」
「宗主様がお許しには…」
「オプション選択!」
「爆発物!」
「愚か者!あれは」
言うや否や、左廃部に懸架されていたオプションを掴んだセイバー・シルフは
そのまま”それ”を祭祀場に放り投げた!
轟音が祭祀場に響くが……爆発はしない。
鉄板だ!グレムリン工学用の強化素材、鉄板を放り投げたのだ。
それらはちょうど僧兵らとマリヤの間、バンデーラ将軍の救出を阻むものへの壁をなった!
セイバー・シルフはさらに左背部懸架のマルチミサイルポッドからミサイルを……
断続的に射出し、混乱を巻き起こしながらオズを掴み
バンデーラ”将軍”を掴んで救出を成功させた。
「お待たせしましたオズさん!しかし肝が冷えましたよ!」
バンデーラを先にコクピット内部の後部へ押し込み
オズを収納してからコクピットハッチを閉口。
メイン制御権をオズに移していく……
「とんだ災厄だね!」
「護法官殿!あなたの護法悪鬼”グレムリン”はまだ動けません!」
「わかっている!」
「助かったぞ少年!」
「対艦粒子砲があるな!それを使え!動力部だ!構わんぶち抜いてやれ!」
「……!」
「P.D!対艦粒子砲を使う!」
「こ、ここでですか!?ここでは…いえ!わかりました!チャージ!!!」
右背部に懸架されてる試作の対艦粒子砲が展開。
シールドと狙撃ユニットが開かれ発射態勢がとられた。
「ボウヤ正気かい!?船が沈むよ!」
「発射!!!」
しかしその収束粒子砲撃は内部から機関部を爆発させる……ものではなく
内部から巡礼艦の甲板を打ち抜いた。
それが脱出の合図とも、唯一の脱出口ともなる。
「背部懸架装備パージ!発進と同時に爆破します!」
「同時に01”イグナイター”用の緊急ブースターを潜水艇から射出!チトラさんとの同期を開始!」
「装備中の02”セイバー・シルフ”用緊急ブースター起動!!」
「いかがしますか!」
「まぁもう無理だね……この様子だとチトラも逃げおおせるか。」
「まったく……」
未来の話は過去へ遡る……
◆4回更新の日記ログ
白蓮天則に対抗するための組織。
レジスタンス…抵抗勢力。アイリス・ヴァンガードの保有する特殊作戦用グレムリン輸送潜水艦のケージ。
粛々と新たに構築されたセイバー・シルフがそのケージ内に移送されていた。
そしてすべての工程を終えて、セイバー・シルフ改を操作し両手で固定ハンドルを掴み…
ガントリーロックに固定された。
スタッフも引き上げた後、それらを終えた後の最終確認にオズとP.Dはと立ち会っていた。
「えぇと…オズさん。機体のほうも万全です。それ以外が不安要素しかないのですが聞いてください。」
「えっうんどうしたの…?」
「先に出ていたチトラさんが既に戦闘を始めています…もう発進しないといけません…」
「どうして?」
「とにかくもう出ましょう!作戦の説明は道中でします!」
慌ただしくもガラヴァーンから発進したアイリス・ヴァンガードの潜水艇は
こんこんと…しんと静かに潜航しながら作戦遂行のために
息をひそめながら目標地点に向かっていく。
作戦遂行中に作戦の説明を今からしなければならないP.Dの心中とは真逆に落ち着いたものだ。
「本来想定される作戦は白蓮天則からの離脱者であるチトラさんに先導してもらって内部潜入し…」
「バンデーラ将軍を奪還する予定だった。」
「その通りです!彼らの事情に詳しいチトラさんにお任せして我々はサポートに回る予定でした!」
「ですが既にチトラさんが目標付近で戦闘を始めてしまったのでそれは廃案です…」
「もしかしてグレムリンで攻め落としてから奪還する予定だった?」
「考えても無駄です。将軍も手を焼いていた子ですから…彼女は彼女の強い考えと意志があるので…」
「というわけで我々がメインになります。我々のみで潜入しなければなりません。」
「僕たちだけで……」
「現状ポイント01で戦闘をしているチトラさん…01を囮に、02…オズさんには単身敵母艦に潜入してもらいます。」
「海中から潜水コースですね。ポイント02でリリース。こちらから小型潜水艇で出撃してください。」
「白蓮天則は今お祭りの時期らしいので、敵母艦には人が多く集まっているとのことです。」
「このご時世なのに、だからか人で溢れるような催事だとか…」
「それらに紛れて将軍を探してください。」
「簡単な作戦…いえ、それ以外取れる手がないので単純になります。」
「シンプルなほど臨機応変が効きますからね!」
「すいません気休めしか言えません……」
「おまけに私がバックアップでセイバーシルフで待機になるので先に言った通り…オズさん一人にさせてしまいます。」
「大丈夫、なんとかなるよ。」
潜望鏡による望遠映像が出る。
赤い錆の霧による視界不良により鮮明な画像はでない。
熱解析とデジタルな補正をかけるが…現在チトラと交戦しているためか熱源が多数浮かび上がってしまい
大まかなシルエットと対空砲火、ミサイル発射煙が共に映し出されている。
「潜望鏡からの解析映像……見えてきました。あれ白蓮天則の旗艦。護法巡礼艦です。」
「あれが…白蓮天則の旗艦でマリヤさんが率いている部隊の母艦…」
「五分後ポイント02に到達します。発進用意を。」
「了解。見つけてくるよ、将軍。」
「オズさん。くれぐれも無茶はしないでください。あなたはまだここで死んではいけません!」
「何かあったら頼んだからねP.D」
「お任せを!すぐ助けに行きます!」
子供故に身軽さと小ささでダクトからであったり
輸送貨物に紛れて潜入することが出来たオズ。
異様に整理された雑踏の中に…躓くように、転がり込むように。
ボロ布を纏って入れば……もうだれかはわからない。
この艦は巡礼者を迎え共に巡礼を旅をする船とされているためだ。
(ここが白蓮天則の護法巡礼艦の中……」)
(ただの町にしかみえない)
(それもこんなに賑わっている。活気がある。)
(こんな時にお祭りが出来るほどの組織……本当に…この人たちは…)
敵なんだろうか。
自分が戦わなければいけない相手なのだろうか。
白蓮天則が何者かはまだわかっていない。
だがこの世界が…世界が朽ち果て錆て滅んでいくかもしれない時
こういった人々が賑わって生きているところがある。
ここに来てから少し何かお腹の下あたりを揉み締めつけるような感じはあるがこの船の中は生きている……
三大勢力となにが違うのだろうか。
この白蓮天則も他と同じく……そういうところであって
自分のようなこの世界に流れてきて、戦う目的も理由もなく……
ただいるだけ、望まれて戦ってるような人が戦う相手ではないのかもしれない。
マリヤ・パヴロヴァが自分を子供扱いするのもわかってしまう。
この人たちはここで生きている……
自分はどうだ?自分はただ……
その時。音楽が流れた。雑踏の中でさえも荘厳に聞こえる……
鐘の音と共に。人々の耳を傾ける音が。
「これより護法官によるシャシン祭が中央部祭祀エントランスにて行われます。繰り返します……これより……」
「あぁ?!」
そのアナウンスが流れたのも束の間。
オズはいきなり生まれた人の流れによって押し流されてしまった。
アナウンスされてた何かを見るための人々の勢いにそのまま流されてしまったのだ。
(どうしよう……本来ならここで離れて将軍を探すのが一番だったというのに…)
大きく流されてしまったオズは、群衆と共にエントランスの入り口にまで流され……
そして
(ここが祭祀場……これから何の催しものがあるんだろう。)
そうして見えたのが……大きな建造物を中央奥に置いたエントランス。
その周囲には宗教装飾のような建造物がエントランスを囲うように並んでいた。
それらに整列する白蓮天則の人…おそらく信徒の人々も。
そして
(あれは……!)
バンデーラ将軍がいた。両脇を白蓮天則の兵士…僧兵に抑えられ
完全に拘束された状態で……いや、バンデーラ将軍だけではない。
他にも拘束された人々がいる。レジスタンスではみたことがない人々だ。
これは一体どういうことなのだろうか…?
オズが悩むのも一瞬。
音を立てて祭祀場が変形していく。
中央に大穴が開き、何か…何かすごい熱量を感じるうねりが顔を覗かせる。
いや……口を開けたというほうが正しいことにこの時オズは気づかない。
「衆生よ!明日、宗主様が我々の前にお見えになる!」
「これもすべてその捨身”シャシン”故に下賜された慈悲の萌芽である!」
聞いた声が音響設備を通して聞こえてくる。
これは……あのマリヤだ。マリヤ・パヴロヴァ……白蓮天則で護法官と呼ばれる女性。
なにやら宗教装束を纏って、中央で衆目に語り掛けているのが彼女だろう。
「しかしそれでもタワーより真の旅立ちはならなかった!」
「我らは世界を救済するため真の浄土へ旅立たねばならないというのに!」
あのタワーでの戦いのことだろうか。先のタワーでの戦い。
白蓮天則は世界救済のために別世界…浄土を目指し旅しているという。
その浄土からの声に従い旅していると。
その旅路が彼らへの抵抗勢力……レジスタンスであるアイリス・ヴァンガードによって失敗したからだろう…いや
「なぜか!そうだ!これは御仏に与えられた試練である!」
いや、いや。違う。これはただのお祭り前の挨拶ではない。
なにかが違う。この場所に流れる何か、そういう何かの流れが違う。
自分の知るものではない。何かよくないことが起きる……
決まって起きる時のうすら寒さが腹の底から上がってくる。
「より一層の救済をせねばならん!」
「そのためにもその身をもってこの船を救済の船となさねばらん!」
「さぁ信徒よ!その身をもって転換炉へ捧ぐがいい!捨身転浄を行うのだ!」
その言葉と共に。信徒である人々が開かれた大穴に飛び込んでいく。
何事か唱えながら皆、喜び、涙して進んでその身を投げていく。
シャシンとは捨身、身を投げうち捨て捧げること……
信徒たちは皆自ら進んで転換炉と呼ばれる大釜へ飛び込んでいく。
「あっ……あぁ……っ!!!」
「そして今なお御仏に逆らい群れる悪鬼もまた、調伏せせねばらなん!」
「調伏転浄である!」
僧兵らが捕らえた反抗者たち…捕虜を拘束していた首縄を
転換炉へ突き落し、解放していく。
先ほどの信徒たちと真逆。悲鳴が響く。
「うっ…あぁ……!!!」
転換炉が何かはわからない…いや、わかった。わかってしまった。
この船は…人間を動力に動かしている……!
人間を燃料にしている。
吐き気がする。腹の下から…湧きあがてくる、胃液。
考えてもみなかった。自分が……アイリス・ヴァンガードが戦う相手が
こんな……こんなことを是とし、させているなんて!
これが救済なのか…?これがマリヤが望むことなのか?
だがその恐怖と混乱よりも……それを一歩、湧き出た何かがオズを突き動かした。
「やめろーっ!!!!」
「ハッ……来たね、ボウヤ」
tips:アイリスは未来と希望の証
◆3回更新の日記ログ
傭兵基地を後にした二人は近場にある彼らの組織の秘密基地に一時退避していた。
所属を同じくするチトラはオズほど調子が悪くないものですでに別行動をとっている。
そこでオズ自身の回復も兼ねつつ、ここでタワーから脱出した際に搭乗したグレムリンの再整備、再点検、再装備をしているのだ…
「オズさん、意識のほうはどうですか?こちらから確認できるデータですと問題なさそうですが…」
「まだ少しぼんやりするかな……」
「では現状確認をしていきましょう!セイバー・シルフも改装中ですし将軍救出作戦までまだ時間があります。」
「うん、おねがい」
「まず我々はレジスタンス…いわゆる抵抗勢力です。これは未識別機体に対してではありません。」
「あの人たち…ジェトさんとリスプさんのいう人類の抵抗軍とは違うんだよね。」
「えぇ、ややこしいのですが……我々が戦っている相手は白蓮天則と名乗っています。」
「白蓮天則……」
「そこのディスプレイに表示しますが、ざっとこういう感じです。」
そこに表示されたのはP.Dがデザインしたのか。
檻に押し込められた鬼をモチーフにしたテイマーズケイジ
レッドコネクション、ハルシオン・スートラ、デルフィニウム・ディヴィジョンを表していると思われる…
エンブレムが描かれていた。
TsCと三大勢力の一応の協力関係に見える構図を。
「この世界には大きくわけて4つの勢力があります。グレムリンを供出したテイマーズケイジと三大勢力です。」
「大きな戦争があって、テイマーズケイジと三大勢力と二大構図になったんだったよね。」
「えぇ!その通りです。」
「ですがその陰に隠れて虎視眈々と…注意深く、闇に紛れる……いえ、光に重なるように勢力を広げてきた組織がありました。」
「それが……白蓮天則」
ディスプレイに表示されたのは…威圧的な文字が添えられた白蓮
そして相対する…アイリスの花
白蓮天則とレジスタンスの二者を表している。
「その通りです。彼らは三大勢力とテイマーズケイジの動向を伺いつつ、自分達の目的のため動いていたのです。」
「その目的は?」
「申し訳ありません。実は我々も詳しい動向やそもそもどういった組織背景なのか把握できていないのです。」
「白蓮天則から逃げてこれた人たちや同じくして脱出してきたチトラさんのお話」
「それらを集めたバンデーラ将軍の告発などがあり、このレジスタンスは結成されました。」
ある日のこと。
男が一人。皺の目立つ顔の女に訴えた。
彼女の護衛に強く阻まれているにも関わらず狂ったようにある脅威を訴えた。
狂人の妄言としか思えないその訴えを聞くものなど誰もいないと思われていた世界で……
だが女はその訴えを聞いた。
この世界でただ一人事情も知らないのに男の言葉を信じた。
そしてその日が新たなる希望と未来を求める始まりの日となったのだ。
「それでも彼らの詳細は知れず、しかしその陰はありと今も戦い続けているわけですね」
「何よりそれを裏付けるのは、戦闘を担う実働部隊との衝突でした。」
「彼らは白蓮天則の思想に反する、または逃げた者たちを捕らえて処刑するための実働部隊。」
「よくいる傭兵グループに偽装していましたが、我々との遭遇回数が増えたことから関連性がほぼ確定されました。」
「タワーで衝突していたのも彼らです。将軍を捕らえたのも彼らでしょう……」
「そして今から行く先も……」
「捕らえられた将軍は間違いなく彼らの母艦で処刑されます。その前に救出するための潜入ですが……」
「どうあっても戦闘は避けられませんね。特に実働部隊の長でありテイマーであるマリヤ・パヴロヴァは恐ろしい人ですよ」
「マリヤさん……」
何度も戦場で相まみえたその人物の名前をつぶやく。
今の調子と同じく、弱く頼りない声で……
あの燃え盛る憤怒の業火のようなテイマーを複雑な心境で思う。
「ボウヤみたいなのをねぇ…戦いに駆り立てる!」
「最低な人間どもを抹殺するのが私の願いだよ!!!」
セイバー・シルフのコクピットを両手で鷲掴みにするマリヤ・パヴロヴァは
怒り狂ったように己が駆るグレムリンの圧倒的パワーをもってセイバー・シルフを軽々と持ち上げていた。
まるで憤怒を動力にするかのようにそのグレムリンは……異常な力を発揮していたことを思い出す。
オズは人があれほどの怒りを持つことを見たことがなかった。
「……」
実態のわからない組織。
敵だという。戦うべき相手だという。
そのためのレジスタンスだと。
でも自分はそこまでして戦う相手なのだろうか。
この世界に偶然巻き込まれてグレムリンで戦うことになった自分。
小さい子供の体というのもあってパイロットに適しているとスカウトされた自分。
よくわからない武装組織の一員として、よくわからない武装組織と戦っている。
その相手がどんな相手なのか……知る機会が来た。
「白蓮天則……」
見えない幻に敢えて名前を付けて実態を持たせた。
自分には現実感がなく、そんなイメージしか持てない組織の名前ををつぶやきながら再度組み立てられる己のパートナー・マシン
セイバー・シルフへと改装されていくグレムリンをP.Dと共に整備が終わるまで見上げていた……
バンデーラ将軍の救出作戦。そのための潜入任務は近い……
◆2回更新の日記ログ
「ハッ……ハハハハハハハハ!」
”揺れ”は収まった。頭を揺らす声は収まった。
頭に響く鐘の音は未だに聞こえる時もあるが…
そういった不可思議なものが収まる時間が……彼らが抱えるテイマーより早かった。
それは適性か?それとも別の要因か。
なんにせよオズワルド、チトラ両名より少しだけ早かったのが彼らの不運だった。
そしてマリア・パヴロヴァにとって最大の幸運であった。
現に今ここで己らを阻むものはいない。
この目の前にいる男と…その取り巻きをどうこうする時間がここにあるのだから。
「将軍ンンンン!!!」
赤錆色のフレーム・グレムリンが掴む。
たった一人。将軍と呼ばれた男を。パワードスーツのような防護スーツを着た男。
飛行用のジャイロパーツすらもメシメシと軋ませ握りつぶしながら。
取り巻きの者たちが叫び火器を向けてくるも、小火器や対装甲火器は唸ることなく。
虚空よりフレームに”生えてくる”装甲、パーツ類。そしてケーブル類。
その中のケーブルらがうねり、軋んだのも一瞬。
将軍の取り巻きを貫き内側から振り回しズタズタに叩き割いていった……
「ここでは殺さん……わかっているだろう?お前たち無様な抵抗勢力に白蓮天則がぁ……何を以て処すか!」
「貴様の未来が今……私には見えようとしている!!」
──────
「なんということじゃ……それなら将軍はまだあの中に!」
「いえ事態はもっと深刻です。同伴したAGM部隊が全滅していました。」
オズさんの救援作業中に無線を傍受していたものの現状では不可能。
その上に将軍が連れ去られた後となっては単独でどうこうなどできようはずもなかった……と。
ガラヴァーンの格納庫で帰還した後の整備が行われているブロックでぐったりとしているオズと
サポートドロイド…PDは状況の確認を行っていた。
状況は最悪の最悪。
マイナスからのリスタートうぃ余儀なくされていた……
NEWS
予感は続くそれはまるで世界各地に共鳴する声
あるいは、混線したどこかの通信かもしれない
いずれにせよ、あなたは様々な声と感情を
意図せず受ける
????
「認証……思念接続……対流を……大規模な障害が発生しています」
グレイフロッグ『ジェト』
「領域間移動だ。タワー港湾部までヴォイド・エレベータを通る」
グレイフロッグ『ジェト』
「突っ切るぞ」
バグズキャンバス『ルキムラ』
「慣れないな、この亜空間移動は」
ヴォイド・エレベータ……この世界の不具合
世界の綻びを利用した亜空間移動
移動中に見えるのは、歪んだ空間
見たこともないマシンの残骸
グレイフロッグ『ジェト』
「次の階層がタワー港湾部だ」
バグズキャンバス『ルキムラ』
「俺たちは地下に潜っていったのに、地図上では平面移動なんだもんな」
グレイフロッグ『ジェト』
「出るぞ」
バグズキャンバス『ルキムラ』
「上空! 巨大反応! 粉塵の雲の上だ!」
グレイフロッグ『ジェト』
「落ちてくる!? これは……」
グレイフロッグ『ジェト』
「この位置と反応……十二条光柱が、落下してくる!?」
グレイフロッグ『ジェト』
「回避! 前進して抜けるぞ!!」
輝きを放つ光の塊が落下する
遥か空の上にあった、
「神」と呼ばれたものの落下
それは円筒状の……機械の塊だった
グレイフロッグ『ジェト』
「無事か?! ルキムラ」
バグズキャンバス『ルキムラ』
「何とか!」
バグズキャンバス『ルキムラ』
「廃工場が下敷きになったな……」
????
「おや、そこにいたのですが」
バグズキャンバス『ルキムラ』
「通信!? 誰が……」
総合開発高集積AI《フノ》
「わたしは、総合開発高集積AI《フノ》」
総合開発高集積AI《フノ》
「私は遍く世界に張り巡らされた知能」
グレイフロッグ『ジェト』
「ケイジキーパーか!」
総合開発高集積AI《フノ》
「わたしはケイジキーパーの権限を持っていませんが」
総合開発高集積AI《フノ》
「まぁそんなところでしょう」
グレイフロッグ『ジェト』
「各地で、傭兵たち、あるいは人々が戦っている」
グレイフロッグ『ジェト』
「三大勢力の研究所は、未識別機動体の掃討と共に」
グレイフロッグ『ジェト』
「領域覚醒によって、タワーへの道が開かれると言っている」
グレイフロッグ『ジェト』
「もうすぐ、お前たちのところまで行くぞ」
総合開発高集積AI《フノ》
「なぜ、抗うのです?」
総合開発高集積AI《フノ》
「世界は我々の手で正しく再起動され」
総合開発高集積AI《フノ》
「幸せな結末に向かって、再度やり直せるのに」
総合開発高集積AI《フノ》
「こんな壊れた世界を、放棄しない理由とは?」
グレイフロッグ『ジェト』
「約束したからだ」
グレイフロッグ『ジェト』
「一人の少女が、泣き顔で訴えていた」
グレイフロッグ『ジェト』
「この世界を、終わらせると」
グレイフロッグ『ジェト』
「そのために、力を貸してほしいと」
グレイフロッグ『ジェト』
「それこそが、自分の意味だと言っていた」
グレイフロッグ『ジェト』
「そして、少女は待っている」
グレイフロッグ『ジェト』
「タワーで待っているんだ、フヌは!!」
総合開発高集積AI《フノ》
「フヌが、ですか」
総合開発高集積AI《フノ》
「言っておきますが、フヌはあなたたちの演習データを」
総合開発高集積AI《フノ》
「ケイジキーパーに融通して、シミュレーションを完全にしていましたよ」
総合開発高集積AI《フノ》
「そのフヌを、信じるとでも?」
グレイフロッグ『ジェト』
「……俺はまだ、フヌに聞きたいことが山ほどある」
グレイフロッグ『ジェト』
「誰かに聞いた話じゃなくて、フヌ自身に」
グレイフロッグ『ジェト』
「だから俺は、フヌに会いに行く」
グレイフロッグ『ジェト』
「それが、信じる、ということだ」
総合開発高集積AI《フノ》
「そう……ならば、好きにすればいい」
総合開発高集積AI《フノ》
「どうせ、あなた方は理解するでしょう」
総合開発高集積AI《フノ》
「ヴォイドステイシスが完全なるマシンということを」
総合開発高集積AI《フノ》
「フヌも、私も、そう結論付けました」
総合開発高集積AI《フノ》
「分かりますか? この――絶望が」
グレイフロッグ『ジェト』
「……!!」
総合開発高集積AI《フノ》
「私たちは、何度も」
総合開発高集積AI《フノ》
「何度も、何度も、何度も、何度も、何度も」
総合開発高集積AI《フノ》
「あなた達が負けるのをシミュレーションしました」
総合開発高集積AI《フノ》
「フヌも、私も、最初はあなた達に希望を、ちょっとは、持っていたのですよ」
総合開発高集積AI《フノ》
「でも、もう諦めました」
総合開発高集積AI《フノ》
「あなたたちは、絶対に、勝つことはなかった」
グレイフロッグ『ジェト』
「……フヌは、諦めちゃいない」
グレイフロッグ『ジェト』
「……フヌは、この目で見るまで」
グレイフロッグ『ジェト』
「俺たちが負けるのを、信じない」
グレイフロッグ『ジェト』
「俺にはわかる」
グレイフロッグ『ジェト』
「フヌの思念が、俺たちを信じている」
グレイフロッグ『ジェト』
「お前たちは、世界に遍く存在する知能だと言ったな」
グレイフロッグ『ジェト』
「フヌの心を感じる」
グレイフロッグ『ジェト』
「傍にいるんだ、フヌは」
グレイフロッグ『ジェト』
「フヌは希望を失っても」
グレイフロッグ『ジェト』
「フヌは未来を、信じている」
総合開発高集積AI《フノ》
「ならば……証明してください」
総合開発高集積AI《フノ》
「約束の場所、神秘工廠『ゼラ』で――」
ここは渇きの海。砂漠と砂浜と何もない海だけが広がる
灼熱の潮流《ヴィシェラ》
「崩壊の時が来たようだな」
灼熱の潮流《ヴィシェラ》
「では未来で。その先で待つ」
布切れを身にまとった美女が、砂地で砂の城を作っていた
◆アセンブル
◆僚機と合言葉
移動
ユニオン活動
悪鬼潜水母艦【ガラヴァーン】の活動記録
その中の一角でアイリスの刺繍……アイリス・ヴァンガードのエンブレム。
抵抗と希望の証が胸に入った作業員がせわしなく働いている……
メッセージ
ENo.96からのメッセージ>>
チャルミィ
「わかったこと、それは……!?」
チャルミィ
「わからないことが、わかった……ということですの?
それは一つの大発見でしわ!!」
チャルミィ
「ワテクシの願いをかなえてくれる魔法使い、
ああ、でもむずかしいですわ。
もし叶えてもらうなら別のことをお願いしてしまうかもしれまてんわ」
----------------------------------------------------
ケーズ
「流石!同志!!
ケーズもそこが気になってるんだよ~~~><><><」
ケーズ
「アニマロイドという形を好み、
ただの人工知能ではなく、それぞれに個性や性格があり
まるで本当に自我や意識があるようにふるまう。」
ケーズ
「その中にはいったい何が入っているんだろう?
何か核になるものがあった?
再現するにはきっと、そこが足りないんだろう。
でもでも、なにが必要なのか?
答えは!!
本物のアニマロイドだけが知っているんだろうな~~~」
ケーズ
「だからこそ現役稼働中のアニマロイド随時募集中なんだけれど、
どこか今でも動いてるコがどこかにいるって信じてるよ。
メッセージありがとう!またいつでも送ってね☆彡」
----------------------------------------------------
チャルミィ
「ワテクシも聞いてみたいことがありますもの。
ドロシー様のおかげでちょっぴり勇気がでましたわ。
その方とお話してみようと思いますわ!」
送信ログ
◆15回更新のメッセログ
送信ログ
>>Eno.96 ドロシー
「う~ん、チャルミィちゃん。わかったこと!それは!」
ドロシー
「何もわからないということがわかったわ!」
ドロシー
「やっぱり魔法使い、探さないとだめかもね~?」
---------------------------------------------------
メール本文
「ケーズ様。とても不思議で、面白いお話でした。
私なら黒猫のアニマロイドが欲しいな~と考えていましたが
ケーズ様のお話を聞いて、ふと思ってしまいました。」
メール本文2
「アニマロイドにはアニマロイドの元になる何か……魂のような、存在が必要なんじゃないかと。
霊障と一言で言えそうですが、機械以外の何かを込めたり…また、そのカタチにあった器。
アニマロイドの姿はその何かがまずありきなのでは……」
メール本文3
「なんて、思ってしまいました。
私は機械にはそこそこ強いと思っていますがそちらはちょっとわからないので変な妄想になってしまいました。」
メール本文4
「といっても実証しようがない話なのでなんともかんとも!
私にはお手上げかもしれません。これ以上はちょっと難しいかな~って!」
メール本文5
「とても楽しく不思議なお話の時間でした。
もし魔法がかけられてアニマロイドが出来ましたらその時に~」
ドロシー
「私魔法はちょっとね~!」
◆14回更新のメッセログ
ENo.96からのメッセージ>>
チャルミィ
「まあ!では、魔法が使える靴なんてあればいいと思いませんこと?
キラキラな粒子がでる脚部をグレムリンに装備するんですの!」
チャルミィ
「なんでも知ってるわけじゃありまてんのね……
でもでも、少しでもワテクシが知らないことがわかるのなら
教えてほしいでしわ!」
----------------------------------------------------
ケーズ
「お返事ありがとう!(*'▽')
ふむふむ、なるほど!再現したい同志がここにも!
同盟をつくりましょう!!
でも難しいかもしれないですね~
ケーズもいろいろ試してみたんだけれど><」
ケーズ
「これはブログに書いてない(/ω\)ここだけの話!
アニマロイドには独自のシステムが搭載されている・・・
らしいんだ!!」
ケーズ
「ふしぎな話がお好きかな?ふっふっふ・・・
アニマロイドにはふしぎな話がたくさん!
そしてそれはシステムにも至る!」
ケーズ
「なんでもいろんな形にそのシステムを搭載したけれど
どれもうまく動かなかった。
けれど、アニマロイドの形・・・つまり
か~わいい~姿にしたら動くようになったんだとか!!」
ケーズ
「もしも君が自分が選ぶならどんな姿?
アニマロイドのシステムは自分自身の姿を選んだのかも!?
なんてネ!!!」
送信ログ
◆13回更新のメッセログ
送信ログ
>>Eno.96 ドロシー
「う~ん突風に飛ばされて来た、のは大体あてるんだけどね~
魔法が使えたらな~」
そんなとぼけた返事のビデオメールが届いた。
ケーズという人物がブログを書いていることとか、ブログの内容では昔の話らしいし
その人も昔のこととして話している。チャルミの話と違うところがあるとかなんとか。
ドロシー
「なんだかその人も良くわかってないみたいで。なんなんだろうね~?」
実際ブログからみてもこのケーズという人物の意図がわからないし
そもそもチャルミィが何者なのか、なんなのかもよくわかっていない。
何か重要な何かを踏み間違えない、踏んでしまわないように考えながら話していく。
ドロシー
「わからないことしかないなら、聞いていくしかないよね。
私から見てわからないこと、もうちょっと聞いてみるね。」
オズ
「そしてケーズという人物にメールを打ちこむカタカタッなアナログ音が響いて…」
---------------------------------------------------
メール本文
「ケーズ様 お返事ありがとうございまーす。
私もアニマロイド欲しいな、と思った人なのでもうちょっと詳しく知りたくなりました。
いないならドロイドで再現なら出来るかな~と考えたくらい。」
メール本文2
「でもそれならドロイド……機械仕掛けの人形ではいけない、アニマロイドにはならない理由って何かあるのでしょうか?
例えば特別な部品とか?アニマロイドをアニマロイドにする何か特別なものとか。
魔法使いがカカシやブリキの人形、ライオンに与える何かのように。
メカニカルな特徴が。」
ドロシー
「オッケー!送信完了!次回をお楽しみに!私も楽しみ!」
◆12回更新のメッセログ
ENo.96からのメッセージ>>
チャルミィ
「まあ!どなたかしら?はじめまして!
そう、ドロシー様とおっしゃるのね!
ワテクシはチャルミィといいますの」
チャルミィ
「もちかちて、
ドロシー様は竜巻に巻き込まれてやってきたのかしら?
黒猫のアニマロイド!なんだか魔法が使えそうですわ」
チャルミィ
「たくさんは飼えなくても
一匹を大事にすればいいのですわ!
かわりにうんと甘えんぼさんになるかもしれまてんわね」
チャルミィ
「まあ、まあまあ!本当に?
メッセージを送ってくださるの?
どんなお返事がくるかしら……」
----------------------------------------------------
ケーズ
「メッセージありがとう!!ブログを読んでくれたのかな?
アニマロイドのことそう思ってくれる人がいて嬉しー!!
ブログにも書いたとおり、残念ながら多くのアニマロイドは
すでに消えてしまった。
あるいは失われてしまった、それとも死んでしまった?」
ケーズ
「言い方はなんでもいいけれど、
アニマロイドはケーズの生まれる前の話!
だから実際に動いてるのや、きれいに形が残ってるのを
見たことがないんだ~~~」
ケーズ
「それでもパーツを集めて作ってみたんだけれど
やっぱり動かない!!動かないったら動かない!!
だから今もきっとどこかにいるアニマロイドのパーツや
情報を探してま~す!
貴方の身近なところにもいるかも?
情報ぜひぜひ、お待ちしてます!もちろんケーズが知ってることなら
なんでも聞いてね!!」
送信ログ
◆11回更新のメッセログ
ENo.130からのメッセージ>>
いつの間にか、少年とのビデオメッセージのやり取りが日常の一つになってしまっている。
妙な縁を持ってしまったものだ。そう思いつつ、届いたそれをいつものように開いてみたら、
アレクシア
「……はーん、なるほどねえ」
状況はよく分からない。が、何かあったのだろう。
見知らぬ女のきな臭く慌ただしいビデオメッセージから、それは間違いないように思えた。
アレクシア
「(どーしよっかなー……)」
アレクシア
「(ま、連絡来るでしょ。生きてたら)」
向こうの事情に下手に首を突っ込みかねない。ここでアクションを起こすことは得策ではないように思えた。
それに、律儀そうな彼のことだ。いずれ向こうから返事があるだろう。
強いて言うなら、それまで自分の為すべきことは、生き残ることだ。
そう判断して、メッセージは送らなかった。
送信ログ
>>Eno.96 ???
「あらら。こういうカワイイメッセージも来てたんだ。」
???
「突然ごめんね~オズ君ちょっとお休み入っちゃってさ。」
???
「代わりに私がブログのライターさんにメッセージ送ってみるね。
私は黒いネコ型アニマロイドがいいなぁ~」
ドロシー
「そう。私の名前はドロシー。オズの次に来たからドロシー。
知ってる?黒猫連れてるのよドロシーは。」
ドロシー
「あ~でも三匹は飼えないかも。私多頭飼いしないタイプなのよねぇ……」
そうしてドロシーと名乗った女はブロガー宛にメッセージを送っているようだ。
そんな姿が写っている。
ドロシー
「アニマロイド、とっても素敵な私たちのパートナーだと思いました。
今彼らにお会いしたいのですが~何か方法はありますか~ってね。ポチーッ」
◆10回更新のメッセログ
ENo.96からのメッセージ>>
チャルミィ
「うう……この前のブログに
アニマロイドはすごく昔に作られなくなったって
書いてありましたわ!
そんなはずありまてんわ!
だって、ついこの間までみんな居たはずなのに!」
チャルミィ
「だって、ついこの間まであんなに沢山つくられて
みんなのもとに行ったんですのよ?
いないなんてこと……」
チャルミィ
「そうですわ!これを書いてる人に連絡をすれば
お返事にはまだいるアニマロイドのことがわかるかも
しれまてんわ!」
チャルミィ
「白いアニマロイドもおりましたわ!
けれどすぐに汚れが目立ってしまう、と
言われていましたわ」
チャルミィ
「黒は三体連なれば星になれますわ!
そしてすごいアタックができますのよ!
つまりワテクシがあと二体いれば……」
送信ログ
>>Eno.130 ???
「はぁ~そういう感じね~マニュアルがコミックスなのはいいわね。
あっこれカメラ回ってるわ。」
アレクシアに送られた、少年からのビデオメッセージログ。
未識別融合体との戦いが終わった後のこと。生還報告か…はたまた
何かを得たか、失ったかの報告…かと思えば、再生されたのは全く知らない女の声だった。
???
「急ぎなもんでとシンプルメッセージになるけど許してね。
オズワルド君だっけ?彼しばらく出れないと思うからこの前のメッセージはこっちで保管しておくね。
思念制御拡張モニターこれでいいの?波形出てる?」
???
「別にそういう連絡オトナのアナタにはしなくてもいいんだろうけど
今までのメッセージ、確認したらやっぱそういうのよくないかなって。」
???
「渡世の義理、大事でござんすからねぇ~駆動キーこれでいいかな?」
???
「今までありがとうね、素敵なオトナのヒト。」
???
「あっそうだ。識別コードでオズワルド君見つけても近寄らないでね。
こっちもなんかよくわかってないからサ~コンデンサここかな……よっと」
???
「よぉ~し!セイバー・シルフMk-Ⅱ、出るよ!」
メッセージはそこで終わっている…
◆9回更新のメッセログ
ENo.130からのメッセージ>>
アレクシア
「ん~? 別にいいよ、謝んなくても。
私も面倒だったら返事してないし」
アレクシア
「……あ、さすがにお悩み相談室みたいに使われるのは困るけどね?」
実際のところ、正直言って面倒臭くはあった。
しかし、少年の様子を受けて、きちんと答えるべきだろうと思ったのだ。
この倫理もクソもない世界で、それでも人で在ろうとするのであれば。
アレクシア
「そうね。今はそれでいいんじゃないのかな。
冷たいかもしれないけど、それでも結局、やる時はやらなきゃいけないわけじゃない。
こんなご時世なんだから」
アレクシア
「その時が来るまで自分で考えたり、他の人の話を聞いたりして、目一杯悩んでおいたら。
どんな道を選ぶにせよ、さ」
アレクシア
「……そうやって悩めるのは、きっと大事なことだよ。
私と違ってね」
アレクシア
「はいはい、ご心配ありがと。
オズワルドくんも気を付けなさいね。見知った子どもが死ぬのは気分が悪いから。
それじゃ、また」
送信ログ
>>Eno.96 オズ
「あっ…ブログの…連載?なんでしょうか。
読んでいるとよくわかりました。」
P.D
「いやぁ宿命ですかねぇ。隣人として生まれてもそれがそれ以上の用途で出来る…
そうされてしまえば危険視されるのも無理はありません。
無力であるからこそ価値があると言いますか…」
オズ
「えぇと…でもそうなるともういないって…今はチャルミィさんだけ…?」
P.D
「いえまだ続くようですね!どうでしょう!アニマロイドを探しに行く…というのは
もしかしたらまだ現存する方がいらっしゃるかも……」
オズ
「お祝いしてくれたお礼もしたいですね。パーティーはまだかもしれませんが……」
P.D
「赤(金)に黒……いいですね!白いアニマロイド、いらっしゃいますかねー!
三倍のパワーですよ三倍!」
オズ
「白いと三倍なの…?」
P.D
「白はパワーが三倍!赤はスピードが三倍ですね!黒は……なんでしょうね!?」
◆8回更新のメッセログ
ENo.96からのメッセージ>>
チャルミィ
「んまー!本当に?!
お体がすっかりよくなったんですの?」
チャルミィ
「では、お祝いしなくちゃいけませんわ!
体がよくなったらお祝いのパーティーをしませんと!」
チャルミィ
「ブログ?ブログがあるんですの?
……、まあ!このブログを書いた人は
アニマロイドにとっても詳しいんですのね!」
チャルミィ
「この方はアニマロイドを知ってますのね!
ということは、この方に会えばどうしてアニマロイドを
見かけないのかがわかるのかもしれませんわ!」
チャルミィ
「それにほかのアニマロイドにも会えるかもですわね!」
チャルミィ
「鳥のアニマロイドは設計図や企画はありましたわ!
けれど手にあたる翼をどうするかで悩んで、
試作品も何点か作られましたが
商品化にはいたりませんでちたの」
チャルミィ
「まあ!P.D様は金色でいらしたの?
ピカピカでしたのね!でも今のお色もとっても似あってましてよ!
それに赤色を身にまとうと速くなれるという
おまじないを聞いたことありますわ!」
ENo.126からのメッセージ>>
クィリー
「てなわけで一曲作ってきたわ!
曲名は「恋するグリスターユニット」!」
クィリー
「バリバリのハードロックに乗せて
切ない思いで次元跳躍しちゃう少女の心を表現した力作で……」
クィリー
「ちょっと今なんとも言えない表情してない?
初めての曲作りなんだからしょうがないでしょ!」
クィリー
「ま、とりあえず聴いてみてよ。
コーヒーでも飲みながらね」
キャパシティー面の問題により、
このキャラクターは次回更新で退場します。
メッセージありがとうございました!
(返信不要です)
送信ログ
>>Eno.126 P.D
「人々が見た闇の中に瞬く光…夜空に瞬く光を”スタア”
また実体はあるのに自分とは違う、何かを見せてくれる”偶像”をアイドルと呼ぶわけですねぇ……」
P.D
「そうしたお話をしただけでも何かをクィリーさんが感じられたのなら……うれしい、それ以外の言葉はありませんね!
たとえ残滓だとしても誰かに何かを感じてもらえる存在……それがアイドルと伝えることが出来たのですから!」
熱く語るドロイドは純粋な子供というのは熱がこもり感情が思えるような声……
何か光るスティック握りしめて感涙しているような声色かもしれないのであまり気にしないでほしい。
P.D
「おおっとこれはいけない……つい熱量が……
確かに衣装デザインの打ち合わせはデータでやりとりができますが衣装の受け渡しや
機材提供をする場合は実際に受け渡ししたほうが安全ですね…!
輸送を誰かに任せるとアイドル衣装とグッズを狙うアイドル・ジャンクテイマーが出現するリスクがあります!」
オズ
「(そういう人いるのかな…)」
オズ
「えっと……今僕たちはフレームの乗り換えがあるので赤の海の真紅工廠スルトにいるんです。
でもいつもは移動拠点で生活してて……」
P.D
「珍しいかもしれませんが、潜水母艦を拠点にしているんです。
ですのでどこか海上で落ち合うことも可能ですよ!」
P.D
「収録スタジオがある拠点もありますからね……!
ジャケット写真とれる場所もあるんですよ!!
あぁ~はやく聞きたいなぁ~~~~~~~~~!」
オズ
「そ、その今たいへんな時ですから大丈夫そうな時で構いませんので…」
>>Eno.130 オズ
「……アレクシアさん。ごめんなさい。
その……色々大変な時だってわかっているのですが、どうしても聞かずにいられませんでしした。
勝手に聞いて、勝手に納得しているようで…僕もどういえばわかりません。」
アレクシアからのビデオレターの返事を受けた後。さんざん悩んで聞いた末のこと。
アレクシアの話から、話し方から大なり小なり汲み取ることはできた。
その中でも一番大きく感じられたのは、アレクシアは自分が思うような大人であったことだ。
この世界で培われたものがどうあれ忙しい時に子供の話を聞いて応えてくれる人はそう多くはない。
そして……そのような大人が返答を窮するような内容であり、それにも関わらず飾らず応えてくれたこと。
死にたくないから戦っている。あまりにシンプルで、飾らず、真実のようにすら思える内容を教えてくれる。
いや、ある種の真理なのだ。人間にとって……そして、死んだらどうなるかがわかってしまったこの世界では。
相手がどう考えていようが殺されないように戦う。死なないために…あまりに無情だ、
だがアレクシアは死なないために相手を殺すとは言っていなかったことも救いでもある。
戦うこと、すなわち殺すこととは思っていないか…それとも暗に結びついている人が故のかは判断できないが。
オズ
「その…お答えいただいたことに対して、どう答えていいのかまだわかっていません。
言葉に出来ませんでした。
人と戦うこととか命を……どうこうすることをどうしても肯定できませんでした。」
オズ
「……否定することも、今この状況ではできませんでした。」
オズ
「ですから……その……」
オズ
「ごめんなさい。何か言えるようになりましたらまた送ります。」
オズ
「アレクシアさんも、ユニオンのみなさんもどうかご無事で。
誰も…死なないことを願っています。」
ビデオメッセージはそこで終わっている……
◆7回更新のメッセログ
ENo.126からのメッセージ>>
(ドロイドとはいえ、純心な子に打算を隠してるみたいで
なーんか後ろめたいわ……)
クィリー
「(ま、いっか。Win-Winにできれば不誠実でもないし)
まだなんもやってないわよ。
でもそっか、希望と未来を信じて戦っていたテイマーもいたのね……。
なんか、そう聞いただけでちょっと勇気出てきたかも」
クィリー
「アイドルって、そういう希望を
過去から未来につなげていく存在なのかもしれないわね、P.D!」
そしてでけぇオーディオファイルが送信されてくる。
クィリー
「いや多い多い、多いって。
プログレスバーがめっちゃ重たいんですけど!
もらっとくけど、今度データやり取りする時は物理メディアにしない?
えっと、どこの船団にいるとか聞いてたっけ……
あたしは自前のグレムリン・キャリアーで寝起きしてるか、傭兵派遣先の宿泊施設で暮らしてるけど」
クィリー
「歌ねぇ、意見ありがとオズ君。
もらった楽曲で、なんか考えてみるわ。試作品できたら、試聴お願いね?」
ENo.130からのメッセージ>>
アレクシア
「あ~……あそこかあ。P.Dくん、大人気なんじゃない」
先日、彼女のグレムリンは真紅工廠[スルト]でフレームを勝手に換装されていた。
つい表情を渋くする。
アレクシア
「盗まれる……あそこの連中ならやりかねないな。
気を付けた方がいいよ、うん。
あと、変なフレームに変えられないように見張っときな」
アレクシア
「ジャンクテイマーか。
困るよねー、未識別機動体だけでてんやわんやしてるってのに……」
そして続いたあなたの神妙な様子と慎重な言葉に対し、暫し間を置いて、口を開く。
アレクシア
「まあ、そうだね。相手がその気なら戦うよ。
そうじゃなかったら、死ぬのはこっちでしょう」
アレクシア
「私はまだ遭ったことがないけれど、きっとそうする。
死にたくはないから」
アレクシア
「オズワルドくんは、抵抗あるんだ?
ジャンクテイマー……いや、人間かな。と、戦うの」
アレクシア
「……ま、そりゃそうだよねえ。普通に嫌でしょ。私も嫌だし」
こんなご時世だが、それでも。
自明であるように、そう言った。
送信ログ
>>Eno.96 オズ
「あっ…チャルミィさん。体のほうですがなんとか復調できました。一応その連絡だけ…
ご心配をおかけしました。」
オズ
「そうだ!色々なアニマドイドがいる。そういえば宣伝?なんでしょうか。ブログみました!」
オズ
「鳥、そう鳥です!鳥のアニマロイドって……いるんですか?」
P.D
「そういえば私も見たことがありませんねぇ~トリ。翼のあるアニマロイドはいたのでしょうか?極彩色の…いえゲーミング・バードとかではなく。」
P.D
「カラーといえば私、もともと金色だったのですが真紅連盟の居留地に寄った際に赤く塗装されてしまったんですよね…都合がいいのでこのままにしてますが…」
◆6回更新のメッセログ
ENo.96からのメッセージ>>
チャルミィ
「あら!
そんなに色のことを難しく考える必要はありまてんわ」
チャルミィ
「ピンクのウサギに、青いオオカミ。
いろんなアニマロイドがおりますの。」
チャルミィ
「ワテクシが超高性能でキツネ型だということが分かればそれでよろしいのですわ♪」
チャルミィ
「日々がこうもめまぐるしいとゆっくりする時間もありませんものね。
ああ、けれども一刻も早い回復を祈っておりますわ!」
チャルミィ
「P.D様のオシャレなお姿!きっとステキですわね!
着せ替えパーツや色をリペイントできれば可能性は広がりますわ」
送信ログ
>>Eno.126 P.D
「アイドルという偶像に関して言えることかはわかりませんが……あえていうなら本物でしたね!
己を通してその思いと願いを表現する活動としていた……そう、希望と未来を表現される方でした!」
P.D
「まだ自分は生きている。これを見ている……聞いているあなた達も生きている。
未来があるのだと……望むのだと。停滞した世界に風を吹かせるような人でしたね!」
P.D
「”真実”ですよねー!クィリーさんのそういうところですねーお声をかけてよかったと思えるのは。
この世界が夢か幻か、現実かも混ざりあった世界ですから。夢の中で揺蕩うだけのほうが楽かもしれない……つらい現実の中で目を覚ましていたくない。」
P.D
「だからこそやってみる価値があるんです!つらいことしかない現実でも……心を傾ける価値があるものを生み出すことが!
体験することが!どういう理由でも……この世界のために命を懸けて戦っている人から!」
P.D
「やったー!クィリーさん!世界中に届けていきましょう!世界に希望の風を吹かせるんですよ!!!!やりましたね!!!」
クィリーの考えを読み取れるはずもなく。無邪気に喜ぶドロイドと
いきなり降られたことに驚く少年が映し出される。
いきなりで驚いたのか手に持っていたプリンを落としかけてしまったが。
オズ
「えっ!?僕ですか!?あっはいテイマーです。オズワルド・エコールですけど……
う、歌とか?ラジオで……流したりとか?」
P.D
「その通りです!まず歌ですね!いえ、まずというよりやはり歌!これです!
特にテイマーなら機体に乗っていれば広域通信や領域通信で放送することが出来ますからね!
ダンスやトークもありですが一番広く届けられるのはこれですね!」
P.D
「というわけで楽曲データを添付送信しますね!!!参考になりそうなのをPUしておきましたよ!!!
ジャンルは問わずとにかく詰め込んでおいたので暇なときのラジオ変わりにしてもらっても大丈夫っですっ!!」
オズ
「すごい容量だけど……分割されてるし……」
そしてクィリー宛にえらい量の楽曲データが送信されたわけで……
>>Eno.3 にゃーん、と小さいメッセージのお返事が返っていったとさ。
トラ猫のお姉さんともどもよろしくね、と。
>>Eno.47 『オスカー・エコー』
「『ナイトフライヤー』へ。こちら『オスカー・エコー』救援感謝スル」
『オスカー・エコー』
「提供サレタ データハ 有効活用 サセテモラウ」
『オスカー・エコー』
「貴殿ノ フライトニ 幸運ト 祝福ノ風ヨ アレ」
【破壊情報】が提示されています。DLしますか?
rァy/n
rァy
>>Eno.130 アレクシアの疑念と警戒とは他所に転送の広告もないがビデオメールは続いて届けられる。
オズ
「(なんとなく察してくれたのかな……)」
ビデオメールから汲み取れる、汲み取れたそうした大人の対応が
信頼感というものを感じさせられるものがあった。
おそらくそういうことが、本人からしたら押し付けられているとの弁だが
アレクシアなら任せられるに値すると他者に思わせる要因なのだろう。
オズ
「あー……えっとアレクシアさん。
P.Dは今フレームの乗り換えのための手続きをやってもらっています。
なんていうか……ここですと赤…赤いことが存在しているだけで有利なんだとか……」
真紅旗艦に現在滞在していう、とも添える。
時折赤いドロイド故に抱えて盗まれそうにもなるのだとかなんとか……
オズ
「世界的な情勢からしてグレムリンの装備慎重や乗り換えが必要だって言ってました。
僕が乗るんですけどよくわからなくて……」
このような時世だから。ビデオメールでアレクシアが話す事柄が再び。
リーダーでもないのになんでそんなことを、というのは先に考えた通りこの人だからなのだろうが……
オズ
「その……こんなことをお聞きするのはおかしいとは思うんですけど……
最近の時世…ラジオで聞いたんですが…ジャンクテイマーが組織化しているって話で…」
オズ
「アレクシアさんは、アレクシアさんたちは遭遇したとして戦えるんですか?
理由があって戦えるとして……あぁなるかもしれない、してしまうかもしれない相手と……」
オズ
「すいません…その、ユニオンのリーダーみたいなことしている人なら何か……そういうことにはっきりしたものがあるのかなって……
他の人への行動指針とか規範もありますし…」
◆5回更新のメッセログ
ENo.3からのメッセージ>>
優先度・低に設定された、短いテキストメッセージが届く。
忙しそうなあなた達に、気を遣ったらしい。
藍の羽
「ご丁寧に、ありがとう。
また戦場で会ったら、助けてね。」
……添付ファイルがある。
開くと、誰かに抱えられた茶虎柄の猫が(縦に)伸びている画像だった。
>猫のおねえさんにもよろしく.png
ENo.47からのメッセージ>>
『ナイトフライヤー』
「''ナイトフライヤー''より''オスカー・エコー''へ、
救援索…ザザ…依頼…ザ…、承りました」
『ナイトフライヤー』
「敵機体の装甲…ザ…ザ…サンプルと解析情報を送ります、
お役立てください」
【破壊情報】が提示されています。DLしますか?
y/n
ENo.126からのメッセージ>>
クィリー
「へぇ、アンタちゃんと実績があるんだ。
前にプロデュースしたアイドルって、どんなコだったの?」
クィリー
「アタシもまぁ、バーチャルアイドルが無難だと思うわ。
人々の楽園はもう仮想現実の中にしかないもの。
薄汚れた地上には、今の世界の荒んだ現実を見せつけてくるものしか残ってない……。
ましてやアタシはテイマーよ。
カンタンに死ぬつもりはないけど、いつ未識別、粉塵獣やジャンクテイマーの手にかかるか知れないものを、無邪気に応援する人なんていると思う?」
クィリー
「アタシは正直半信半疑。でも、“だからこそ面白い”わ。
いいでしょうP.D。アナタにアタシが有名になる手伝いをさせてあげる!」
(それに、これだけ記憶野がしっかりしたドロイドってだけ貴重だしね……
アタシの知りたい知識もなにか聞き出せるかも)
クィリー
「それで、何から始めましょうかP.D?
そっちのキミは意見ある?
グレムリン・テイマーなのかな、オズ君? 面白いドロイド持ってるわね」
ENo.130からのメッセージ>>
通信類をチェックする最中、一件の電子ビデオメールを見て作業の手が止まる。
アレクシア
「(……抵抗運動の子か~……)」
念のため、厳重にウィルスチェックをしてからそれを開いた。
アレクシア
「……なるほどねえ」
アレクシア
「(誤送されたメールにヤバいのが入ってなくて良かったなー……)」
しかし、これを放っておくのも得策ではない気がする。まず身の潔癖を証明せねば。
オスカー・エコー宛てにアレクシアが送った電子ビデオメールの内容は、次の通りだ。
アレクシア
「オズワルドくんへ。アレクシアです」
アレクシア
「ご丁寧にありがとう。こっちもほとんど営業のダイレクトメールだったよ。
いやあ、ほんと逞しいよねえ。こんな状況なのにさ」
アレクシア
「……んん? 何の話かな。
私は間違いメールを転送しただけだったよね?」
抵抗運動? そんな単語聞いていませんが? と言う顔をしている。
君子危うきに近寄らずという奴だ。入る虎穴でもない、という判断。
アレクシア
「ふ、リーダー……してるように見える?」
アレクシア
「まあ、ユニオンのメンバーを募集してるのは間違いないんだけど。
このご時世どこも人手不足じゃない。
テイマーもスカウトマンも足りてないから、私が駆り出されてるってわけ」
アレクシア
「……いやあ、押し付けられてるだけでそんな褒められるようなもんじゃないよ。うん」
アレクシア
「そういえば、P.Dくんの方は元気かな。
この前の通信の最後、バタバタしてたみたいだけど」
送信ログ
>>Eno.96 オズ
「なんとか……大丈夫です。基地に迎えに来てもらったので…」
P.D
「えぇもちろん!心強いです!この先なにがあるかわかりませんからね!
是非ともお力を貸していただきましょう!来るべきときに!」
狐。黒いキツネ型。の、アニマロイドと聞くが
オズ
「……?」
P.D
「……?」
オズ
「黒い……狐……黒い……?」
P.D
「こ、この世界の固有種でしょうか……?」
オズ
「思い出した!確か……キツネの変異種がいるんだ!
色素が濃くなっている変異種で……」
P.D
「そうなんですか?!いやぁサポート用ドロイドとしてお恥ずかしい!」
オズ
「僕も見ることがなかったから……ごめんなさい」
オズ
「でも素敵なアニマロイドさんと合えてよかった。
まだ体の調子が良くはないですけど、お会いするときまでにはなんとかします。」
P.D
「いやー私も洋服が着れればオシャレ出来るんですがねーっ!!」
◆4回更新のメッセログ
ENo.96からのメッセージ>>
チャルミィ
「まあ!オスカー・エコー様は体調が悪くていらっさるの?
それは大変でしわ!
ワテクシにお手伝いできればいいのですけれど、護衛ならつとまるかしら?」
チャルミィ
「あら、じゃあプランAは存在しない?なんてことかしら!
ワテクシの名推理が破れてしまちたわ!!」
チャルミィ
「けれどそのプランも破綻してしまったのなら、
新しいプランを考えるときに呼んでくださる?
きっと挽回しますわ!」
チャルミィ
「P.D様、よろしくお願いしますわ。
そしてあなたがオスカー・エコー様?体調は?大丈夫でいらっしゃるの?」
チャルミィ
「んまー!失礼しちゃいますわね!
このお耳と、ふんわりした尻尾に、
しゅっとしたラインのマズルが見えませんかちら?」
チャルミィ
「どう見ても、
ワテクシは狐型の高性能なアニマロイドでしわ!」
ENo.138からのメッセージ>>
老人が二人、グレムリン用潜水艇の指揮所でチトラの銭湯補助管制をがんばっている……
女性管制官も手伝っているようだが
老人A
「えぇいなんちゅう対空砲火じゃ!」
老人B
「チトラ!そこじゃない!あぁそっちでもない!」
送信ログ
>>Eno.126 P.D
「あっよく言われるやつ!私は正常ですよ!正常に変化を遂げてこのメンタル!
アイドル候補生サーチ!アンド養成!それが生き甲斐ですよ!」
P.D
「ふむ……!ではクィリーさんの疑問にお一つづつ答えしましょう!
生身のアイドルはいたのか、となぜあなたをスカウトしたか……を!」
P.D
「まず最初の疑問を。この世界にも生身のアイドルはいますしいました。
それには私も関わっていた人もいますが……あぁ不穏なことがあったわけではありませんよ!
無事引退ライブまで開催できましたから。」
P.D
「ただこうした産業は時代の一つの輝きなのです。目新しさですね。
クィリーさんが知らない、存在を疑うのも無理はありません。
それは既に過去のものとなってしまったもの…それか不変のものとなったかが多いからです。」
P.D
「グレイヴネットでのヴァーチャル・アイドル産業も根強いこともあります。
手を変え品を変えても停滞した世界でただ与えられるなら手軽な方でいい。
そうした疲弊がこの世界に蔓延しているのもあるかと思います。」
P.D
「そして2つ目!これはもう一つしかないですね~直感ですよ!
いやー直感が正しかったですね。」
P.D
「投げかけられたお誘いに疑問を持ち、知りたい事柄の質問を問いかける。
自己を持ち、そんじょそこらでは揺るがない意志を感じますね~
自己の希薄な方には務まりませんからねアイドル。」
P.D
「あなたにはそうした、確立した自我”エゴ”、個として輝く魅力”カリスマ”があるということです。ヨッ!一番星!」
P.D
「そんなクィリーさんだからこそはじめにお話ししますが。
今世界はここれまでにない脅威がすぐそこにあります。
だからこそテイマーに向けられるヴァーチャルではない…生きたアイドル
テイマーだけではない、人々へも向けられたアイドル”偶像”が必要だと感じているんですよね~」
P.D
「知らない誰かであってもまだ生きる、生きていくことへのノゾミを届ける……
そういった存在をテイマーの中から生み出したい!それが私の今の願い!
まだこの世界で生きて戦うことをあきらめていない存在こそがテイマーではありませんか?!」
P.D
「いえ、まぁここまでお伝えしておいてなんですがめちゃくちゃハードル高いですね。
全体的に緊急事態で皆さん余裕がないのも百も承知の中での勧誘の上でのお願いですからね…」
P.D
「ですからまぁお断りしても問題ありませんよ!
私はクィリーさんとお話出来てよかったですからね!
ねぇオズさん?」
オズと呼ばれた少年
「僕は何も話していないけど……」
そう何か言葉を求められた少年にカメラのフォーカスが一度向けられる。
機体整備の最中らしい。頭部ユニットにあるチェーンガンの給弾作業中のようだ。
>>Eno.130 ピッと電子ビデオメールが受信される。
送り主はオスカー・エコー。オズワルド・エコールからだった。
オズ
「えぇと……これでいいのかな。アレクシアさんへ、オズワルドです。」
オズ
「こういうやり取りあまりしないものでこの前は慌ただしくてごめんなさい。
もうちょっとちゃんと送りたかったんですけど…」
付随されるように転送されているのはアレクシア・エコーズ向けの電子メールだ。
大体は伺っていた通り。商品紹介のダイレクトメールがぎっしり。
オズ
「あとその……この前はすごい混乱した状況だったので、色々忘れていただけると……
三大勢力とかと戦っているわけではないのですが……アレクシアさんにご迷惑がかかるようなことは避けたいので…」
いわゆる抵抗運動のことだ。あまりに混乱した状況だったのもあり、つい出てしまったし
それに漏らしたP.Dを咎めることもなかったからだ。
何と戦っているか、詳しくは言及しなかったが未識別機体の話でないことは確かであり。
オズ
「あっ……えぇと…そうだ。アレクシアさんユニオン?の人を募集されてるんですよね。
ユニオン?のリーダーなんですか?そういうお仕事とか……?すごいですよね……
大変な時期に大変なお仕事されてて……」
ちょっとした話題の転換か話題はユニオンの募集広告の話へ……
聊か強引かもしれないが、名前を聞いていたものでまず話題に出た。
>>Eno.3 オスカー・エコー
「支援ニ感謝。連絡遅レタ。
コチラ危機故創文短シ
繰リ返ス。支援ニ感謝……」
そんな短いメッセージが送られてきた。
少し前。タワー付近からいくつかの戦いのことだったようだ……
そちらのメッセージも受け取っていたが、連絡が取りづらい状況だったとも……
>>Eno.138 老人が二人、グレムリン用潜水艇の指揮所でチトラの銭湯補助管制をがんばっている……
女性管制官も手伝っているようだが
老人A
「えぇいなんちゅう対空砲火じゃ!」
老人B
「チトラ!そこじゃない!あぁそっちでもない!」
◆3回更新のメッセログ
ENo.126からのメッセージ>>
クィリー
「急に何よこのドロイド。
アンタどっかバグッてるんじゃないでしょうね<BR>」
クィリー
「<BR>/11/P.Dねえ……アタシはクィリー。
ただのラビットホール・バイオテック社の契約傭兵よ。アイドルじゃないわ。
アイドルっていうのは、グレイヴネットで見たことがあるけど<BR>」
クィリー
「<BR>あれって専らCGとか電子人工知能ってうわさじゃない?
生身のアイドルなんて見たことある? アナタは<BR>」
クィリー
「<BR>/10/というかこのアタシのどのへんを見てアイドルだと思ったのよ。
生まれてこのかた荒仕事しかしたことないんだけど!」
ENo.130からのメッセージ>>
アレクシア
「そうそう、安全な人。ただのしがないグレムリンテイマーだよ。
分かってるねー、P.D……くん?」
アレクシア
「こんな御時勢によくやるよねー。
まあ、こんな御時勢だからこそ、なのかもしれないけど……うん?」
抵抗運動? 聞こえた単語に疑問符を浮かべたのも束の間。
アレクシア
「いえいえ、どういたしまして。
そんな大したことじゃないしね」
アレクシア
「オスカー・エコーくん。……オズワルド・エコールくん。
ああ、オスカーの方がニックネームみたいな?
なんか良いねえ、そういうの。親しみがあって。
……エコールとエコーズも似てるねえ。こりゃまた間違えられそうだ」
アレクシア
「あー、お気をつけて。
急がなくていいよ。大した内容じゃないなら、何なら破棄してもらっても良いし」
慌ただしく切られた回線にものんびりと、あるいは気怠げに返し、
アレクシア
「……抵抗運動って言ってたなー。
もしかしてヤバい人に連絡した?」
独り言ちる。
が、思案はすぐに打ち切られた。
アレクシア
「ま、いっか。気にしない気にしない。
気にしてもしょーがない」
送信ログ
>>Eno.96 P.D
「これはありがたい!まさか我々以外の方からお返事があるなんて!」
P.D
「順調とは言い難いですね……余裕があればタワーからの撤退、指定場所への護衛をお願いしたいですね…
パートナーのテイマー、オスカー・エコーの体調がよろしくありません。」
P.D
「ちなみにプランBとはバックアップ・プランの略でして2番目というわけではないんですよねぇ~
いえ最初のプランは破綻してしまったのでもうAだかBというお話ではないのですが」
P.D
「おっとせっかく応えてくれた方にお話しするものではありませんでしたね!
ワタクシ、オスカー・エコーのパートナー・ドロイドのP.Dと申します。
あまり詳しくないのですが、ドッグタイプのヒューマンでいらっしゃる???
それともステキなフューチャー・アニマリズムのファッションですかね!」
オズ
「それともバーゲスト”黒妖犬”かな…?
あっ僕がオスカー・エコーことオズワルド・エコールです。こんにちは。」
◆2回更新のメッセログ
ENo.96からのメッセージ>>
チャルミィ
「ザザーッ……ザー……こちらチャルミィ…
…ルナール◇フネートルから応答してますわ。聞こえますかしら?」
チャルミィ
「ごきげんようオスカー・エコーさま!
プランBの進み具合はいかが?」
チャルミィ
「でもこういうのって勝手に応答しては迷惑でしたかちら?
何しろワテクシはプランBを知らないんですもの。
けれど、プランBということは
きっとプランAもあったのですわね。名推理ですわ!」
送信ログ
>>Eno.126 ???
「@???@/16/おや……???あなたは?????もしかして???」
???
「アイドルなのでは???
そう、ピン!ときましたよえぇ!」
???
「それともまだアイドルになっていない……???」
???
「おおっと!申し遅れました。私はこの領域でアイドルを探しているP.Dと申します。」
P.D
「プロデューサー・ドロイドでも構いませんよ!まぁ私のことはどうでもいいです。
そんなことよりアイドルしてますか????」
P.D
「世界は今混沌としています。世界が終わるかもしれない時。
テイマーに向けたアイドルは存在している。だがそれは古来より続く戦意高揚みたいなものです。
ですから今こそテイマーの中から人々に戦うこと、戦うこと以外……いえ戦いつつ人々に希望を送る存在が必要なのです。」
P.D
「「それがアイドル!救世の存在!!!!」」
P.D
「というわけでアナタははアイドルですか?それともまだアイドルではない…?二択から選んでくださるとうれしいですねえぇ。」
>>Eno.130 オズ
「えっ?あれ……本当だ」
???
「いやーこういうこともあるんですねぇオズさん。あっ大丈夫です安全な人ですよ。」
オズ
「チェックが早いよP.D…えぇとメールの確認と……あとお礼を……」
オズ
「商魂たくましいですね。我々のような抵抗運動をしている連中にはすごいありがたいのですが。」
ピポパポとかカタカタ音が続く……アクセスを受け取ってから記録を繋げたままのようで。
オズ
「えぇと……アレクシア・エコーズ”Alexia Echos”さん。
こちらオスカー・エコー"Oscaer Echo"と登録しています。
オズワルド・エコールです。連絡ありがとうございました。」
P.D
「こちらでもチェックしましたが同じ内容のメールがアレクシア・エコール宛に届いていますね!
ちょうど入れ違いに送られていたようです。いやーこんな時ですから混乱していたのでしょう。」
オズ
「それではこちらから転送して……」
P.D
「ぬあっ!いけません!潜航の時間とかぶりましたね…転送はまた後程!!作戦が近いもので今回はここまで!!」
オズ
「すいませんまた後で!」
◆1回更新のメッセログ
>>Eno.138 アレクシア
「どーも。オスカー・エコーくん?」
グレイヴ・ネット経由のアクセスがある。
送り主は「Alexia Echos」。
知らないアドレスだろうから、もちろん貴方は応答しないことも可能だ。
アレクシア
「えーと、君宛の通信がこっちに来ててね。
誤送じゃないかなあと思って、一応連絡したんだけど」
アレクシア
「私の名前がアレクシア・エコーズだから、名字だけ見て間違えたんじゃないかな〜……
そそっかしいよねえ」
アレクシア
「まー、そういうわけだから確認してもらえるかな。あ、もちろん中身は見てないよ。
……冒頭は見てるけど。判断付かなかったしね」
アレクシア
「もし私宛の通信がそっちに行ってたら、その時は教えてほしいな」
そうやって転送されてきた通信は、この度の戦いに託けた商魂逞しい企業からの営業メールであったり、何だり、様々だ。
送信ログ
◆戦闘結果
◆ダイジェスト結果
◆友軍からの通信
スター・スターシア中速【覚醒】
「生き残ってしまったからには、次の戦いに備えよう。」
>>友軍の戦闘結果
No.315 クリアランス音速【覚醒】【バーサーク】
「やりました! 報酬が楽しみですね!」
精算
経費 0
フラグメンツ獲得 30
【!】増殖 サイコハイプレッシャーは弾数が増加し 33発 になりました
あなたはフラグメンツと交換で水タンクを手に入れた……
あなたはフラグメンツと交換で水タンクを手に入れた……
あなたはフラグメンツと交換で燃える水を手に入れた……
【物資援助】あなたは[漏出撃]が付与された盾二脚を入手した……
夜空には静かに星が浮かぶ……(コンテナ入手率 16.45%)
キャラデータ
__0__1__2__3__4__5
__6__7__8__9_10_11
_12_13_14_15_16_17
_18_19_20_21_22_23
_24_25_48_49_50_72
_73_96120121122123
124