第3回目 午前2時のスリーピング・レイル
プロフィール
名前
スリーピング・レイル
愛称
スリーピング・レイル
経歴 記憶喪失のグレムリンテイマー。 自分に関すること、そしてこの虚空領域に関することは何一つわからない。 唯一「グレムリンの操縦」だけは体が覚えている。 『スリーピング・レイル』とは身に着けていたエンブレムに刻まれていた文字列。 (イラストはすのだ様からの頂き物です) |
僚機プロフィール
名前
ネグロ
愛称
ネグロ
経歴 元真紅連理所属、整備士の資格を持つ。 身長166cm 体重79cm 年齢43 両腕バイオ生体置き換え済 第一次七月戦役時、徴兵以来を受け真紅連理の強襲部隊に所属。 戦役中に左腕を失い、右腕を換金した後両腕をバイオ生体置き換え手術を行う。 現在まで拒否反応含む異常なし。 真紅連理降伏後、第一次七月戦役より消息をたつ。 その後、各地でゲリラ的活動の目撃情報有り。【僚機詳細】 |
◆日誌
『希望も未来も自らの手で絶って。今や、その傷跡だけがお前を物語る』
* * *
海に浮かぶその船に名前はなく、単に「継ぎ接ぎ幽霊船」と呼ばれていた。
呼び名の通り、戦艦や客船、時には航空機までをも継ぎ接ぎしてできている奇妙奇天烈な船。その上、ミアが見る限り、その一部にはタワーでは見慣れない技術も使われているようで、異世界からの漂流物すらも取り込んでいるのかもしれなかった。
グレムリン『スリーピング・レイル』が拾った通信を頼りにやってきてみれば、そこには一人の男がいて――ルイン、と名乗った「艦長代理」であるその男は、確かに『スリーピング・レイル』を受け入れ、『スリーピング・レイル』の持つ戦闘力を対価に、その乗り手たちの衣食住を保証してくれるらしい。
ありがたいことだ、と思う。その場ではほとんど何も考えずに飛び出してきてしまっただけに、これからどう生活していくのか、という点はミアの心配事のひとつであったから。
――そして、この男が、人並みの心配をしているのか、判断がつかなかったから。
ミアはちらりと、傍らの男を見上げる。
スリーピング・レイル。
名前にもなっていない名前を自分の呼び名として受け入れている男は、立ち尽くしたまま、分厚く薄汚れた窓硝子越しの外界をぼんやりと見つめている。
幽霊船に着いて、ルインから一通りの説明を受けて。自由に行動して構わない、と言われてから、レイルはずっとそうしている。ぼさぼさの白髪の間から覗く横顔を窺ってみても、何を考えているのかさっぱりわからない。
「何してんの?」
レイルはそこで初めてミアの存在に気づいたかのように、かろうじて髪に覆われていない側の、濃い茶色の目をぱちりと瞬いてこちらを見る。
「外は、晴れないのか、と思って」
「?」
ミアは、レイルが何を言ったのか理解できなかった。レイルも流石に察したのか、少しばかり困ったような顔をしながら、白い髭に縁取られた唇をもごもごと動かす。
「空が、……見えない、から」
――空。
ミアにとっての「空」とは、この、赤錆びた粉塵に覆われた暗い空だ。それ以外の空を、ミアは記憶していない。
ただ、知識として「知らない」わけではない。
かつて、七月戦役における重粒子粉塵兵器の濫用を経て、虚空領域全体が粉塵に覆われるより前。空は、明るい青色をしていたのだと。工場の大人たちから聞いたことがある。彼らの中には、青い空を己の目で見て知っているという者もいた。
レイルは、見た目だけで言えばミアの親くらいの年齢に見える。彼くらいの年齢ならば、青い空を知っていてもおかしくない――けれど。
「思い出したの?」
「いや、何も。ただ、空は……、こんな色じゃなかった、と思う」
ここまでの道中にも言葉を交わしてみてわかったのだが、どうもレイルの記憶障害は相当に深刻なものであるらしい。グレムリンで戦うことはできても、その理由はわからない。それだけならともかく、最低限の常識まですっぽりと抜け落ちてしまっているのだ。その常識のなさといえば、放っておけば粉塵の只中に防護服なしで歩き出していってしまうレベル。
これでは、小さな子供とほとんど変わらない。人の話を素直に聞いて従う姿勢があるだけマシではあるが、それでも、レイルの言動はどこかミアを不安にさせる。目を離したらどうなってしまうかわからない、という不安。
首をもたげてくる不安を払拭すべく、ミアは意識して胸を張り、声を明るくする。
「記憶が無いのは仕方ないんだし、さ。知らないことは、覚えてけばいいんだから。ただ、何か思い出したなら教えてね」
レイルはこくりと頷いて、やっと窓とその向こうに広がる「空」から意識を離したようだった。ミアはそんなレイルが羽織っているコートの袖を引く。
「ねえ、少し探検してみない? これからしばらくこの船で暮らすんだから、何があるのかは知っておかないと」
それから、……レイルのことも、知っておきたいと、思う。
何もかもを忘れてしまっているこの男が、一体何を思ってこの場に立っているのか。何故グレムリンを駆って戦おうとするのか。ミアには、まだ、わからないままだったから。
* * *
ミアに手を引かれながら、スリーピング・レイルは一歩一歩、幽霊船の中を歩いていく。いくつもの船が継ぎ接ぎになったこの船は、少し歩くたびに風景を変え、飽きることがない。
「見て、レイル! ちょっと埃っぽいけど、いい部屋だよ」
ミアが一つの部屋を覗き込んで歓声を上げる。ミアの背中越しに見てみれば、確かに小さいながらも整った部屋だ。窓がふさがれている代わりに、おしゃれなデザインのランプが天井から吊り下げられており、寝台をはじめとした設備もかなりよいものであるように、見えた。
「あたし、この部屋使わせてもらおうかな。レイルも、この辺りの部屋を使えば?」
レイルは頷くことも首を横に振ることもしなかったが、ミアの意識はレイルよりも部屋に向けられていて、それには気づかなかったらしい。部屋の中に入って、くるくると辺りを見渡す。
「うん、換気もできてるみたいだし、ちょっと掃除すれば大丈夫そう! あとでルインさんに掃除用具借りてこよう」
ルイン。この船の主。何故か「代理」らしいけれど、一体誰の代理なのか、レイルは知らない。重要なのは、グレムリンの武力の対価に、ルインがレイルたちに宿りを提供してくれるということ。記憶を失って右も左もわからず、行くあてもなかったレイルの救い主であるということ。それだけだ。
本当はもう少しルインについても色々と知りたいとは思うのだけれど、今はまずこの状況を飲み込むことが先だと思っている。レイルにとって、自分の周囲にあるものは何もかも目新しくて、全てが「知らないもの」であったから、ただ立っているだけでも目が回るような心地がする。
そんなレイルに気づいているのかいないのか、ミアはくるりと振り向いて、ぱっちりとした紫色の瞳でレイルを見上げる。
「あ、そうそう、着るものも用意してもらわないとだね。レイルだってその服、着たきりにするわけにもいかないでしょ」
服。コートの下にまとっている、体にぴったりと沿う防護服を見下ろす。操縦服も兼ねるらしいこれは、自分が「最初に」意識を取り戻していたときに着ていたもの。あまりにも体に合っているため窮屈さは感じないが、これを普段着にするのは流石のレイルも何かが違うな、と思う。その程度の感覚は「覚えて」いるらしい。
レイルの頭から爪先までをじっくりと眺め回した末に、ミアはわずかに眉間に皺を寄せて言う。
「あと、その髪と髭もどうにかならない? むさくるしいと思うんだけど」
「そう、かな」
「レイルは鬱陶しくないの? この前髪なんて、顔半分くらい隠れちゃってるし――」
伸ばされたミアの小さな手が、レイルの伸びきった前髪に触れて――その瞬間、ミアの表情が、目を見開いたまま固まった。どうしたのだろう、と思っていると、戸惑いを含んだ声が投げかけられる。
「こっちの目……、どうしたの?」
「目?」
「見えてないの?」
「……ああ」
意識をしていなかった、ということに気づかされる。自分で、左目の前に手を持っていく、けれど。その手が視界に入ることはない。
「そうだな。見えて、ない、みたいだ」
「みたい、じゃなくて。自分のことでしょ」
ほら、と、ミアの指が部屋の壁にかかった鏡に向けられる。レイルはそこを覗き込むことで、初めて「自分の顔」をはっきりと認識する。
冴えない顔つきの、中年の男。白い肌のミアと比べると幾分色の濃い肌、ぼさついた白い髪に、口の周りと顎に生えた無精髭。そんな自分を見つめ返す、少し目尻の垂れた茶色の目。その一方で髪に覆われていた片目は完全に白濁しており、使い物にならなくなっていることが、わかる。
これが、自分の顔なのか。
思いながら、手で顎を撫ぜてみる。目の前の男もまた、髭の生えた顎を撫ぜる。当然だ、これは鏡なのだから。レイルだって「鏡」は覚えている。
なのに、胸のどこかにちぐはぐな思いが生まれる。なるほど、と納得する一方で、まるで――赤の他人の顔を見ているような気持ちも、芽生えるのだ。
「僕は、こんな顔を、して、いたんだな」
「そう、これがレイルの顔。もう、忘れないでよね」
忘れたくて忘れているわけではない、と鏡の中の自分が唇を尖らせる。
「それじゃ、掃除しよ! 行こう、レイル!」
ミアがレイルに背を向ける。揺れる青緑の髪、小さな背中。その背中が、さらに小さくなったような錯覚を覚えて。
――ミア!
刹那、鈍い痛みと共に頭の中に閃く、声。
「――ミア」
思わず、唇を開いていた。けれど、頭の中に閃いた声と、唇から零れ落ちた声は、まるで別の響きをしていた。
「ん? どうしたの、レイル?」
ミアが振り向いて、目が合って。その瞬間、頭に響いていた痛みは霧散して、声もまた聞こえなくなる。レイルは何故不意にミアの名前を呼んだのか、自分でもよくわからなくなり、口をぱくぱくさせて。
「よ、呼んでみた、だけ?」
「何それ」
呆れた声と共にミアは部屋を出て行き、レイルも慌ててその後を追う。
幽霊船の通路に、今は二人分の足音が、響く。
【Scene:0003 継ぎ接ぎ幽霊船】
* * *
海に浮かぶその船に名前はなく、単に「継ぎ接ぎ幽霊船」と呼ばれていた。
呼び名の通り、戦艦や客船、時には航空機までをも継ぎ接ぎしてできている奇妙奇天烈な船。その上、ミアが見る限り、その一部にはタワーでは見慣れない技術も使われているようで、異世界からの漂流物すらも取り込んでいるのかもしれなかった。
グレムリン『スリーピング・レイル』が拾った通信を頼りにやってきてみれば、そこには一人の男がいて――ルイン、と名乗った「艦長代理」であるその男は、確かに『スリーピング・レイル』を受け入れ、『スリーピング・レイル』の持つ戦闘力を対価に、その乗り手たちの衣食住を保証してくれるらしい。
ありがたいことだ、と思う。その場ではほとんど何も考えずに飛び出してきてしまっただけに、これからどう生活していくのか、という点はミアの心配事のひとつであったから。
――そして、この男が、人並みの心配をしているのか、判断がつかなかったから。
ミアはちらりと、傍らの男を見上げる。
スリーピング・レイル。
名前にもなっていない名前を自分の呼び名として受け入れている男は、立ち尽くしたまま、分厚く薄汚れた窓硝子越しの外界をぼんやりと見つめている。
幽霊船に着いて、ルインから一通りの説明を受けて。自由に行動して構わない、と言われてから、レイルはずっとそうしている。ぼさぼさの白髪の間から覗く横顔を窺ってみても、何を考えているのかさっぱりわからない。
「何してんの?」
レイルはそこで初めてミアの存在に気づいたかのように、かろうじて髪に覆われていない側の、濃い茶色の目をぱちりと瞬いてこちらを見る。
「外は、晴れないのか、と思って」
「?」
ミアは、レイルが何を言ったのか理解できなかった。レイルも流石に察したのか、少しばかり困ったような顔をしながら、白い髭に縁取られた唇をもごもごと動かす。
「空が、……見えない、から」
――空。
ミアにとっての「空」とは、この、赤錆びた粉塵に覆われた暗い空だ。それ以外の空を、ミアは記憶していない。
ただ、知識として「知らない」わけではない。
かつて、七月戦役における重粒子粉塵兵器の濫用を経て、虚空領域全体が粉塵に覆われるより前。空は、明るい青色をしていたのだと。工場の大人たちから聞いたことがある。彼らの中には、青い空を己の目で見て知っているという者もいた。
レイルは、見た目だけで言えばミアの親くらいの年齢に見える。彼くらいの年齢ならば、青い空を知っていてもおかしくない――けれど。
「思い出したの?」
「いや、何も。ただ、空は……、こんな色じゃなかった、と思う」
ここまでの道中にも言葉を交わしてみてわかったのだが、どうもレイルの記憶障害は相当に深刻なものであるらしい。グレムリンで戦うことはできても、その理由はわからない。それだけならともかく、最低限の常識まですっぽりと抜け落ちてしまっているのだ。その常識のなさといえば、放っておけば粉塵の只中に防護服なしで歩き出していってしまうレベル。
これでは、小さな子供とほとんど変わらない。人の話を素直に聞いて従う姿勢があるだけマシではあるが、それでも、レイルの言動はどこかミアを不安にさせる。目を離したらどうなってしまうかわからない、という不安。
首をもたげてくる不安を払拭すべく、ミアは意識して胸を張り、声を明るくする。
「記憶が無いのは仕方ないんだし、さ。知らないことは、覚えてけばいいんだから。ただ、何か思い出したなら教えてね」
レイルはこくりと頷いて、やっと窓とその向こうに広がる「空」から意識を離したようだった。ミアはそんなレイルが羽織っているコートの袖を引く。
「ねえ、少し探検してみない? これからしばらくこの船で暮らすんだから、何があるのかは知っておかないと」
それから、……レイルのことも、知っておきたいと、思う。
何もかもを忘れてしまっているこの男が、一体何を思ってこの場に立っているのか。何故グレムリンを駆って戦おうとするのか。ミアには、まだ、わからないままだったから。
* * *
ミアに手を引かれながら、スリーピング・レイルは一歩一歩、幽霊船の中を歩いていく。いくつもの船が継ぎ接ぎになったこの船は、少し歩くたびに風景を変え、飽きることがない。
「見て、レイル! ちょっと埃っぽいけど、いい部屋だよ」
ミアが一つの部屋を覗き込んで歓声を上げる。ミアの背中越しに見てみれば、確かに小さいながらも整った部屋だ。窓がふさがれている代わりに、おしゃれなデザインのランプが天井から吊り下げられており、寝台をはじめとした設備もかなりよいものであるように、見えた。
「あたし、この部屋使わせてもらおうかな。レイルも、この辺りの部屋を使えば?」
レイルは頷くことも首を横に振ることもしなかったが、ミアの意識はレイルよりも部屋に向けられていて、それには気づかなかったらしい。部屋の中に入って、くるくると辺りを見渡す。
「うん、換気もできてるみたいだし、ちょっと掃除すれば大丈夫そう! あとでルインさんに掃除用具借りてこよう」
ルイン。この船の主。何故か「代理」らしいけれど、一体誰の代理なのか、レイルは知らない。重要なのは、グレムリンの武力の対価に、ルインがレイルたちに宿りを提供してくれるということ。記憶を失って右も左もわからず、行くあてもなかったレイルの救い主であるということ。それだけだ。
本当はもう少しルインについても色々と知りたいとは思うのだけれど、今はまずこの状況を飲み込むことが先だと思っている。レイルにとって、自分の周囲にあるものは何もかも目新しくて、全てが「知らないもの」であったから、ただ立っているだけでも目が回るような心地がする。
そんなレイルに気づいているのかいないのか、ミアはくるりと振り向いて、ぱっちりとした紫色の瞳でレイルを見上げる。
「あ、そうそう、着るものも用意してもらわないとだね。レイルだってその服、着たきりにするわけにもいかないでしょ」
服。コートの下にまとっている、体にぴったりと沿う防護服を見下ろす。操縦服も兼ねるらしいこれは、自分が「最初に」意識を取り戻していたときに着ていたもの。あまりにも体に合っているため窮屈さは感じないが、これを普段着にするのは流石のレイルも何かが違うな、と思う。その程度の感覚は「覚えて」いるらしい。
レイルの頭から爪先までをじっくりと眺め回した末に、ミアはわずかに眉間に皺を寄せて言う。
「あと、その髪と髭もどうにかならない? むさくるしいと思うんだけど」
「そう、かな」
「レイルは鬱陶しくないの? この前髪なんて、顔半分くらい隠れちゃってるし――」
伸ばされたミアの小さな手が、レイルの伸びきった前髪に触れて――その瞬間、ミアの表情が、目を見開いたまま固まった。どうしたのだろう、と思っていると、戸惑いを含んだ声が投げかけられる。
「こっちの目……、どうしたの?」
「目?」
「見えてないの?」
「……ああ」
意識をしていなかった、ということに気づかされる。自分で、左目の前に手を持っていく、けれど。その手が視界に入ることはない。
「そうだな。見えて、ない、みたいだ」
「みたい、じゃなくて。自分のことでしょ」
ほら、と、ミアの指が部屋の壁にかかった鏡に向けられる。レイルはそこを覗き込むことで、初めて「自分の顔」をはっきりと認識する。
冴えない顔つきの、中年の男。白い肌のミアと比べると幾分色の濃い肌、ぼさついた白い髪に、口の周りと顎に生えた無精髭。そんな自分を見つめ返す、少し目尻の垂れた茶色の目。その一方で髪に覆われていた片目は完全に白濁しており、使い物にならなくなっていることが、わかる。
これが、自分の顔なのか。
思いながら、手で顎を撫ぜてみる。目の前の男もまた、髭の生えた顎を撫ぜる。当然だ、これは鏡なのだから。レイルだって「鏡」は覚えている。
なのに、胸のどこかにちぐはぐな思いが生まれる。なるほど、と納得する一方で、まるで――赤の他人の顔を見ているような気持ちも、芽生えるのだ。
「僕は、こんな顔を、して、いたんだな」
「そう、これがレイルの顔。もう、忘れないでよね」
忘れたくて忘れているわけではない、と鏡の中の自分が唇を尖らせる。
「それじゃ、掃除しよ! 行こう、レイル!」
ミアがレイルに背を向ける。揺れる青緑の髪、小さな背中。その背中が、さらに小さくなったような錯覚を覚えて。
――ミア!
刹那、鈍い痛みと共に頭の中に閃く、声。
「――ミア」
思わず、唇を開いていた。けれど、頭の中に閃いた声と、唇から零れ落ちた声は、まるで別の響きをしていた。
「ん? どうしたの、レイル?」
ミアが振り向いて、目が合って。その瞬間、頭に響いていた痛みは霧散して、声もまた聞こえなくなる。レイルは何故不意にミアの名前を呼んだのか、自分でもよくわからなくなり、口をぱくぱくさせて。
「よ、呼んでみた、だけ?」
「何それ」
呆れた声と共にミアは部屋を出て行き、レイルも慌ててその後を追う。
幽霊船の通路に、今は二人分の足音が、響く。
【Scene:0003 継ぎ接ぎ幽霊船】
◆2回更新の日記ログ
NEWS
あなたは必要な情報を得るため、あるいは他の理由か強制的にグレイヴネットにログインしますそこで、奇妙なうわさを目にします
グレイヴネット・インターフェース
「認証に成功。思念接続を開始……対流域を確保。ようこそ、グレイヴネットへ!!」
傭兵『スコルパピー』
「なぁ、お前……聞いたことあるか? 例の噂だよ。みんな騒いでる」
傭兵『スコルパピー』
「知らないのか? 死んだはずの傭兵を見た、って噂だよ」
傭兵『スコルパピー』
「出所は分からない。誰が見たかも分からない。でも……」
カラフルスネイル『リスプ』
「なに絡んでるの、スコルパピー。知らないひとは知らないでしょ」
傭兵『スコルパピー』
「リスプ、お前だって……」
カラフルスネイル『リスプ』
「はいはい、止め止め。おしまいおしまい。心霊現象なんて、なしなし」
傭兵『スコルパピー』
「リスプ、お前……見ていないのか? 例の場所にアップされた例の画像」
カラフルスネイル『リスプ』
「は? 例の場所って……もしかして、霊障研究所ブログ? アクセスしてみる」
傭兵『スコルパピー』
「知らなかったのか、悪かった。でも、あの画像の機体は確かに、カラフルスネイル隊の……」
カラフルスネイル『リスプ』
「…………ッ!!!」
カラフルスネイル『リスプ』がログアウトしました
傭兵『スコルパピー』「ああ、悪い。説明しよう。リスプの昔の戦友……というか元リーダーの機体が、最近どこかで撮影されたみたいなんだ」
傭兵『スコルパピー』
「おかしい話だ。彼女は……リスプの師匠、『ルータ』は16年前、死んでいるはずなんだ」
傭兵『スコルパピー』
「何かあったら教えてくれ。俺も僚機を亡くしている。もしあいつが……いや、何でもない。じゃあな」
システム動作不良。権限がリモートで操作されています
風の門サーバーにログインしました
未識別機動体との戦闘領域が発生しています。チャンネルに接続します
スネイクパレット『ホーレツァー』
「こらっ、ジェト!😡なんだその射撃は!😡腰が入っていない!!😡😡😡」
グレイフロッグ『ジェト』
「……なぁ、ホッっつあん。この前リスプに会ったよ」
スネイクパレット『ホーレツァー』
「……」
グレイフロッグ『ジェト』
「変わってないようだった。あの時のまま、戦い続けている」
グレイフロッグ『ジェト』
「戦い続けている……ルータさんに囚われたまま」
スネイクパレット『ホーレツァー』
「分かるのか?」
グレイフロッグ『ジェト』
「変わらないエンブレム。それで十分わかったよ」
グレイフロッグ『ジェト』
「俺は……リスプを、助けたかった」
グレイフロッグ『ジェト』
「俺が戦えば、リスプを護れると思った
それは……幻想だったな」
グレイフロッグ『ジェト』
「リスプは俺を拒絶してルータさんの影を追って、俺は無力感のままリスプの元を去った」
グレイフロッグ『ジェト』
「……どうすればよかったのか、今でも分からない」
グレイフロッグ『ジェト』
「リスプが何度許しても、リスプが囚われ続ける限り、俺は許されないんだ」
スネイクパレット『ホーレツァー』
「ジェト、チャンネルに来客だよ😙ようこそ!🤗このオチャはサービスだから飲んでいってね😍ナンチャッテ😅」
チャンネルから退室しますか?(y/n)
ここは氷獄。どこまでも氷山が浮かんでいる
冷蔵庫の護り手『ヴィル』
「おーーーーさむさむ。ここは氷獄、よく来たな!」
冷蔵庫の護り手『ヴィル』
「幽霊も凍っちまうよ、こんな気温じゃよ!!」
モコモコの防寒具を来た男が釣りをしている
フライトレス・キャットは鉱石ラジオで強化された!!(素材消費)
◆アセンブル
【頭部】にフライトレス・ビークを装備した
【腕部】にCC-CA-01を装備した
【操縦棺】にサファイアコフィンを装備した
【脚部】に重鎮を装備した
【エンジン】に仮設ボイラー《グラスサーグ》を装備した
【索敵】にフライトレス・キャットを装備した
【主兵装】にアヴァランテを装備した
【副兵装】にフライトレス・フェザーを装備した
【背部兵装】にフライトレス・フェザーを装備した
【機動補助】に緊急推進装置を装備した
◆僚機と合言葉
ネグロとバディを結成した!!
次回ピグマリオン・マウソレウムに協賛し、参戦します
ピグマリオン・マウソレウム担当「フゥーッ!! アイドルしてる? いいね、あげる!!」
移動
東→へ移動し、北北東海域【氷獄】へと到達した
ユニオン活動
パッチワーク・ゴーストシップの活動記録
迷子の迷子の幽霊船。継ぎ接ぎだらけの幽霊船。
仮初の船長と集まって来た人達を乗せ、目指すのは粉塵の果て、霧の果て――
¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨
戦艦をもとに継ぎ接ぎに足された船に乗る人達や、その船と情報交換してくれる人の集まり。
仮初の船長と集まって来た人達を乗せ、目指すのは粉塵の果て、霧の果て――
¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨
戦艦をもとに継ぎ接ぎに足された船に乗る人達や、その船と情報交換してくれる人の集まり。
ミア
「賑やかなのは嬉しいな! みんなでご飯を食べたりして、一緒の時間を過ごせるの、ほっとするよ」
スリーピング・レイル
「この船、かなり、大きいけど。迷子にならないで、ミアさん」
ミア
「それ、絶対レイルの方が心配だよ」
スリーピング・レイル
「そんなに、僕、迷子になりそうに見えるのか……」
ミア
「もうちょっと、自分がぼんやりして見えるってこと、自覚した方がいいよ」
メッセージ
ENo.15からのメッセージ>>
ミア
「勝手に飛び出してごめんね、みんな」
ミア
「でも、心配しないで。元気にやってるから」
ミア
「あたし、今、スリーピング・レイルっていうグレムリンテイマーと一緒に、あちこちを巡ってるところ。何だか、危なっかしくて、ほっとけなくてさ」
ミア
「それに、あちこち巡っていたら、もしかしたら……、ううん、なんでもない」
ミア
「とにかく、あたしは大丈夫! また連絡するね! じゃあね!」
スリーピング・レイル
「ミアさん、どこに、通信してたの?」
ミア
「お世話になってた整備工場! 勝手に出てきちゃったからさ」
スリーピング・レイル
「……帰らなくて、大丈夫なのか?」
ミア
「うん。何よりも、レイルが心配だしね」
スリーピング・レイル
「僕、信用ない、んだな……」
ENo.140からのメッセージ>>
ハンプバック
「ハロー、ヒューマン。
こちらファータ・メガプテラ、どうぞ。」
ハンプバック
「……ほう?
通信ミスとは可愛らしいアクシデントだね。」
ハンプバック
「ボクは……ここいらではハンプバックと名乗っている者だ。
しがないグレムリン乗りといったところか。」
ハンプバック
「『グレムリンテイマー』、良い響きだ。
整備の心得があるガラクタ漁りなんて、おおよそ名乗り難いものだからね!」
ハンプバック
「そしてキミらが通信を受けている『彼女』がファータ・メガプテラ。
空を華麗に駆ける可愛らしい機体(いきもの)さ。
さて、これだけ話したんだ。
キミらの事もボクと彼女に教えてもらえないかい、ヒューマン?」
4件のメッセージを送信しました
>>Eno.51 >>Eno.51 >>Eno.96 >>Eno.15
ミア
「勝手に飛び出してごめんね、みんな」
ミア
「でも、心配しないで。元気にやってるから」
ミア
「あたし、今、スリーピング・レイルっていうグレムリンテイマーと一緒に、あちこちを巡ってるところ。何だか、危なっかしくて、ほっとけなくてさ」
ミア
「それに、あちこち巡っていたら、もしかしたら……、ううん、なんでもない」
ミア
「とにかく、あたしは大丈夫! また連絡するね! じゃあね!」
スリーピング・レイル
「ミアさん、どこに、通信してたの?」
ミア
「お世話になってた整備工場! 勝手に出てきちゃったからさ」
スリーピング・レイル
「……帰らなくて、大丈夫なのか?」
ミア
「うん。何よりも、レイルが心配だしね」
スリーピング・レイル
「僕、信用ない、んだな……」
ENo.140からのメッセージ>>
ハンプバック
「ハロー、ヒューマン。
こちらファータ・メガプテラ、どうぞ。」
ハンプバック
「……ほう?
通信ミスとは可愛らしいアクシデントだね。」
ハンプバック
「ボクは……ここいらではハンプバックと名乗っている者だ。
しがないグレムリン乗りといったところか。」
ハンプバック
「『グレムリンテイマー』、良い響きだ。
整備の心得があるガラクタ漁りなんて、おおよそ名乗り難いものだからね!」
ハンプバック
「そしてキミらが通信を受けている『彼女』がファータ・メガプテラ。
空を華麗に駆ける可愛らしい機体(いきもの)さ。
さて、これだけ話したんだ。
キミらの事もボクと彼女に教えてもらえないかい、ヒューマン?」
4件のメッセージを送信しました
>>Eno.51 >>Eno.51 >>Eno.96 >>Eno.15
◆戦闘結果
戦闘結果は*こちら*
◆ダイジェスト結果
◆友軍からの通信
北部海域【ペンギン諸島】の戦果通信
>>友軍の戦闘結果ザミエル音速【覚醒】
「こちらペンギン海域40ブロック。
未識別機動体12機と会敵し全機撃墜。どうぞ。」
>>友軍の戦闘結果
イゾルフ超速【覚醒】
「こちら、イゾルフ。任務終わったから温泉入ってくる!」
>>友軍の戦闘結果
ツィール・ブライ【必殺】
「終わりました~」
>>友軍の戦闘結果
P2停滞【覚醒】
「こちら『ペリュトン』のP2ッスよお~~
オレのいたとこは勝ったんで、安心してほしいッスねえ~~」
>>友軍の戦闘結果
ソラノ中速【覚醒】
「こちらソラノ、戦闘に勝利」
>>友軍の戦闘結果
バイロン中速【覚醒】
「バイロンから……面白い報告なんかねぇよ。
世の中に、また少しばかりゴミが増えた」
>>友軍の戦闘結果
クィリー中速【必殺】
「遺産のこと、通り過ぎただけでもちょっとは調べられるじゃない……
慌てん坊みたいなこと言ってソンした」
クィリー中速【必殺】
「にしてもラビットホール社協賛の4人って誰なのよ!?
アタシと同じ方向に進みなさいっての!」
>>友軍の戦闘結果
フィム
「おつかれさまー、みんな!
ぶじならいいけど… むりしないでね?
こっちはだいじょうぶ、つぎもがんばろー!!」
精算
報酬 30
売上 3
┗パーツ販売数 3個
今回の購入者-->>42 >>116 >>177
経費 0
フラグメンツ獲得 33
【!】増殖 フライトレス・フェザーは弾数が増加し 3発 になりました
【!】増殖 フライトレス・フェザーは弾数が増加し 3発 になりました
売上 3
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今回の購入者-->>42 >>116 >>177
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【!】増殖 フライトレス・フェザーは弾数が増加し 3発 になりました
【!】増殖 フライトレス・フェザーは弾数が増加し 3発 になりました
あなたはフラグメンツと交換で鉱石ラジオを手に入れた……
あなたはフラグメンツと交換で鉱石ラジオを手に入れた……
あなたはフラグメンツと交換で鉱石ラジオを手に入れた……
【物資入手】夜空に翻る影……何かが落下してくる!!
あなたは未開封コンテナを手に入れた……(特別配布)
東南東海域【南の島】の仲間がこのコンテナを求めている。頼んだぞ
キャラデータ
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所持品リスト
鉱石ラジオ
種別:鉱石ラジオ [素材]
零耐【付与】ガードトラック限定
[tips]重フライトレス・ビーク
[tips]
種別:鉄面頭部 [頭部]
零4耐4[tips]
鉱石ラジオ
種別:鉱石ラジオ [素材]
零耐【付与】リンクヘッド限定
[tips]鉱石ラジオ
種別:鉱石ラジオ [素材]
零耐【付与】大型ボイラー限定
[tips]鉱石ラジオ
種別:鉱石ラジオ [素材]
零耐【付与】アイアンソウル限定
[tips]中フライトレス・キャット
[tips]
種別:リコンキトゥン [レーダー]
零2耐2[tips]
鉱石ラジオ
種別:鉱石ラジオ [素材]
零耐【付与】ショックガン限定
[tips]中バトルシールド
[tips]
種別:バトルシールド [装甲]
零1耐4[tips]
鉱石ラジオ
種別:鉱石ラジオ [素材]
零耐【付与】エレクトロフィールド限定
[tips]軽未開封コンテナ
種別:未開封コンテナ [コンテナ]
零0耐0【未開封】
[tips]重フライトレス・フェザー
【装弾数】…… 3
[tips]
種別:術導重機関砲 [連射聖魔射撃火器]
零4耐3【装弾数】…… 3
[tips]
重フライトレス・フェザー
《広域DLパーツ:スリーピング・レイル(Eno15)からのDL》
【装弾数】…… 3
[tips]
種別:術導重機関砲 [連射聖魔射撃火器]
零4耐3《広域DLパーツ:スリーピング・レイル(Eno15)からのDL》
【装弾数】…… 3
[tips]
重重鎮
《広域DLパーツ:闇(Eno20)からのDL》
[tips]
種別:ウインタテリウム [多脚]
零2耐7《広域DLパーツ:闇(Eno20)からのDL》
[tips]
重アヴァランテ
《広域DLパーツ:ネーヴェ(Eno45)からのDL》
【装弾数】…… 1
[tips]
種別:パンツァークリンゲ [物理格闘火器]
零4耐5《広域DLパーツ:ネーヴェ(Eno45)からのDL》
【装弾数】…… 1
[tips]
中緊急推進装置
《広域DLパーツ:PHM(Eno46)からのDL》
[tips]
種別:緊急推進器 [ブースター]
零2耐2《広域DLパーツ:PHM(Eno46)からのDL》
[tips]
中サファイアコフィン
《広域DLパーツ:エリーゼ・ティンダーリア(Eno66)からのDL》
[tips]
種別:圧壁操縦棺 [操縦棺]
零1耐4《広域DLパーツ:エリーゼ・ティンダーリア(Eno66)からのDL》
[tips]
重CC-CA-01
《広域DLパーツ:クロウラー(Eno116)からのDL》
[tips]
種別:巨大腕部 [腕部]
零2耐5《広域DLパーツ:クロウラー(Eno116)からのDL》
[tips]
中ストレイ・キャットⅠ
《広域DLパーツ:アレクシア・エコーズ(Eno130)からのDL》
[tips]
種別:リコンキトゥン [レーダー]
零2耐3《広域DLパーツ:アレクシア・エコーズ(Eno130)からのDL》
[tips]
中仮設ボイラー《グラスサーグ》
《広域DLパーツ:スタンダール・《RL》・コタール(Eno149)からのDL》
[tips]
種別:大型ボイラー [ミストエンジン]
零2耐3《広域DLパーツ:スタンダール・《RL》・コタール(Eno149)からのDL》
[tips]