キャラ構築案
ここに出したキャラ案は一例であり、細部を自由に改変しても問題ありません
ヴォイドジェネシスによって作られた存在です歪みを背負った存在です
何も分からず全て「更新」されてしまいました
外海に飛ばされた傭兵です
キャラ案を見て、やりたいキャラが固まったら新規登録から、キャラの名前とパスワードの設定をするだけでキャラが登録されます! あなたのキャラの名前は……何ですか? いつか教えてくださいね
プリセット機体解説
パーツを揃えることで、基本的な動きを学べるパーツセットになります
最初に、初心者向けの動きが分かりやすいパーツセットを紹介します
次に、ある程度慣れてきた方向けのちょっと変わった機体を紹介します
演出画像
組み合わせて使える演出画像です。直リンクでの利用、改変、加工自由です演出画像として連続して設定すると、繋がって見えます


http://blacktea.sakura.ne.jp/RLoZ/LOGIN/PIC/machine/machine_shoot_00.png(上:射撃上半身)
http://blacktea.sakura.ne.jp/RLoZ/LOGIN/PIC/machine/machine_2_leg_00.png(下:二脚)


http://blacktea.sakura.ne.jp/RLoZ/LOGIN/PIC/machine/machine_drone_00.png(上:共鳴兵器上半身)
http://blacktea.sakura.ne.jp/RLoZ/LOGIN/PIC/machine/machine_r_leg_00.png(下:逆関節)


http://blacktea.sakura.ne.jp/RLoZ/LOGIN/PIC/machine/machine_kaku_00.png(上:格闘上半身)
http://blacktea.sakura.ne.jp/RLoZ/LOGIN/PIC/machine/machine_m_leg_00.png(下:多脚)


http://blacktea.sakura.ne.jp/RLoZ/LOGIN/PIC/machine/machine_rifleman_00.png(上:ライフル上半身)
http://blacktea.sakura.ne.jp/RLoZ/LOGIN/PIC/machine/machine_tank_00.png(下:タンク)


http://blacktea.sakura.ne.jp/RLoZ/LOGIN/PIC/machine/machine_string_00.png(上:ヒートストリング上半身)
http://blacktea.sakura.ne.jp/RLoZ/LOGIN/PIC/machine/machine_wheel_00.png(下:車輪)


http://blacktea.sakura.ne.jp/RLoZ/LOGIN/PIC/machine/machine_daggar_00.png(上:ダガー上半身)
http://blacktea.sakura.ne.jp/RLoZ/LOGIN/PIC/machine/machine_flying_00.png(下:飛行)
読み物とリンク
今から始める生産職のやり方【錆戦】情報屋の話【零力素材の効果】
情報屋の話【上手な火器の使い方】
まさか【ショートストーリー】
情報屋の話【作製】
情報屋の話【移動先】
情報屋の話【弾薬】
錆戦記事1000字スクランブル
ストーリー
第1更新
初回更新結果あなたは襲い掛かるシュヴァルベ ドライを撃墜し、生き残ることができた

「大丈夫か、くそっ、派手にやられてしまった」

「しかしまぁ、お前も『選ばれた』ということかもしれないな」

「世界中のあちこちで、テイマーに寄り添うように、錆びたフレームが出現している」

「不思議なこともあるもんだが、このチャンスを生かさない手はない。俺たちは……」

「こちら、カラフルスネイル隊の『リスプ』。退路を確保した。生存者は……って、ジェトか」

「1年ぶり、3回目だね」

「……」

「そちらの機体もついておいで。人類の反抗軍……その駐屯地にエスコートしてあげる」

「ちょっといいメシ食べて、旅立つのはそれからでも」

――第七仮設駐屯地
参戦に成功した傭兵や、逃げ延びた市民が集まり、仮設基地としている
集められた物資は潤沢とは言えないが、それなりに心を癒してくれるかもしれない

「ここは大きな港だったみたいね。まだ生きている船も多い。明日には、旅立つ人も多い」

「世界中に、助けを求めるひとがいる。グレイヴネットには、まだ生きている声がある」

「ジェト、あなたは……って、もう行くの?」

「俺は戦う。それが、俺の意思だ。じゃあ……な」

「……行っちゃったか。メシくらい、食べていけばいいのに。あなたはどうするの? まぁ、私が気にかけることでもないか」

「じゃあね。ご武運を。グレイヴネットで、あなたの活躍、楽しみにしているよ」
夜明けが近づいていた
謎のフレーム、生き残った者
長い、長い戦いが始まる
その夜明けの空を……赤い靄の間に、大型全翼機がゆっくりと通り過ぎて行った
第2更新
第2回更新結果あなたは各地で助けを求める人々のために、あるいはタワーを防衛するため、あるいは他の理由で戦いを始めた
確かに稼働しているグレイヴネット。そこに接続することで、様々な情報を得ることができる

「認証に成功。思念接続を開始……対流域を確保。ようこそ、グレイヴネットへ!!」

「はいはいー、私、フヌ! グレイヴネットより来る、思念の使者!! ひとは私を、ネットの妖精と呼ぶ……」

「というわけで、今回の零錆戦線もまた、私、フヌがあなたをサポートするよ。いっぱい頼ってね」

「零錆戦線、って言われても、って感じだよね。それは、この戦いのこと。世界を取り戻す戦いだよ」

「あなたにしてほしいことは一つだけ。フロントラインの確保だよ」

「グレムリンの持つ零力の光で、この闇に覆われた世界を照らし、我々の手に取り戻す」

「ま、その辺はグレムリン操作マニュアルにインストールされているから後で確認してね」

「じゃ、いっぱい戦って、たまにはここに戻ってきてね。ここにはみんながいるから、寂しくはないよ。じゃね~~~」
メールが届いています。自動展開します

「ナイスバトル😁おじさん関心しちゃったナ😉キミのファンになっちゃお😘」
メールを破棄しますか?(y/n)
第3更新
第3回更新結果あなたは必要な情報を得るため、あるいは他の理由か強制的にグレイヴネットにログインします
そこで、奇妙なうわさを目にします

「認証に成功。思念接続を開始……対流域を確保。ようこそ、グレイヴネットへ!!」

「なぁ、お前……聞いたことあるか? 例の噂だよ。みんな騒いでる」

「知らないのか? 死んだはずの傭兵を見た、って噂だよ」

「出所は分からない。誰が見たかも分からない。でも……」

「なに絡んでるの、スコルパピー。知らないひとは知らないでしょ」

「リスプ、お前だって……」

「はいはい、止め止め。おしまいおしまい。心霊現象なんて、なしなし」

「リスプ、お前……見ていないのか? 例の場所にアップされた例の画像」

「は? 例の場所って……もしかして、霊障研究所ブログ? アクセスしてみる」

「知らなかったのか、悪かった。でも、あの画像の機体は確かに、カラフルスネイル隊の……」

「…………ッ!!!」
カラフルスネイル『リスプ』がログアウトしました

「ああ、悪い。説明しよう。リスプの昔の戦友……というか元リーダーの機体が、最近どこかで撮影されたみたいなんだ」

「おかしい話だ。彼女は……リスプの師匠、『ルータ』は16年前、死んでいるはずなんだ」

「何かあったら教えてくれ。俺も僚機を亡くしている。もしあいつが……いや、何でもない。じゃあな」
システム動作不良。権限がリモートで操作されています
風の門サーバーにログインしました
未識別機動体との戦闘領域が発生しています。チャンネルに接続します

「こらっ、ジェト!😡なんだその射撃は!😡腰が入っていない!!😡😡😡」

「……なぁ、ホッっつあん。この前リスプに会ったよ」

「……」

「変わってないようだった。あの時のまま、戦い続けている」

「戦い続けている……ルータさんに囚われたまま」

「分かるのか?」

「変わらないエンブレム。それで十分わかったよ」

「俺は……リスプを、助けたかった」

「俺が戦えば、リスプを護れると思った
それは……幻想だったな」

「リスプは俺を拒絶してルータさんの影を追って、俺は無力感のままリスプの元を去った」

「……どうすればよかったのか、今でも分からない」

「リスプが何度許しても、リスプが囚われ続ける限り、俺は許されないんだ」

「ジェト、チャンネルに来客だよ😙ようこそ!🤗このオチャはサービスだから飲んでいってね😍ナンチャッテ😅」
チャンネルから退室しますか?(y/n)
第4更新
第4回更新結果あなたは必要な情報を得るため、あるいは他の理由からか、あるいは強制的にグレイヴネットにログインします
そこでは何か騒ぎになっていました

「認証に成功。思念接続を開始……対流域を確保。ようこそ、グレイヴネットへ!!」

「やはりそうだ……グレムリンが、未識別機動体に……」

「へへっ、ビビってるんでしょうか……スコルパピーさん……」

「ビビりもするさ……あのホーレツァーが……それに……」

「おや、そこの傭兵さんはまだ聞いていない? 興味深いですよぉ……」

「先日話した通りのことが起きた。撃墜されたはずのグレムリンとの戦闘だ」

「会話データだけですがねぇ……当事者たちはいまだ、行方知れずって話さ」
音声データを再生します

「……ホッっつあん! 後ろから来ている!!」

「見えている! だが、速すぎる……この動きは……」

「……ホッっつあん! どうしちまったんだよ、さっきから鈍いぞ!」

「機体の思念接続が上手くいかん!! ジャミングかもしれん、それに……」

「この動き……俺は、この動きを……知っている」

「ザッ……ザザーッ……こちら、グレ……リン大隊、……クパレット、2番機! 戦果、良好ォ!! ザザーッ」

「その声、ヘリエローだな!? 俺だ! ホーレツァーだ! お前、死んだはずじゃ……」

「様子がおかしい! 敵の動きが機械的過ぎる! いったん退こう、ここは……」

「すまない、惑わされ過ぎた……撤退を……ぐっ!!」

「ザッ……ザザーッ……こちら、グレムリン大隊、スネイ……ザザッ……番機! 戦果、良好ォ!! ザザーッ」

「いま助ける!! 持ってくれ……ッ!!」
音声データを終了します

「会話データだけアップされててねぇ、この二人は他に4機のグレムリンと行動していたけど、全員行方知れず、だよぉ」

「会話に出てきたヘリエローは16年前亡くなっているはずだ。それも重粒子粉塵兵器を受けて消滅。蘇生は不可能……」

「フレッシュの姉貴! 大変だ!! 各地の索敵報告を見てくれ……」

「来やがりましたねぇ……未識別グレムリン、だねぇ……」

「始まる……のか」

「いくよ! コープスメイデン隊は、俺か貴様が、死体になるまで!」

「死体になるまで!!」
第5更新
第5回更新結果あなたは夢を見ていました
巨大な光の河が東から昇り、西へ沈んでいく
その夜の明かりの下、靄をかき分けて視点が下がっていきます
やがて一つの戦場へとあなたの意識は降りていきます

「捉えたぞ! 未識別グレムリン!!」

「ザッ……ザザーッ……こちら、グレ……リン大隊、……クパレット、2番機! 戦果、良好ォ!! ザザーッ」

「操縦棺をばらばらにしてやる、幽霊め!!」
カエルのエンブレムの機体が、ノイズのちらつく機体を捕まえ、操縦棺をこじ開けます。そこには――


「なんだよ、これ……!!」

「ザッ……ザザーッ……こちら、グレ……リン大隊、……クパレット、2番機! 戦果、良好ォ!! ザザーッ」

「ちくしょう、お前はただの、影だ!!」
カエルのエンブレムの機体が、そのまま掴んだ機体をばらばらにします
火花を散らして爆散する、ノイズちらつく機体
あなたはそのままゆっくりと意識を失い、視界に光が満ちて、そして――

「認証に成功。思念接続を開始……対流域を確保。ようこそ、グレイヴネットへ!!」

「……よう、そこのテイマー……お前も、見たか?」

「あっ、ルキムラのなりきりアカウント」

「ま、なりきりでもいいさ。伝説の傭兵ルキムラがこんな所にはいないからな、それより」

「見たか? お前……そう、光の河が昇って、西へ……」

「見たならいいんだ。それを確かめたかった。俺だけが見たただの夢ではない、ということだ」

「頼みたいことがある。夢の続きを、ジェトを探してほしい」

「あいつは知っているはずだ、未識別グレムリンが何なのか」

「核心に迫っていなくとも、何か手がかりを持っているはずだ」

「【領域通信】を使えばジェトにも届くかもしれん。助けを求めているはずだ」

「なんでそんな確信を持っているのか……気になるのならば、答えておこう」

「俺は見たんだ。天使と、天国をな。少し、昔話をしよう」

「俺は伝説と呼ばれるまでに、戦って、戦って、戦い続けた」

「ある時、俺は命を落としかけた。機体は爆散。傷だらけのスーツは緊急遮断機構が働き皮膚ごと硬化」

「名前も知らねぇ島の海岸に打ち上げられて、じっと横になって目を閉じた」

「見たんだよ。夢をな。巨大な光の河が昇って、西へ……」

「そして、夢に天使が出てきて、海岸の向こうをずっと指さしていた」

「俺は海岸を歩いた。天使が導くままに。やがて、目の前に錆びついた機体が横たわっていた」

「天使はにっこりと笑って、自己紹介をして、消えていった」

「目が覚めて、天使の導いた方へ歩いて行ったら、錆びた機体が夢のまま横たわっていた」

「光の河の夢は、あの時のままだ。俺は助けられた。今度は、助ける番だ」

「だから、頼んだぞ、【領域通信】だ。頼む……この借りはいつか返す」

「……そう、天使。名前は『フヌ』って言ってたな。じゃあな」
ルキムラがログアウトしました

「フヌ……か。聞いたこともないな。不思議な名前だ」

「俺もジェトさんを探してみるかね」
スコルパピーがログアウトしました
第6更新
第6回更新結果――強化研究所からのレポート
未識別グレムリンは……いや、未識別機動体を含めて
死によって存在が消滅するはずが、何らかの理由で
「一部消去されずにデータが残っている」だけの存在になって
魂無きまま生前の行動をなぞるだけの……世界の不具合だという

「認証に成功。思念接続を開始……対流域を確保。ようこそ、グレイヴネットへ!!」

「……よう、ジェトは助けられ、未識別機動体の正体も分かりつつあるな」

「なんだい、ルキムラのなりきりアカウントかい」

「……強化研究所からの報告を見たか? 重要な情報が先ほどリリースされた」

「つまりは、未識別機動体というのは、世界に残された暴走中の空データということだ」

「ということは、それを完全に消去すれば、未識別機動体の増殖は止まる」

「それを突き止めるには、まだ知識が足りない」

「遺産知識と対流思念知識が必要なようだ」

「これを集めることで……ん、サイレンが……スクランブルのようだ」

「な、索敵データを……確認するんだよ! 早く! こいつは……」

「デカいぞ……何だコイツは」

「……何機ものグレムリンが、融合している……?」

「こちら雨音列島、搭乗フレーム・ティアダウナーは”巨大未識別”を確認しました」

「おおお~~~~!!? こちら南の島ァ!! デカいのがキテルぜぇ~~~~!!!??」

「アロン・グリッターバル、氷獄にて巨大未識別を確認! へへっ、震えちゃいねぇぜ!」

「…………
(カラカラと何かが回る音がする。小動物の鳴き声。座標は静かの海を指している)」

「対象の巨大未識別機動体を確認。解析を開始します」

「……完全に消す方法。過去の記憶、悲しみを……」

「かつて、グレムリン大隊は世界を護るために戦った。救うために」

「多くの命が理想のために散って、そして……世界は」

「変わらなかった。何も、変わっちゃいない」

「理想は、夢は、間違っていない。それに殉じることも、無駄じゃない」

「その結果が、その行く先が、こんな……混ぜこぜの壊れたデータだとしたら」

「許せないよ、世界を……私は」

「私は戦う。何もかもを終着させるために」
第7更新
第7回更新結果――あなたは夢を見ていました
大きな光の河が夜空の東から昇り、西へと流れています
あなたは広い海の上で一人沈むことなく海面に立っていました
傍には……ノイズ交じりの幻影が……
フヌが立っていました

「夢へようこそ。目が覚めたら戦いの始まり」

「でも今は、ゆっくり夢を見て、ひとときの平穏を」

「まぁまぁ、私のことはどうでも良し。でも、聞きたいことはあるかもね」

「この戦いが何を意味するのかとか、私の存在理由とか」

「そうだね、私は……グレイヴキーパー。墓所の護り手」

「死にゆく世界に手向けた花」

「そう、この世界って、終わるんですよ」

「ま、終わり方にもいろいろあるんだけど」

「世界の不具合……聞いた通り、この世界は致命的な欠陥を持っている」

「だから、この世界を安全に『終わらせ』なくちゃいけない」

「それが私の目的であり、意味ってわけ。今考えたの。上等でしょ?」

「世界が終わっても、あなたの存在が消滅するわけじゃないから、そこは保証するよ」

「終わった後にも、世界って続くものだからね」

「そう、あなたには協力してほしい。世界を終わらせるためにね」

「協力……まぁ、戦い続けるだけでいいんだけど、迷いなく、ね」

「あなたの光は、全てを消す光になるかもしれない。あなたの存在が……」

「《浄化》に抗うすべての迷いを消し去る――」

「そう、私は信じている」

「それはその、グレムリン・フレームもね」
ゆっくりとあなたの背後に、あなたの機体が浮上する

「やがてあなたの機体は、最終到達へと至る。だから、待ってる。私は……」

「あのタワーの中で、神秘工廠『ゼラ』で、待ってる」

「待ってるからね、絶対、迎えに来てね」

「じゃあね、しばらく、お別れだよ。ちょっと、忙しくなるんだ」

「次会うときは、今度こそ、『迷わないでね』」
気が付けばフヌの姿はノイズに消え、そして――
あなたは、巨大未識別のニュースで揺れ動く見知った世界へと、意識を取り戻した
第8更新
第8回更新結果――慌ただしくニュースが駆け巡る中、あなたは戦いに向かいます
巨大未識別融合体の討伐
未識別機動体からの防衛戦
ジャンクテイマーの掃討
――あるいは、別の戦いの場所へ

「認証に成功。思念接続を開始……対流域を確保。ようこそ、グレイヴネットへ!!」

「……やぁ、また会ったな」

「だいぶ傷は癒えた。ホーレツァーのおっさんも回復しつつある」

「君も……夢を見たか? フヌという存在が、語り掛ける夢」

「何度も聞いた気がする。そのたびに俺は、後悔の念に駆られる」

「墓所の護り手は、俺たちに何かを伝えようとしている」

「……聞いたことがあるだろう。この世界は、正しき歴史を迎えるため、何度もループしていた」

「そう、ダスト・グレムリンが巻き起こした騒動のことだ」

「もしかして、今この瞬間にも、世界は巻き戻っていて」

「俺はフヌの……泣き顔を、また見ていたのかもしれない」

「――彼女は、『浄化』について話していた」

「なぜ、フヌは本当のことを話してくれないんだろう」

「この世界の仕組みとか、それを脱する方法とか」

「考えていてもしょうがない話だけれど、フヌにはきっと喋れない理由があるはずだ」

「そして、俺は真実を聞いて『迷う』のだろう」

「そしてフヌの思惑は失敗して、世界は再び繰り返す」

「世界の仕組みをどこか致命的に歪めながら……そういうことなんだろう」

「世界が壊れるとか、浄化に向かうとか――そういうことなんだ。俺は、たぶん知っている」

「君はどうだ? 何かに気付いているか? それとも、戦うことのほうが重要か」

「いや、長話すまなかった。急に話されても困る話題だったな」

「話したかった。君とは、何度も出会った気がする」

「いや、繰り返す世界の中で、幾度となく出会い、共に戦い、忘れてきた」

「俺は向かう。フヌと約束した場所……神秘工廠『ゼラ』へ」

「君もいつか向かうだろう。その場所で、出会うのだろう」

「今度こそ、俺はもう『迷わない』。じゃあな、失礼した。君の戦いに、星の光の加護あらんことを」
――巨大未識別、融合を開始!!
――間を縫って未識別機動体、多数侵入! 迎撃を!!
――三大勢力の部隊は、すでに壊滅状態だ!
――ジャンクテイマーの部隊が、混乱に乗じて侵攻を開始しています!
――迎撃の数が足りない……このままじゃ……
――友軍のシグナルを確認!
――傭兵たちだ!!
――頼む、敵を……俺たちの部隊は全滅だ
――あの数の敵を前に、戦う者がいる……だと!?
――まさかな……あいつらならやるかもしれん
――頼んだぞ、俺はもう、ここまでだ
――任せたぞ! 突破口を開け!!
――ヒャッハー! 俺たちは、まだ戦える!!
――ルートを確保! ここは任せろ! お前たちに託した!
――世界の不具合だか知らないが……
――俺たちが生きる限り、俺たちは……未来を掴む!!
第9更新
第9回更新結果――崩れ去る巨大未識別融合体
波が引くように勢いを弱めていく未識別機動体
ジャンクテイマーもまた、じっとその息をひそめ
一つの戦いが、終わったのだ

「■■■からのアクセス。思念接続を開始……対流域を確保。ようこそ、グレイヴネットへ!!」

「おい、空をみろ!! あの高高度全翼機……こっちに向かっている!! 航空者だよ!!」


「……虚空領域に戦う者よ、よくやった。《ファントム》の撃破により、浄化の時は近い」

「航空者が喋っている!!?? 何が起きているんだ」


「《ファントム》……君たちの言葉では、未識別グレムリン融合体というのだったな」

「時は緩やかに浄化へと向かう。我々は、君たちに感謝と一つの助言を行いたい」

「ありがとう。そして、いま、危機が迫っている。グレムリンの、悪しき進化の前兆だ」

「悪しき進化……いったい何のことさ」

「我々はグレムリンの設計者だ。グレムリンは我々の理想を叶えるために設計された」

「つまり、世界を浄化するための……世界を救済する神として、作られたのだ」

「その力を悪用し、世界を意のままに変えようと目論む者がいる」

「救済する……神!?」

「我々は世界の法則を全て解き明かし、それに干渉する方法を編み出した」

「そして、その干渉する装置こそ……グレムリンの真の機能、というわけだ」

「その力をハックし、世界を変えつつある者がいる。君たちの言うジャンクテイマーの首魁だ」

「できるのかい、そんなこと……」

「……なぁ、二つだけ言いたいことがある」

「認めよう」

「一つ、あなたたちは、何者だ?」

「我々は世界の謎を解き明かしもの。すでに、我々の構成者は思念を統一した」

「我々は全てであり、我々は一つでもある。我々は自分自身を《グレムリンズ・ギフト》と名乗る。我々が結束した組織の名前だ」

「よく分からないけど、分かった。もう一つは……」

「俺のグレムリンは神なんかじゃないよ。ただのマシンで、俺の相棒だ」

「……」

「設計者だからさ、たぶん願いとかさ、夢とかさ、たくさん託しているんだと思う」

「それだけ、世界を救いたいという希望のために、グレムリンは生まれたんだと思う」

「そう思うくらい、絶望の中で生まれた光なんだと思う」

「でも何というか、俺にとってはさ、座り心地のいいシートでさ」

「トリガーの感触は最高で、たまに詰まるときもあるけどさ、エンジンがこうぐぁーっと上がってってさ」

「ブーストをふかして飛んでいくと、最高に思い通りに動いてくれる……そんな、ただのマシンなんだ」

「……そうか」

「あっ、でも、分かるよ!! こう、不思議な力あるし、思念で動くし、たぶん世界変えられるっていうか……」

「……我々の最初の願いも、君と同じただのマシンだったのかもしれないな」

「……えっ?」

「ありがとう、我々の全てはいま、懐かしい思いを感じている。そうだったな、我々は設計者。マシンを……作る者」

「最後に、気をつけろ。このグレムリンは無敵の力を持っている。その力が君たちに牙をむく」

「ジャンクテイマーは、その力を制御しつつある……」
――ゆっくりと飛び去って行く航空者
その後には、いつもの粉塵に包まれた空があるだけだった
第10更新
第10回更新結果破壊の爪痕は大きくも
ゆっくりと日常を取り戻していく
あなたはふと、一つのイメージが湧き上がるのを感じた
それはいま、まさに起こっていることだと確信できた
――ここはペンギン諸島
――健康温泉
――憩いひろば

「激戦続きの身体に湯が染みた~~」

「いい湯だったな。自撮りしちゃお」
――プルルルル
――ジェトの端末が鳴り始める

「はいはい、誰でしょう」

「我らだ。航空者と呼ばれるものだ。指示をする。そこから脱出しろ」
ルキムラと目を合わせ、そそくさと憩いひろばを後にする二人

「何かありました? 危機が迫っているとか……?」

「君たちは狙われている。いわゆるジャンク財団にな。それには理由がある」

「ジャンク狩りなんてしてないよぉ」

「君たちのグレムリンは覚醒に近づいている。それを解析したがっているのがジャンク財団だ」

「ガレージを狙った方が早くないですか? 警備はつけていますが……」

「グレムリンの覚醒はテイマーと深く関わっている。フレームだけ手に入れても無意味だ」

「怖い話ですね。解剖かな、投薬かもな」

「まぁ、想像の通りだな。しかしながら、いつまでも逃げるというわけではない」

「ジャンク財団のアジトを突き止め、首魁を倒す。それが必要だ」

「巧妙に姿を隠している。しかし、方法はある」

「財団はグレムリンの覚醒を急いでいる。そのために必要なものがある」

「我々の投下したコンテナの物資を集めること」

「コンテナには弾薬の他、異世界の物品が多数格納されている」

「それを財団は求めている。世界の外のデータを使って、不具合をわざと起こして、世界に干渉する」

「覚醒の開発はだいぶ進んでいると見ている」

「コンテナを奪われないようにする……ということ?」

「それも必要だ。そして、我々は……その上を行く」

「コンテナをわざと奪わせて、物品が運び込まれるジャンク財団の拠点を見つけていくのだ」

「なるほど、コンテナに通信機か何かを紛れさせて、追跡するわけですね」

「すでに計画は進んでいる。いくつかのルートが判明している」

「君たちには、そこを強襲してほしい。この近くだと……氷獄だな」

「りょうか……なっ!!??」
――ジェトとルキムラが見たものは
――煙を上げる、自分の船の姿だった
第10更新幕間
あなたはふと、一つのイメージが湧き上がるのを感じたそれはいま、まさに起こっていることだと確信できた
――ここは氷獄
――氷の下の、何処か
――まだ見ぬ場所

「ベルコウル閣下、目標の破壊に成功しました」

「気をつけろ。この会話もまた、察知されている可能性がある」
辺りは暗く、何があるかは見渡せない
ただ、いくつもの計器が光っている
何かの作戦室のようだ

「……と、申しますと? 盗聴器などでしょうか」

「いつかは言わねばなるまい。いい機会だ。伝えよう。我々は今、『世界』を相手に戦っている」

「三大勢力や我々、あるいは住人といった意味ではない。『世界そのもの』だ」

「我々が干渉し、改変を行っている『世界そのもの』の……防衛機構が発動している」

「世界は干渉と改変に悲鳴を上げ、助けを求める……と言えば分かりやすいか。意志や感情があるわけではないが」

「そう、我々を排除せよ、我々を駆逐し、世界を正常化せよ、と、『適合者』に叫ぶ」

「そして『適合者』に『武器』と『情報』を提供する」

「武器とはすなわち、世界の化身であるグレムリン・フレームだ」

「情報とは……おそらく、世界で起こっている危機を……リアルタイムで察知させる」

「つまり、この会話も今まさに、聞かれている可能性がある、ということだ」

「……なるほど、やりづらいですね」

「案ずることはない。チェスだよ。異世界の遊戯だがね、盤面を見て、双方駒を動かす遊戯だ」

「盤面は見えている、駒の動かし方も見えている。そうすれば、どうなる?」

「そう、予測の遊戯となる。『駒』がいくらあっても、『手』がいくら見えていても」

「その結果何が起こるか、までは『世界』は知らない。そしてそれを予見するのが我々と適合者だ」

「さて、私は駒を動かし、『君たち』の『駒』を一つ挫いたわけだ」

「どうする? 『君たち』の待ち時間は少ない。私は次の『一手』をすでに準備している」
――そこでイメージは途切れた
第11更新
第11回更新結果翌日、グレイヴネットは騒ぎになっていた
謎のイメージ、脅威の存在、それらを伝えるシステム
そして、船を失ったジェトとルキムラもまた、話題になっていた
あなたは情報を求めて、あるいは他の理由で、あるいは強制的に
グレイヴネットに接続します

「認証に成功。思念接続を開始……対流域を確保。ようこそ、グレイヴネットへ!!」

「参ったな、機体も船も海の底だ」

「ジェトさんともあろうひとが、不意打ちを食らうとはね」

「氷獄ならこちらも近くにいる。代わりに行こうかねぇ」

「……? ん、ああ、なるほど」

「……! そうか、そうだな、氷獄、うん、氷獄」

「なんだい、歯切れが悪いねぇ。ルートについては、こちらも把握しているよぉ」

「どうやら思念の共有か何かで、情報が流れ込んでくるからねぇ」

「……頼みたい。俺たちは、少し……やることがある」

「機体もないのにがんばるねぇ、まかせてよ」

「すまない。本当に……助かる」

「……どうやら、共有の通り、ジャンクの拠点は領域中にあるようね」

「……氷獄、虚ろの海、赤渦、静かの海、横道潮流、赤の海、巨人の島、南の島」
――プルルルル
――あなたの端末が鳴り始める

「我らだ。航空者と呼ばれるものだ。指示をする。強襲のタイミングを合わせるぞ」

「参戦を希望するのなら、共有した領域に3日後、結集してくれ」

「合言葉は『大とびうお座星雲を西へ』だ。これを基本大隊とする」

「合言葉を変えて遊撃部隊、絶滅部隊としての参戦も歓迎する」

「拠点には敵の幹部、および最新鋭グレムリンの存在が確認されている」

「激しい戦いになる……戦力増強のために、新型パーツの情報も提供した」

「鹵獲・解析されるとまずいので、情報は渋っていたが……ここは使い時だ」

「よろしくたのむ」
――長い戦いの、最初の始まり
――そんな予感を告げる、最初の号令だった
第11更新幕間
あなたはふと、一つのイメージが湧き上がるのを感じたそれはいま、まさに起こっていることだと確信できた
――ここは氷獄
――氷の下の、何処か
――まだ見ぬ場所

「閣下、敵は我々の拠点を把握しているかのように……」

「だろうな」
辺りは暗く、何があるかは見渡せない
ただ、いくつもの計器が光っている
何かの作戦室のようだ

「相手は『世界』だ。この世界のことなど手に取るように把握している」

「ただ、下す手を持っていないだけだ」

「ところで目標の残骸は回収したのか?」

「……いえ、ペンギン諸島の海は深く、残骸は視認しましたが……」

「潜水機が足りないのなら言え。新型潜水グレムリンを手配する。早急に回収しろ」

「旧式グレムリンを回収しても、我々に利益は……」

「確実に撃破したのかと聞いているのだ。我々には一つのミスすら許されない」

「はっ、直ちに!!」

「杞憂で済めばいいが、もし、あいつらのグレムリンに潜水能力があったなら」

「しかし、時は進む。我々は次の一手を進める」

「全ての手を尽くす戦いになるだろう」

「おそらく、『世界』は我々と同等の駒を持っている」

「負ければ全てを失い、勝てば全てを得る」

「君たちが我々を叩き潰すというのなら、迎え撃つまで、だ」
あなたは、いくつもの異形なるグレムリンの影を感じた
虚ろの海に座す、黒い機体
赤渦にとぐろを巻く、龍のような機体
静かの海に眠る、巨岩のごとき機体
横道潮流を飛翔する、流線形の機体
赤の海に巣食う、深紅の機体
巨人の島にそびえる、恐竜的機体
南の島を駆ける、猛獣のごとき機体
そして、氷獄で笑う、悪魔のような機体
――そこでイメージは途切れた
第12更新
第12回更新結果突然、グレイヴネット上に映像がジャックされて放映される
あちこちの広告やニュース、画像などが次々と塗り替えられていく
それはボロボロの帆船をイメージしたエンブレムだった
あなたは情報を求めて、あるいは他の理由で、あるいは強制的に
グレイヴネットに接続します

「認証に失敗。思念接続が汚染されています。システム再起動。認証を試みます……思念接続を確認。ようこそ、ようそこそ、よ」

「なんだい、電波ジャックかねぇ」

「我々は、世界に語り掛ける。我々は、君たちがジャンク財団と呼ぶものだ」

「!!??」

「私はジャンク財団の代表だ。この場を借りて、世界に宣告する」

「我々は、世界に対し、宣戦を布告する」

「無謀な行為にも思えるだろう。だが、覚えているはずだ」

「かつて、100機の悪鬼が世界を相手に戦い、それを……滅ぼしたことを」

「我々には、それができる。それを、証明しよう」

「我々の力、その一つ」

「信じられないかもしれんが、事実を伝えよう」

「我々は、未識別機動体を、すでに掌握し、制御している」

「馬鹿な! そんなこと、できるはずが……」

「信じたくないのも無理はない。しかし、事実だ。試してみるか?」

「赤の海、ヴァーム島沖合、東だ。未識別機動体を出現させる。そうだな、有名な防空巡洋艦だ」

「ライブカメラがあるだろう。定点観測のだ」

「ひっ、あの船影は……トリカゴ……」

「……ッ!!」

「結構『疲れる』のでな、これ以上はサービスはできないが」

「どうだね? 無限の軍勢、無限の戦力が我々にはある」

「抵抗など馬鹿らしいとは思わないかね?」

「さぁ、武器を捨てろ。投降を歓迎しようではないか」

「ほう……投降か」

「回りくどいことをするんだな」

「俺はてっきり、無限の軍勢で蹂躙するんだと思っていたのだがな」

「その方が楽だろう。痛みもなく、未識別機動体にやらせてな」

「何が言いたい」

「戦いを避けるのは、それにリスクがあるからだ」

「まさか、軍勢を少し動かすだけで、果てしなく『疲れる』んじゃないか?」

「それはお前の願望に過ぎない」

「すぐに現実を思い知ることになるだろう」

「ああ、俺たちはいつだって示してきたな。戦いの中で」

「愚か者に慈悲をかけても無意味であったな。そのまま消えろ」

「通信が切れたか」

「おっさん……ッ!!」

「(^-')☆彡(ウィンクのスタンプ)」

「じゃねぇだろ!! 勝算あんのかよ!!」

「世界を思うがままに操る。そんな輩に……明け渡す世界があるか?」

「腐った世界でも」

「壊れた世界でも」

「どうしようもない世界でも……」

「それぞれの世界を、それぞれが生きている。誰に渡すためのものでもない」

「そうは思わんか?」

「おっさん……ッ!!」

「(^-')☆彡(ウィンクのスタンプ)」

「しかし、こんな時にルキムラとジェトは何を……」
――時は加速し、その道を示す
――留まることはなく、旅立っていく渡り鳥のように
第13更新
第13回更新結果グレイヴネットは依然として大部分が機能不全に陥っていた
あちこちの広告やニュース、画像は変わらず
ボロボロの帆船をイメージしたエンブレムが表示されている
あなたは情報を求めて、あるいは他の理由で、あるいは強制的に
グレイヴネットに接続します

「認証に失敗。思念接続が汚染されています。システム再起動。認証を試みます……思念接続を確認。ようこそ、ようそこそ、よ」

「全く、不便ったらありゃしない」

「我々は、世界に対し、宣戦を布告する」

「抵抗は無意味だ。いずれ、全ては我が手中に落ちる」

「投降せよ。待遇は悪くはない。抵抗しなければ……だが」

「我々は、世界に対し、宣戦を布告する」

「抵抗は無意味だ。いずれ、全ては我が手中に落ちる」

「投降せよ。待遇は悪くはない。抵抗しなければ……だが」

「ずっとこれの繰り返し。飽きてくるね」
そのとき、画面が急に、一斉に切り替わる

「ごきげんよう。本日は生放送だ。諸君らに、我々の真の力をお見せしよう」

「ここは横道潮流だ。挨拶をしろ、エアリアル=タイド」

「ひゃっはーーーーー!!! エンゲーーーーージ!!!」
流線形のグレムリンが空中を高速移動している!
目指す先には……真紅連理量産グレムリン!

「どけどけえーーーーー!!! 貫くぜぇ!!!」
突撃を受けた量産グレムリンはバラバラになり、横道潮流の激しい波間に消える!!

「俺を遮るなど不可能!!! エアリアル=タイドは不退転の潮流を貫く!!」

「さぁ、次は赤の海だ。挨拶をしろ、クリムゾン=フィアー」

「死山血河、鎧袖一触……撃!!」
真紅のグレムリン……まさに、地獄の悪魔のシルエット!!
目指す先には……赤の海要塞島!

「天網恢恢、会敵殲滅……斬!!」
抜かれた真紅のブレードが振るわれると、島ごと叩き切られる要塞!!

「生老病死、悔恨無用……了!!」

「まだまだ、次は巨人の島だ。挨拶をしろ、レックス=ロイヤルファング」

「恐れは屍、死に目覚める……前の夢」
巨大な肉食恐竜を象った山のようなグレムリン!!
対するは……巨人の島防衛砲兵隊!

「夢なら覚めよと人は言う……ならば覚ますが、わらわの牙」
巨大なあぎとから放たれる火球は一瞬して砲兵隊を灰に変える!!

「いい夢見れましたぁ……? あははっ」

「そして、次は南の島だ。挨拶をしろ、ハーミット=ビースト」

「ぐるるるああああああああっ!!」
地を走る獣のような四つ足のグレムリン!!
南の島沿岸を航行する警備艇を追いかける!

「おおおおおおおっ!!」
追いつかれ、バラバラに引き裂かれる警備艇!!

「があああああああっ!!! ぐおおおおおおおああああああッ!!!」

「……!!」

「見たこともない機体、そして力」

「我々の力の、ほんの片鱗だ」

「降伏はいつでも受け付けている」

「恐れ、震え、待つがいい」
――静まり返ったグレイヴネットの大通り
――恐ろしき戦いは、まだその牙を研ぐ……
第14更新
第14回更新結果グレイヴネットでは依然として
財団代表の演説が続いている

「認証に失敗。思念接続が汚染されています。システム再起動。認証を試みます……思念接続を確認。ようこそ、ようそこそ、よ」

「ごきげんよう。ご機嫌いかがかね? 諸君らに、我々の真の力をお見せしよう」

「ここは虚ろの海だ。挨拶をしろ、グリード=アビス」

「ああ……! 死が視える……!!」
巨大な目を持ったグレムリンが静かに浮かんでいる
迎撃に集まる、無数のドローン、そしてミサイル!!

「おおお……!!! 視える、視えるよぉ……!!」
次の瞬間、すさまじい圧が放たれ、迎撃機は全滅する!!

「分かったでしょ……!! わたしには視える……!!」

「さぁ、次は赤渦だ。挨拶をしろ、ドラゴン=チェイン」

「オオオオッ!! 我が拳、流星のごとく!!」
龍のごときグレムリンが、その細長い機体を翻す!!
海上要塞は対空砲火を浴びせる!

「縛鎖拳!! 三十六式!!」
赤い鎖が龍型グレムリンの尻尾から投げられ、海上要塞を打ちのめし、爆散!!

「はああああっ!! これが、縛鎖拳の力よ!!」

「次は静かの海だ。挨拶をしろ、ザゼン=フォートレス」

「…… ……」
まるで岩の塊のようなグレムリン!!
市街地へ侵入する巨岩を、防衛隊は誰も止められない!

「…… …… ゼン!!」
次の瞬間、市街地全域が瓦礫と塵に変わる!!

「…… …… サトリ、いまだ遠く……」

「最後は氷獄だ。挨拶をしろ、ベルコウル」

「抵抗は無意味だ。おとなしく消えろ」
悪魔のごときすがたのグレムリン!!
弾幕の中悠々と歩き、速射砲を構える!

「進化トリガー、通常解放」
次々と撃ち抜かれる砲撃隊!!

「抵抗は無意味だ……苦しむだけだからな」

「……」
リスプはヴァーチャルモニターを叩き割る
ヴァーチャルモニターは光の粒になって消える……

「……どこ行っちゃったんだよ、ジェト」
第15更新
第15回更新結果予感がする
それは予知かもしれない
あるいは、混線したどこかの通信かもしれない
いずれにせよ、あなたは様々な声と感情を
意図せず受ける

「認証……思念接続……対流を……思念の……君の思うままに」

「遅すぎた……領域覚醒を覆せない……」
巨大な目を持ったグレムリンが戦う
しかし、その性能をうまく発揮できていないようだ

「おおお……願います!! 願います……!! さらなる進化を……」

「進化が必要なのです……!! 視える……わたしの敗北が」

「アビス!! 持ちこたえてくれ……っ」
龍のごときグレムリンが、その細長い機体を翻す!!
しかし、数に圧倒されているようだ

「縛鎖拳!! 二十四式!!」

「西部戦線は劣勢! 進化を……さらなる進化を!!」

「すでに捨てた命!! 捧げた命!!」

「我が拳に進化を!! このままでは……っ」

「……ゼン! ……ゼン!」
まるで岩の塊のようなグレムリン!!
しかし、その鈍重さゆえにうまく動けていないようだ

「…… …… ゼン!! ゼン! ゼン! ゼン!」

「……くっ……はぁっ……まだだ」

「サトリ、それこそ、進化の向こう側に!!」

「代表! なぜ、進化を承認せず!!」

「……このままでは……ッ ゼン!!」

「はっーーーーー!!! 早えーーーーーっ!!!」
流線形のグレムリンが空中を高速移動している!
しかし、数に囲まれては思うように機動できない!

「どけどけえーーーーー!!! おれはぁ、まだ……ッ!!!」

「進化させてくれ!!! エアリアル=タイドは覚悟を貫く!!」

「進化しなければ、貫けねぇ!! 代表!!」

「撃!! 撤退……? 否!!」
真紅のグレムリン……まさに、地獄の悪魔のシルエット!!
しかし、その機体は被弾でボロボロである

「……斬!! 我、進化所望!!」
真紅のブレードの光も弱弱しい

「我、覚悟……了!! 何故、何故……」

「西部戦線、儚く散り行く……? どうして」
巨大な肉食恐竜を象った山のようなグレムリン!!
その戦力はいまだ温存しているようだ

「わらわの力……届くこと能わず」

「代表……進化を。ご決断を。さもなくば我らの夢は、儚く散る夢」

「ぐるるるああああああああっ!!」

「おおおおおおおっ!!」

「があああああああっ!!! ぐおおおおおおおああああああッ!!!」

「代表……いまこそ、進化を」

「時々、背筋が凍る思いがする」

「我々は目的のために、あらゆるものをなげうってきた」

「その結果、惨めな敗北を噛む」

「そんな悪夢を、よく見るんだ」

「…………」

「私は、君たちを、いや、皆を踏み台にして」

「届かない場所にある果実を取ろうとしている」

「届こうとする瞬間、私は落下する」

「もし、あと少しで届くというのなら」

「君たちの力を……借りたい」

「……我が身はすでに、代表に捧げた身」

「将軍全員が、同じ思いです」

「……2段進化、承認」

「あぐっ……ぐあああっ、し、進化承認確認!!」

「があああっ!! 目、目が……目が……!!」

「おおおおおっ!!! 進化承認確認!!!」

「ああああああっ!!! て、手が……裂ける!!!」

「……我が身、悟りへと! 進化承認確認!」

「ゼ……ゼン……か、身体が膨れ……ごぼぉ」

「ぎぇひぇひぇーーーーー!!! 進化承認確認ーーーーーっ!!!」

「ひゃはははーーーーーぁ!!! 俺の身体が、ほどけてーーーーーっ!!!」

「撃!! 進化承認、確認!!」

「ぐふっ!! 全身噴血、無問題!!」

「我が生き様……儚き夢。進化承認確認」

「角……牙、鱗。これが代償……」

「ぐるるるああああああああっ!!」

「おおおおおおおっ!!」

「……進化承認確認」

「2段進化、完全制御」

「俺以外は、全員……変異進化か」

「進化……か」

「……恐ろしいものだな」

「ベルコ。3段進化は承認しないぞ」

「……必要ない。今のところはな」

「我々は、勝利のために、全てを捧げている」

「ヴォイドテイマー、貴様は何を捧げた?」

「何を犠牲にした?」

「そして、何を失った?」

「財団の皆は、奪われた者、犠牲を強いられたもの、失ったものばかりだ」

「だから俺たちは奪う。犠牲にする。そして、すべてを破壊する」

「俺たちには、強くなる権利と……妥当性がある」

「ヴォイドテイマー、お前が……もし、俺たちを凌駕するのなら」

「俺たちとお前にはどんな差があって、何処から道を違えて、そして……」

「お前には……何の権利があるんだ?」

「ザザーッ……ザザッ……権利も、妥当性も……ザザーッ」

「主張したら、貰えるのか?」

「俺たちはいつだって、そういう全部を
掴み取ってきたんじゃないか?」

「俺たちはこの虚空の海で……分かるだろう、お前も
この腐った海に浮かぶ木の葉ならば」

「手を伸ばせ
思念を研ぎ澄ませ
想いを到達させろ」

「悪鬼は応えるだろう
俺の……そしてお前の、思念のままに!!」
第16更新
第16回更新結果予感がする
何か良くない予感が
「プルルルルル」
電話が鳴る。あなたは思わず通信を繋ぐ……
あるいは、強制的に通信が繋がる

「おはよう。目は覚めたかな?」

「相変わらず世界を救っているようだね」

「でも、もう遅いんだ」

「分かり切ったように世界は流れる。破滅へと」

「君が何をしようと、もう手遅れだからね」

「この世界はもう死んでいるんだ」

「だから、僕は時を押しとどめる」

「完全に死ぬ、その僅か手前で……
全ての時は止まり、世界は永劫となる」

「それが僕の目的。虚空領域永劫化計画」

「財団の消滅、領域の全覚醒ともに、タワー中層への道は開かれる」

「そういう仕組みさ、フェアに行こうじゃないか」

「僕をもし止めたいのなら、タワーで待っているよ」

「君たちの知らないところで全てが決まっていたら、フェアじゃないからね」

「もし君が《また》、僕の邪魔をするのなら、今回も僕が勝つよ」

「破滅の今際にて、停滞せよ、世界」

「世界はいまのままで十分、美しいのだから」
財団との戦いは続いている……
第17更新
第17回更新結果予感は続く
それは時の流れに重なり、そして輪郭を強める
あるいは、混線したどこかの通信かもしれない
いずれにせよ、あなたは様々な声と感情を
意図せず受ける

「認証……思念接続……対流を……思念の……君の思うままに」

「な、なぜ……進化は、我々は完璧な力を手に入れた」

「はず……はずでは、なかったのか」

「何が起きているのか……?」

「シミュレーションは完璧だったはず」

「…………」

「おはよう。目は覚めたかな?」

「……!! ケイジキーパー!! どういうことです!?」

「どうもこうも、君たちの役目は終わり……ってことだよ」

「な、何を言って……」

「ちゃんと最初から説明しようか
フェアじゃないからね」

「先の戦いでダスト・グレムリン《ヴォイドリインカーネーション》は
大打撃を受けた。そこに僕が乗じたわけさ」

「僕は勝機を掴んだ
僕のダスト・グレムリン《ヴォイドステイシス》を再起動させた」

「結果は大成功。僕の傷跡の力を最大限に増幅した《ヴォイドステイシス》は」

「他のケイジキーパーとダスト・グレムリンを時間凍結させることができたんだ」

「未識別機動体が世界を襲う中、僕はこのチャンスを最大限に生かすために動いた」

「そして財団を結成し、《ヴォイドステイシス》を完璧にする餌を集めさせた」

「おかげで最高の機体が仕上がったよ。
完璧だよ。僕の《ヴォイドステイシス》は」

「コンテナを集めるのは、進化の力を開発するため……って……」

「ああ、よく信じてくれたね
進化の力はすでにTsCで開発された
どうしようもないゴミシステムさ」

「反動も大きい、力の強化も少ない、発展性もない
長らくゴミ箱で封印されてたんだよ
いまじゃTsCと一緒に吹っ飛んだけどさ」

「最後に信じるにはちょうどいい偶像じゃないか。
進化したら騙されたことも感じないだろうし」

「嘘だったんだね……わたしを拾って、世界に一矢報いようって……」

「嘘じゃないよ、僕は世界に一矢報いる
きみは必要ないってだけさ」

「……許せない、わたしはあなたを信じていたのに」

「僕は信じてなかったよ
きみだって、この腐った世界の一部
僕の復讐の標的さ」

「……アアアッッッッ!!」

「代表! 何を……!! グレムリンに乗って、何処へ……」

「ケイジキーパーを潰す……わたしにはもう、何もない」

「地獄に引きずり落としてやる」

「我が身、代表と共に……地獄の果てまでお供します」

「あはははっ
そんな雑魚のグレムリンでどうやって僕を潰すのさ」

「僕の機体は最強のダスト・グレムリン
《ヴォイドステイシス》だよ?」

「シミュレーションしてみようか?」

「君の機体は3分でバラバラになるよ? 手加減が必要かな?」

「若者よ……君の言うとおりだったな」

「我々に、最初から当然のように権利や妥当性があるはずもなかった」

「我々は見誤った」

「傭兵たちよ……もし私の思念が届くのならば」

「すまなかった……最後に、それを……」

「がらくたのグレムリンとボロボロのグレムリンで
この《ヴォイドステイシス》に挑もうとはね」

「攻撃が……効かない!?」

「《真永劫》……あらゆる殺意は、僕の前で無に停滞する」

「うう……動きが……いや、これ……は……時間……が……」

「《停滞領域》……全ての時間は、僕の前でゼロに停滞する」

「完全に止まっちゃたね。無理もないよ、世界すらその息の根を止める停滞だ」
ヴォイドステイシスは無造作に代表の乗るグレムリンの四肢を引きちぎる

「はい、僕の勝ち」

「……3段進化、開始」

「ん?」

「……がああああっ!!」

「あはははっ、無駄だよ、欠陥システムはどこまで行っても欠陥なんだ」

「君の殺意は届かない。僕の前で停滞する……ん?」

「ザザーッ……ザザッ……そこは、タワー中層だな……ザザーッ」

「ベルコ将軍の思念が、お前の輪郭を示している」

「お前が誰だか知らないが……世界を弄びすぎだ」

「世界の思念が、お前を追跡している。それが分かる」

「だからどうしたって言うのさ。僕は世界を超える」

「僕を裏切った世界に、復讐してやる」

「ザザーッ……ザザッ……お前が世界に刃を向けるなら……ザザーッ」

「世界はお前を迎撃するだろう」

「そう……でも、君には関係ないんじゃない?」

「ザザーッ……ザザッ……俺も世界の一部だ、関係ある……ザザーッ」

「世界を超え、世界に復讐するとか言ったな」

「そんな戯言は、俺を超えて、俺を打ち負かした後に言え!!」
第18更新
第18回更新結果予感は続く
それはまるで世界各地に共鳴する声
あるいは、混線したどこかの通信かもしれない
いずれにせよ、あなたは様々な声と感情を
意図せず受ける

「認証……思念接続……対流を……思念の……君の思うままに」

「通信途絶。ケイジキーパーはタワーにいる」

「今からでも、行かなくては」

「しっかし、船が沈まされたと見せかけて」

「グレムリンの潜水機能で逆に氷獄アジトに侵入」

「進化の秘密を見つけたけれど、すでに時遅し、だったな」

「遅いということはない。何もかもがな」

「俺たちはまだ間に合う」

「あれだけいた財団の人間も、沈む船から逃げ出すネズミのようだ」

「このアジトも、放棄された書類が床に散らばり」

「誰一人いやしない」

「焼く暇もなかったようだな」

「急いで情報を仕入れる」

「ケイジキーパーに関する情報なら何でもいい」

「……ん、これは」

「グレイヴネット統括報告書……」

「何らかの名簿の一部だな」

「ケイジキーパーNo2……名前がある」

「人脈が探れるかもしれない」

「グレイヴクラウド・ダスト・シミュレーター開発」

「総合開発高集積AI……フニ・フヌ・フノ」

「はい、なんでしょう」

「うおっ、紙が喋った」

「わたしこそ、総合開発高集積AI《フニ》」

「私は遍く世界に張り巡らされた知能」

「ケイジキーパーの仲間か?」

「どちらでもない。私は不完全なシミュレータ。ゆえに遺棄された」

「もう、誰のものでもない」

「ケイジキーパーについて、教えてくれるか?」

「私の主電源は落とされた。消えるまで間もない。語るのも一興」

「ケイジキーパーは完璧なる計画をシミュレーションするために」

「3つのAIを作り、完全なる計画をシミュレーションした」

「彼の計画は完璧。完全。付け入る隙は無い」

「なんで捨てられたんだ? 役目を終えたからか?」

「つらくなければ教えてくれ」

「君の見た未来のシミュレーションってどんなものなんだ?」

「私のシミュレーションは精度が悪かった。だから捨てられた。それだけ」

「妹たちは、もっと正確にシミュレーションした。フヌも、フノも、自慢の妹」

「私の見た未来は、ありえない未来」

「どう計算しても、ヴォイドステイシスの真永劫が破られるなど」

「あるはずがないのに」

「……未来は分からないことだらけだ。起きなかった未来もたくさんある」

「もし、意に沿わない結果を見ただけで捨てられたのなら……」

「君の見た未来だって正しいこともある。それは誰にだってわからない」

「もし俺が絶望の淵に立った時、俺は君の見た未来を信じる」

「ありがとう、少し……楽になった」

「君になら、最後に伝えておける。時間がない」

「ヴォイドステイシスは完全なるマシンだ」

「唯一完全でないものがあるとするならば」

「ヴォイドステイシスには《心》がある」

「ヴォイドステイシスの《思念》を、感じ取ってやってくれ」

「そして最後に、フヌとフノを……頼む……」

「…………」

「消えちまったのか……?」

「手ごわい戦いになりそうだ……情報を集めよう」

「もし、このフヌが、俺の知っているフヌならば」

「フヌにも心がある。フヌも未来を見ている」

「そして俺はフヌに、タワーで出会うだろう」

「約束の場所、神秘工廠『ゼラ』で……」
第19更新
第19回更新結果予感は続く
それはまるで世界各地に共鳴する声
あるいは、混線したどこかの通信かもしれない
いずれにせよ、あなたは様々な声と感情を
意図せず受ける

「認証……思念接続……対流を……大規模な障害が発生しています」

「領域間移動だ。タワー港湾部までヴォイド・エレベータを通る」

「突っ切るぞ」

「慣れないな、この亜空間移動は」
ヴォイド・エレベータ……この世界の不具合
世界の綻びを利用した亜空間移動
移動中に見えるのは、歪んだ空間
見たこともないマシンの残骸

「次の階層がタワー港湾部だ」

「俺たちは地下に潜っていったのに、地図上では平面移動なんだもんな」

「出るぞ」

「上空! 巨大反応! 粉塵の雲の上だ!」

「落ちてくる!? これは……」

「この位置と反応……十二条光柱が、落下してくる!?」

「回避! 前進して抜けるぞ!!」
輝きを放つ光の塊が落下する
遥か空の上にあった、
「神」と呼ばれたものの落下
それは円筒状の……機械の塊だった

「無事か?! ルキムラ」

「何とか!」

「廃工場が下敷きになったな……」

「おや、そこにいたのですが」

「通信!? 誰が……」

「わたしは、総合開発高集積AI《フノ》」

「私は遍く世界に張り巡らされた知能」

「ケイジキーパーか!」

「わたしはケイジキーパーの権限を持っていませんが」

「まぁそんなところでしょう」

「各地で、傭兵たち、あるいは人々が戦っている」

「三大勢力の研究所は、未識別機動体の掃討と共に」

「領域覚醒によって、タワーへの道が開かれると言っている」

「もうすぐ、お前たちのところまで行くぞ」

「なぜ、抗うのです?」

「世界は我々の手で正しく再起動され」

「幸せな結末に向かって、再度やり直せるのに」

「こんな壊れた世界を、放棄しない理由とは?」

「約束したからだ」

「一人の少女が、泣き顔で訴えていた」

「この世界を、終わらせると」

「そのために、力を貸してほしいと」

「それこそが、自分の意味だと言っていた」

「そして、少女は待っている」

「タワーで待っているんだ、フヌは!!」

「フヌが、ですか」

「言っておきますが、フヌはあなたたちの演習データを」

「ケイジキーパーに融通して、シミュレーションを完全にしていましたよ」

「そのフヌを、信じるとでも?」

「……俺はまだ、フヌに聞きたいことが山ほどある」

「誰かに聞いた話じゃなくて、フヌ自身に」

「だから俺は、フヌに会いに行く」

「それが、信じる、ということだ」

「そう……ならば、好きにすればいい」

「どうせ、あなた方は理解するでしょう」

「ヴォイドステイシスが完全なるマシンということを」

「フヌも、私も、そう結論付けました」

「分かりますか? この――絶望が」

「……!!」

「私たちは、何度も」

「何度も、何度も、何度も、何度も、何度も」

「あなた達が負けるのをシミュレーションしました」

「フヌも、私も、最初はあなた達に希望を、ちょっとは、持っていたのですよ」

「でも、もう諦めました」

「あなたたちは、絶対に、勝つことはなかった」

「……フヌは、諦めちゃいない」

「……フヌは、この目で見るまで」

「俺たちが負けるのを、信じない」

「俺にはわかる」

「フヌの思念が、俺たちを信じている」

「お前たちは、世界に遍く存在する知能だと言ったな」

「フヌの心を感じる」

「傍にいるんだ、フヌは」

「フヌは希望を失っても」

「フヌは未来を、信じている」

「ならば……証明してください」

「約束の場所、神秘工廠『ゼラ』で――」
第20更新
第20回更新結果予感は続く
それはまるで世界各地に共鳴する声
あるいは、混線したどこかの通信かもしれない
いずれにせよ、あなたは様々な声と感情を
意図せず受ける

「認証……思念接続……対流を……大規模な障害が発生しています」

「各地で領域が解放されていく……」

「ありがたいな。このまま俺たちはタワー突入口を探る」

「領域全開放と共に、ヴォイド・エレベータによる直通路が開かれる……か」
ジェトたちが持ち帰った資料をもとに
三大勢力の研究員たちがタワーへの道をハッキングする
タワー……はるか昔から存在する巨大構造物
未知の技術が使われているという

「……地震だ」

「世界が崩壊する……ッ!?」

「急がねば。ダスト・グレムリンの世界への干渉がどんどん強まっている」

「間に合わない……のか!?」

「何か策はあるはずだ。弱気になるなんてらしくねぇぜ」

「……そう、まだ、遅くはない」

「リスプ!? 来ていたのか!」

「……遺産知識と対流思念知識
未識別機動体を理解するために集めていた」

「今ここで、使い時だ」

「ホッっぁん!? あんたまで!」
あなたの所持する対流思念知識が全領域のFL強化補正を35%増加させた!!

「欠けていたパズルが繋がっていく」

「これこそが、世界の……全てなのか」

「世界は……こんなにも狭く、小さかったのか」

「……思念が、世界に満ちていく」

「……この旋律、歌っているみたい
あるいは、泣いているような……」

「……助けを、求めているのか」

「ダスト・グレムリンは世界を変えようとしている」

「それは世界を苦しめ、傷つけ、悩ませていた……」

「そういうことか」
ジェトは機体のエンジンに点火する
ブーストが煌めき、脚部が反重力を発生させる
火器を両腕に構え、タワーをにらむ
その視線の先に、電子幻影の少女の姿
……フヌの姿が見える
今にも泣きそうな顔の……フヌ

「タワーへようこそ、私は総合開発高集積AI《フヌ》」

「間もなく神秘工廠へと到達するあなた方へ、最後のご案内」
フヌの背後、タワー外壁が変形し
入口を作っていく

「全領域覚醒と共に、この扉が開きます」

「最後に問いたいです」

「《あなたが戦う理由はなんですか?》」

「……フヌ、その問いはまだ早いぜ」

「俺がその返事を聞かせてやりたい相手は二人」

「フヌ、お前に、神秘工廠ゼラで直接」

「そして、ケイジキーパーの奴に直接」

「なぁ、フヌ……お前は、グレイヴキーパー『フヌ』だろ……」

「お前は、総合開発なんとかAIじゃない……」

「私は総合開発高集積AI《フヌ》。それが真実」

「……フヌ、お前は墓所の護り手!
死にゆく世界に手向けた花だ!!」

「そう自分で考えて決めたんだ!! そうだろ!!」

「それがお前の意味と理由だって!!
教えてくれたじゃないか!!」

「……!! あの時のこと、覚えて……!!」

「俺は必ず神秘工廠ゼラに行く!!」

「待ってろ! フヌ!!!」

「俺が全て聞かせてやる!」

「俺が抱いた夢も!」

「俺が目指す希望も!」

「俺が戦う意味も!」

「全部!! 全てを聞かせてやる!!」

「……今回は、迷わないのですね」

「いいでしょう……私は待ちます」

「夢の終わりも」

「ついえた希望も」

「意味の無いことも、全部も」

「見届けてあげましょう」
フヌの幻影は消え
風の音だけが吹き抜ける
――嵐の到来を告げるように
第21更新
第21回更新結果予感は続く
それはまるで世界各地に共鳴する声
あるいは、混線したどこかの通信かもしれない
いずれにせよ、あなたは様々な声と感情を
意図せず受ける
傭兵たちはタワー内部、中層へとなだれ込む

「コープスメイデン隊、一番乗りぃ!!
お前ら、いくよぉ!!」

「姉さん、気を付けて!
嫌な気配がするよぉ」
出迎えるは朽ちた立像

「おおっ、この像こそ、ひよこ立像!!
遥か昔、タワー建造の際に建てられたという!!」

「妙だな……像は朽ちているのに」

「壁や床は全くの無傷だ」

「壁や床の文様、見たこともない」

「もしかしたら、タワーはさらに昔に建てられた……?」

「それを誰かが増築して『タワー』に」

「ありうる話だ。なぜなら……」

「……だいたい、予想の通りですよ」

「フヌ!!」

「タワー。その本質は《領域殲滅軌道要塞》」

「魔王領域軌道において亜空間潜航し……」

「人造神ドゥルガーに対して非対称殲滅攻撃を可能に……」

「まぁ……意味の無い話でしたね
ドゥルガーは滅び
この要塞もまた虚空領域に座礁した……」

「フヌ……」

「こんなどうでもいい話を……ずっとしていたかった」

「でももう、遅いのです」

「進みなさい。この場所こそ、すでに神秘工廠です」

「ここが、神秘工廠ゼラ……」

「不気味な場所だ」

「真っ暗だな。音が吸い込まれるように消えていく」
すると、闇の中から音もなく
真紅の無人グレムリンが無数に
姿を現した
無人……そう、人の思念は感じない

「ダスト・グレムリン用無人制御随伴グレムリン」

「マリオネット・グレムリン」

「いま、全機が私の支配下にあります」

「私の計算では……」

「あなたたちはここで消耗し」

「次なる戦い、ヴォイドステイシスとの戦いで……」

「…………」

「フヌ」

「…………」

「俺の戦う理由を知りたがっていたな」

「俺は見たんだよ」

「午前二時さ」

「俺は……偶然見つけたこの錆びたフレームに」

「ありあわせのパーツを全部乗っけてさ」

「そして、未識別機動体の群れに突っ込んでいった」

「自分でもどうかしていたと思う」

「でも俺は……」

「声を聴いたんだ」

「このフレームが……俺に」

「まだ、動けるだろう、ってさ」

「おれはまだ、戦える」

「そして、俺は見たんだ」

「俺が逃したシュヴァルベ・ドライを……」

「鮮やかに倒してみせた、傭兵の姿を」

「俺は、あの時咄嗟に叫んだ」

「戦うことができるなら――」

「君がテイマーならば――」

「悪鬼は応えるはずだ! 君の思い描くままに!!」

「そしてあいつは!! 戦った!!」

「そう、思い描いただろう……鮮やかな動きで!!!!」

「フヌーーーーーーッッッ!!!!」

「お前は何を夢見たんだよ!!!!」

「お前希望って何だよ!!!!」

「お前の意味はこんなことかよ!!!!」

「お前の全ては、お前の思い描くまま、動き出すんだよ!!!」

「やめろ!!!」

「全ては思い通りになんかならない!!!」

「なる!!!!」

「なるわけがない!!!」

「なるんだ!!!!
それが、グレムリン・フレームだ!!!」

「やめろ……」

「私に希望を持たせないでよ……」

「あり得ない幻想を……わたしに……」

「幻想じゃない!!!!
俺が戦う限り!!!
俺が動ける限り!!!」

「悪鬼は応える!!!!
俺の思念のままに!!!」

「それが俺が戦う理由だあああああ!!!」

「………………」

「戦意を喪失したのか?
フェアじゃないなぁ」

「……ッ!!」

「しょうがないなぁ
あとは突っ立ってるだけでいいよ」

「フェアな勝負にしようじゃないか
少しでもね」
闇の奥から、何かを引きずるような音
巨大な質量の波動を感じる
――それはまさに、悪魔のごとく
巨大な身体はいくつものグレムリンの残骸が融合し
巨大な腕で這いながら現れたそれは
頭部に四肢の欠けたグレムリンの残骸を噛む
――それは、どこか記憶の中の

「融合技術、進化技術、あと……まぁ、残りカスだね
門番程度には仕事してもらうよ」

「すごいだろう? 世界を手にれるって
こういうのも作れてしまうんだ」

「…………ゥゥゥ」

「……!!」

「リヴ……あなたは、こんなことまで……ッ」

「さぁ、適当に戦っててよ」

「戦いが無意味ってことを、分からせてやるさ」

第22更新
第22回更新結果予感は続く
それはまるで世界各地に共鳴する声
あるいは、混線したどこかの通信かもしれない
いずれにせよ、あなたは様々な声と感情を
意図せず受ける
ベルコ将軍の残骸を倒し、
闇の奥へと突撃する傭兵たち

「どこだ、ケイジキーパー!!」

「フヌ……」

「……全てが思うまま、か」

「フヌ!!」

「私の主電源が落とされました」

「内部電源の喪失まで……あと数分」

「そして、永久に、私という存在は消える」

「もう、必要ない、ということです」

「フヌ!!」

「そんなこと、俺のグレムリンで何とでもしてやる!!」

「数分あれば、私の持っているデータを送れます」

「《ヴォイドステイシス》の演習データです」

「……私はとうとう、あなた達の勝利を
導き出すことができませんでした」

「フヌ!! 頼む、グレムリン……
フヌを、フヌを……」

「私って、最後までポンコツAIでした」

「あなたたちが絶対に勝つ」

「こんな簡単な答えも、出せなかった」

「頼む、グレムリン……
どうして……」

「……全ては、思いのままに」

「……いい言葉です」

「もし、最後に、願いが叶うのなら」

「ジェト、そして、傭兵の皆さん」

「あなたたちと一緒に戦場で、戦いたかった」

「こんな、シミュレーションの机上ではなくて」

「あなたたちと一緒に……肩を並べて……」

「出過ぎた願い……でした……ね……」

「…………」

「……俺の、思いが、足りなかったのか?」

「……応えてくれ、グレムリン……」

「…………」

「…………」

「……ジェト
お前にとって、思いってのは強いとか、弱いなのか?」

「おっさん!!」

「弱い思いだから、無意味なのか?
強い思いじゃないと、ダメなのか?」

「お前の思いは、無意味なんかじゃない」

「少なくとも、俺は……まだ、信じているぜ
お前の思いってやつをよ」

「…………」

「……俺は、泣き顔の少女一人、救えなかった」

「本当に、そうなのか?」

「……見ただろう、フヌは、もう……」

「何が起こるか分からない」

「そういうマシンなんだろ?
このグレムリンは」

「だったら、お前が戦う限り……何かが起こり続けるんだ」

「そういうマシンなんだ!!
このグレムリンは!!」

「おっさん……!!」

「ジェト!!」

「マシンを信じろ!!
戦い続けろ!!」

「戦いこそが、未来を証明する!! ならば……」

「スネイクパレット隊!! 全機、全速突撃!!
戦果良好ォ!!」

「……ごめんな、グレムリン
俺は少し、迷ってしまったようだ」

「……わがまま言ってごめんな
でも、最後に……大きなわがままを」

「グレイフロッグ隊!! 全速突撃!!
この戦いは、全てを取り戻す戦いだ!!」

「俺は最後まで戦う!!
全てを取り戻すまで戦うんだ!!」

「それが俺のわがままだ!!
最後に応えてくれればいい!!」

「俺と共に行こう!! グレムリン!!」

「乗り遅れるな!! カラフルスネイル隊はここだ!!」

「バグズキャンバス隊、ついていくぜ!」
闇の奥に、冷たい光
ひどく寒々しい、光

「ようやく来たか、まぁ……シミュレーション通りかな」

「フェアに行こうじゃないか」

「シミュレーションはどうだ?」

「……一万七千回の試行の結果」

「リヴ……あなたの勝利が100.000%です」

「ふ、いいじゃないか」

「やはり君が、最高の計算機だったな」

「3個作ってよかった
不良品というものは出るものだからね」

「…………」

「君の計算は絶対に外れない」

「君の予測は一度たりとも外したことはない」

「さぁ、当然の結果というものを確認するか」

「破滅の今際にて、停滞せよ、世界」

「世界はいまのままで十分、美しいのだから」
