第23回目 午前2時のネグロ

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プロフィール

名前
ネグロ
愛称
ネグロ
プロフ絵機体画像
経歴

元真紅連理所属、整備士の資格を持つ。

身長166cm 体重79cm  年齢43
両腕バイオ生体置き換え済

第一次七月戦役時、徴兵以来を受け真紅連理の強襲部隊に所属。

戦役中に左腕を失い、右腕を換金した後両腕をバイオ生体置き換え手術を行う。
現在まで拒否反応含む異常なし。

真紅連理降伏後、第一次七月戦役より消息をたつ。

その後、各地でゲリラ的活動の目撃情報有り。

僚機プロフィール

名前
スリーピング・レイル
愛称
スリーピング・レイル
プロフ絵機体画像
経歴

記憶喪失のグレムリンテイマー。
自分に関すること、そしてこの虚空領域に関することは何一つわからない。
唯一「グレムリンの操縦」だけは体が覚えている。
『スリーピング・レイル』とは身に着けていたエンブレムに刻まれていた文字列。

(イラストはすのだ様からの頂き物です)【僚機詳細】



◆日誌


青い空、青い海、平和な世界。
道行く人々には笑顔が溢れ、誰も辛く苦しい戦いを知らない。
血も涙も粉塵も全てが洗い流された世界に男は立ち尽くしていた。

「……」

男が立ち尽くしていたそこは、粗大ごみの廃棄場所だったらしく、壊れた生活家電が山積みになっていた。
何故、こんな所に立っているのか全く記憶がない。そもそも、この世界は一体どこなのだろうか?
さっきまで自分は戦っていてそれで――

「……死ん、だ?」

男は、確かに自らの力が抜けその感覚も失い、冷えていく身体の事をよく覚えている――気がする。
もし、死んでるならここは天国なのだろう。それくらい、穏やかな空気が流れているのがわかる。
たが、男は自分が天国に行けるとは微塵も思っていない。ならば、ここは?

「……」

辺りをもう一度見てから、自分の身なりを確認した。
所々破けたスーツはやはり自分の身に何かがあったことだけを伝えてくる。
そして、右手には、真っ赤なバンダナが握られていた。

「……これは」

ぎゅう、とそれを強く握りしめる。
これは大切なものだ。妹から受け取って、ずっと戦火を潜り抜けてきた唯一の――

「ぐッ、ぅ……」

ずきり、と頭が痛みこめかみを手でおさえた。
なんだか、あまりにも己が曖昧過ぎて、この記憶が本当のものなのかすら、わからない。

「……」

深呼吸をひとつ。立ち尽くしていても仕方無いと判断した男は、その場から歩き始める。
見覚えがあるようで、知らない世界。
道行く人々が怪訝な顔をして自分を見てくるのを男は敢えて無視を決め込んだ。
いく宛も無い筈なのに、男の足取りは随分としっかりしていて迷いがない。
まるでずっと昔からこの世界に住んでいたような気持ちになってくる。
それとも、それすらも忘れているだけなのだろうか?
見慣れた通りを二つ越えて、右に曲がれば、目的の場所に着くという確信めいたものに背中を押されて男の足取りははやくなっていく。

「……ここ、は」

そこは何かの工場だった。
そして、その工場を男はよく知っている。そこで毎日仕事をしていたのだから、床の染みのひとつまで覚えている。

「こんにちは! ここは、レッドホーク整備工場だよ!」

男が食い入るように工場を見つめていると足元の方から声をがする。
視線をゆっくりと下げると、そこには一人の少女が立っていた。

「……ヒ、ナ?」

握ったままのバンダナと少女を交互に見る。
なぜ彼女がここにいるのか?
だって、妹はとっくの昔に亡くなっているのだから、ここにいる筈が無い。
この工場だって、戦火の中に飲まれて船ごと沈んだ筈で――

(……船?)

整備工場は目の前に、タワーにあるのに。そもそも、船なんて外海に行くつもりでもなければ乗るようなものでもない。
さっきから、自分の頭がおかしくなった気がする。戦火だとか、自分が死んだだとか、妹がもう死んでいるとか……そもそも、この世界がどこなのか、とか。
考えようとしても頭痛がするばかりで、なにも考えられない。
イラついて舌打ちをひとつしたところで、女の子がきょとん、と自分を見上げている事に気がついた。
膝をついて、視線を合わせる。

「……おじさん、だあれ?」
「おれは――」

女の子の言葉になにか答えようとしたところで、男は一際はげしい頭痛に襲われた。
わずかに呻いて頭を抑え、そのまま身体を震わせながら地面に崩れ落ちる。
握りしめていた筈のバンダナがはらり、と手から滑り落ちる。

「!! おか、おかーさん!! おかーさーん!!」

女の子が叫ぶ声と、走り去っていく足音。それから、頬を撫でる風の感触を感じながら意識が少しずつ落ちていく。
風が、バンダナをどこかに飛ばしてしまった事にも気が付かずに……。



――

―――

夢を見た。それとも、ずっと、夢を見ているだけなのかもしれない。
見知らぬ誰かが口々に自分を呼ぶ。
カイト、と呼ばれていた筈がいつの間にか違う名前になっていた。ただ、それがなんと呼ばれているのか、よく聞こえない。
ただ、何度も自分を呼んでいるというのだけがぼんやりと理解出来る。

「――さん!!」

誰かが必死に自分を呼んでいるけど、とうとうその名前がなんだったのかを思い出すことは無かった。

―――

――



「……、」

目が覚めるとそこは、見覚えがあるような無いような部屋のベッドの上だった。
ひどい気だるさを感じながらも、男はゆっくりと身体を起こす。
倒れたらしい事だけはぼんやりと覚えている。
ベッドのから降りられる程、身体に力も入らない。ぼんやりと、部屋の隅を見ているとがちゃりとドアが開いた。

「ああ、起きたのかい? よかった、ヒナが随分慌てていたから、死んでるのかと思ったよ」

恰幅のいい女性が男の側に近付くと、にか、と歯を見せて笑い、「私はここの女将みたいなものさ」と告げてきた。
男はそれに小さく会釈をするだけだ。意識が少しはっきりしてくると、頭の奥がじわじわの痛んでくる。

「……ここ、は」

男の口から漏れでた声は酷く掠れている。女将は無理するんじゃない、と前置きをしたうえ、仰々しく咳払いをすると話を始めた。

「ここはレッドホーク整備工場。で、このはその工場の空き部屋。あんたを見つけたのは私の末娘のヒナだよ――あんたこそ、一体なんなんだい?」
「おれは、」

女将の言葉になにかを言おうとするが、言葉が続かない。
頭痛が止まず、心拍数が高まっていく。落ち着こうと深呼吸をしながら、ひとつだけ思い出す。
カイト、と呼ばれていたことを。

「おれ「女将さん~?」

男が何かを言おうとしたところで、別の声が重なる。部屋のドアが開いて現れたのは、派手な髪色の青年の姿だった。

「おや、カイト、どうしたんだい?」
「社長が呼んでくれって――ん? お客さん目が覚めたん?」
「そうなんだけど、ちょっと様子がおかしいというか……意識がはっきりしてないみたいで」

ぽかん、としてる男を尻目にカイトと名乗った青年は女将と話をしながらその隣に並んで男を見つめる。

「まあ、なんか大変やったんやろねえ。無理せんと、ゆっくりやすんでな?」
「……」

カイト。
確か自分はそう呼ばれていた筈なのに、目の前の青年がそう名乗ってしまった。たまたま、同じ名前なだけかもしれない。
だけど、男には自分がこの世界には必要な無いのではないか、という気がして。
そうであれば、全てが納得できる。
戦火なんてなくて、死んだと思ってた人はみんな生きていて――自分は死んでいる。
こんな青くて清浄な世界ならそっちがいいに決まっている。別に、そこに自分は必要ない。
なんだ、そんな、簡単なことだったんだ。

「……いない」
「いない?」
「おれは、いない」

血も涙も粉塵も全て洗い流されてしまったのなら、それに従おう。
―――は、この世界にはいない……いらない。存在も、記憶も。

「イナイって、名前? かわっとるなあ」
「人様の名前になんて事言うんだい!」

ごめんね、と謝る女将に男は静かに首を横に振る。
あれだけあった頭痛が嘘のようになくなって、男の気分は随分と晴れやかだった。



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そのまえの話

https://getupnote.com/share/notes/lbJ7H80JJ2cUxXsy3m0oYb1mjoN2/8ca75d7b-6574-4925-93e3-c3077c9ce3f4


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ネグロはFABを手に入れた!!(フラグメンツ-1)
ネグロはラスト・アーマーを手に入れた!!(フラグメンツ-1)
ネグロはFABを手に入れた!!(フラグメンツ-1)
ネグロはIDOL TIMEを手に入れた!!(フラグメンツ-1)
ネグロはFABを手に入れた!!(フラグメンツ-1)
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ネグロはFABを手に入れた!!(フラグメンツ-1)

◆アセンブル

操縦棺【操縦棺】にIDOL TIMEを装備した
索敵【索敵】にMinervaを装備した
主兵装【主兵装】に俊雷⁅踊鵺⁆を装備した
背部兵装【背部兵装】に《ヴォイドステップ》を装備した

◆僚機と合言葉

スリーピング・レイルとバディを結成した!!