第16回目 午前2時のアレクシア・エコーズ
プロフィール
名前
アレクシア・エコーズ
愛称
アレクシア
経歴 赤毛の女。 本職は技師。 平和主義。 感情が乗らない抑揚の乏しい声。 最近、男を拾った。 祝福と、傷跡。 機体名『サイレント・リップルス』。 ウミネコを模したグレムリン。 *プロフ絵はへたのさんから頂きました。 |
僚機プロフィール
名前
コール=ターナー
愛称
コール
経歴 半身機械。 オートメイション。 拾われ。 グレムリンテイマー。 未来。 ※アイコン、プロフ絵はへたの先生に描いて貰いましあた!!!滅茶苦茶カッコいい!!!!!!【僚機詳細】 |
◆日誌
「で、本部行きを阻止するって、何か案とかあるの」
「とりあえず破壊しよう」
「破壊」
「破壊は得意だ」
「……その調子でコーヒーショップなんて大丈夫?」
「コーヒーショップはコーヒー豆を破壊する仕事だろう」
「そうかなあ……」
破壊する、と言いながらコーヒー豆を挽くコールを想像してみる。どう考えても繁盛しなさそうな店だ。
現実問題として、"破壊"は選択肢に挙がらないわけではない。グレムリンという力が、アレクシアとコールにはある。
しかし、何をどう破壊するのか。たとえばウェイブ一人をどうにかしたとして、それで解決する問題なのか。先の灰塵戦争でアッシュラッツのグレムリンも多くが機能停止したとはいえ、相手の戦力は如何ほどか。曲がりなりにも三大勢力から出資を受けている企業に派手に喧嘩を売って、その後の生活は大丈夫なのか。不透明なことが多すぎる。
仮に、それらの懸念を全てクリアにしたとしても、ウェイブだけを狙い撃つのはきっと難しい。アッシュラッツは最悪な企業だが、それでも、無駄な犠牲を出すのは、アレクシアにとって気が引けることだった。
そうして自分一人が自由になったとして、セラフィンに顔向けできないように思えた。彼もまた、こんなクソみたいな世界の中で、そういう理想を語るひとだった――コールのように。
アレクシアだって生きるためにグレムリンを、そのテイマーを斃している。今更何を言っているんだ、という話でもあるが、それでも、広範囲の破壊はできるだけ避けたい。人間らしく在るなら、きっとそうすべきだ。
他の選択肢には、"借金の返済"がある。一番の正攻法に思えるし、アレクシアもこれを目指していた。が、正直なところ、金を払い切ってもすんなり辞めさせてくれるとは考え辛かった。何より、この方法を取るには時間も金も無い。状況は逼迫している。
ああでもない、こうでもないと二人は話を続けたが、やがて案も出尽くした。ふう、とアレクシアは疲れを滲ませた息を吐く。
「今日はこのくらいにしとこうか。一回、落ち着いて考えてみる」
「分かった。俺も何か考えておこう」
コールは頷き、席を立った。アレクシアもそれに倣って、二人して会議室を出る。
「コールくん」
「何だ?」
呼ばれて振り返ったコールは、いつもと変わらない、涼しい顔をしている。
少し間を置いて、アレクシアは首を横に振る。
「や、何でもない」
「そうか。それじゃ、また明日」
「うん」
コールはそのまま歩いていった。恐らく自室に戻るのだろう。
会議室の扉にもたれながら、アレクシアはその背を見ている。
あんなことを言っておいて。手を差し伸べておいて。
拍子抜けするくらい、あまりにいつも通りだ。
「……何なのさ」
アレクシアは釈然としない様子で呟いた。
もしかすると本当にただの仕事のように思っていて、コールにとってはどうってことのない話なのかもしれない。
拾って、僚機を組んで、気づけばもう随分経つのに、彼のことはよく分からない。
けれど――あの未来に進もうとする真っ直ぐな姿勢には、感心する。
そのせいだろうか。特に名案が出たわけでもないのに、心強く思うのは。
コールのことは分からない。
分からなくたって、確かにアレクシアは救われている。
それが分かっていればいいのだろう。
異動の話を聞いてからずっと頭が靄がかった心地だったが、今はすっきりと晴れていた。
その夜は、久しぶりによく眠れた。
次の日、コールとの話し合いの前にアレクシアが向かったのはダストデッキだった。
とりあえず、自分のタイムリミットを知りたくて、艦長室の扉を叩く。
「あ、エコーズさん!」
ドアを開けたのはシリヤだった。何でシリヤが? 目を瞬かせるアレクシアに対し、彼女はぱっと笑う。その後ろでは、「おー、入れ入れ」と執務机に座ったカイルが手招きしている。
アレクシアは二人を見比べて言った。
「取り込み中なら出直しますけど」
「いや、お前にも関係ある話だ。丁度良かった」
シリヤもうんうん頷いて、道を空けるようカイルの前に移動した。
アレクシアが扉を閉めて部屋に入ると、カイルは、「早速だが」と話を切り出した。
「今から話すことは極秘事項だ。いいな?」
「はあ、どうぞ」
極秘事項? 一体何を話してたんだ? アレクシアは僅かに眉を寄せた。
「ジャンク財団のことは把握してるな」
「そりゃ、もちろん」
今、ジャンク財団のことを知らないテイマーはいないだろう。大々的に行われた宣戦布告の後から、グレイヴネットには恐ろしい量の広告が流れている。世相に疎く、ニュースなどに触れていないとしても、マーケットに繋がるグレイヴネットはテイマーの必需品だ。必ず目にしていると言っていい。
ここからが本題だ、と言わんばかりに、カイルは声を潜めた。
「奴らの資金ルートは謎だが、いくつかの企業と繋がりがあることが分かった。その内の一つが"ネズミ"だ」
「……アッシュラッツが?」
それは、つまり――アレクシアの考えがまとまり切る前に、シリヤが言葉を続ける。
「そのアッシュラッツに、料理長……じゃないや、元料理長が潜入捜査してくれてます」
「あの人、そういう感じの人だったの?」
元料理長は、この間いきなりベルーガを辞めた、と聞いている。シリヤの上長に相応しく、いつも柔和な笑みを浮かべていた彼は、ただただ蒸発したとばかり思っていたのだが。
シリヤは悪戯がバレた子どものような、少し困った笑みを見せた。
「それで、アッシュラッツとジャンク財団の幹部同士の会合の日が分かりました。そこを強襲します。ずばり……ネズミの丸焼き作戦です!」
「やるのは可能な限りの生捕りだがな。色々吐かせにゃならん」
「下準備は大事ですしね」
「ネズミのローストってのもあんまり美味くなさそうだが……三大勢力のお偉方は相当お怒りだ。同じタイミングでガサ入れして、解体に追い込むつもりだぜ」
そう。この作戦が成功すれば、アッシュラッツは無くなる、ということだ。
青天の霹靂とでも言うべき事態を呑み込むのでいっぱいだった。そんな様子のアレクシアに、「エコーズ」とカイルが声を掛ける。
「この作戦に、何でベルーガが選ばれたと思う?」
どうしてこのブラッククソ艦が? 見当も付かなくて、首を横に振る。
「一つは、曲がりなりにもコロッセオ・レガシィ直属の戦力だから。ま、三大勢力外のうちが介入した方が後腐れがねえってわけだな。
もう一つは……保有するグレムリン戦力を買われたんだよ。すごいもんだぜ、今やユニオンとしちゃ虚空領域最大規模なんだからな。
……それを集めてきたのは誰だ?」
慣れないグレムリンに乗り、グレイヴネットのアクセス権を駆使して地道に勧誘を行ったのは、紛れもなくアレクシアだ。
心音がうるさかった。肯定も否定もできないまま、カイルは続ける。
「クソみたいな境遇でも、腐らず努力した成果だろう。俺はお前さんの事情を全部知ってるわけじゃないが……ネズミなんざに囚われず、自由になってもいいんじゃないか」
そもそも、アッシュラッツ・ファクトリーの人間であるアレクシアにこの作戦を伝えるべきではないだろう。それをこうして伝えられているのは信頼と――きっと、心配の表れだった。シリヤも、「そうすべきですよ!」と言わんばかりに頷いている。
「ま、できりゃァ今後も船に居てほしいもんだが。頼りにしてるんだぜ、お前さんのことは」
「……それは期待しないでください」
やっとのことで絞り出された言葉に、カイルとシリヤが目を丸くする。
「再就職先の当てはあるんで」
微かに見えた未来に、心臓が鳴っていた。
「とりあえず破壊しよう」
「破壊」
「破壊は得意だ」
「……その調子でコーヒーショップなんて大丈夫?」
「コーヒーショップはコーヒー豆を破壊する仕事だろう」
「そうかなあ……」
破壊する、と言いながらコーヒー豆を挽くコールを想像してみる。どう考えても繁盛しなさそうな店だ。
現実問題として、"破壊"は選択肢に挙がらないわけではない。グレムリンという力が、アレクシアとコールにはある。
しかし、何をどう破壊するのか。たとえばウェイブ一人をどうにかしたとして、それで解決する問題なのか。先の灰塵戦争でアッシュラッツのグレムリンも多くが機能停止したとはいえ、相手の戦力は如何ほどか。曲がりなりにも三大勢力から出資を受けている企業に派手に喧嘩を売って、その後の生活は大丈夫なのか。不透明なことが多すぎる。
仮に、それらの懸念を全てクリアにしたとしても、ウェイブだけを狙い撃つのはきっと難しい。アッシュラッツは最悪な企業だが、それでも、無駄な犠牲を出すのは、アレクシアにとって気が引けることだった。
そうして自分一人が自由になったとして、セラフィンに顔向けできないように思えた。彼もまた、こんなクソみたいな世界の中で、そういう理想を語るひとだった――コールのように。
アレクシアだって生きるためにグレムリンを、そのテイマーを斃している。今更何を言っているんだ、という話でもあるが、それでも、広範囲の破壊はできるだけ避けたい。人間らしく在るなら、きっとそうすべきだ。
他の選択肢には、"借金の返済"がある。一番の正攻法に思えるし、アレクシアもこれを目指していた。が、正直なところ、金を払い切ってもすんなり辞めさせてくれるとは考え辛かった。何より、この方法を取るには時間も金も無い。状況は逼迫している。
ああでもない、こうでもないと二人は話を続けたが、やがて案も出尽くした。ふう、とアレクシアは疲れを滲ませた息を吐く。
「今日はこのくらいにしとこうか。一回、落ち着いて考えてみる」
「分かった。俺も何か考えておこう」
コールは頷き、席を立った。アレクシアもそれに倣って、二人して会議室を出る。
「コールくん」
「何だ?」
呼ばれて振り返ったコールは、いつもと変わらない、涼しい顔をしている。
少し間を置いて、アレクシアは首を横に振る。
「や、何でもない」
「そうか。それじゃ、また明日」
「うん」
コールはそのまま歩いていった。恐らく自室に戻るのだろう。
会議室の扉にもたれながら、アレクシアはその背を見ている。
あんなことを言っておいて。手を差し伸べておいて。
拍子抜けするくらい、あまりにいつも通りだ。
「……何なのさ」
アレクシアは釈然としない様子で呟いた。
もしかすると本当にただの仕事のように思っていて、コールにとってはどうってことのない話なのかもしれない。
拾って、僚機を組んで、気づけばもう随分経つのに、彼のことはよく分からない。
けれど――あの未来に進もうとする真っ直ぐな姿勢には、感心する。
そのせいだろうか。特に名案が出たわけでもないのに、心強く思うのは。
コールのことは分からない。
分からなくたって、確かにアレクシアは救われている。
それが分かっていればいいのだろう。
異動の話を聞いてからずっと頭が靄がかった心地だったが、今はすっきりと晴れていた。
その夜は、久しぶりによく眠れた。
次の日、コールとの話し合いの前にアレクシアが向かったのはダストデッキだった。
とりあえず、自分のタイムリミットを知りたくて、艦長室の扉を叩く。
「あ、エコーズさん!」
ドアを開けたのはシリヤだった。何でシリヤが? 目を瞬かせるアレクシアに対し、彼女はぱっと笑う。その後ろでは、「おー、入れ入れ」と執務机に座ったカイルが手招きしている。
アレクシアは二人を見比べて言った。
「取り込み中なら出直しますけど」
「いや、お前にも関係ある話だ。丁度良かった」
シリヤもうんうん頷いて、道を空けるようカイルの前に移動した。
アレクシアが扉を閉めて部屋に入ると、カイルは、「早速だが」と話を切り出した。
「今から話すことは極秘事項だ。いいな?」
「はあ、どうぞ」
極秘事項? 一体何を話してたんだ? アレクシアは僅かに眉を寄せた。
「ジャンク財団のことは把握してるな」
「そりゃ、もちろん」
今、ジャンク財団のことを知らないテイマーはいないだろう。大々的に行われた宣戦布告の後から、グレイヴネットには恐ろしい量の広告が流れている。世相に疎く、ニュースなどに触れていないとしても、マーケットに繋がるグレイヴネットはテイマーの必需品だ。必ず目にしていると言っていい。
ここからが本題だ、と言わんばかりに、カイルは声を潜めた。
「奴らの資金ルートは謎だが、いくつかの企業と繋がりがあることが分かった。その内の一つが"ネズミ"だ」
「……アッシュラッツが?」
それは、つまり――アレクシアの考えがまとまり切る前に、シリヤが言葉を続ける。
「そのアッシュラッツに、料理長……じゃないや、元料理長が潜入捜査してくれてます」
「あの人、そういう感じの人だったの?」
元料理長は、この間いきなりベルーガを辞めた、と聞いている。シリヤの上長に相応しく、いつも柔和な笑みを浮かべていた彼は、ただただ蒸発したとばかり思っていたのだが。
シリヤは悪戯がバレた子どものような、少し困った笑みを見せた。
「それで、アッシュラッツとジャンク財団の幹部同士の会合の日が分かりました。そこを強襲します。ずばり……ネズミの丸焼き作戦です!」
「やるのは可能な限りの生捕りだがな。色々吐かせにゃならん」
「下準備は大事ですしね」
「ネズミのローストってのもあんまり美味くなさそうだが……三大勢力のお偉方は相当お怒りだ。同じタイミングでガサ入れして、解体に追い込むつもりだぜ」
そう。この作戦が成功すれば、アッシュラッツは無くなる、ということだ。
青天の霹靂とでも言うべき事態を呑み込むのでいっぱいだった。そんな様子のアレクシアに、「エコーズ」とカイルが声を掛ける。
「この作戦に、何でベルーガが選ばれたと思う?」
どうしてこのブラッククソ艦が? 見当も付かなくて、首を横に振る。
「一つは、曲がりなりにもコロッセオ・レガシィ直属の戦力だから。ま、三大勢力外のうちが介入した方が後腐れがねえってわけだな。
もう一つは……保有するグレムリン戦力を買われたんだよ。すごいもんだぜ、今やユニオンとしちゃ虚空領域最大規模なんだからな。
……それを集めてきたのは誰だ?」
慣れないグレムリンに乗り、グレイヴネットのアクセス権を駆使して地道に勧誘を行ったのは、紛れもなくアレクシアだ。
心音がうるさかった。肯定も否定もできないまま、カイルは続ける。
「クソみたいな境遇でも、腐らず努力した成果だろう。俺はお前さんの事情を全部知ってるわけじゃないが……ネズミなんざに囚われず、自由になってもいいんじゃないか」
そもそも、アッシュラッツ・ファクトリーの人間であるアレクシアにこの作戦を伝えるべきではないだろう。それをこうして伝えられているのは信頼と――きっと、心配の表れだった。シリヤも、「そうすべきですよ!」と言わんばかりに頷いている。
「ま、できりゃァ今後も船に居てほしいもんだが。頼りにしてるんだぜ、お前さんのことは」
「……それは期待しないでください」
やっとのことで絞り出された言葉に、カイルとシリヤが目を丸くする。
「再就職先の当てはあるんで」
微かに見えた未来に、心臓が鳴っていた。
◆15回更新の日記ログ
*今回の日誌*
https://www.evernote.com/shard/s232/sh/c6cac0dd-56e4-4560-b2cc-e986cc05bf0e/eee1b04013c4985066c36283250fd4a3
https://www.evernote.com/shard/s232/sh/c6cac0dd-56e4-4560-b2cc-e986cc05bf0e/eee1b04013c4985066c36283250fd4a3
◆14回更新の日記ログ
*今回の日誌*
https://www.evernote.com/shard/s232/sh/ae2dce6d-78f7-4f7b-8686-527f4d7ebff1/53c12890f3d4bad455115ce486d6c627
https://www.evernote.com/shard/s232/sh/ae2dce6d-78f7-4f7b-8686-527f4d7ebff1/53c12890f3d4bad455115ce486d6c627
◆13回更新の日記ログ
グレイヴネット上でのジャンク財団の宣戦布告から一夜明け、【ベルーガ】では艦長カイルから今後の方針が発表された。
「曲がりなりにも俺らの所属は【コロッセオ・レガシィ】だ。
コロッセオ・レガシィの役目は何だ? タワーの守護だな。
何もジャンク財団を野放しにしろって話じゃねぇが、俺たちはそっちに回ることになった。お上からのご要望でな。
ってことで、タワーを航路に取るぞ」
ジャンク財団の代表と名乗る人物はこう言っていた。「未識別機動体を、すでに掌握し、制御している」と。
未識別機動体の侵攻により、今、虚空領域は滅茶苦茶になっている。その発端も、ジャンク財団によるものなのだろうか。
と、そこまで考えて、アレクシアは思考を打ち切る。よく分からないことだらけだ。これ以上考えても無駄だろう。
艦長室の扉をノックする。「入れ」と部屋の中から聞こえて、ドアノブを回す。
「あー……エコーズ。伝え辛いんだが」
【ベルーガ】全体の連絡の後、カイルに呼び出されていた。
そしてそのカイルは今、アレクシアの前で酷く苦々しい顔をしている。座っている革張りの防錆高級ソファが、似合わないことこの上ない。
こういう時は悪い話に決まっている。努めて、アレクシアは無感情に言った。
「また役職でも増えるんで?」
「ネズミの方から連絡があってな」
「……気ぃ遣ってもらわなくてもいいんで。簡潔に伝えてくれますか」
「俺が気ィ遣ってんだぜ。有難く受け取れよ」
なおもカイルは躊躇した様子で、歯切れ悪く、こう言った。
「アレクシア・エコーズは【ベルーガ】付グレムリンテイマーから、【アッシュラッツ・ファクトリー】本部、ウェイブ・クローヴィンケル付秘書への速やかな異動を命じる、だと」
「……」
そうか。そう来るのか。そこまで、するのか。
頭だけは妙に冷静にその事実を理解していたが、アレクシアは何も言えなかった。ぐつぐつと煮立つ感情を、言葉にすることができない。
カイルは珍しく、慮るようにアレクシアを窺う。
「一応、栄転だと思うんだが」
栄転。これが?
ふ、と自嘲のような息が漏れた。それで、ようやく呼吸を思い出したような心地になる。心臓がどくどく鳴っていることに気が付く。
言葉を。何か言わないと。
「……面白くない冗談ですね」
「エコーズ、大丈夫なのか?
なんつーか、あいつおかしいだろ。
この前押しかけてきたのだってよ……仕事の範疇を越えて、お前さんに執着してる」
「……」
そうだ。あのウェイブという男は、おかしい。そんなことは言われなくても知っている。
あの時からずっとそうだ。ずっと変わらない。
アレクシアはずっと、ウェイブの掌の上で、ただただ弄ばれている。
そういうことなのだろう。
黙りこくるアレクシアを見兼ねて、カイルは首を横に振った。
「……いや、いい。悪いな。エコーズ、今日はもう休め。いいな。艦長命令だ。
とりあえず、ギリギリまで引き伸ばすからよ。俺もあいつは気に食わねーんだ。
何かあったら言えや。ここにいる間は【ベルーガ】の一員だ」
聞こえる声がどうにも遠く感じる。聞き返す気も起きない。
きっともう関係のなくなることだから。
アレクシアは曖昧に頷いて、艦長室を出た。
「え、エコーズさん? 大丈夫ですか?」
名前を呼ばれて、一拍遅れて振り返る。
第二甲板まで下りてきたアレクシアに声をかけたのは、シリヤだった。
グレムリンエンジニア、兼料理長――副料理長だったが、最近料理長が辞めたので格上げさせられた――、兼食料班主任である彼女は、グレムリンドックのある第二甲板でもよく見かけるが、大量の整備機材を抱え、見るからに忙しそうにも関わらず、足を止めてぎょっとした表情でアレクシアを見ている。
「シリヤ」
「あいや、あの……」
シリヤはアレクシアの顔をまじまじと見て、心配の色をより強めた。
「顔色が酷くて。どうかしました?」
「……んー。はは。過労かもね。
ちょっと、疲れたんでしょ。うん。それだけだよ」
アレクシアは力なく手を振って、ふらりとグレムリンドックの奥に入っていく。
シリヤは何も言えずに、その背を見送ることしかできなかった。
グレムリンドックを通り抜けると、船員や機材の喧騒がだんだん小さくなる。代わりに聞こえるのは艦の機械的で規則的な駆動音だ。
第二甲板奥の多目的倉庫。アレクシアのいつもの喫煙所。
何度も開けた扉が、やけに重たく感じられた。腕だけではなく体全体で、ようやく押し開ける。電気も付けずに、エアフィルターの下に立つ。背中を冷たい壁にもたれかけるが、すぐ、ずるずると頽れるように座り込んだ。煙草を吸いにきたはずだったが、そんな気にもなれない。
しばらく、アレクシアは膝に顔を埋めていた。
ごう、ごう、とエアフィルターの中の換気扇が回る音だけが響く。
「……やだな……」
掻き消されてしまいそうな、か細い声だった。
実際、それは誰にも届かない。
あの男のところに行くのは本当に、本当に嫌だった。いっそ死んだほうがマシにさえ思える。
それでも。
アレクシアは生きていなくてはいけない。
約束したからだ。
蹲る。目を閉じる。
意識が、思い出の中へと沈んでいく。
「曲がりなりにも俺らの所属は【コロッセオ・レガシィ】だ。
コロッセオ・レガシィの役目は何だ? タワーの守護だな。
何もジャンク財団を野放しにしろって話じゃねぇが、俺たちはそっちに回ることになった。お上からのご要望でな。
ってことで、タワーを航路に取るぞ」
ジャンク財団の代表と名乗る人物はこう言っていた。「未識別機動体を、すでに掌握し、制御している」と。
未識別機動体の侵攻により、今、虚空領域は滅茶苦茶になっている。その発端も、ジャンク財団によるものなのだろうか。
と、そこまで考えて、アレクシアは思考を打ち切る。よく分からないことだらけだ。これ以上考えても無駄だろう。
艦長室の扉をノックする。「入れ」と部屋の中から聞こえて、ドアノブを回す。
「あー……エコーズ。伝え辛いんだが」
【ベルーガ】全体の連絡の後、カイルに呼び出されていた。
そしてそのカイルは今、アレクシアの前で酷く苦々しい顔をしている。座っている革張りの防錆高級ソファが、似合わないことこの上ない。
こういう時は悪い話に決まっている。努めて、アレクシアは無感情に言った。
「また役職でも増えるんで?」
「ネズミの方から連絡があってな」
「……気ぃ遣ってもらわなくてもいいんで。簡潔に伝えてくれますか」
「俺が気ィ遣ってんだぜ。有難く受け取れよ」
なおもカイルは躊躇した様子で、歯切れ悪く、こう言った。
「アレクシア・エコーズは【ベルーガ】付グレムリンテイマーから、【アッシュラッツ・ファクトリー】本部、ウェイブ・クローヴィンケル付秘書への速やかな異動を命じる、だと」
「……」
そうか。そう来るのか。そこまで、するのか。
頭だけは妙に冷静にその事実を理解していたが、アレクシアは何も言えなかった。ぐつぐつと煮立つ感情を、言葉にすることができない。
カイルは珍しく、慮るようにアレクシアを窺う。
「一応、栄転だと思うんだが」
栄転。これが?
ふ、と自嘲のような息が漏れた。それで、ようやく呼吸を思い出したような心地になる。心臓がどくどく鳴っていることに気が付く。
言葉を。何か言わないと。
「……面白くない冗談ですね」
「エコーズ、大丈夫なのか?
なんつーか、あいつおかしいだろ。
この前押しかけてきたのだってよ……仕事の範疇を越えて、お前さんに執着してる」
「……」
そうだ。あのウェイブという男は、おかしい。そんなことは言われなくても知っている。
あの時からずっとそうだ。ずっと変わらない。
アレクシアはずっと、ウェイブの掌の上で、ただただ弄ばれている。
そういうことなのだろう。
黙りこくるアレクシアを見兼ねて、カイルは首を横に振った。
「……いや、いい。悪いな。エコーズ、今日はもう休め。いいな。艦長命令だ。
とりあえず、ギリギリまで引き伸ばすからよ。俺もあいつは気に食わねーんだ。
何かあったら言えや。ここにいる間は【ベルーガ】の一員だ」
聞こえる声がどうにも遠く感じる。聞き返す気も起きない。
きっともう関係のなくなることだから。
アレクシアは曖昧に頷いて、艦長室を出た。
「え、エコーズさん? 大丈夫ですか?」
名前を呼ばれて、一拍遅れて振り返る。
第二甲板まで下りてきたアレクシアに声をかけたのは、シリヤだった。
グレムリンエンジニア、兼料理長――副料理長だったが、最近料理長が辞めたので格上げさせられた――、兼食料班主任である彼女は、グレムリンドックのある第二甲板でもよく見かけるが、大量の整備機材を抱え、見るからに忙しそうにも関わらず、足を止めてぎょっとした表情でアレクシアを見ている。
「シリヤ」
「あいや、あの……」
シリヤはアレクシアの顔をまじまじと見て、心配の色をより強めた。
「顔色が酷くて。どうかしました?」
「……んー。はは。過労かもね。
ちょっと、疲れたんでしょ。うん。それだけだよ」
アレクシアは力なく手を振って、ふらりとグレムリンドックの奥に入っていく。
シリヤは何も言えずに、その背を見送ることしかできなかった。
グレムリンドックを通り抜けると、船員や機材の喧騒がだんだん小さくなる。代わりに聞こえるのは艦の機械的で規則的な駆動音だ。
第二甲板奥の多目的倉庫。アレクシアのいつもの喫煙所。
何度も開けた扉が、やけに重たく感じられた。腕だけではなく体全体で、ようやく押し開ける。電気も付けずに、エアフィルターの下に立つ。背中を冷たい壁にもたれかけるが、すぐ、ずるずると頽れるように座り込んだ。煙草を吸いにきたはずだったが、そんな気にもなれない。
しばらく、アレクシアは膝に顔を埋めていた。
ごう、ごう、とエアフィルターの中の換気扇が回る音だけが響く。
「……やだな……」
掻き消されてしまいそうな、か細い声だった。
実際、それは誰にも届かない。
あの男のところに行くのは本当に、本当に嫌だった。いっそ死んだほうがマシにさえ思える。
それでも。
アレクシアは生きていなくてはいけない。
約束したからだ。
蹲る。目を閉じる。
意識が、思い出の中へと沈んでいく。
◆12回更新の日記ログ
「そろそろ借金完済だけど、コール君はどうするの」
いつものように戦闘を終えた後、アレクシアがコールにそう問いかけた。
沈黙が流れる。
「そうなのか?」
「え? そうだけど?」
「初耳だ」
「嘘でしょ」
信じられない。アレクシアの顔にはその6文字が張り付いていた。
自分の借金の額を忘れるなんてこと、ある?
「……まあ、いいけど。とりあえずほら、返済のためにここで働いてたわけじゃない。違うとこ行くなら早めに教えてね。こっちにも色々と都合があるから」
「わかった」
と、いつもと同じ無表情で、コールは頷いた。
***
そんな会話をしてから、暫く。
ジャンク財団掃討作戦が計画されているという噂もあるが、ひとまず【ベルーガ】は通常運行だった。未確認機を見つければ破壊し、グレムリンテイマーが襲撃してきたらこれも破壊する。錆の海での破壊に明け暮れる日々。
「雇い主さん。この前の話だが」
アレクシアが食堂で食事――本日のメニューはドロの光の柱風――をしていると、そう言ってコールが正面の席に座ってきた。コールはドロと、コンブレッドがどっさり載ったトレーを机の上に置く。
相変わらずよく食べるなあと思いつつ、アレクシアは食事の手を取りコールに視線を向けた。
「あー、どうするかって話?」
「そうだ」
ついに来たか。
見切り発車で僚機探しとけばよかったな。せめて次の戦闘まではいてほしいところだけど……
「差し当たってここに残ろうと思う」
「……あ、そうなの?」
珍しく、アレクシアは驚いたように目を瞠った。
コールが【ベルーガ】に残る。それは予想だにしていないことだ。
「そりゃまあ……」
嬉しいよ、と言葉が過る。
いや。これは違う。
視線を揺らして、アレクシアはこう言った。
「艦としては助かるけど」
回答をしたからここからは雑談気分なのか、コールはコンブレッドに手を付け始めている。「とりあえず資金調達を目標にしよう」と言いつつ、食べ盛りの子どものようにもりもりと食べている。
「コーヒーショップの?」
「そうだ」
以前、アレクシアはコールに聞いたことがある。コーヒーショップを開くことが将来の夢だ、と。
まさか、本気でそう思っているとは。
「……コールくん、本気なんだ? 完済に気づいてなかったのに、経営なんてできる?」
「やってみなければわからない」
「まあ……いいんじゃない。やりたいことがあるのはさ」
「雇い主さんは何がやりたいんだ?」
「うん? ……私?」
「ああ」
コーヒーショップの会話をした時。冗談のつもりで、「店を開いたら、飲みに行ってあげようか」と言った。コーヒーはそこまで好きではないが、コールが店を開くなら、そうしてもいいと思ったのは確かだ。
その返事に、コールは言ったのだ。「雇い主さんも一緒にやるか? コーヒー屋。そしたら、わざわざ飲みに来る必要も無い」と。
アレクシアは、それを断っていた。分かり難い冗談は止めた方が良い。コーヒーにも詳しくないし、愛想も悪い。接客業には向いていない。私には無理だ。そうして、やれない理由を並び立てた。
「……やりたいこと……」
やりたいこと、なんて無かった。
やれないことが分かっているから、そんなことは考えたことがない。いや、考えないようにしてきた。
「やりたくない、ことなら、たくさんある」
だからアレクシアにはこう言うことしかできない。コールみたいに、やりたいことなんて語れなかった。
「グレムリンテイマーとか。戦うこととか。エンジニアも慣れてるってだけで、別にやりたいことではないし」
「辞めるという選択肢はないのか?」
コールは不思議そうにしている。
「……そうできたらいいけどねえ」
アレクシアはふっと笑った。自嘲めいたそれは、困ったような苦笑いに変わる。
「もし辞めれたら、雇ってくれる? コールくん」
「ああ。構わない」
「そりゃ心強いや」
あーあ。どっかの企業みたいに爆発しないかな、アッシュラッツも。
そんなことを思いながら、食事と他愛のない話が続く。
***
ジリリリリ、と旧式の着信音を模した音が鳴る。
カイルはアンティーク調の通信機の受話器を取った。
「こちら【ベルーガ】艦長室。……ああ? クローヴィンケル殿?」
電話先の相手に、思わず眉を顰める。
「どうしたんですかい、お忙しいでしょうに……はあ?」
声がどんどん険しくなる。
「いやいや、ちょっと待ってもらえますか、そんな急に? 有り得ねえ。今抜けられたら困りますよ。契約違反でしょう……ああ!? いやだから、ちょっ、おい!? ……あァー、クソ!」
ガチャンと受話器を荒く置き、カイルはその先を、忌々しげに睨んだ。
いつものように戦闘を終えた後、アレクシアがコールにそう問いかけた。
沈黙が流れる。
「そうなのか?」
「え? そうだけど?」
「初耳だ」
「嘘でしょ」
信じられない。アレクシアの顔にはその6文字が張り付いていた。
自分の借金の額を忘れるなんてこと、ある?
「……まあ、いいけど。とりあえずほら、返済のためにここで働いてたわけじゃない。違うとこ行くなら早めに教えてね。こっちにも色々と都合があるから」
「わかった」
と、いつもと同じ無表情で、コールは頷いた。
***
そんな会話をしてから、暫く。
ジャンク財団掃討作戦が計画されているという噂もあるが、ひとまず【ベルーガ】は通常運行だった。未確認機を見つければ破壊し、グレムリンテイマーが襲撃してきたらこれも破壊する。錆の海での破壊に明け暮れる日々。
「雇い主さん。この前の話だが」
アレクシアが食堂で食事――本日のメニューはドロの光の柱風――をしていると、そう言ってコールが正面の席に座ってきた。コールはドロと、コンブレッドがどっさり載ったトレーを机の上に置く。
相変わらずよく食べるなあと思いつつ、アレクシアは食事の手を取りコールに視線を向けた。
「あー、どうするかって話?」
「そうだ」
ついに来たか。
見切り発車で僚機探しとけばよかったな。せめて次の戦闘まではいてほしいところだけど……
「差し当たってここに残ろうと思う」
「……あ、そうなの?」
珍しく、アレクシアは驚いたように目を瞠った。
コールが【ベルーガ】に残る。それは予想だにしていないことだ。
「そりゃまあ……」
嬉しいよ、と言葉が過る。
いや。これは違う。
視線を揺らして、アレクシアはこう言った。
「艦としては助かるけど」
回答をしたからここからは雑談気分なのか、コールはコンブレッドに手を付け始めている。「とりあえず資金調達を目標にしよう」と言いつつ、食べ盛りの子どものようにもりもりと食べている。
「コーヒーショップの?」
「そうだ」
以前、アレクシアはコールに聞いたことがある。コーヒーショップを開くことが将来の夢だ、と。
まさか、本気でそう思っているとは。
「……コールくん、本気なんだ? 完済に気づいてなかったのに、経営なんてできる?」
「やってみなければわからない」
「まあ……いいんじゃない。やりたいことがあるのはさ」
「雇い主さんは何がやりたいんだ?」
「うん? ……私?」
「ああ」
コーヒーショップの会話をした時。冗談のつもりで、「店を開いたら、飲みに行ってあげようか」と言った。コーヒーはそこまで好きではないが、コールが店を開くなら、そうしてもいいと思ったのは確かだ。
その返事に、コールは言ったのだ。「雇い主さんも一緒にやるか? コーヒー屋。そしたら、わざわざ飲みに来る必要も無い」と。
アレクシアは、それを断っていた。分かり難い冗談は止めた方が良い。コーヒーにも詳しくないし、愛想も悪い。接客業には向いていない。私には無理だ。そうして、やれない理由を並び立てた。
「……やりたいこと……」
やりたいこと、なんて無かった。
やれないことが分かっているから、そんなことは考えたことがない。いや、考えないようにしてきた。
「やりたくない、ことなら、たくさんある」
だからアレクシアにはこう言うことしかできない。コールみたいに、やりたいことなんて語れなかった。
「グレムリンテイマーとか。戦うこととか。エンジニアも慣れてるってだけで、別にやりたいことではないし」
「辞めるという選択肢はないのか?」
コールは不思議そうにしている。
「……そうできたらいいけどねえ」
アレクシアはふっと笑った。自嘲めいたそれは、困ったような苦笑いに変わる。
「もし辞めれたら、雇ってくれる? コールくん」
「ああ。構わない」
「そりゃ心強いや」
あーあ。どっかの企業みたいに爆発しないかな、アッシュラッツも。
そんなことを思いながら、食事と他愛のない話が続く。
***
ジリリリリ、と旧式の着信音を模した音が鳴る。
カイルはアンティーク調の通信機の受話器を取った。
「こちら【ベルーガ】艦長室。……ああ? クローヴィンケル殿?」
電話先の相手に、思わず眉を顰める。
「どうしたんですかい、お忙しいでしょうに……はあ?」
声がどんどん険しくなる。
「いやいや、ちょっと待ってもらえますか、そんな急に? 有り得ねえ。今抜けられたら困りますよ。契約違反でしょう……ああ!? いやだから、ちょっ、おい!? ……あァー、クソ!」
ガチャンと受話器を荒く置き、カイルはその先を、忌々しげに睨んだ。
◆11回更新の日記ログ
*今回の日記*
https://www.evernote.com/shard/s232/sh/ecabd90b-e623-46b4-b96f-9b1b995d8f6a/c47509f1ff2b9de061423ff7dacef510
https://www.evernote.com/shard/s232/sh/ecabd90b-e623-46b4-b96f-9b1b995d8f6a/c47509f1ff2b9de061423ff7dacef510
◆10回更新の日記ログ
ニュースが慌ただしく駆け巡る。刻一刻と変わる世界の情勢が報じられる。
アレクシアはそれをどこか他人事のように聞いていた。グレムリンに乗って戦っているのだから、言ってしまえば前線にいるのだが、それでも自分事に思うのは難しかった。先の巨大未識別融合体との戦いだって、アレクシアはコンテナ狙いのジャンクテイマーと戦ってばかりで、結局相対することはなかった。
世界が終わるとか、ループしているとか、急に言われても実感が湧かない。神秘工廠『ゼラ』に行けと言われたが、雇われの身だ。カイルの許可が出るだろうか? それは怪しい。
自分の世界は手の届く範囲だけで、それより向こうの出来事は透明の膜で隔てられている。観測することはできるが、触れることはできない。そんな余裕も無い。――まあ、触れられるとしても、そうしない可能性が高いのだが。アレクシアは平和主義を自称している。厄介事は御免だった。平穏であればあるほど好ましい。
そこまで聞き流して、アレクシアはベッドサイドに置かれたラジオのスイッチを切る。金を掛けずに気を紛らわせることができるラジオは好きだったが、考え事をする時には向いていない。
入れ替わりで電子タブレットを手に取るとベッドに寝転び直し、それをしげしげと眺める。
アレクシアにとって、目下の自分事はこちらの方だった。
(相変わらずだな)
表示されているのはベルーガからの給与明細だった。
額面としては、企業やユニオン勤めのテイマーの相場より少し低いくらいだ。それに、この時世に給与が出るだけマシと言えなくもない。
問題はその下に書かれている、『仲介料』と『返済』の欄だ。
『仲介料』で給与の約半分、『返済』でその更に半分が差し引かれており、結果的にアレクシアの手元には4分の1ほどしか残らない。
アレクシアは、アッシュラッツ・ファクトリーに所属し、ベルーガへ配属されている。仕事は全てアッシュラッツから割り振られていて、『仲介料』はそういうことだ。
稼ぎの半分も持っていくのは暴利だ。正当ではない。もちろんアレクシアもそう思っている。それでもアッシュラッツを辞められないのは、『返済』の方にあった。
物心がついた時には、アレクシアはすでにアッシュラッツの管理下にあった。
孤児なのか、売られたのかは分からない。ずっと、"そういうもの"だと思っていたから、知ろうとも思わなかった。アッシュラッツから教えられるものが全てだった。
けれどあの日、あの時、知ってしまったのだ。外の世界のことを。目を逸らし続けていた、自分の置かれた状況を。向き合わざるを得なくなってしまった。
アッシュラッツを辞めたいと言ったアレクシアに請求されたのは、それまでの生活費、教育費、その他諸々を含んだ多額の身請け金。すぐに払えるものでは到底なく、分割で返し始めたのは17歳の頃だ。完済の目途は立たないまま、もう7年も経ってしまった。
電子タブレットを枕際に放って、アレクシアは目を閉じた。
(……そういえば、コールくんの借金はもうなくなるのか)
コールのアレクシアへの借金――激しく損壊した『クレオソート』と、コール自身の修理代。いくらかはベルーガが負担しているが、おおよそはアレクシアが持っていた。
返済に追われる自分が返済を迫るのもなんだか滑稽な話だった。というか、心情的にはとても嫌だった。アッシュラッツと同じようになってしまった、そんな心地。それでも金は必要だった。仕方がない。利子はほとんど請求していないから、それでゆるしてほしい。
借金を返済すれば、ベルーガで働く理由はなくなる。
その時、コールはどうするのだろう。
彼の腕ならもっと待遇の良い艦に乗れるだろうし、ヴォイド・テイマーとして一人でやっていくことだって不可能ではない。ベルーガの待遇、特に食事には常々不満を持っているし、残る可能性は極めて低いだろう。
そうしたら、アレクシアは僚機を探さなくてはならない。今更テイマーを下りることは難しそうだし、一人で戦場に出られるほど実力はなかった。
この状況下で新しい僚機は見つかるのか。見つかったとして、うまくやっていけるのか。食事はこだわるタイプだろうか。卓球に興味を示したりするだろうか。
そこまで考えて、アレクシアは気づいた。
最初こそコールを拾ったのは間違いだったと思っていたが、今ではそう思っていないらしい。
溜息。
コールがいなくなる。
それは少し、面倒臭いな、と思った。
アレクシアはそれをどこか他人事のように聞いていた。グレムリンに乗って戦っているのだから、言ってしまえば前線にいるのだが、それでも自分事に思うのは難しかった。先の巨大未識別融合体との戦いだって、アレクシアはコンテナ狙いのジャンクテイマーと戦ってばかりで、結局相対することはなかった。
世界が終わるとか、ループしているとか、急に言われても実感が湧かない。神秘工廠『ゼラ』に行けと言われたが、雇われの身だ。カイルの許可が出るだろうか? それは怪しい。
自分の世界は手の届く範囲だけで、それより向こうの出来事は透明の膜で隔てられている。観測することはできるが、触れることはできない。そんな余裕も無い。――まあ、触れられるとしても、そうしない可能性が高いのだが。アレクシアは平和主義を自称している。厄介事は御免だった。平穏であればあるほど好ましい。
本日のニュースです
犠牲は大きく、多くの都市や船が焼かれました
その損害は計り知れません
復興には100年とも1000年とも言われています
戦火の傷跡は大きく、我々はいま試されています
そこまで聞き流して、アレクシアはベッドサイドに置かれたラジオのスイッチを切る。金を掛けずに気を紛らわせることができるラジオは好きだったが、考え事をする時には向いていない。
入れ替わりで電子タブレットを手に取るとベッドに寝転び直し、それをしげしげと眺める。
アレクシアにとって、目下の自分事はこちらの方だった。
(相変わらずだな)
表示されているのはベルーガからの給与明細だった。
額面としては、企業やユニオン勤めのテイマーの相場より少し低いくらいだ。それに、この時世に給与が出るだけマシと言えなくもない。
問題はその下に書かれている、『仲介料』と『返済』の欄だ。
『仲介料』で給与の約半分、『返済』でその更に半分が差し引かれており、結果的にアレクシアの手元には4分の1ほどしか残らない。
アレクシアは、アッシュラッツ・ファクトリーに所属し、ベルーガへ配属されている。仕事は全てアッシュラッツから割り振られていて、『仲介料』はそういうことだ。
稼ぎの半分も持っていくのは暴利だ。正当ではない。もちろんアレクシアもそう思っている。それでもアッシュラッツを辞められないのは、『返済』の方にあった。
物心がついた時には、アレクシアはすでにアッシュラッツの管理下にあった。
孤児なのか、売られたのかは分からない。ずっと、"そういうもの"だと思っていたから、知ろうとも思わなかった。アッシュラッツから教えられるものが全てだった。
けれどあの日、あの時、知ってしまったのだ。外の世界のことを。目を逸らし続けていた、自分の置かれた状況を。向き合わざるを得なくなってしまった。
アッシュラッツを辞めたいと言ったアレクシアに請求されたのは、それまでの生活費、教育費、その他諸々を含んだ多額の身請け金。すぐに払えるものでは到底なく、分割で返し始めたのは17歳の頃だ。完済の目途は立たないまま、もう7年も経ってしまった。
電子タブレットを枕際に放って、アレクシアは目を閉じた。
(……そういえば、コールくんの借金はもうなくなるのか)
コールのアレクシアへの借金――激しく損壊した『クレオソート』と、コール自身の修理代。いくらかはベルーガが負担しているが、おおよそはアレクシアが持っていた。
返済に追われる自分が返済を迫るのもなんだか滑稽な話だった。というか、心情的にはとても嫌だった。アッシュラッツと同じようになってしまった、そんな心地。それでも金は必要だった。仕方がない。利子はほとんど請求していないから、それでゆるしてほしい。
借金を返済すれば、ベルーガで働く理由はなくなる。
その時、コールはどうするのだろう。
彼の腕ならもっと待遇の良い艦に乗れるだろうし、ヴォイド・テイマーとして一人でやっていくことだって不可能ではない。ベルーガの待遇、特に食事には常々不満を持っているし、残る可能性は極めて低いだろう。
そうしたら、アレクシアは僚機を探さなくてはならない。今更テイマーを下りることは難しそうだし、一人で戦場に出られるほど実力はなかった。
この状況下で新しい僚機は見つかるのか。見つかったとして、うまくやっていけるのか。食事はこだわるタイプだろうか。卓球に興味を示したりするだろうか。
そこまで考えて、アレクシアは気づいた。
最初こそコールを拾ったのは間違いだったと思っていたが、今ではそう思っていないらしい。
溜息。
コールがいなくなる。
それは少し、面倒臭いな、と思った。
◆9回更新の日記ログ
あらすじ:
ペンギン諸島に来たベルーガ一行は、艦長カイルの「温泉に入りてえ~!」という気紛れによりボロ温泉旅館に泊まることになった!
ガコン、と重みのある物が落ちる音。
アレクシアは自動販売機の取り出し口から、瓶に入ったコーヒー牛乳を掴み上げた。
"ゆ"と書かれた赤い暖簾をくぐり、脱衣所から待合室に出る。女湯と男湯に面した待合室には背の低い机と椅子が並び、壁際には自動販売機と、年季の入ったマッサージチェアが鎮座していた。
その待合室の真ん中で。
「……え、何? どしたの?」
コールが姿勢良く立ち、腰に手を当て堂々とコーヒー牛乳を飲んでいる。
なぜこんなところで。そんなに堂々と。アレクシアが思わず声を掛けると、「コーヒー牛乳を飲んでいる」とコールは事もなげに答えた。
「温泉でコーヒー牛乳を飲むときは、腰に手を当ててグッと飲むように言われた。それも瓶で……だ」
「コールくん、もうちょい人を疑うことを覚えた方がいいよ。特に艦長の言うことは」
カイル、というかベルーガの乗組員はコールのことを気に入っていた。彼の知識は妙に偏っている。その無い部分のことは嘘や冗談でも簡単に真に受け、すくすく吸収するから面白がられているのだ。
コールは、「そうなのか?」と眉を顰めた。アレクシアは近くの椅子に腰掛け、コーヒー牛乳の蓋を開けながら頷いた。
「そ。半分くらいは適当なこと言ってると思った方がいい。……いや、今回の場合は間違ってるわけでもないけどさあ。何だろ。別にほら、好きに飲んだらいいじゃん。そういう決まりがあるわけでもないし」
「決まりがあるわけではないのか」
「決まりではないねえ」
それを実証するように、アレクシアは椅子に座ってコーヒー牛乳を飲む。コールは、「なるほど」と一つ頷いた。
「次はビールを飲んでみるつもりだ。温泉といえばビールも間違いなのか?」
「それは合ってる。ペンギン諸島の特産じゃなかったっけ? いんじゃない、せっかくだし」
ペンギン諸島の名物、それはペンギンと温泉とビールだ。さっきまで入っていた露天風呂でも、ペンギンが寒さをものともせず歩き回っていた。ビールについては、食道楽のシリヤがうきうきと語っていたのを覚えている。
「満喫してるねえ、温泉」
コールは相変わらずの無表情だが、随分楽しんでいるように見えて――それを、どちらかというと好ましく思いながらアレクシアは言った。
しかし、コールは首を横に振る。
「満喫というほどではないが。温泉には入っていないし」
「そうなの? ……って、あー、そっか。無理か」
すぐに納得した様子でコールの義手をしげしげと見遣った。防水加工はされているだろうが、さすがに温泉では錆びそうだ。簡単に取り外しができるタイプでもないようだし、これでは難しい。
そう考えたところで、ふと、この旅館に来た時のことを思い出す。
「外に足湯なかったっけ? そっちならコールくんでもいけるんじゃない。それこそせっかくなんだし、行ってきたら」
確か、旅館のすぐ外に足湯があったはずだ。待合室から旅館の入り口に続く廊下を指さした。
「足湯。それならば入れるかもしれない」
「温泉に来て入らないのもね」
旅館はボロいが、温泉は温泉だ。入らないのはもったいない。
コールと一緒に廊下を渡る。アレクシアは足湯に興味がなかったが、単純に進行方向が同じだった。右手のガラス窓からは和風作りの庭が見える。こういうのをワビサビと言うんだったか。
「あれは」
「ん?」
不意にコールが立ち止まる。少し遅れてアレクシアも歩を止めると、そこは卓球コーナーの前だった。廊下の左手はいくつかの部屋と繋がっていて、他にも漫画コーナーや休憩室がある。
コールの視線は、卓球台にじっと向けられていた。
「あれが噂の卓球か」
「あー……かな? 卓球。よく知らないけど」
「温泉といえば卓球らしい。どうやら、ピンポンダマという物を打ち合って競うスポーツらしいが」
コールは卓球台に近づく。なんか行っちゃったよ。好奇心の塊か? 仕方なく、アレクシアも後を追う。
コールは早速、備え付けのピンポン球とラケットを手に持って眺めている。アレクシアも実物を見るのは初めてだ。
「ふーん、これがねえ……」
「試しにやってみようか」
「え? やるの?」
コールはアレクシアにラケットを差し出した。つい勢いに押されて受け取るのだが、
「……どうやって?」
「わからない」
ルールを知る者が――この場に居ないのである!!
アレクシアはふと、ラケットの色が裏表で違うことに気づいた。なんだこれは。裏表の概念があるのか? 続いて、台を見る。真ん中に張られたネットで二手に仕切られているようだ。
コールもラケットと球を手に持ったまま暫く黙り込んでいたが、やがて頷いた。
「やってみるか」
「まあ、いいけどさ……え、こっちに立てばいいんだよね? なんか仕切りあるし」
「仕切り……そういう見方もあるか」
卓球台の仕切りによって、陣地が分けられているのでは? そう当たりをつけ、アレクシアはコールの反対側に立った。ネットを挟んで、二人が向かい合う。
コールはボールを高く投げ、ラケットを振るった。
ブンッ!!
スカッ。
「……もう一回やったら」
「そうしよう」
コールは落ちた球を拾い、元の位置に戻った。同じように構え、球を高く投げる。ラケットを振ると今度は球を捉えた――が、台には入らず、アレクシアを通り越して飛んでいってしまった。
「思ったより難しいな」
アレクシアは球を拾い上げ、所定の位置に立つ。随分苦戦しているようだが、そんなに難しいのだろうか?
ボールをトス。ラケットを振る。スカッ。
「……難しいね。小さくない? ボール。あと、なんか軽いし」
「ああ、意外とコントロールが難しい。見た目より繊細な競技だ」
「うーん」
台上に転がったボールを回収、トス、空振り。
「……コールくん、どうぞ」
諦めて球を素手で投げた。コン、コンコン……ピンポン玉が台を跳ねる、独特な音が響く。
コールは手前に来たそれを掬い上げ、再び構えた。球を高く投げ、ラケットを振り――今度は上手くいった。アレクシア目掛けて打球が飛ぶ。
ものすごい速さで。
「うわっ」
思わず避けるも、球が頬を掠めた。コンッ! と壁に当たった球が跳ね返り、床を転がる。
球とラケット、それからコールを見比べて、
「あっぶな……ちょっと待って、これこういうゲームなの? 危なくない?」
「わからない」
「少なくとも人にぶつけるのは違うと思う」
「そうか」
そんなスポーツは嫌だ。憮然としたアレクシアに対し、コールは腕を組んで考え込む。
と、そこに別の客が卓球コーナーに入ってきた。雑談を交わしながら自然な流れで空いている卓球台の前に立ち、これまた自然に卓球を楽しみ始めた。
あれこそ正しい卓球作法では? 二人はその客を暫く眺めていた。「なるほど」とコールが呟き、「ほら」とアレクシアが言った。ぶつけてないじゃん。
「やっとこの仕切りの意味がわかってきた。なら、あまり力を入れ過ぎても駄目ということか」
「相手の陣地にバウンドさせて入れないと駄目っぽくない? そのまますっ飛ばしたらミスになりそう」
「そして……最初の打球は自分の陣地に入れてから」
とりあえず、実践あるのみ。コールは球を高く投げ、狙いを定めてラケットを振った。コンと球が自分の陣地で跳ね、相手の陣地で跳ねる。
アレクシアが構えた。この球を相手の陣地に返せばいい。
えいっ。
スカッ。
「……」
トスした球を打てなかった人間が、打ち入れられて跳ねる球を打ち返せるわけがなかった。
球を拾う、トス、また空振り。
「……何かコツとかある?」
「ボールをよく見る」
「見てたよ」
「ラケットを正確に振る」
「振ったし」
「力加減を間違えない」
「そもそも当たらないんだよね」
アレクシアは眉を顰める。
「全部やってるつもりなんだけどな~……」
ただの遊びだが、このまま打てないのも癪だった。また球をトスする。落ちてくるそれをよく見て、ラケットを丁寧に振って、
「あ」
当たった。コンッ、コン……コールの陣地に球が入る。
「ボールをよく見る。ラケットを正確に振る。力加減を間違えない」
コールは空中の球の芯を捉えるよう、ラケットをまっすぐ振った。コンッと小気味いい音を立て、アレクシアへの返球に成功する。
「えー、ボール……ラケット……」
返ってくるのが早い。ええいままよ。勢いでラケットを振るとなんとか返ったが、球はネットギリギリを通る返し辛い一打となった。
コールは咄嗟に手を伸ばす。寸でのところでラケットに当たったが、球は明後日の方に飛んでいってしまった。
「そういうやり方もあるのか。やるな、雇い主さん」
「え? あー……うん。狙った」
「意外とこういうスポーツをやるのも悪くない」
コールはそう言って、またサーブをする。
「……まあ、悪くはないね」
卓球コーナーには、暫くラリーの音が響いていた。
ペンギン諸島に来たベルーガ一行は、艦長カイルの「温泉に入りてえ~!」という気紛れによりボロ温泉旅館に泊まることになった!
ガコン、と重みのある物が落ちる音。
アレクシアは自動販売機の取り出し口から、瓶に入ったコーヒー牛乳を掴み上げた。
"ゆ"と書かれた赤い暖簾をくぐり、脱衣所から待合室に出る。女湯と男湯に面した待合室には背の低い机と椅子が並び、壁際には自動販売機と、年季の入ったマッサージチェアが鎮座していた。
その待合室の真ん中で。
「……え、何? どしたの?」
コールが姿勢良く立ち、腰に手を当て堂々とコーヒー牛乳を飲んでいる。
なぜこんなところで。そんなに堂々と。アレクシアが思わず声を掛けると、「コーヒー牛乳を飲んでいる」とコールは事もなげに答えた。
「温泉でコーヒー牛乳を飲むときは、腰に手を当ててグッと飲むように言われた。それも瓶で……だ」
「コールくん、もうちょい人を疑うことを覚えた方がいいよ。特に艦長の言うことは」
カイル、というかベルーガの乗組員はコールのことを気に入っていた。彼の知識は妙に偏っている。その無い部分のことは嘘や冗談でも簡単に真に受け、すくすく吸収するから面白がられているのだ。
コールは、「そうなのか?」と眉を顰めた。アレクシアは近くの椅子に腰掛け、コーヒー牛乳の蓋を開けながら頷いた。
「そ。半分くらいは適当なこと言ってると思った方がいい。……いや、今回の場合は間違ってるわけでもないけどさあ。何だろ。別にほら、好きに飲んだらいいじゃん。そういう決まりがあるわけでもないし」
「決まりがあるわけではないのか」
「決まりではないねえ」
それを実証するように、アレクシアは椅子に座ってコーヒー牛乳を飲む。コールは、「なるほど」と一つ頷いた。
「次はビールを飲んでみるつもりだ。温泉といえばビールも間違いなのか?」
「それは合ってる。ペンギン諸島の特産じゃなかったっけ? いんじゃない、せっかくだし」
ペンギン諸島の名物、それはペンギンと温泉とビールだ。さっきまで入っていた露天風呂でも、ペンギンが寒さをものともせず歩き回っていた。ビールについては、食道楽のシリヤがうきうきと語っていたのを覚えている。
「満喫してるねえ、温泉」
コールは相変わらずの無表情だが、随分楽しんでいるように見えて――それを、どちらかというと好ましく思いながらアレクシアは言った。
しかし、コールは首を横に振る。
「満喫というほどではないが。温泉には入っていないし」
「そうなの? ……って、あー、そっか。無理か」
すぐに納得した様子でコールの義手をしげしげと見遣った。防水加工はされているだろうが、さすがに温泉では錆びそうだ。簡単に取り外しができるタイプでもないようだし、これでは難しい。
そう考えたところで、ふと、この旅館に来た時のことを思い出す。
「外に足湯なかったっけ? そっちならコールくんでもいけるんじゃない。それこそせっかくなんだし、行ってきたら」
確か、旅館のすぐ外に足湯があったはずだ。待合室から旅館の入り口に続く廊下を指さした。
「足湯。それならば入れるかもしれない」
「温泉に来て入らないのもね」
旅館はボロいが、温泉は温泉だ。入らないのはもったいない。
コールと一緒に廊下を渡る。アレクシアは足湯に興味がなかったが、単純に進行方向が同じだった。右手のガラス窓からは和風作りの庭が見える。こういうのをワビサビと言うんだったか。
「あれは」
「ん?」
不意にコールが立ち止まる。少し遅れてアレクシアも歩を止めると、そこは卓球コーナーの前だった。廊下の左手はいくつかの部屋と繋がっていて、他にも漫画コーナーや休憩室がある。
コールの視線は、卓球台にじっと向けられていた。
「あれが噂の卓球か」
「あー……かな? 卓球。よく知らないけど」
「温泉といえば卓球らしい。どうやら、ピンポンダマという物を打ち合って競うスポーツらしいが」
コールは卓球台に近づく。なんか行っちゃったよ。好奇心の塊か? 仕方なく、アレクシアも後を追う。
コールは早速、備え付けのピンポン球とラケットを手に持って眺めている。アレクシアも実物を見るのは初めてだ。
「ふーん、これがねえ……」
「試しにやってみようか」
「え? やるの?」
コールはアレクシアにラケットを差し出した。つい勢いに押されて受け取るのだが、
「……どうやって?」
「わからない」
ルールを知る者が――この場に居ないのである!!
アレクシアはふと、ラケットの色が裏表で違うことに気づいた。なんだこれは。裏表の概念があるのか? 続いて、台を見る。真ん中に張られたネットで二手に仕切られているようだ。
コールもラケットと球を手に持ったまま暫く黙り込んでいたが、やがて頷いた。
「やってみるか」
「まあ、いいけどさ……え、こっちに立てばいいんだよね? なんか仕切りあるし」
「仕切り……そういう見方もあるか」
卓球台の仕切りによって、陣地が分けられているのでは? そう当たりをつけ、アレクシアはコールの反対側に立った。ネットを挟んで、二人が向かい合う。
コールはボールを高く投げ、ラケットを振るった。
ブンッ!!
スカッ。
「……もう一回やったら」
「そうしよう」
コールは落ちた球を拾い、元の位置に戻った。同じように構え、球を高く投げる。ラケットを振ると今度は球を捉えた――が、台には入らず、アレクシアを通り越して飛んでいってしまった。
「思ったより難しいな」
アレクシアは球を拾い上げ、所定の位置に立つ。随分苦戦しているようだが、そんなに難しいのだろうか?
ボールをトス。ラケットを振る。スカッ。
「……難しいね。小さくない? ボール。あと、なんか軽いし」
「ああ、意外とコントロールが難しい。見た目より繊細な競技だ」
「うーん」
台上に転がったボールを回収、トス、空振り。
「……コールくん、どうぞ」
諦めて球を素手で投げた。コン、コンコン……ピンポン玉が台を跳ねる、独特な音が響く。
コールは手前に来たそれを掬い上げ、再び構えた。球を高く投げ、ラケットを振り――今度は上手くいった。アレクシア目掛けて打球が飛ぶ。
ものすごい速さで。
「うわっ」
思わず避けるも、球が頬を掠めた。コンッ! と壁に当たった球が跳ね返り、床を転がる。
球とラケット、それからコールを見比べて、
「あっぶな……ちょっと待って、これこういうゲームなの? 危なくない?」
「わからない」
「少なくとも人にぶつけるのは違うと思う」
「そうか」
そんなスポーツは嫌だ。憮然としたアレクシアに対し、コールは腕を組んで考え込む。
と、そこに別の客が卓球コーナーに入ってきた。雑談を交わしながら自然な流れで空いている卓球台の前に立ち、これまた自然に卓球を楽しみ始めた。
あれこそ正しい卓球作法では? 二人はその客を暫く眺めていた。「なるほど」とコールが呟き、「ほら」とアレクシアが言った。ぶつけてないじゃん。
「やっとこの仕切りの意味がわかってきた。なら、あまり力を入れ過ぎても駄目ということか」
「相手の陣地にバウンドさせて入れないと駄目っぽくない? そのまますっ飛ばしたらミスになりそう」
「そして……最初の打球は自分の陣地に入れてから」
とりあえず、実践あるのみ。コールは球を高く投げ、狙いを定めてラケットを振った。コンと球が自分の陣地で跳ね、相手の陣地で跳ねる。
アレクシアが構えた。この球を相手の陣地に返せばいい。
えいっ。
スカッ。
「……」
トスした球を打てなかった人間が、打ち入れられて跳ねる球を打ち返せるわけがなかった。
球を拾う、トス、また空振り。
「……何かコツとかある?」
「ボールをよく見る」
「見てたよ」
「ラケットを正確に振る」
「振ったし」
「力加減を間違えない」
「そもそも当たらないんだよね」
アレクシアは眉を顰める。
「全部やってるつもりなんだけどな~……」
ただの遊びだが、このまま打てないのも癪だった。また球をトスする。落ちてくるそれをよく見て、ラケットを丁寧に振って、
「あ」
当たった。コンッ、コン……コールの陣地に球が入る。
「ボールをよく見る。ラケットを正確に振る。力加減を間違えない」
コールは空中の球の芯を捉えるよう、ラケットをまっすぐ振った。コンッと小気味いい音を立て、アレクシアへの返球に成功する。
「えー、ボール……ラケット……」
返ってくるのが早い。ええいままよ。勢いでラケットを振るとなんとか返ったが、球はネットギリギリを通る返し辛い一打となった。
コールは咄嗟に手を伸ばす。寸でのところでラケットに当たったが、球は明後日の方に飛んでいってしまった。
「そういうやり方もあるのか。やるな、雇い主さん」
「え? あー……うん。狙った」
「意外とこういうスポーツをやるのも悪くない」
コールはそう言って、またサーブをする。
「……まあ、悪くはないね」
卓球コーナーには、暫くラリーの音が響いていた。
◆8回更新の日記ログ
ウェイブが部屋を去ってから、ぎこちない沈黙が部屋を覆う。
暫くして、アレクシアは傷跡を庇うようおずおずと口を開いた。
「ごめん。ありがとう……」
立ち上がった状態のまま、コールはアレクシアへと振り返る。その表情は闖入者に相対する前と変わらない、いつもの無表情だ。
「今のは誰なんだ?」
「……」
コールの当然の問いに、アレクシアは口籠もった。彼女ももともと口数が多い方ではないが、黙り込むというのも稀なことだ。
「聞かない方がいいか」
「……いや、まあ、隠すことでもないんだけど」
とはいえ、さすがに説明しないのも何だ。歯切れが悪いながらも、アレクシアは言葉を選びながらぽつぽつと話し出す。
「私は……正確に言うと、ベルーガの所属じゃない。アッシュラッツ・ファクトリーっていう、グレムリンワーカーを派遣する組織があって、そこの所属」
【アッシュラッツ・ファクトリー】は、グレムリンテイマーやエンジニアなどを養成している組織だ。三大勢力から出資を受けて成り立っており、灰色の名を冠するに相応しい――実態はというと、【ベルーガ】が白く見えるくらいには限りなくブラックに近いのだが。
「で、今のが……まあ、上司みたいなもん」
そして先の男、ウェイブ・クローヴィンケルはアレクシアの管理者だ。アレクシアの他にも【アッシュラッツ・ファクトリー】から"商品"を与えられ、管理している。アレクシアを【ベルーガ】に寄越したのはウェイブだ。その関係で、艦長のカイルもウェイブとは面識がある。カイルの立場からすると、ウェイブからアレクシアを借りている形となるのだ。
本当は今日、アレクシアはウェイブから呼び出しを受けていた。特に何も言われなかったから、カイルが体よく断ってくれていたとばかり思ったのだが――とまで考えて、アレクシアは顔を歪ませる。
「嫌いなの、あの人」
感情に乏しい彼女にしては珍しく、明確な嫌悪感を持って、吐き捨てるように言った。
「私たちのこと、ただの道具としか思ってないから、嫌い」
恐らく。カイルはウェイブに、アレクシアは体調が悪くて面談に行けないと伝えている。
それを聞いて、わざわざ様子を見に来たのだろう。決して見舞いなんてものではなく、ただただ面白がり、嗜虐心を満たして、何なら祝福でもするために。
あの男は本当に趣味が悪い。壊された"商品"をアレクシアは何人も見てきた。それこそ、人間をただの道具――いや、ネズミくらいにしか思っていないのだ。
「そうか」
コールは少し考えるような素振りを見せ、真面目な顔――いつもの無表情を好意的解釈しているせいかもしれないが――でこう言った。
「要注意人物ってことか」
「……まあ、そういうこと。さすがに艦まで来ることは早々ないだろうけど。暇じゃないだろうに、何やってんだか」
コールの、ある種単純明快な解にアレクシアの表情から険が取れる。要注意人物。確かにそうだ。
「見つけたら今みたいに適当に追い払ってよ」
「分かった」
「いい返事だね」
「ありがとう」
コールの返事は妙に律儀なところがある。こうやって礼を言うだとか。それが一層、彼をよく分からなくしていた。
思考が逸れる。さっきの、嫌な男の顔がだんだんぼやけていく。どことなく安心感を覚えて、入れ替わりのように眠気がやってくる。
「ごめん。ちょっと疲れたから寝る」
「ああ。お大事に」
コールはそう言い、部屋から出ていった。オートロックが掛かって、部屋にはアレクシア一人。
毛布を被って、目を閉じる。眠気が緩やかに意識を遠のかせる。
「……ありがとね、コールくん」
アレクシアは、夢うつつにそう呟いた。
暫くして、アレクシアは傷跡を庇うようおずおずと口を開いた。
「ごめん。ありがとう……」
立ち上がった状態のまま、コールはアレクシアへと振り返る。その表情は闖入者に相対する前と変わらない、いつもの無表情だ。
「今のは誰なんだ?」
「……」
コールの当然の問いに、アレクシアは口籠もった。彼女ももともと口数が多い方ではないが、黙り込むというのも稀なことだ。
「聞かない方がいいか」
「……いや、まあ、隠すことでもないんだけど」
とはいえ、さすがに説明しないのも何だ。歯切れが悪いながらも、アレクシアは言葉を選びながらぽつぽつと話し出す。
「私は……正確に言うと、ベルーガの所属じゃない。アッシュラッツ・ファクトリーっていう、グレムリンワーカーを派遣する組織があって、そこの所属」
【アッシュラッツ・ファクトリー】は、グレムリンテイマーやエンジニアなどを養成している組織だ。三大勢力から出資を受けて成り立っており、灰色の名を冠するに相応しい――実態はというと、【ベルーガ】が白く見えるくらいには限りなくブラックに近いのだが。
「で、今のが……まあ、上司みたいなもん」
そして先の男、ウェイブ・クローヴィンケルはアレクシアの管理者だ。アレクシアの他にも【アッシュラッツ・ファクトリー】から"商品"を与えられ、管理している。アレクシアを【ベルーガ】に寄越したのはウェイブだ。その関係で、艦長のカイルもウェイブとは面識がある。カイルの立場からすると、ウェイブからアレクシアを借りている形となるのだ。
本当は今日、アレクシアはウェイブから呼び出しを受けていた。特に何も言われなかったから、カイルが体よく断ってくれていたとばかり思ったのだが――とまで考えて、アレクシアは顔を歪ませる。
「嫌いなの、あの人」
感情に乏しい彼女にしては珍しく、明確な嫌悪感を持って、吐き捨てるように言った。
「私たちのこと、ただの道具としか思ってないから、嫌い」
恐らく。カイルはウェイブに、アレクシアは体調が悪くて面談に行けないと伝えている。
それを聞いて、わざわざ様子を見に来たのだろう。決して見舞いなんてものではなく、ただただ面白がり、嗜虐心を満たして、何なら祝福でもするために。
あの男は本当に趣味が悪い。壊された"商品"をアレクシアは何人も見てきた。それこそ、人間をただの道具――いや、ネズミくらいにしか思っていないのだ。
「そうか」
コールは少し考えるような素振りを見せ、真面目な顔――いつもの無表情を好意的解釈しているせいかもしれないが――でこう言った。
「要注意人物ってことか」
「……まあ、そういうこと。さすがに艦まで来ることは早々ないだろうけど。暇じゃないだろうに、何やってんだか」
コールの、ある種単純明快な解にアレクシアの表情から険が取れる。要注意人物。確かにそうだ。
「見つけたら今みたいに適当に追い払ってよ」
「分かった」
「いい返事だね」
「ありがとう」
コールの返事は妙に律儀なところがある。こうやって礼を言うだとか。それが一層、彼をよく分からなくしていた。
思考が逸れる。さっきの、嫌な男の顔がだんだんぼやけていく。どことなく安心感を覚えて、入れ替わりのように眠気がやってくる。
「ごめん。ちょっと疲れたから寝る」
「ああ。お大事に」
コールはそう言い、部屋から出ていった。オートロックが掛かって、部屋にはアレクシア一人。
毛布を被って、目を閉じる。眠気が緩やかに意識を遠のかせる。
「……ありがとね、コールくん」
アレクシアは、夢うつつにそう呟いた。
◆7回更新の日記ログ
空を見上げている。
「本当の空は青いんだぜ」
そう聞いた時は、何を言っているんだ、空は赤いものだろうと鼻で笑ったものだった。
けれど、今見上げている空は塵どころか雲一つなく晴れ晴れと青く、その下に広がる海もまた吸い込まれそうなほど青い。
こんな世界があるとは思いもしなかった。
「来てよかっただろ」
隣に立つ少年が誇らしげに笑った。
その顔を見て、薄らと抱いていた違和感が確かなものとなる。
ああ、これは夢だ。
なんてむごい。
「……あー……」
狭い部屋に、寝起きで掠れた呻き声が弱々しく響く。体調が悪いのに夢見まで悪く、心身ともに最悪だ。
勘弁してほしい。そう思いながら、ベッドの中で目を覚ましたアレクシアは、身体を丸めるように体勢を変えた。
ここのところの無理が祟ってか、彼女は体調を崩していた。が、もちろんそれですぐ休めるほどベルーガの人員は潤沢ではなく、昨日も微熱を気のせいとして働いていた。いつもならそれでもどうにかなるのだが、今朝起きたらびっくりするほどの高熱があり、さすがに療養することとなった。『サイレント・リップルス』のフレーム換装の他、タワー寄港に伴う仕事が山積みだったが、その辺はどうにかしてくれるらしい。
寝直し、目覚めた今もまだ身体が熱く、怠く、しんどい。喉も乾いたが耐えきれない程ではなく、起き上がる方が億劫なのでそのまま毛布を被り直した。なるべく何も考えないようにして、目を瞑り、耐えるように時間が過ぎるのを待つ。
暫くそうしていたら、コンコンとドアをノックする音がした――が、聞き間違いということにして無視を決め込む。
コンコン。
コンコンコン。
コンコンコンコン。
観念して、のろのろと布団から這い出る。
いったい誰だこんな時に。当然着替える元気はなく、寝間着のままドアを開けた。
「……どしたの」
「見舞いにきた」
紙袋を小脇に抱えたコールは、常と変わらない無表情でそう言った。
見舞いにきた。アレクシアはその言葉を、熱っぽい頭でじわじわと咀嚼する。寝込んでいる自分を、コールくんが、見舞いにきた。らしい。……いや、見舞い? コールくんが?
「えー……と、はあ、どうぞ」
「お邪魔します」
「散らかってますが……」
意外だ。そんなタイプだったのか。そう思いつつ、アレクシアは部屋の奥のベッドに座り、コールは壁際の机の前にある椅子に座らせる。艦の中の居住スペースの広さはたかが知れていて、人間が二人入るとそれなりに圧迫感がある。
コールは机上に紙袋を置き、
「見舞いの品を持ってきた」
と、中からりんごと紙皿、そしてナイフを取り出した。
アレクシアは目を瞬かせ、「りんごだ」と呟いた。コールは、もっともらしく頷いた。
「病人にはりんごと決まっている」
「よく買うお金あったね」
「ベルーガの買い出し分から持ってきた」
「横領じゃん」
「そうなのか?」
「多分。……まあいっか」
このブラック艦のブラック労働で体調を崩したことは間違いないのだから、そのくらい問題ないだろう。コールもまったく気にしていないようだし、そういうことにする。
コールはりんごとナイフをそれぞれ手に持ちながら、「体調は?」と尋ねた。
「まだ熱っぽいけど、朝よりはマシ」
「それは良かった」
りんごのへたをくり抜き、八等分。種の部分も切り落とす。皮は剥かないのかな、とアレクシアが思った矢先、コールは皮と身の間にナイフを入れ、浮かせた皮に三角の切れ込みを入れた。
あっという間に、いわゆる、うさぎりんごが出来上がる。
「どうぞ」
「……ありがと」
アレクシアは八羽のうさぎりんごが乗せられた皿を受け取る。何でこの形にしたんだろう。いささか躊躇った後、一番手前のうさぎの尻から齧った。
瑞々しい果実から甘味と、微かな酸味が口の中に広がる。
「おいしい」
ぽつんとアレクシアは呟いた。
そういえば、りんごは好きだった。すっかり忘れていたが、そうだ。昔は好んで食べていた。
いや、忘れていたというか――思い出さないようにしていた。
さっきの夢といい、りんごといい、今日はそういう日なのかもしれない。半ば諦めるような気持ちになりつつ、それを表には出さないで、アレクシアはりんごからコールに視線を移した。
「コールくんは食べないの」
「食べない」
「りんご嫌い?」
「いや、好きだ」
「じゃあ食べなよ」
コールは少し間を置いてから、「わかった」と答えた。皿に手を伸ばして、一羽が丸ごと口の中に放り込まれる。
「なんで遠慮したのさ」
「病人じゃないから」
「……変なの」
コールは食べることが好きだ、とアレクシアは思っている。少なくとも、こだわりが強いは間違いない。それなのに、病人じゃないからという理由で遠慮をした様がどうにもおかしくて、少しだけ表情が緩む。
それから、タワーでの補給の話やら、艦の様子やらの話をコールから聞きつつ、二人でりんごを食べた。
アレクシアが最後の一羽に手を伸ばした、ちょうどその時だった。
コンコン、とまたドアをノックする音。コールの視線がアレクシアに向いて、彼女は首を横に振った。心当たりがない。
急かすようなノックの音が続く。
立ち上がろうとしたアレクシアを片手で制して、コールが入り口に向かい、ドアを開ける。
「……おや、ここはアレクシアの部屋と聞いたのですが。貴方は?」
そこには、作り物めいて見える程に整った相貌の男がいた。
ベルーガの乗組員ではない。コールは僅かに眉を寄せる。
「どちら様ですか?」
「これは失敬」
男はコールを見下ろし、口の両端を持ち上げて綺麗に笑みを作った。
「ウェイブ・クローヴィンケルといいます。アレクシアに用事が。……ああ、奥にいるんですね」
ウェイブと名乗る男は扉を広く引いて、コールに構わず部屋の中に入った。コールは押されるような形で部屋の奥に行って、ベッドに座ったままのアレクシアの前に立つ格好になる。
それを見たウェイブはコールに、あくまでにこやかに言った。
「彼女と二人で話したいので、少し席を外してくれませんか」
コールは、そこで初めてアレクシアを見た。
今まで見たことのない、ひどく狼狽した表情をしている。
「どうする?」
そう訊くも、返事はない。考えあぐねたコールがひとまずウェイブに向き直ると、ぐいと後ろから引っ張られた。俯きがちで表情は窺いづらく、今なお言葉もないが、「行かないで」と言わんばかりにアレクシアがシャツの背中側を掴んでいる。
その様子を見て、コールはウェイブに言った。
「体調が悪いから無理だ。熱がある」
ウェイブは表情を変えずに、話しているコールではなくアレクシアへ目を向ける。
なめるように視線を這わせて、それから、おかしそうに笑った。
「わかりました、出直しましょう」
すっと身を引いて、部屋を出る。扉を閉める間際、彼は笑顔で言った。
「また連絡しますよ、アレクシア」
その言葉は、いやにじとりと響いた。
「本当の空は青いんだぜ」
そう聞いた時は、何を言っているんだ、空は赤いものだろうと鼻で笑ったものだった。
けれど、今見上げている空は塵どころか雲一つなく晴れ晴れと青く、その下に広がる海もまた吸い込まれそうなほど青い。
こんな世界があるとは思いもしなかった。
「来てよかっただろ」
隣に立つ少年が誇らしげに笑った。
その顔を見て、薄らと抱いていた違和感が確かなものとなる。
ああ、これは夢だ。
なんてむごい。
「……あー……」
狭い部屋に、寝起きで掠れた呻き声が弱々しく響く。体調が悪いのに夢見まで悪く、心身ともに最悪だ。
勘弁してほしい。そう思いながら、ベッドの中で目を覚ましたアレクシアは、身体を丸めるように体勢を変えた。
ここのところの無理が祟ってか、彼女は体調を崩していた。が、もちろんそれですぐ休めるほどベルーガの人員は潤沢ではなく、昨日も微熱を気のせいとして働いていた。いつもならそれでもどうにかなるのだが、今朝起きたらびっくりするほどの高熱があり、さすがに療養することとなった。『サイレント・リップルス』のフレーム換装の他、タワー寄港に伴う仕事が山積みだったが、その辺はどうにかしてくれるらしい。
寝直し、目覚めた今もまだ身体が熱く、怠く、しんどい。喉も乾いたが耐えきれない程ではなく、起き上がる方が億劫なのでそのまま毛布を被り直した。なるべく何も考えないようにして、目を瞑り、耐えるように時間が過ぎるのを待つ。
暫くそうしていたら、コンコンとドアをノックする音がした――が、聞き間違いということにして無視を決め込む。
コンコン。
コンコンコン。
コンコンコンコン。
観念して、のろのろと布団から這い出る。
いったい誰だこんな時に。当然着替える元気はなく、寝間着のままドアを開けた。
「……どしたの」
「見舞いにきた」
紙袋を小脇に抱えたコールは、常と変わらない無表情でそう言った。
見舞いにきた。アレクシアはその言葉を、熱っぽい頭でじわじわと咀嚼する。寝込んでいる自分を、コールくんが、見舞いにきた。らしい。……いや、見舞い? コールくんが?
「えー……と、はあ、どうぞ」
「お邪魔します」
「散らかってますが……」
意外だ。そんなタイプだったのか。そう思いつつ、アレクシアは部屋の奥のベッドに座り、コールは壁際の机の前にある椅子に座らせる。艦の中の居住スペースの広さはたかが知れていて、人間が二人入るとそれなりに圧迫感がある。
コールは机上に紙袋を置き、
「見舞いの品を持ってきた」
と、中からりんごと紙皿、そしてナイフを取り出した。
アレクシアは目を瞬かせ、「りんごだ」と呟いた。コールは、もっともらしく頷いた。
「病人にはりんごと決まっている」
「よく買うお金あったね」
「ベルーガの買い出し分から持ってきた」
「横領じゃん」
「そうなのか?」
「多分。……まあいっか」
このブラック艦のブラック労働で体調を崩したことは間違いないのだから、そのくらい問題ないだろう。コールもまったく気にしていないようだし、そういうことにする。
コールはりんごとナイフをそれぞれ手に持ちながら、「体調は?」と尋ねた。
「まだ熱っぽいけど、朝よりはマシ」
「それは良かった」
りんごのへたをくり抜き、八等分。種の部分も切り落とす。皮は剥かないのかな、とアレクシアが思った矢先、コールは皮と身の間にナイフを入れ、浮かせた皮に三角の切れ込みを入れた。
あっという間に、いわゆる、うさぎりんごが出来上がる。
「どうぞ」
「……ありがと」
アレクシアは八羽のうさぎりんごが乗せられた皿を受け取る。何でこの形にしたんだろう。いささか躊躇った後、一番手前のうさぎの尻から齧った。
瑞々しい果実から甘味と、微かな酸味が口の中に広がる。
「おいしい」
ぽつんとアレクシアは呟いた。
そういえば、りんごは好きだった。すっかり忘れていたが、そうだ。昔は好んで食べていた。
いや、忘れていたというか――思い出さないようにしていた。
さっきの夢といい、りんごといい、今日はそういう日なのかもしれない。半ば諦めるような気持ちになりつつ、それを表には出さないで、アレクシアはりんごからコールに視線を移した。
「コールくんは食べないの」
「食べない」
「りんご嫌い?」
「いや、好きだ」
「じゃあ食べなよ」
コールは少し間を置いてから、「わかった」と答えた。皿に手を伸ばして、一羽が丸ごと口の中に放り込まれる。
「なんで遠慮したのさ」
「病人じゃないから」
「……変なの」
コールは食べることが好きだ、とアレクシアは思っている。少なくとも、こだわりが強いは間違いない。それなのに、病人じゃないからという理由で遠慮をした様がどうにもおかしくて、少しだけ表情が緩む。
それから、タワーでの補給の話やら、艦の様子やらの話をコールから聞きつつ、二人でりんごを食べた。
アレクシアが最後の一羽に手を伸ばした、ちょうどその時だった。
コンコン、とまたドアをノックする音。コールの視線がアレクシアに向いて、彼女は首を横に振った。心当たりがない。
急かすようなノックの音が続く。
立ち上がろうとしたアレクシアを片手で制して、コールが入り口に向かい、ドアを開ける。
「……おや、ここはアレクシアの部屋と聞いたのですが。貴方は?」
そこには、作り物めいて見える程に整った相貌の男がいた。
ベルーガの乗組員ではない。コールは僅かに眉を寄せる。
「どちら様ですか?」
「これは失敬」
男はコールを見下ろし、口の両端を持ち上げて綺麗に笑みを作った。
「ウェイブ・クローヴィンケルといいます。アレクシアに用事が。……ああ、奥にいるんですね」
ウェイブと名乗る男は扉を広く引いて、コールに構わず部屋の中に入った。コールは押されるような形で部屋の奥に行って、ベッドに座ったままのアレクシアの前に立つ格好になる。
それを見たウェイブはコールに、あくまでにこやかに言った。
「彼女と二人で話したいので、少し席を外してくれませんか」
コールは、そこで初めてアレクシアを見た。
今まで見たことのない、ひどく狼狽した表情をしている。
「どうする?」
そう訊くも、返事はない。考えあぐねたコールがひとまずウェイブに向き直ると、ぐいと後ろから引っ張られた。俯きがちで表情は窺いづらく、今なお言葉もないが、「行かないで」と言わんばかりにアレクシアがシャツの背中側を掴んでいる。
その様子を見て、コールはウェイブに言った。
「体調が悪いから無理だ。熱がある」
ウェイブは表情を変えずに、話しているコールではなくアレクシアへ目を向ける。
なめるように視線を這わせて、それから、おかしそうに笑った。
「わかりました、出直しましょう」
すっと身を引いて、部屋を出る。扉を閉める間際、彼は笑顔で言った。
「また連絡しますよ、アレクシア」
その言葉は、いやにじとりと響いた。
◆6回更新の日記ログ
「はい、割増賃金」
珍しく、コールが驚いたような表情でこちらを見てくる。
アレクシアは丸テーブルの上、ちょうどコールの座る正面にバイオコーヒー入りのマグカップを置いた。談話室に彼がいるのを見かけて、わざわざ食堂で淹れてきたものだ。
「奢りか」
「そ」
流れでコールの斜め前に座りながら、アレクシアは続けて言う。
「まあ、今回の件は感謝してるんだよ。私のせいじゃないとはいえ、コールくんに負担かけてるのは事実なんだから」
『クレオソート』とアサルト・フレームの相性は良かったらしい。新フレームでの初めての戦闘は、つつがなく終わっていた。
心配事の96%は実際に起こらない、と聞いたことがある。アレクシアの心配も杞憂に終わったわけだ。『サイレント・リップルス』の方は最低限の働きはしたものの戦果は上がらず、グレイヴネットのテイマーランキングには掠りもしなくなったが、それは彼女にとって些事だ。むしろ、今回のランキングには『ナイトフライヤー』やベルゼリア、イライアといった最近ユニオンに加入した面々の名前が多く載っていて、スカウトマンとしての手腕に我ながら感心したくらいだ。
そうやって少し気分を良くしたものだから、今回くらいは労ってもいいかな、と思った結果がこのバイオコーヒーだった。コールは知らない――にしても察してそうだが、アレクシアが人に奢るというのは珍しい。虚空領域に晴れ間が覗くくらいの希少さがある。
コールは受け取ったマグカップを少し眺めてから、口を付けた。表情こそ変わらないが不味くはなかったようで、そのまま二口目。
「やはりコーヒーは美味い」
「好きなんだ」
「嫌いじゃない」
「そりゃ良かった」
コールは自分のことをあまり話さない。アレクシアも人のことは言えないが、彼について知っていることは金がないこと、テイマーとしてはそれなりに働くこと、文句と屁理屈が多いこと、黙っていれば顔は悪くないこと、そのくらいだ。コーヒーが好きなのは今知った。知らなかったのに持ってきたのは、飲まないなら自分が飲めばいいと思っていたからだ。
コールはマグカップをテーブルに置いた。先の戦闘の件に話が戻る。
「新フレームとどう付き合っていくかはこれから考えるとして、戦えないことはなさそうだ」
「だね。でもレーダーが使えないのはやっぱり痛いなー。私はフレームを戻すけど、コールくんは?」
真紅工廠【スルト】での一件に責任を感じたシリヤの迅速で懸命な調べによると、タワー港湾区でラスト・フレームに戻せるらしい。ついでに、アレクシアの機体に合いそうなフレーム――ストレイキャット・フレームが青花工廠【アネモネ】で作られているという情報を得たので、当面の目的地はそこだ。悪鬼巡洋艦【ベルーガ】は今、虚空領域の北へ向かっている。
コールは、アレクシアの問いかけに首を横に振った。
「とりあえず、俺はこのままで行こうと思う」
「そっちは悪くなさそうだったしね。いいんじゃない」
コールが強くなればアレクシアは楽になる。願ってもないことだ。この調子でどんどん強くなってほしい。
そんなことを考えていたら、
『アレクシア・エコーズ。アレクシア・エコーズ。至急艦長室まで。繰り返す。アレクシア・エコーズ……』
自分を呼ぶ、艦内放送が流れる。
コールはアレクシアをちらと見た。
「何かトラブルか?」
「かも。……あーはいはい、今行きますよって」
繰り返される呼び出しに、取り繕う素振りすらなくアレクシアはかったるそうに腰を上げた。ひらひらと手を振って、そのまま談話室を出る。
ベルーガは全体的に雑だ。呼び出しにしたって、『エコーズ! ちょっと艦長室まで来い!』とか、『ターナー、今日の掃除当番はお前だ忘れてんな! 速やかに取り掛かれ!』とか、普段はそういう感じだ。
だから、カイルが妙に堅苦しい呼び方をする時は、ほとんどの場合が悪い報せだった。
***
ノックもおざなりに、アレクシアは艦長室の扉を開く。
中ではカイルが、私財を投げ打ったらしい高級ソファに座って彼女を待っていた。
「何ですか。優秀なテイマーをスカウトした表彰でもしてくれるんで?」
「"鼠"からだ」
その単語を聞いた途端、アレクシアの表情が険しくなる。
「……この前しましたよね、定期連絡」
「それがなあ。先方がどうしても話したいだと」
カイルもカイルで顔を顰めながら、机上にあるレトロな電話型の音声通信用グレイヴネット回線を指した。なお、これも私財投資の一環らしい。
彼に文句を垂れても仕方がないことを分かっていて、しかしそれで気分が乗るわけもなく、アレクシアは渋々と言った態で受話器を上げた。
「先日の報告に不備でもありました?」
『いや、そんなことは。何でもタワーに寄るらしいじゃないか。直接顔を合わせておきたいと思ってね』
「……私のグレムリンのフレーム換装のためです。自由にできる時間は少ないので、難しいと思いますが」
『ハワードには君の予定を空けるよう言っておいた』
「……」
カイルへの根回しは済んでいるらしい。逃げ道はとうに塞がれていた。ちらりと彼を横目で見ると、両手を上げている。お手上げのポーズだ。
電話をかけてきた相手は、尚も続けて言う。
『商品の状態を把握しておくのは管理者として当然の責務だろう? そして、君の責務は私の命令に応じることだ』
「……分かりました。日時はメールで頂けますか。これで用件は終わりですか?」
『ああ。それでは、楽しみにしているよ』
そこで音声が途切れた。
アレクシアは受話器を元に戻して、
「……最ッ悪だな……」
つい、低く言葉が漏れ出る。
カイルもいるがそんなことに構ってはいられなかった。胸に渦巻く嫌悪感を少しでも吐き出したかった。
「……艦長。煙草ありますか」
「待ってな」
カイルは暫く戸棚の中を探して、くしゃくしゃになった箱とポケットライターをアレクシアへと差し出した。
「ほれ」
「給料から引いといてください」
「奢りだ」
「……ありがとうございます」
アレクシアはカイルに頭を下げて、俯きがちに艦長室を後にした。
第二甲板、グレムリンドック奥の多目的倉庫。あまり人も訪れない場所で、煙草を吸う時は大体ここに来る。
エアフィルターの下で、壁にもたれながら粗末な葉巻を口に加えた。ライターで火を点ける。点かない。湿気ているのだろう。よくあることだが、苛立ちを覚える。もう一度フリント・ホイールを強く押し込む……薄暗い倉庫の中で、頼りない橙色が灯った。ようやく葉巻の先端がちりちりと熱を帯び、奇妙な色の煙が漂う。
息を大きく吸い込んで、大きく吐いた。
背中を壁に這わせるように、ずるずるとしゃがみ込む。
「……最悪。最悪、さいあく」
言葉にすれば、いくらか無くなってはくれないだろうか。無駄な足掻きだと分かっていながら、言わずにはいられなかった。
――例えばの話。フィルタースーツを着ずにダスト・デッキに出る。
そうすると即死だ。
いっそタワーに着く前に死んでやろうか、と考える。
でも、それはできない。一時の衝動に身を任せてはいけない。アレクシアはよく知っている。
今日もまた、勝利したのは理性だ。もう一度吐き出した煙は、抵抗にすらならなかった。
珍しく、コールが驚いたような表情でこちらを見てくる。
アレクシアは丸テーブルの上、ちょうどコールの座る正面にバイオコーヒー入りのマグカップを置いた。談話室に彼がいるのを見かけて、わざわざ食堂で淹れてきたものだ。
「奢りか」
「そ」
流れでコールの斜め前に座りながら、アレクシアは続けて言う。
「まあ、今回の件は感謝してるんだよ。私のせいじゃないとはいえ、コールくんに負担かけてるのは事実なんだから」
『クレオソート』とアサルト・フレームの相性は良かったらしい。新フレームでの初めての戦闘は、つつがなく終わっていた。
心配事の96%は実際に起こらない、と聞いたことがある。アレクシアの心配も杞憂に終わったわけだ。『サイレント・リップルス』の方は最低限の働きはしたものの戦果は上がらず、グレイヴネットのテイマーランキングには掠りもしなくなったが、それは彼女にとって些事だ。むしろ、今回のランキングには『ナイトフライヤー』やベルゼリア、イライアといった最近ユニオンに加入した面々の名前が多く載っていて、スカウトマンとしての手腕に我ながら感心したくらいだ。
そうやって少し気分を良くしたものだから、今回くらいは労ってもいいかな、と思った結果がこのバイオコーヒーだった。コールは知らない――にしても察してそうだが、アレクシアが人に奢るというのは珍しい。虚空領域に晴れ間が覗くくらいの希少さがある。
コールは受け取ったマグカップを少し眺めてから、口を付けた。表情こそ変わらないが不味くはなかったようで、そのまま二口目。
「やはりコーヒーは美味い」
「好きなんだ」
「嫌いじゃない」
「そりゃ良かった」
コールは自分のことをあまり話さない。アレクシアも人のことは言えないが、彼について知っていることは金がないこと、テイマーとしてはそれなりに働くこと、文句と屁理屈が多いこと、黙っていれば顔は悪くないこと、そのくらいだ。コーヒーが好きなのは今知った。知らなかったのに持ってきたのは、飲まないなら自分が飲めばいいと思っていたからだ。
コールはマグカップをテーブルに置いた。先の戦闘の件に話が戻る。
「新フレームとどう付き合っていくかはこれから考えるとして、戦えないことはなさそうだ」
「だね。でもレーダーが使えないのはやっぱり痛いなー。私はフレームを戻すけど、コールくんは?」
真紅工廠【スルト】での一件に責任を感じたシリヤの迅速で懸命な調べによると、タワー港湾区でラスト・フレームに戻せるらしい。ついでに、アレクシアの機体に合いそうなフレーム――ストレイキャット・フレームが青花工廠【アネモネ】で作られているという情報を得たので、当面の目的地はそこだ。悪鬼巡洋艦【ベルーガ】は今、虚空領域の北へ向かっている。
コールは、アレクシアの問いかけに首を横に振った。
「とりあえず、俺はこのままで行こうと思う」
「そっちは悪くなさそうだったしね。いいんじゃない」
コールが強くなればアレクシアは楽になる。願ってもないことだ。この調子でどんどん強くなってほしい。
そんなことを考えていたら、
『アレクシア・エコーズ。アレクシア・エコーズ。至急艦長室まで。繰り返す。アレクシア・エコーズ……』
自分を呼ぶ、艦内放送が流れる。
コールはアレクシアをちらと見た。
「何かトラブルか?」
「かも。……あーはいはい、今行きますよって」
繰り返される呼び出しに、取り繕う素振りすらなくアレクシアはかったるそうに腰を上げた。ひらひらと手を振って、そのまま談話室を出る。
ベルーガは全体的に雑だ。呼び出しにしたって、『エコーズ! ちょっと艦長室まで来い!』とか、『ターナー、今日の掃除当番はお前だ忘れてんな! 速やかに取り掛かれ!』とか、普段はそういう感じだ。
だから、カイルが妙に堅苦しい呼び方をする時は、ほとんどの場合が悪い報せだった。
***
ノックもおざなりに、アレクシアは艦長室の扉を開く。
中ではカイルが、私財を投げ打ったらしい高級ソファに座って彼女を待っていた。
「何ですか。優秀なテイマーをスカウトした表彰でもしてくれるんで?」
「"鼠"からだ」
その単語を聞いた途端、アレクシアの表情が険しくなる。
「……この前しましたよね、定期連絡」
「それがなあ。先方がどうしても話したいだと」
カイルもカイルで顔を顰めながら、机上にあるレトロな電話型の音声通信用グレイヴネット回線を指した。なお、これも私財投資の一環らしい。
彼に文句を垂れても仕方がないことを分かっていて、しかしそれで気分が乗るわけもなく、アレクシアは渋々と言った態で受話器を上げた。
「先日の報告に不備でもありました?」
『いや、そんなことは。何でもタワーに寄るらしいじゃないか。直接顔を合わせておきたいと思ってね』
「……私のグレムリンのフレーム換装のためです。自由にできる時間は少ないので、難しいと思いますが」
『ハワードには君の予定を空けるよう言っておいた』
「……」
カイルへの根回しは済んでいるらしい。逃げ道はとうに塞がれていた。ちらりと彼を横目で見ると、両手を上げている。お手上げのポーズだ。
電話をかけてきた相手は、尚も続けて言う。
『商品の状態を把握しておくのは管理者として当然の責務だろう? そして、君の責務は私の命令に応じることだ』
「……分かりました。日時はメールで頂けますか。これで用件は終わりですか?」
『ああ。それでは、楽しみにしているよ』
そこで音声が途切れた。
アレクシアは受話器を元に戻して、
「……最ッ悪だな……」
つい、低く言葉が漏れ出る。
カイルもいるがそんなことに構ってはいられなかった。胸に渦巻く嫌悪感を少しでも吐き出したかった。
「……艦長。煙草ありますか」
「待ってな」
カイルは暫く戸棚の中を探して、くしゃくしゃになった箱とポケットライターをアレクシアへと差し出した。
「ほれ」
「給料から引いといてください」
「奢りだ」
「……ありがとうございます」
アレクシアはカイルに頭を下げて、俯きがちに艦長室を後にした。
第二甲板、グレムリンドック奥の多目的倉庫。あまり人も訪れない場所で、煙草を吸う時は大体ここに来る。
エアフィルターの下で、壁にもたれながら粗末な葉巻を口に加えた。ライターで火を点ける。点かない。湿気ているのだろう。よくあることだが、苛立ちを覚える。もう一度フリント・ホイールを強く押し込む……薄暗い倉庫の中で、頼りない橙色が灯った。ようやく葉巻の先端がちりちりと熱を帯び、奇妙な色の煙が漂う。
息を大きく吸い込んで、大きく吐いた。
背中を壁に這わせるように、ずるずるとしゃがみ込む。
「……最悪。最悪、さいあく」
言葉にすれば、いくらか無くなってはくれないだろうか。無駄な足掻きだと分かっていながら、言わずにはいられなかった。
――例えばの話。フィルタースーツを着ずにダスト・デッキに出る。
そうすると即死だ。
いっそタワーに着く前に死んでやろうか、と考える。
でも、それはできない。一時の衝動に身を任せてはいけない。アレクシアはよく知っている。
今日もまた、勝利したのは理性だ。もう一度吐き出した煙は、抵抗にすらならなかった。
◆5回更新の日記ログ
どうしてコール=ターナーを拾ったか。
そう聞かれると困る。
明確な理由はない。強いて言うなら、あの廃工場でコールを見つけた時、このまま見捨てたら寝覚めが悪くなりそうな気がした。
それに、いつ滅ぶとも知れない世界なのだから、少しくらいは善いことをしてもいいか、と思った。
どちらにせよ気分の問題だった。
そして今もなお、意外と世界は滅びず、その気まぐれのツケを支払っている。
視界を覆う粉塵。
それを切り裂くように、一筋の光が閃いた。
(やればできるじゃん)
ヒートストリングの高熱線が、中量格闘機『金砕棒』を両断した。『クレオソート』は一瞥もせず、ブースターを吹かして次の獲物へ狙いを定める。
繰り返すが、アレクシアはグレムリンエンジニアだ。支援ならまだしも、戦闘能力自体を期待されても困る。今日みたいに本業のコールが張り切るべきだし、景気よく敵機を墜としていく様を見ると少しは拾った甲斐を感じるものだ。
「……だぁから、あっち狙ってくれないかなー」
つんざくようなアラート音が操縦棺内に響いた。レーダーが『サイレント・リップルス』に接近する敵機を捉え、アレクシアはレバーを引いて機体を急旋回させる。
左方に掃海艇『みずすまし』。即座にレーダーをセットし、小型粒子銃の照準を合わせ――ファイア。瞬く間に高エネルギー粒子が炸裂し、エネルギー機構を損傷した『みずすまし』が赤い海に沈む。
今ので最後らしい。レーダーが周囲に敵機を検出していないことを確認して、アレクシアは息を吐く。
今日もまたグレムリンを動かせてしまった。普通に考えて、素人が少し触ったくらいの機械を動かせるわけがない。空母や巡洋艦だって一夕一朝で操縦技術は身につかないだろう。
しかし、グレムリンは違うと聞いたことがある。
人がグレムリンを動かすのではなく、グレムリンが人を導くのだ、と。
(誰から聞いたんだったかな)
遠い記憶だ。確か、「そんなことあるわけないでしょ」と適当に返事をして取り合わなかった気がする。
その時はそんなことを一切信じていなかったが、現にアレクシアは『サイレント・リップルス』を動かせてしまっている。
この機体がアレクシアを導いているのなら、
「……一体どこに導かれるのやら」
当然、答えはない。グレムリンは話さない。
独り言だけが操縦棺に零れ落ちた。
***
南南西海域・赤の海での戦闘を終えた悪鬼巡洋艦【ベルーガ】は、真紅工廠【スルト】に寄港していた。
スルトは海面に建つ巨大な城の中にある、真紅連理系のグレムリン工廠だ。ここでアサルト・フレーム――より攻撃的なグレムリンのフレームを増産しているという話を聞きつけ、ベルーガは針路をとっていた。
新フレームだけではなく、もちろんスルトのグレムリン関連設備は巡洋艦のそれよりも良い。一部を除いて、この機会にベルーガのグレムリンをまとめてメンテナンスに出すことになっている。ちなみに機体の相性を鑑みた結果、フレームの換装はコールの『クレオソート』だけ行う予定だ。
「搬入任せていい?」
「大丈夫です! 久々の陸地ですし、エコーズさんもターナーさんもゆっくりしてください」
アレクシアよりいくらか年若い女性は、短い金髪を揺らして笑顔でそう言った。彼女、シリヤ・マキはベルーガのグレムリンエンジニア、兼副料理長、兼食料班主任だ。例に漏れず人員不足の煽りを受け、最近は機関士補助にも就いているらしい。
少しおっちょこちょいなところもあるが、仕事に間違いはない。それにこの愛想の良さ。とても真似ができる気がせず、アレクシアは密かに感心していた。まあ、そうなりたいとは思わないのだが。
いつもながらにこやかなシリヤのお言葉に甘えて、アレクシアは『サイレント・リップルス』のスルトへの搬入を任せることにした。
「ありがと。じゃあよろしく。
私は城下町でご飯でも食べてこようと思うけど、コールくんは?」
グレムリン搬入の件でドックまで一緒に来ていたコールに聞くと、彼は首を横に振った。
「俺はベルーガで待機する」
「そっか。メンテが終わる頃には戻るから、また後でね」
ひらりと手を振って、アレクシアはドックを後にした。
ベルーガのタラップを降り、向かう先は赤の海城の城下町だ。
降り立った途端、見渡す限り赤、赤、赤。海も家も道路も赤。悪趣味を通り越して潔い町だ。何度目かの寄港でアレクシアは慣れつつあったが、最初に来た時は赤さで胸焼けがしそうなくらいだった。それでも最初のうちは眩しくて、目を慣らすよう瞬かせる。
(ジェリィちゃんでも誘えばよかったかな)
アレクシアの目当ては、城下町の一角にある食堂だ。そこの虚空赤魚のオイル煮は割とおいしい。別にコールと一緒に行きたかったわけではないが、珍しく誰かと一緒に行っても良いような気分だった。ここのところベルーガにも人が増え、食事の時間がにぎやかになったせいだろうか。
ジェリィはつい最近ベルーガに加入した少女だ。見た目は可愛らしい少女だが、どうも人間ではないらしい。アレクシアは詳しいことを知らなかった。しかし食事はでき、「うまいもん食えばちゃんとテンションは上がります」とのことだったので誘っても良かったかもしれない。
同じくベルーガに加わったメンバーと言えば、ネレとベルゼリアがいる。前者は今は北東方面にいて、誘うのは物理的に不可能――仮に誘ったら軽い調子で来そうな気はする。後者は静かな方が好きと言っていたので、誘っても来なかったかもしれない。
(……いや、でも。あんまり良くないな、これは)
自分がベルーガに勧誘したせいか、一人ひとりのことを把握できてしまっていた。
しかし所詮はユニオンを通した付き合いであり、いざという時には見捨てる必要性も出てくる。状況が変われば銃口を突き合わせることだってあるだろう。
変に情やら思い入れを抱くのは悪手だ。まだそこまでのことを考えているわけではないが、今のうちから改めて自覚しておくことは必要であると思えた。
アレクシアはベルーガを振り返らず、一人で赤い町を歩いていく。
***
「……はあ? どういうこと?」
「す、すみませんすみません、私にもどういうことかさっぱりで」
夕方。ベルーガのドックで眉間に皺を寄せるアレクシア、腰を深く折って平謝りするシリヤ。
遅れてドックに入ってきたコールが、訝しそうに問いかけてくる。
「どうしたんだ? 雇い主さん」
「いや、それが……」
「ああああの、エコーズさんは悪くなくてぇ、私が、私がですね……」
酷く慌てたシリヤ曰く。
どうにも、『クレオソート』だけではなく『サイレント・リップルス』までアサルト・フレームに換装されてしまったらしい。「あの赤いお嬢さんにはこの赤いアサルト・フレームこそが相応しい」と赤の海特有の赤色崇拝理論により、『サイレント・リップルス』が返ってきた頃にはすでに後の祭りだった。
『サイレント・リップルス』の肝はレーダーだ。しかし、アサルト・フレームにはレーダーを載せる機構がない。これはかなりの問題だった。
指で眉間の皺をほぐし、努めて冷静に、アレクシアはシリヤに再度確認する。
「戻せないんだよね?」
「無理、とバッサリ切り捨てられました……艦長にも言ってもらったんですけど、全然ダメでぇ……」
「……なら仕方がない」
ベルーガ艦長のカイルが出ても無理なら、自分が何を言っても無駄だろう。カイルはいつもは大雑把だが、こういう時はきちんと言うタイプのはずだ。
起こったことはどうしようもない。今考えるべきは、レーダーを外したアセンブルだ。
「積めるのがレーダーからエンジンになったんだよね? 『サイレント・リップルス』が積んでるのと同じ規格のエンジンを見繕って手配してくれるかな。戦闘はそれでどうにかするから。
それと、タワーの方でフレームが戻せるか調べておいて」
「はっ、はいぃ、本当にすみません……」
「いいよ、私も確認不足だった。赤の海のイカレ具合をなめてたなー……それよりほら、手ぇ動かして」
「はいっ!」
アレクシアの言に押されるようにシリヤは勢いよく敬礼し、更に勢いよくドックを出ていった。
一転して、ドック内が静かになる。
アレクシアは『サイレント・リップルス』を、そして横目でコールを見た。
「……ってことなんだって。はあ。クソだなー」
「意外と怒らないんだな」
「怒って元に戻るならいくらでも怒るけど。艦長が出ても無駄なら仕方がないよ」
しげしげと『サイレント・リップルス』を上から下まで眺める。見た目はあまり変わっていないように見えるが、違うらしい。シリヤもいなくなったことで、さすがに溜息が漏れた。
「今からじゃ機体の組み替えも間に合わないし、間に合っても私に動かせる気がしないからなー……コールくんには負担をかけるね。悪いけど、頼める?」
「やるべき仕事はやる。嫌なことでも。それが仕事というものだ」
また屁理屈か文句を言われるかと思ったが、存外に素直な返事だ。アレクシアは驚いて目を瞬かせ、コールを見た。いつもと同じ、何を考えているか分かり辛い無表情。
さすがにここでどうこう言われたら、アレクシアの堪忍袋がもつ気がしなかった。いま吐いた息は、安堵のそれだ。
「良い返事じゃない。割増賃金は艦長に請求しといてね」
「分かった」
それにしても、次の戦闘は大丈夫だろうか。
アレクシアの胸中にはじわりと不安が広がっていた。
そう聞かれると困る。
明確な理由はない。強いて言うなら、あの廃工場でコールを見つけた時、このまま見捨てたら寝覚めが悪くなりそうな気がした。
それに、いつ滅ぶとも知れない世界なのだから、少しくらいは善いことをしてもいいか、と思った。
どちらにせよ気分の問題だった。
そして今もなお、意外と世界は滅びず、その気まぐれのツケを支払っている。
視界を覆う粉塵。
それを切り裂くように、一筋の光が閃いた。
(やればできるじゃん)
ヒートストリングの高熱線が、中量格闘機『金砕棒』を両断した。『クレオソート』は一瞥もせず、ブースターを吹かして次の獲物へ狙いを定める。
繰り返すが、アレクシアはグレムリンエンジニアだ。支援ならまだしも、戦闘能力自体を期待されても困る。今日みたいに本業のコールが張り切るべきだし、景気よく敵機を墜としていく様を見ると少しは拾った甲斐を感じるものだ。
「……だぁから、あっち狙ってくれないかなー」
つんざくようなアラート音が操縦棺内に響いた。レーダーが『サイレント・リップルス』に接近する敵機を捉え、アレクシアはレバーを引いて機体を急旋回させる。
左方に掃海艇『みずすまし』。即座にレーダーをセットし、小型粒子銃の照準を合わせ――ファイア。瞬く間に高エネルギー粒子が炸裂し、エネルギー機構を損傷した『みずすまし』が赤い海に沈む。
今ので最後らしい。レーダーが周囲に敵機を検出していないことを確認して、アレクシアは息を吐く。
今日もまたグレムリンを動かせてしまった。普通に考えて、素人が少し触ったくらいの機械を動かせるわけがない。空母や巡洋艦だって一夕一朝で操縦技術は身につかないだろう。
しかし、グレムリンは違うと聞いたことがある。
人がグレムリンを動かすのではなく、グレムリンが人を導くのだ、と。
(誰から聞いたんだったかな)
遠い記憶だ。確か、「そんなことあるわけないでしょ」と適当に返事をして取り合わなかった気がする。
その時はそんなことを一切信じていなかったが、現にアレクシアは『サイレント・リップルス』を動かせてしまっている。
この機体がアレクシアを導いているのなら、
「……一体どこに導かれるのやら」
当然、答えはない。グレムリンは話さない。
独り言だけが操縦棺に零れ落ちた。
***
南南西海域・赤の海での戦闘を終えた悪鬼巡洋艦【ベルーガ】は、真紅工廠【スルト】に寄港していた。
スルトは海面に建つ巨大な城の中にある、真紅連理系のグレムリン工廠だ。ここでアサルト・フレーム――より攻撃的なグレムリンのフレームを増産しているという話を聞きつけ、ベルーガは針路をとっていた。
新フレームだけではなく、もちろんスルトのグレムリン関連設備は巡洋艦のそれよりも良い。一部を除いて、この機会にベルーガのグレムリンをまとめてメンテナンスに出すことになっている。ちなみに機体の相性を鑑みた結果、フレームの換装はコールの『クレオソート』だけ行う予定だ。
「搬入任せていい?」
「大丈夫です! 久々の陸地ですし、エコーズさんもターナーさんもゆっくりしてください」
アレクシアよりいくらか年若い女性は、短い金髪を揺らして笑顔でそう言った。彼女、シリヤ・マキはベルーガのグレムリンエンジニア、兼副料理長、兼食料班主任だ。例に漏れず人員不足の煽りを受け、最近は機関士補助にも就いているらしい。
少しおっちょこちょいなところもあるが、仕事に間違いはない。それにこの愛想の良さ。とても真似ができる気がせず、アレクシアは密かに感心していた。まあ、そうなりたいとは思わないのだが。
いつもながらにこやかなシリヤのお言葉に甘えて、アレクシアは『サイレント・リップルス』のスルトへの搬入を任せることにした。
「ありがと。じゃあよろしく。
私は城下町でご飯でも食べてこようと思うけど、コールくんは?」
グレムリン搬入の件でドックまで一緒に来ていたコールに聞くと、彼は首を横に振った。
「俺はベルーガで待機する」
「そっか。メンテが終わる頃には戻るから、また後でね」
ひらりと手を振って、アレクシアはドックを後にした。
ベルーガのタラップを降り、向かう先は赤の海城の城下町だ。
降り立った途端、見渡す限り赤、赤、赤。海も家も道路も赤。悪趣味を通り越して潔い町だ。何度目かの寄港でアレクシアは慣れつつあったが、最初に来た時は赤さで胸焼けがしそうなくらいだった。それでも最初のうちは眩しくて、目を慣らすよう瞬かせる。
(ジェリィちゃんでも誘えばよかったかな)
アレクシアの目当ては、城下町の一角にある食堂だ。そこの虚空赤魚のオイル煮は割とおいしい。別にコールと一緒に行きたかったわけではないが、珍しく誰かと一緒に行っても良いような気分だった。ここのところベルーガにも人が増え、食事の時間がにぎやかになったせいだろうか。
ジェリィはつい最近ベルーガに加入した少女だ。見た目は可愛らしい少女だが、どうも人間ではないらしい。アレクシアは詳しいことを知らなかった。しかし食事はでき、「うまいもん食えばちゃんとテンションは上がります」とのことだったので誘っても良かったかもしれない。
同じくベルーガに加わったメンバーと言えば、ネレとベルゼリアがいる。前者は今は北東方面にいて、誘うのは物理的に不可能――仮に誘ったら軽い調子で来そうな気はする。後者は静かな方が好きと言っていたので、誘っても来なかったかもしれない。
(……いや、でも。あんまり良くないな、これは)
自分がベルーガに勧誘したせいか、一人ひとりのことを把握できてしまっていた。
しかし所詮はユニオンを通した付き合いであり、いざという時には見捨てる必要性も出てくる。状況が変われば銃口を突き合わせることだってあるだろう。
変に情やら思い入れを抱くのは悪手だ。まだそこまでのことを考えているわけではないが、今のうちから改めて自覚しておくことは必要であると思えた。
アレクシアはベルーガを振り返らず、一人で赤い町を歩いていく。
***
「……はあ? どういうこと?」
「す、すみませんすみません、私にもどういうことかさっぱりで」
夕方。ベルーガのドックで眉間に皺を寄せるアレクシア、腰を深く折って平謝りするシリヤ。
遅れてドックに入ってきたコールが、訝しそうに問いかけてくる。
「どうしたんだ? 雇い主さん」
「いや、それが……」
「ああああの、エコーズさんは悪くなくてぇ、私が、私がですね……」
酷く慌てたシリヤ曰く。
どうにも、『クレオソート』だけではなく『サイレント・リップルス』までアサルト・フレームに換装されてしまったらしい。「あの赤いお嬢さんにはこの赤いアサルト・フレームこそが相応しい」と赤の海特有の赤色崇拝理論により、『サイレント・リップルス』が返ってきた頃にはすでに後の祭りだった。
『サイレント・リップルス』の肝はレーダーだ。しかし、アサルト・フレームにはレーダーを載せる機構がない。これはかなりの問題だった。
指で眉間の皺をほぐし、努めて冷静に、アレクシアはシリヤに再度確認する。
「戻せないんだよね?」
「無理、とバッサリ切り捨てられました……艦長にも言ってもらったんですけど、全然ダメでぇ……」
「……なら仕方がない」
ベルーガ艦長のカイルが出ても無理なら、自分が何を言っても無駄だろう。カイルはいつもは大雑把だが、こういう時はきちんと言うタイプのはずだ。
起こったことはどうしようもない。今考えるべきは、レーダーを外したアセンブルだ。
「積めるのがレーダーからエンジンになったんだよね? 『サイレント・リップルス』が積んでるのと同じ規格のエンジンを見繕って手配してくれるかな。戦闘はそれでどうにかするから。
それと、タワーの方でフレームが戻せるか調べておいて」
「はっ、はいぃ、本当にすみません……」
「いいよ、私も確認不足だった。赤の海のイカレ具合をなめてたなー……それよりほら、手ぇ動かして」
「はいっ!」
アレクシアの言に押されるようにシリヤは勢いよく敬礼し、更に勢いよくドックを出ていった。
一転して、ドック内が静かになる。
アレクシアは『サイレント・リップルス』を、そして横目でコールを見た。
「……ってことなんだって。はあ。クソだなー」
「意外と怒らないんだな」
「怒って元に戻るならいくらでも怒るけど。艦長が出ても無駄なら仕方がないよ」
しげしげと『サイレント・リップルス』を上から下まで眺める。見た目はあまり変わっていないように見えるが、違うらしい。シリヤもいなくなったことで、さすがに溜息が漏れた。
「今からじゃ機体の組み替えも間に合わないし、間に合っても私に動かせる気がしないからなー……コールくんには負担をかけるね。悪いけど、頼める?」
「やるべき仕事はやる。嫌なことでも。それが仕事というものだ」
また屁理屈か文句を言われるかと思ったが、存外に素直な返事だ。アレクシアは驚いて目を瞬かせ、コールを見た。いつもと同じ、何を考えているか分かり辛い無表情。
さすがにここでどうこう言われたら、アレクシアの堪忍袋がもつ気がしなかった。いま吐いた息は、安堵のそれだ。
「良い返事じゃない。割増賃金は艦長に請求しといてね」
「分かった」
それにしても、次の戦闘は大丈夫だろうか。
アレクシアの胸中にはじわりと不安が広がっていた。
◆4回更新の日記ログ
「いや、しかし本当に集めてくるとはなあ!」
豪快な笑い声が、狭い部屋に響く。
立派な黒革張りのソファに、恰幅の良い大男がどっしりと構えていた。彼は機嫌が良さそうに、手に持った電子タブレットに表示されたリストと、これもまた立派な執務デスクを挟んで目の前に立つアレクシアを見比べる。
悪鬼巡洋艦【ベルーガ】艦長であるカイルは、アレクシアをグレムリンエンジニアからテイマーに転向させるだけでは飽き足らなかった。「グレイヴネットのアクセス権持ってるんだから、ついでにテイマーも集めてきてくれ!」と無茶振りしたのが約10日前。
無茶振られたアレクシアが、投げやりな気持ちで広域通信やランキングを参考にユニオン勧誘のメッセージを送ったら――意外や意外。数名のテイマーがベルーガに集っていた。
正直なところ、彼女としてもこんなにテイマーが集まるのは予想外だった。こんな薄給で飯がマズいクソ船に来ちゃって大丈夫なんだろうか、この人たち。今のご時世なら他のユニオンでも変わらないのかねえ。と、ユニオン加入の連絡を受けた際に思ったが、もちろんベルーガの労働環境のブラック部分については話していない。心配するようでいて、彼女も彼女でやり方があくどいのだ。評判なんて少し調べたら出てくるし、その辺は自己責任ってことで。私は知らない。そんな風に決め込んでいる。
「営業のセンスがあるな、エコーズには」
「艦長の営業力が低すぎるんじゃないですか」
成果を盾に、アレクシアは皮肉っぽくそう返した。そもそも、カイルが最初からテイマーを確保できてさえいれば、自分がグレムリンに乗る必要はなかったのだ。いくら物事全般の興味が薄い彼女でも皮肉くらいは言いたくなる。まあ、この雑な男にそんなものは一切通用しないのだが。
カイルはわざとらしく、ふっさりと髭の生えた顎をさすった。
「あの時はほら、どこもかしこも滅茶苦茶だっただろ。世の中が落ち着いてきてる証拠じゃねぇか?」
「全然しませんけどね、落ち着いてる感じ」
「はっは、細かいこたぁ気にすんな! エンジニア業もテイマー業も営業も優秀優秀。立派な乗組員だねえ。
報酬は現物支給でいいんだよな?」
アレクシアは頷いた。
嫌々ながらもそれなりに営業に励んだ理由が、報酬だ。一人の勧誘成功につき、現金もしくは等価の現物支給。彼女は後者としてラジオを要求していた。私物のそれを修理しながら騙し騙し使っていたが、いい加減に限界が来ている。
「そうしてください。現金貰ってああだこうだ言われるのも嫌なんで」
その返事を聞くと、カイルは憐れむように眉を顰めた。
「お前さんも面倒な身の上だよなあ」
「同情するなら給料上げてくれます?」
「そりゃ無理だ」
「はあ。ラジオはちゃんとしてくださいね」
これ以上ここに居る必要はないと言わんばかりに、アレクシアは踵を返して艦長室から出ていった。
薄暗い通路には丸い窓が嵌められていて、ダストデッキの様子が見える。今日の天気はもちろん粉塵。変わり映えのない景色だ。
ダストデッキの約三分の一は艦長室と操舵室兼海図室、残りはグレムリン発着場で構成されている。アレクシアは艦長室に際した階段を下りてグレムリンドッグのある第二甲板へ、更に下って居住スペースや食堂のある第三甲板まで移動した。
しかしまあ、こんなボロ船でも人が集まるもんだな。案外私には営業の才能があるのかもしれない。見切りを付けてフェアギスマインニヒトにでも入る? まあ、無理だけど――艦内の様子を見てそんなことを考えながら、通路を歩き、"C"という掠れかけのアルファベットプレートが取り付けられた会議室の扉を開く。
「あれ。早いじゃん」
「雇い主さんが遅い」
「野暮用でね。まあまあ、始めようよ」
そう言いながら、アレクシアは椅子に腰かける。机の向こう側には、コールがすでに座っていた。ちなみに、"雇い主さん"という呼ばれ方はアレクシアの本意ではないが、何度言ってもそう呼んでくるので最近は諦めている。
今日は、二人で次の戦場に向けてのミーティングをすることになっていた。アレクシアが遅刻した格好だが、欠片も気にした様子を見せずに会議室備え付けのパソコンを操作する。
「……と言っても、ベルーガの針路は決まってるし。未識別機動体もほとんど戦ったことがある機体だし。
今日はあんまり話すことないな」
掃海艇『みずすまし』、狙撃機『マインゴーシュ』――パソコンから壁掛けスクリーンに投影された敵データは、見覚えのあるものが多かった。初めて相対する機体もあるが、『サイレント・リップルス』の索敵によって各種兵器の種は割れている。戦果を狙うならともかく、普通に倒すだけなら脅威とは言えない。
コールも同じ見解のようで、すぐにスクリーンから目を離した。
「じゃあ、これで解散か」
「お互いのアセンのチェックだけして終わりでいいんじゃない。……あ、でも」
アレクシアは端末を操作して、南西海域【星の海】での戦闘解析データを呼び出した。これは先週、二人が出撃した戦場だ。
「コールくんさあ、仕事してなくない?」
「仕事ならしているだろう」
「いや、私の方が働いてない? ってこと。ほら」
『クレオソート』、敵機撃墜数5。
『サイレント・リップルス』、敵機撃墜数6。
アレクシアの方が1機多く墜としていた。ちなみに、前々回の戦闘ではもっと差が開いている。
しかし、いきなりこんなに働けるなんて私は才能の塊なんじゃないか? 全くもって嬉しくない才能にアレクシアは苦々しい気持ちになりながら、スクリーンを指してコールに言った。
「コールくんが攻撃。私がサポート。そのはずじゃなかったっけ」
「そんな気もする」
「気がするじゃなくてそうだよ」
最初の取り決めでそうなったはずだ。この期に及んで白ばっくれるとは。アレクシアは呆れ気味に
目を細めた。
対するコールは、表情を変えずに首を捻る。
「脳に栄養が行っていないのかもしれない。やはり食事が悪いせいか……給料も低いし。猫缶しか拾わないし」
「墜とされて借金持ちになった自分を恨みなよ。あと最後のは関係ないし。次はもっと張り切ってほしいな」
「給料分は頑張ろう」
「それでよろしく」
そんな実のない話を切り上げ、アセンブルの確認に移る。
『クレオソート』はヒートストリングを中心とした二脚の攻撃型機体、『サイレント・リップルス』はレーダーでのサポートを重視した逆関節の機体。お互い特に問題は見受けられず、ミーティングはあっさりと終わった。
パソコンとスクリーンの片付けをしながら、アレクシアはふと、最近よく見るグレイヴネットのニュースを思い出した。
「そういえば、戦場で死んだはずの傭兵を見ただって。コールくんも聞いた?」
「ああ」
「幻覚でも見てんのかね。それとも幽霊か」
死者の戦場での目撃情報が、ここのところ相次いでいた。その事象自体にアレクシアの興味はあまりそそられなかったが、戦場に関係することでもあるのでそのまま話を続ける。
「死んだ知り合いが化けて出てきたらどうする?」
「破壊する」
情緒ゼロの即答に、さすがのアレクシアも片付けの手を止めて沈黙する。
「……破壊するんだ」
「その方が話が早い」
「話すらしてないじゃん」
「じゃあ雇い主さんはどうするんだ」
そう聞かれて、考え込む。
別に、死んだ人間に未練はなかった。聞きたいことも言いたいこともない。
となると。
「破壊かな」
「正解だ」
「過去は振り返らないタイプだからね」
「素晴らしい」
「……でもコールくんと同じなのはなんかヤだな。選択を間違えてる気がする」
それに、直近の選択らしいものと言えば――アレクシアはコールを見遣り、呟く。
「拾ったの、間違いだったかなあ」
「何か言ったか?」
「何でもないよ」
金がなく、食事に文句を言い、屁理屈が多く、素直じゃなくて面倒臭い年下の男の僚機。
彼を助けたことは間違いと言い切ることこそしないが、正解とも言えない気がする。
……いや、やっぱり正解ではないな。もっとベターな選択肢があったに違いない。
自分の判断について自信をなくしながら、アレクシアは談話室を後にした。
豪快な笑い声が、狭い部屋に響く。
立派な黒革張りのソファに、恰幅の良い大男がどっしりと構えていた。彼は機嫌が良さそうに、手に持った電子タブレットに表示されたリストと、これもまた立派な執務デスクを挟んで目の前に立つアレクシアを見比べる。
悪鬼巡洋艦【ベルーガ】艦長であるカイルは、アレクシアをグレムリンエンジニアからテイマーに転向させるだけでは飽き足らなかった。「グレイヴネットのアクセス権持ってるんだから、ついでにテイマーも集めてきてくれ!」と無茶振りしたのが約10日前。
無茶振られたアレクシアが、投げやりな気持ちで広域通信やランキングを参考にユニオン勧誘のメッセージを送ったら――意外や意外。数名のテイマーがベルーガに集っていた。
正直なところ、彼女としてもこんなにテイマーが集まるのは予想外だった。こんな薄給で飯がマズいクソ船に来ちゃって大丈夫なんだろうか、この人たち。今のご時世なら他のユニオンでも変わらないのかねえ。と、ユニオン加入の連絡を受けた際に思ったが、もちろんベルーガの労働環境のブラック部分については話していない。心配するようでいて、彼女も彼女でやり方があくどいのだ。評判なんて少し調べたら出てくるし、その辺は自己責任ってことで。私は知らない。そんな風に決め込んでいる。
「営業のセンスがあるな、エコーズには」
「艦長の営業力が低すぎるんじゃないですか」
成果を盾に、アレクシアは皮肉っぽくそう返した。そもそも、カイルが最初からテイマーを確保できてさえいれば、自分がグレムリンに乗る必要はなかったのだ。いくら物事全般の興味が薄い彼女でも皮肉くらいは言いたくなる。まあ、この雑な男にそんなものは一切通用しないのだが。
カイルはわざとらしく、ふっさりと髭の生えた顎をさすった。
「あの時はほら、どこもかしこも滅茶苦茶だっただろ。世の中が落ち着いてきてる証拠じゃねぇか?」
「全然しませんけどね、落ち着いてる感じ」
「はっは、細かいこたぁ気にすんな! エンジニア業もテイマー業も営業も優秀優秀。立派な乗組員だねえ。
報酬は現物支給でいいんだよな?」
アレクシアは頷いた。
嫌々ながらもそれなりに営業に励んだ理由が、報酬だ。一人の勧誘成功につき、現金もしくは等価の現物支給。彼女は後者としてラジオを要求していた。私物のそれを修理しながら騙し騙し使っていたが、いい加減に限界が来ている。
「そうしてください。現金貰ってああだこうだ言われるのも嫌なんで」
その返事を聞くと、カイルは憐れむように眉を顰めた。
「お前さんも面倒な身の上だよなあ」
「同情するなら給料上げてくれます?」
「そりゃ無理だ」
「はあ。ラジオはちゃんとしてくださいね」
これ以上ここに居る必要はないと言わんばかりに、アレクシアは踵を返して艦長室から出ていった。
薄暗い通路には丸い窓が嵌められていて、ダストデッキの様子が見える。今日の天気はもちろん粉塵。変わり映えのない景色だ。
ダストデッキの約三分の一は艦長室と操舵室兼海図室、残りはグレムリン発着場で構成されている。アレクシアは艦長室に際した階段を下りてグレムリンドッグのある第二甲板へ、更に下って居住スペースや食堂のある第三甲板まで移動した。
しかしまあ、こんなボロ船でも人が集まるもんだな。案外私には営業の才能があるのかもしれない。見切りを付けてフェアギスマインニヒトにでも入る? まあ、無理だけど――艦内の様子を見てそんなことを考えながら、通路を歩き、"C"という掠れかけのアルファベットプレートが取り付けられた会議室の扉を開く。
「あれ。早いじゃん」
「雇い主さんが遅い」
「野暮用でね。まあまあ、始めようよ」
そう言いながら、アレクシアは椅子に腰かける。机の向こう側には、コールがすでに座っていた。ちなみに、"雇い主さん"という呼ばれ方はアレクシアの本意ではないが、何度言ってもそう呼んでくるので最近は諦めている。
今日は、二人で次の戦場に向けてのミーティングをすることになっていた。アレクシアが遅刻した格好だが、欠片も気にした様子を見せずに会議室備え付けのパソコンを操作する。
「……と言っても、ベルーガの針路は決まってるし。未識別機動体もほとんど戦ったことがある機体だし。
今日はあんまり話すことないな」
掃海艇『みずすまし』、狙撃機『マインゴーシュ』――パソコンから壁掛けスクリーンに投影された敵データは、見覚えのあるものが多かった。初めて相対する機体もあるが、『サイレント・リップルス』の索敵によって各種兵器の種は割れている。戦果を狙うならともかく、普通に倒すだけなら脅威とは言えない。
コールも同じ見解のようで、すぐにスクリーンから目を離した。
「じゃあ、これで解散か」
「お互いのアセンのチェックだけして終わりでいいんじゃない。……あ、でも」
アレクシアは端末を操作して、南西海域【星の海】での戦闘解析データを呼び出した。これは先週、二人が出撃した戦場だ。
「コールくんさあ、仕事してなくない?」
「仕事ならしているだろう」
「いや、私の方が働いてない? ってこと。ほら」
『クレオソート』、敵機撃墜数5。
『サイレント・リップルス』、敵機撃墜数6。
アレクシアの方が1機多く墜としていた。ちなみに、前々回の戦闘ではもっと差が開いている。
しかし、いきなりこんなに働けるなんて私は才能の塊なんじゃないか? 全くもって嬉しくない才能にアレクシアは苦々しい気持ちになりながら、スクリーンを指してコールに言った。
「コールくんが攻撃。私がサポート。そのはずじゃなかったっけ」
「そんな気もする」
「気がするじゃなくてそうだよ」
最初の取り決めでそうなったはずだ。この期に及んで白ばっくれるとは。アレクシアは呆れ気味に
目を細めた。
対するコールは、表情を変えずに首を捻る。
「脳に栄養が行っていないのかもしれない。やはり食事が悪いせいか……給料も低いし。猫缶しか拾わないし」
「墜とされて借金持ちになった自分を恨みなよ。あと最後のは関係ないし。次はもっと張り切ってほしいな」
「給料分は頑張ろう」
「それでよろしく」
そんな実のない話を切り上げ、アセンブルの確認に移る。
『クレオソート』はヒートストリングを中心とした二脚の攻撃型機体、『サイレント・リップルス』はレーダーでのサポートを重視した逆関節の機体。お互い特に問題は見受けられず、ミーティングはあっさりと終わった。
パソコンとスクリーンの片付けをしながら、アレクシアはふと、最近よく見るグレイヴネットのニュースを思い出した。
「そういえば、戦場で死んだはずの傭兵を見ただって。コールくんも聞いた?」
「ああ」
「幻覚でも見てんのかね。それとも幽霊か」
死者の戦場での目撃情報が、ここのところ相次いでいた。その事象自体にアレクシアの興味はあまりそそられなかったが、戦場に関係することでもあるのでそのまま話を続ける。
「死んだ知り合いが化けて出てきたらどうする?」
「破壊する」
情緒ゼロの即答に、さすがのアレクシアも片付けの手を止めて沈黙する。
「……破壊するんだ」
「その方が話が早い」
「話すらしてないじゃん」
「じゃあ雇い主さんはどうするんだ」
そう聞かれて、考え込む。
別に、死んだ人間に未練はなかった。聞きたいことも言いたいこともない。
となると。
「破壊かな」
「正解だ」
「過去は振り返らないタイプだからね」
「素晴らしい」
「……でもコールくんと同じなのはなんかヤだな。選択を間違えてる気がする」
それに、直近の選択らしいものと言えば――アレクシアはコールを見遣り、呟く。
「拾ったの、間違いだったかなあ」
「何か言ったか?」
「何でもないよ」
金がなく、食事に文句を言い、屁理屈が多く、素直じゃなくて面倒臭い年下の男の僚機。
彼を助けたことは間違いと言い切ることこそしないが、正解とも言えない気がする。
……いや、やっぱり正解ではないな。もっとベターな選択肢があったに違いない。
自分の判断について自信をなくしながら、アレクシアは談話室を後にした。
◆3回更新の日記ログ
錆びた海を、一隻の船が南へと航行する。
悪鬼巡洋艦【ベルーガ】。空母船団【コロッセオ・レガシィ】所属の船だ。
といっても、下請けのそのまた下請けに位置する弱小船で、御自慢の潤沢な資源の恩恵はほとんど受けていない。船体にこびり付く、落とし切れていない赤錆がそれをよく物語っている。
ベルーガに属するグレムリン及びグレムリン・テイマーは、先の灰燼戦争で多くが死ぬか機能停止に陥った。
この世界全体が甚大な被害を受けているから、それを回避できなかったのは責められることではない。しかし、だからと言って未識別機動体の侵攻と、それを迎え撃つ仕事は待ってくれなかった。
運良く(もしくは、悪く)グレイヴネットは正常に稼働している。それを経由したコロッセオ・レガシィからの出撃命令を聞き流しながら、ベルーガ艦長のカイル・ハワードは考えた。
人手が足りない。足りなさすぎる。駄目元で縦横の繋がりからテイマーの増員を要請したが、もちろんどこも応えない。
さて、どうするか。
考えはすぐにまとまった。――緊急事態だし、とりあえず乗組員を片っ端からグレムリンに乗せてみるか!
グレムリンの機能停止の原因が機体とテイマーのどちらにあるのかすら分からない状態だ。経験は問わない。動かせるだけ御の字。そいつはグレムリンに選ばれたってことだ。こんな状況なんだし、嫌でもみんな協力せざるを得ないだろう。
このカイルという男は、非常に大雑把な性格をしていた。そして、言い出したら聞かない。
他に打てる手がないのも事実で、艦長号令の下、乗組員は渋々とグレムリンの操縦棺に交代で入っていった。
そして――カイルの言葉を借りるなら、”選ばれた”のがアレクシア・エコーズだった。
「……はあ。こんなもんかな」
ベルーガ内第三グレムリンドッグは、小型機の整備用ドッグだ。外装と同じく内装も古く、あちこちの塗装は剥がれ、埃っぽい照明は気紛れに明滅する。
ウミネコの形を模したグレムリン――『サイレント・リップルス』の整備をしていたアレクシアは、作業の手を止めて息を吐いた。もう直すところもないし、装甲もピカピカに磨いた。こんなところだろう。
ドタバタのグレムリン総試乗から一週間。初めての戦場に出てから半日。整備を終えて5秒。
アレクシアは凝り固まった身体をほぐすように伸びてから、慣れた手付きで年季の入った整備器具を片付け始める。
意外にも、『サイレント・リップルス』は大した被弾もなくベルーガへ帰投した。
もともとグレムリン・エンジニアをしていたから、テスト運行や輸送程度の操縦はしたことがあった。全くの未経験者ではないが、それにしても初の戦闘で上手く行きすぎだ。テイマーの才能があったなんて楽観的に考えることはできず、何だか空恐ろしさを感じる。”選ばれた”という言葉も、今となってはオカルティックに聞こえた。
整備の後始末を粗方終え、アレクシアは『サイレント・リップルス』の横に置いてあったパイプ椅子に身を預ける。ぎしり。椅子の軋む音がした。
ここでこう、背もたれが折れて背中から行って、背骨でも折ったら御役御免かなあ。でもそれは痛いし嫌だなあ。脳がぼんやりと現実逃避を始める。
大変な一週間だった。ただでさえ滅びかけの世界が未知の敵に占領され、グレムリンに乗り、戦って、整備もして。当たり前のように疲れている。
アレクシアは椅子にもたれたまま、天井を仰いで目を閉じた。照明の明滅が瞼越しに角膜を刺激する。休憩に適した姿勢でも環境でもないが、部屋に戻るのも億劫だった。
どうなるんだろなー、これから。それに、あっちの件だって……。
「雇い主さん」
聞こえた声にうとうとした思考が打ち切られた。上体を起こし、座ったまま視線を遣る。
そこには整備器具を持つ銀髪の青年がいた。頭に装着した黒いヘッドギアが影を差して見え辛いが、チカチカと光るライトブルーの瞳がこちらを向いている。
「その雇い主って言うの止めてくれる? 雇ってないし」
「じゃあ取り立て屋さん」
「余計に人聞きが悪い。で、もう終わったの」
アレクシアの問いかけに、青年は顎を引いて応えた。
「どこに置けばいい」
「そこ開けて。種類別に並べておいて」
雑に指をさした方向に、工具箱があった。青年はそれに従って、黙々と整備器具を片付けていく。機械化手術を受けたらしい左手に外皮はなく、金属がぶつかる音が静かに響く。
ヘッドギアと同じような色合いのサバイバルベストに覆われたその背を見ながら、アレクシアは言った。
「『クレオソート』はどう?」
「そっちは問題ない。問題は船にある」
整備器具をしまい終えた青年は、アレクシアの方を振り向いた。眉間には皺が寄っている。
「と言いますと?」
「飯がマズい。具材がマズい」
「えー? 普通じゃん。コーンミール」
「前の仕事ではもっとマシなものが出た」
「食べ盛りだねえ」
「せめてコンブレッドにしてくれ」
「半分機械なんだし、食事も半分じゃダメなの」
「味は二倍で頼む」
「……って言ってもねえ。君、立場分かってる?」
アレクシアは呆れたように目を細め、青年を見上げる。
「食事のランク上げたらますます返済が遠のくよ、コールくん」
コール=ターナーという青年は、アレクシアの怒涛の一週間の構成要因の一つだった。
ひょんなきっかけからコールを拾い、彼のグレムリン『クレオソート』を修理したまではよかった。修理費を請求したら、「金がない」と言い出すので、返済代わりにコールはアレクシアの僚機として働いている。
ちょうど僚機の当てがなかったから都合が良かったが、それはそれ、これはこれだ。さっさと金を返せ。アレクシアはそう思っていた。
一方のコールは、債務者の身分を全く気にしないかのように不遜な物言いを続ける。
「長期計画で返す」
「どっちか死んでそうだね、それ」
「その時はその時だろう」
「踏み倒し反対」
「生きている内の仕事はちゃんとする。マシな食事さえあれば」
「はいはい……戦場でサボられても困る。料理長に言っとくよ。
手元に残るお金、ほとんどなくなるけど文句は言わないよーに」
「分かった」
コールの返事を最後まで聞かないで、アレクシアは立ち上がった。食事ランクを上げることによる完済までの期間のズレを計算しながら、ドッグを後にする。
世界が滅亡の危機に瀕する状況で金、金と言うのも滑稽な話だという自覚はあった。
しかし、もし世界が平和になり、元通りになったとしたら――アレクシアには金が必要だった。
悪鬼巡洋艦【ベルーガ】。空母船団【コロッセオ・レガシィ】所属の船だ。
といっても、下請けのそのまた下請けに位置する弱小船で、御自慢の潤沢な資源の恩恵はほとんど受けていない。船体にこびり付く、落とし切れていない赤錆がそれをよく物語っている。
ベルーガに属するグレムリン及びグレムリン・テイマーは、先の灰燼戦争で多くが死ぬか機能停止に陥った。
この世界全体が甚大な被害を受けているから、それを回避できなかったのは責められることではない。しかし、だからと言って未識別機動体の侵攻と、それを迎え撃つ仕事は待ってくれなかった。
運良く(もしくは、悪く)グレイヴネットは正常に稼働している。それを経由したコロッセオ・レガシィからの出撃命令を聞き流しながら、ベルーガ艦長のカイル・ハワードは考えた。
人手が足りない。足りなさすぎる。駄目元で縦横の繋がりからテイマーの増員を要請したが、もちろんどこも応えない。
さて、どうするか。
考えはすぐにまとまった。――緊急事態だし、とりあえず乗組員を片っ端からグレムリンに乗せてみるか!
グレムリンの機能停止の原因が機体とテイマーのどちらにあるのかすら分からない状態だ。経験は問わない。動かせるだけ御の字。そいつはグレムリンに選ばれたってことだ。こんな状況なんだし、嫌でもみんな協力せざるを得ないだろう。
このカイルという男は、非常に大雑把な性格をしていた。そして、言い出したら聞かない。
他に打てる手がないのも事実で、艦長号令の下、乗組員は渋々とグレムリンの操縦棺に交代で入っていった。
そして――カイルの言葉を借りるなら、”選ばれた”のがアレクシア・エコーズだった。
「……はあ。こんなもんかな」
ベルーガ内第三グレムリンドッグは、小型機の整備用ドッグだ。外装と同じく内装も古く、あちこちの塗装は剥がれ、埃っぽい照明は気紛れに明滅する。
ウミネコの形を模したグレムリン――『サイレント・リップルス』の整備をしていたアレクシアは、作業の手を止めて息を吐いた。もう直すところもないし、装甲もピカピカに磨いた。こんなところだろう。
ドタバタのグレムリン総試乗から一週間。初めての戦場に出てから半日。整備を終えて5秒。
アレクシアは凝り固まった身体をほぐすように伸びてから、慣れた手付きで年季の入った整備器具を片付け始める。
意外にも、『サイレント・リップルス』は大した被弾もなくベルーガへ帰投した。
もともとグレムリン・エンジニアをしていたから、テスト運行や輸送程度の操縦はしたことがあった。全くの未経験者ではないが、それにしても初の戦闘で上手く行きすぎだ。テイマーの才能があったなんて楽観的に考えることはできず、何だか空恐ろしさを感じる。”選ばれた”という言葉も、今となってはオカルティックに聞こえた。
整備の後始末を粗方終え、アレクシアは『サイレント・リップルス』の横に置いてあったパイプ椅子に身を預ける。ぎしり。椅子の軋む音がした。
ここでこう、背もたれが折れて背中から行って、背骨でも折ったら御役御免かなあ。でもそれは痛いし嫌だなあ。脳がぼんやりと現実逃避を始める。
大変な一週間だった。ただでさえ滅びかけの世界が未知の敵に占領され、グレムリンに乗り、戦って、整備もして。当たり前のように疲れている。
アレクシアは椅子にもたれたまま、天井を仰いで目を閉じた。照明の明滅が瞼越しに角膜を刺激する。休憩に適した姿勢でも環境でもないが、部屋に戻るのも億劫だった。
どうなるんだろなー、これから。それに、あっちの件だって……。
「雇い主さん」
聞こえた声にうとうとした思考が打ち切られた。上体を起こし、座ったまま視線を遣る。
そこには整備器具を持つ銀髪の青年がいた。頭に装着した黒いヘッドギアが影を差して見え辛いが、チカチカと光るライトブルーの瞳がこちらを向いている。
「その雇い主って言うの止めてくれる? 雇ってないし」
「じゃあ取り立て屋さん」
「余計に人聞きが悪い。で、もう終わったの」
アレクシアの問いかけに、青年は顎を引いて応えた。
「どこに置けばいい」
「そこ開けて。種類別に並べておいて」
雑に指をさした方向に、工具箱があった。青年はそれに従って、黙々と整備器具を片付けていく。機械化手術を受けたらしい左手に外皮はなく、金属がぶつかる音が静かに響く。
ヘッドギアと同じような色合いのサバイバルベストに覆われたその背を見ながら、アレクシアは言った。
「『クレオソート』はどう?」
「そっちは問題ない。問題は船にある」
整備器具をしまい終えた青年は、アレクシアの方を振り向いた。眉間には皺が寄っている。
「と言いますと?」
「飯がマズい。具材がマズい」
「えー? 普通じゃん。コーンミール」
「前の仕事ではもっとマシなものが出た」
「食べ盛りだねえ」
「せめてコンブレッドにしてくれ」
「半分機械なんだし、食事も半分じゃダメなの」
「味は二倍で頼む」
「……って言ってもねえ。君、立場分かってる?」
アレクシアは呆れたように目を細め、青年を見上げる。
「食事のランク上げたらますます返済が遠のくよ、コールくん」
コール=ターナーという青年は、アレクシアの怒涛の一週間の構成要因の一つだった。
ひょんなきっかけからコールを拾い、彼のグレムリン『クレオソート』を修理したまではよかった。修理費を請求したら、「金がない」と言い出すので、返済代わりにコールはアレクシアの僚機として働いている。
ちょうど僚機の当てがなかったから都合が良かったが、それはそれ、これはこれだ。さっさと金を返せ。アレクシアはそう思っていた。
一方のコールは、債務者の身分を全く気にしないかのように不遜な物言いを続ける。
「長期計画で返す」
「どっちか死んでそうだね、それ」
「その時はその時だろう」
「踏み倒し反対」
「生きている内の仕事はちゃんとする。マシな食事さえあれば」
「はいはい……戦場でサボられても困る。料理長に言っとくよ。
手元に残るお金、ほとんどなくなるけど文句は言わないよーに」
「分かった」
コールの返事を最後まで聞かないで、アレクシアは立ち上がった。食事ランクを上げることによる完済までの期間のズレを計算しながら、ドッグを後にする。
世界が滅亡の危機に瀕する状況で金、金と言うのも滑稽な話だという自覚はあった。
しかし、もし世界が平和になり、元通りになったとしたら――アレクシアには金が必要だった。
◆2回更新の日記ログ
コール君からクレームがあった。
食事がまずいとのこと。
……。
半分機械だからアレでもいけるかと思ったけど、無理かー。
めんどくさいなー。
てゆーか修理代払ってもらってないのに食事にケチ付けてくること、ある?
図々しくない? 賄いが出るだけマシと思いな?
やれやれ。
食事がまずいとのこと。
……。
半分機械だからアレでもいけるかと思ったけど、無理かー。
めんどくさいなー。
てゆーか修理代払ってもらってないのに食事にケチ付けてくること、ある?
図々しくない? 賄いが出るだけマシと思いな?
やれやれ。
NEWS
予感がする何か良くない予感が
「プルルルルル」
電話が鳴る。あなたは思わず通信を繋ぐ……
あるいは、強制的に通信が繋がる
????
「おはよう。目は覚めたかな?」
????
「相変わらず世界を救っているようだね」
????
「でも、もう遅いんだ」
????
「分かり切ったように世界は流れる。破滅へと」
????
「君が何をしようと、もう手遅れだからね」
????
「この世界はもう死んでいるんだ」
????
「だから、僕は時を押しとどめる」
????
「完全に死ぬ、その僅か手前で……
全ての時は止まり、世界は永劫となる」
????
「それが僕の目的。虚空領域永劫化計画」
????
「財団の消滅、領域の全覚醒ともに、タワー中層への道は開かれる」
????
「そういう仕組みさ、フェアに行こうじゃないか」
????
「僕をもし止めたいのなら、タワーで待っているよ」
????
「君たちの知らないところで全てが決まっていたら、フェアじゃないからね」
????
「もし君が《また》、僕の邪魔をするのなら、今回も僕が勝つよ」
????
「破滅の今際にて、停滞せよ、世界」
????
「世界はいまのままで十分、美しいのだから」
財団との戦いは続いている……
コロッセオ・レガシィの大船団は静かに漂う
《シェフィル47世》
「ようやく姿を現したようじゃの」
《シェフィル47世》
「何を企んでいるのか知らんが……」
《シェフィル47世》
「このタイミングということは、だな」
キャット・フットⅠを破棄した
キャット・ランⅠを破棄した
キャット・ウォークⅡを破棄した
キャット・パンチⅠを破棄した
キャット・ウォークⅠを破棄した
キャット・バイクを破棄した
◆アセンブル
【頭部】にヘヴィサイクロプスを装備した
【腕部】に4-D-4を装備した
【操縦棺】にアイアンソウルーLを装備した
【脚部】に005-LEG《REX》を装備した
【エンジン】に安定型:遅延式エンジンを装備した
【索敵】にジャミングバードを装備した
【索敵】にキャット・アイズⅡを装備した
【主兵装】にオフプライスシャワーを装備した
【副兵装】にオフプライスシャワーを装備した
【機動補助】にテイルガストを装備した
◆僚機と合言葉
コール=ターナーとバディを結成した!!
次回フェアギスマインニヒトに協賛し、参戦します
フェアギスマインニヒト担当「こちらの商品はいかがかな? いまなら入荷、絶賛未定!!」
移動
あなたはいつの間にか、空母船団
【コロッセオ・レガシィ】へと到達した
【コロッセオ・レガシィ】へと到達した
ユニオン活動
悪鬼巡洋艦【ベルーガ】の活動記録
コロッセオ・レガシィ所属の弱小船。
万年人手不足なところ、灰燼戦争で所属テイマーが多数殉職。
年齢不問、未経験歓迎でしょっちゅう求人広告を出しているが成果は芳しくなく、技師をテイマーに登用するなど混迷ぶりが際立つ。
艦長はカイル・ハワード。傭兵上がりの大雑把な壮年男性。
……なお、ここは【ベルーガ】第三甲板にある談話室のようだ。たまに食堂でもある。
部屋の隅にはグレイヴネットに繋がる回線があり、通信の送受信が可能。
【艦内構造】
・ダストデッキ…艦長室、操舵室兼海図室、グレムリン発着場
・第二甲板…各種グレムリンドッグ
・第三甲板…居住スペース、食堂、談話室、会議室
【労働環境】
・出来高報酬制/死亡保険なし/住み込み可/3食昼寝付き<s>味の保証なし</s>
・<s>人手不足のため</s>今なら個室に空き有!
・フルタイム正社員に限らず時短、業務委託、副業など雇用形態応相談
【PL向け情報】
*加入・脱退フリー。枠の関係で一言連絡があれば助かります。
*行先を合わせる必要はないのでご自由に。
*現在地が違っても談話室に顔を出して◎、細かいことは気にせず楽しくどうぞ。
*ユニオンにシステム的意義が生じたら連絡します。
ENo.130からのメッセージ>>
【本日のメニュー】
A定食…錆ネズミのロースト
B定食…奇形魚のアクアパッツァ
タワーでの補給に成功しました。先日はお騒がせしました……それぞれ数量限定なのでお気をつけて!(料理長シリヤ・マキ)
アレクシア
「蒸発はまあ……ねえ。
たまにあるでしょ。……そんなに無い? 無いかあ」
アレクシア
「高待遇っちゃ高待遇……かなあ?
人使いの荒さで全てが台無しな気がしなくもないけど」
アレクシア
「シリヤが辞めたらいよいよ終わりだね。
あの子は数少ないこの船の良心だよ……」
アレクシア
「確かに雑炊は締めで欲しいよね。ま、そんな贅沢言ってらんないけどさ」
――後日、艦内放送が入る。
錆ネズミのロースト(トッピング:赤渦塩)をご注文の皆様
異物混入がありました
ご説明があるのでPM20:00に食堂までお越しください
繰り返します……
ENo.140からのメッセージ>>
ハンプバック
「まったく、混線甚だしいぜ。
彼女の整備をしてる時でもしょっちゅう流れてくるんだ、
参っちゃうよ」
ハンプバック
「……えっ、仕入れにも影響?死活問題じゃないか!
褒めた矢先に『まともな食事』が減るなんて、洒落にもならないな」
メッセージ
ENo.80からのメッセージ>>
アザミネ
「……………。
ま、そうだよな。アンタが本当に声掛けに来たってだけの立場なら、
盛りはしたって全くの嘘なんざ必要ねえ。
仮に何かの必要があって吐いたとしたって、ここで話しやしねえよなあ」
いくらか冷静になったかと思われた声色は、性懲りもなく幾分かの高慢を孕むものの。
あなたの同意と思い当たるものはない、という言葉へ、ふうん、と漏らす声は、疑いも茶化しも含まない。
ただあなたのもたらす情報を、至って真面目に咀嚼する。計器のそれを見ると同じように。
アザミネ
「そんじゃ、観測情報ナシか。
テイマーじゃなきゃ、何かあるのはグレムリンの方かね。
この戦いが始まった頃から出てきたってなら、他のに乗ったことのない奴も多そうだ。
案外、替えたらそっちはうんともすんとも言わねえかもな」
それからふと、思いついたとでも言う風に。
アザミネ
「アンタ、もし他のに乗れたらテイマー続けんの?」
4件のメッセージを送信しました
>>Eno.130 >>Eno.96 >>Eno.66 >>Eno.161
アザミネ
「……………。
ま、そうだよな。アンタが本当に声掛けに来たってだけの立場なら、
盛りはしたって全くの嘘なんざ必要ねえ。
仮に何かの必要があって吐いたとしたって、ここで話しやしねえよなあ」
いくらか冷静になったかと思われた声色は、性懲りもなく幾分かの高慢を孕むものの。
あなたの同意と思い当たるものはない、という言葉へ、ふうん、と漏らす声は、疑いも茶化しも含まない。
ただあなたのもたらす情報を、至って真面目に咀嚼する。計器のそれを見ると同じように。
アザミネ
「そんじゃ、観測情報ナシか。
テイマーじゃなきゃ、何かあるのはグレムリンの方かね。
この戦いが始まった頃から出てきたってなら、他のに乗ったことのない奴も多そうだ。
案外、替えたらそっちはうんともすんとも言わねえかもな」
それからふと、思いついたとでも言う風に。
アザミネ
「アンタ、もし他のに乗れたらテイマー続けんの?」
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>>Eno.130 >>Eno.96 >>Eno.66 >>Eno.161
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ENo.66からのメッセージ>>
エリーゼ
「ふふっ、そう。優秀で可愛い、きつねの女の子。私の僚機。」
エリーゼ
「エンジニアも不足しているけれど、パイロットはより深刻だし、ね。私はずっと乗るだけ……標的のことばかりに集中してきたから、整備が分かる人のことは尊敬するわ。『荒事』がなくなったら、どうしていいか分からないし」
エリーゼ
「そうね……戦い続けることは、向き不向きがあると思うわ。無人機ならともかく、相手のパイロットのこととか、あまり考えたくないもの。
ジャンク財団撃滅のお誘いは聞いた?同じ【赤渦】でも、作戦に乗ってくるようなパイロットや機体となると、話は変わってくるわね。大規模戦場だし、面白いことになりそう」
エリーゼ
「今後も、オーダー次第で行き先は変わりそうだけど。タワーの方なら、そっちの方で会うこともありそうね。そう、ペンギン諸島。チャルミィも気に入ったから……『あでりゐ』ね、覚えておくわ」
ENo.96からのメッセージ>>
チャルミィ
「うふふンッ♪
狐の窓、はおまじないの一種ですわ。
こうやって、指で四角をつくって覗くと
なにかが見える、というものですの!」
チャルミィ
「そうですわ!ワテクシはとぉーってもかわいいんですの!
だから本物のキツネも、きっとキュートに違いありまてんわ!」
チャルミィ
「じゃあ、ワテクシはやっぱりお友達って
呼ぶことにしますわ!
それで、アレクシア様たち……
お二人はお金を貸し借りした関係ってことですの?」
チャルミィ
「では、お金を返してもらわないといけないんですのね?
知っていますわ!
そういうのを、シャッキントリっていうのですわ!」
ENo.161からのメッセージ>>
ジェリィ
「征服ねえ。でも考えてみりゃ面倒そうだよな。
やることっつったら結局下々の民のご機嫌取りだろ。
死体と瓦礫の上でお山の大将気取りたいんなら別だけど。
少なくとも私のガラじゃねえな。
何もしなくても無限にちやほやされるんなら
人の上に立つのも悪くないけど――
そう考えるとやはり猫か……」
ジェリィ
「ああ、はいはい。
今ンとこ、別に艦内に接舷攻撃仕掛けてくる敵とか
来るわけでもなし、割と暇そうな人達な。
ぼーっと突っ立ってるだけで給料貰えんなら
割と悪く……
いや、やっぱ駄目だな。退屈は猫も殺すっつーもんな。
猫の敵はよろしくない」
ジェリィ
「そういや私が戦ってるとこって、姉御に直接見られたこと、
あったっけ?
どういうイメージ持たれてんだろ。
うはははーと無表情に笑いながら
暴力で蹂躙してく姿とか?
私はアレクシアの姉御にはなんか勝手に
狙撃系のイメージ持ってます。
元メカニックっつーと
あんまり動かなくていい感じかなーとかそういう先入観」
ジェリィ
「あるいは……アレだな……
超巨大レンチメイスで全てを……叩き潰す!
みたいな感じとか」
ジェリィ
「あいよ。忘れる。忘れた。
なんの話、してたっけ?
ああそうそう、ポーカー大会か。面白そうだな。
全員眉一つ動かさずにブタの手札でレイズしまくって
クソみたいなブラフ吹っ掛けてくるぞ。
少なくとも私はそういうことする。
見学してる観客のほうがヒリつきそうだなコレ」
送信ログ
>>Eno.80 アレクシア
「そりゃあねえ。一応勧誘のつもりで通信を飛ばしたんだから。
多少なりとも担がない?」
アレクシア
「でも、それで嘘を吐いた覚えはないよ。
少し誇張していたとしても、言ったことは本当のつもり」
カメラ、切っとけば良かったなあ、と思いつつも、その表情は変わらない。
沈黙の中、冷めた表情で手持ち無沙汰に三つ編みを整えるなどしていたが、
アレクシア
「そうね。情報の一つとして捉えてくれたらいいんじゃない。
私の見ているものが、正しいとも限らないしね。
一基のレーダーで探れる範囲なんて、たかが知れてる」
アレクシア
「共通点ねえ……
今のところ、パッと思い当たるものはないな」
正直、自分もどうして動かせたか分からないくらいだし。
……と言うのは、止めた。余計なことな気がしたからだ。
ENo.66からのメッセージ>>
エリーゼ
「ふふっ、そう。優秀で可愛い、きつねの女の子。私の僚機。」
エリーゼ
「エンジニアも不足しているけれど、パイロットはより深刻だし、ね。私はずっと乗るだけ……標的のことばかりに集中してきたから、整備が分かる人のことは尊敬するわ。『荒事』がなくなったら、どうしていいか分からないし」
エリーゼ
「そうね……戦い続けることは、向き不向きがあると思うわ。無人機ならともかく、相手のパイロットのこととか、あまり考えたくないもの。
ジャンク財団撃滅のお誘いは聞いた?同じ【赤渦】でも、作戦に乗ってくるようなパイロットや機体となると、話は変わってくるわね。大規模戦場だし、面白いことになりそう」
エリーゼ
「今後も、オーダー次第で行き先は変わりそうだけど。タワーの方なら、そっちの方で会うこともありそうね。そう、ペンギン諸島。チャルミィも気に入ったから……『あでりゐ』ね、覚えておくわ」
ENo.96からのメッセージ>>
チャルミィ
「うふふンッ♪
狐の窓、はおまじないの一種ですわ。
こうやって、指で四角をつくって覗くと
なにかが見える、というものですの!」
チャルミィ
「そうですわ!ワテクシはとぉーってもかわいいんですの!
だから本物のキツネも、きっとキュートに違いありまてんわ!」
チャルミィ
「じゃあ、ワテクシはやっぱりお友達って
呼ぶことにしますわ!
それで、アレクシア様たち……
お二人はお金を貸し借りした関係ってことですの?」
チャルミィ
「では、お金を返してもらわないといけないんですのね?
知っていますわ!
そういうのを、シャッキントリっていうのですわ!」
ENo.161からのメッセージ>>
ジェリィ
「征服ねえ。でも考えてみりゃ面倒そうだよな。
やることっつったら結局下々の民のご機嫌取りだろ。
死体と瓦礫の上でお山の大将気取りたいんなら別だけど。
少なくとも私のガラじゃねえな。
何もしなくても無限にちやほやされるんなら
人の上に立つのも悪くないけど――
そう考えるとやはり猫か……」
ジェリィ
「ああ、はいはい。
今ンとこ、別に艦内に接舷攻撃仕掛けてくる敵とか
来るわけでもなし、割と暇そうな人達な。
ぼーっと突っ立ってるだけで給料貰えんなら
割と悪く……
いや、やっぱ駄目だな。退屈は猫も殺すっつーもんな。
猫の敵はよろしくない」
ジェリィ
「そういや私が戦ってるとこって、姉御に直接見られたこと、
あったっけ?
どういうイメージ持たれてんだろ。
うはははーと無表情に笑いながら
暴力で蹂躙してく姿とか?
私はアレクシアの姉御にはなんか勝手に
狙撃系のイメージ持ってます。
元メカニックっつーと
あんまり動かなくていい感じかなーとかそういう先入観」
ジェリィ
「あるいは……アレだな……
超巨大レンチメイスで全てを……叩き潰す!
みたいな感じとか」
ジェリィ
「あいよ。忘れる。忘れた。
なんの話、してたっけ?
ああそうそう、ポーカー大会か。面白そうだな。
全員眉一つ動かさずにブタの手札でレイズしまくって
クソみたいなブラフ吹っ掛けてくるぞ。
少なくとも私はそういうことする。
見学してる観客のほうがヒリつきそうだなコレ」
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>>Eno.80 アレクシア
「そりゃあねえ。一応勧誘のつもりで通信を飛ばしたんだから。
多少なりとも担がない?」
アレクシア
「でも、それで嘘を吐いた覚えはないよ。
少し誇張していたとしても、言ったことは本当のつもり」
カメラ、切っとけば良かったなあ、と思いつつも、その表情は変わらない。
沈黙の中、冷めた表情で手持ち無沙汰に三つ編みを整えるなどしていたが、
アレクシア
「そうね。情報の一つとして捉えてくれたらいいんじゃない。
私の見ているものが、正しいとも限らないしね。
一基のレーダーで探れる範囲なんて、たかが知れてる」
アレクシア
「共通点ねえ……
今のところ、パッと思い当たるものはないな」
正直、自分もどうして動かせたか分からないくらいだし。
……と言うのは、止めた。余計なことな気がしたからだ。
◆14回更新のメッセログ
受信ログ
ENo.80からのメッセージ>>
アザミネ
「へえ。じゃ、その前は?」
そうして言葉尻をあげつらって、笑った声は酷く乾いている。
その後の沈黙は以前にも比して長く。言うべきことを探しているのか、記憶のうちを探っているのか、それともあなたをモニタ越しに凝視してでもいるのか。だとすればどんな顔で。
途切れぬまま映るエンブレムはその手掛かりさえ与えることはない。教えるのは努めて低く、抑えた調子の、これまでの余裕をもはや持たない声色だけだ。
アザミネ
「……ま、情報提供の一環ってことにしておこうか。
レーダーは多いほど正確になる。アンタも逆関節乗りなら実感してるこったろ?
一基に疑問があるなら他を見りゃいい」
アザミネ
「それにしても。
そいつが本当なら、アンタの『観測範囲』じゃ他に何か見えてんのかい?
そういう奴の共通点とかさ……
動かせてんだ、気づいてなくても制御識はあるんだろうが」
ENo.130からのメッセージ>>
アレクシア
「味覚……というと、完全機械化した人でも、
わざわざ脳に味覚信号を流すこともあるらしいねえ。
持ってたものがなくなると、物足りなくなるってことなのか。
それこそ、人間性を求めてるとも言えるのかもね」
アレクシア
「はは、一長一短だ。
まあ……当たり外れはあるけど、ある程度のものは出てくるからね。
3食昼寝付き、ここの数少ない良いところだよ」
と言いつつ、本日のメニューを見遣る。
送信ログ
>>Eno.96 アレクシア
「へえ。知らない言葉だ。
狐の窓か。……どの辺が窓なんだろ」
アレクシア
「君も……チャルミィもキツネかあ。
初めて見たや。キツネ。
結構かわいいもんだね」
アレクシア
「あー……いいんじゃない? その場合はお友達で
僚機の方が通りが良い場面はあるかもしれないけど。
君にとって僚機が友達なら、そうなんだろうしさ」
アレクシア
「だよね。私もそういう認識だ。
……まあ、仕組みが分かっても、分かってなくても、やることは変わんないんだし。
問題ないでしょ」
アレクシア
「……様……呼び易いならそれでいいけど。
様付けなんてされたことないや。丁寧だねえ」
アレクシア
「ん~……、……なんだろね。
私と彼の関係か」
アレクシア
「僚機……以外で表現するなら、債権者と、債務者が一番的確かなあ……
……あ、私が債権者ね。
お金を貸した方……分かる?」
>>Eno.66 アレクシア
「あのキツネの子ね。
ずいぶん可愛らしい……人じゃないから驚いたよ」
アレクシア
「確かに。こんなところに一人で来たくはないもんだ。
何にもないしねえ」
アレクシア
「今はテイマーが本業になっちゃってるけど、本当の本業はエンジニアでね。
荒事は勘弁してほしいんだけどなあ……
君は本業なのかな、これが」
アレクシア
「そっちの方は行ったことないんだけど、そんな感じなんだ?
……ま、この戦いも長くなってきたからね。
物理的にも、精神的にも、振り落とされるひとが出てくるのは仕方がないのかも」
アレクシア
「ああ、方角は一緒だけど位置が違うな。
こっちはタワー方面に行く予定でね」
アレクシア
「温泉? ペンギン諸島かな。
一度行っただけだけど、「あでりゐ」って旅館の温泉は悪くなかったよ。
……旅館自体はボロだったけどね」
>>Eno.130 アレクシア
「味覚……というと、完全機械化した人でも、
わざわざ脳に味覚信号を流すこともあるらしいねえ。
持ってたものがなくなると、物足りなくなるってことなのか。
それこそ、人間性を求めてるとも言えるのかもね」
アレクシア
「はは、一長一短だ。
まあ……当たり外れはあるけど、ある程度のものは出てくるからね。
3食昼寝付き、ここの数少ない良いところだよ」
と言いつつ、本日のメニューを見遣る。
>>Eno.161 アレクシア
「新人類ねえ、いいんじゃない。
となると私は旧人類か。
その内、ジェリィちゃんたちみたいな新人類に征服される側ね」
口調は冗談めかしているが、残念ながら表情の変化は乏しい。
アレクシア
「ほら、艦の警備をしてる船員、いるじゃない。
……数は少ないけど。あの人らのことだよ」
アレクシア
「"コレ"はね~……まあ、お察しくださいってところ。
稼ぐならジャンク品を売り捌く方が良いね、絶対」
アレクシア
「そっか。なんだか変に気を回しちゃったかな。
慣れないことはするもんじゃないね」
と言いつつ、あなたの変わらない様子に、いくらか安心したような口振り。
アレクシア
「あー、あれ。派手な武器だよね。
あれを使う人とは同じ戦場になりたくないもんだよ。
……でもジェリィちゃんが持ってるのは、イメージに合うな」
アレクシア
「はは、ありがと。
……まあ、そう言ってもらえるのは有難いことだね」
と、珍しく。
本当に珍しく、口元を緩めた。
アレクシア
「……」
アレクシア
「……、……あー……
そういう……
うん、まあ、そうだよね」
アレクシア
「……なんかやだな。意識してる人みたいじゃん、私。
今のは忘れて」
アレクシア
「ずーっとあんな感じの顔してるよね。彼。
チーム無表情ねえ……
ポーカー大会とかあったら負ける気がしないや。
ジェリィちゃんと……ハンプバックさんも強そうだなー」
ENo.80からのメッセージ>>
アザミネ
「へえ。じゃ、その前は?」
そうして言葉尻をあげつらって、笑った声は酷く乾いている。
その後の沈黙は以前にも比して長く。言うべきことを探しているのか、記憶のうちを探っているのか、それともあなたをモニタ越しに凝視してでもいるのか。だとすればどんな顔で。
途切れぬまま映るエンブレムはその手掛かりさえ与えることはない。教えるのは努めて低く、抑えた調子の、これまでの余裕をもはや持たない声色だけだ。
アザミネ
「……ま、情報提供の一環ってことにしておこうか。
レーダーは多いほど正確になる。アンタも逆関節乗りなら実感してるこったろ?
一基に疑問があるなら他を見りゃいい」
アザミネ
「それにしても。
そいつが本当なら、アンタの『観測範囲』じゃ他に何か見えてんのかい?
そういう奴の共通点とかさ……
動かせてんだ、気づいてなくても制御識はあるんだろうが」
ENo.130からのメッセージ>>
アレクシア
「味覚……というと、完全機械化した人でも、
わざわざ脳に味覚信号を流すこともあるらしいねえ。
持ってたものがなくなると、物足りなくなるってことなのか。
それこそ、人間性を求めてるとも言えるのかもね」
アレクシア
「はは、一長一短だ。
まあ……当たり外れはあるけど、ある程度のものは出てくるからね。
3食昼寝付き、ここの数少ない良いところだよ」
と言いつつ、本日のメニューを見遣る。
送信ログ
>>Eno.96 アレクシア
「へえ。知らない言葉だ。
狐の窓か。……どの辺が窓なんだろ」
アレクシア
「君も……チャルミィもキツネかあ。
初めて見たや。キツネ。
結構かわいいもんだね」
アレクシア
「あー……いいんじゃない? その場合はお友達で
僚機の方が通りが良い場面はあるかもしれないけど。
君にとって僚機が友達なら、そうなんだろうしさ」
アレクシア
「だよね。私もそういう認識だ。
……まあ、仕組みが分かっても、分かってなくても、やることは変わんないんだし。
問題ないでしょ」
アレクシア
「……様……呼び易いならそれでいいけど。
様付けなんてされたことないや。丁寧だねえ」
アレクシア
「ん~……、……なんだろね。
私と彼の関係か」
アレクシア
「僚機……以外で表現するなら、債権者と、債務者が一番的確かなあ……
……あ、私が債権者ね。
お金を貸した方……分かる?」
>>Eno.66 アレクシア
「あのキツネの子ね。
ずいぶん可愛らしい……人じゃないから驚いたよ」
アレクシア
「確かに。こんなところに一人で来たくはないもんだ。
何にもないしねえ」
アレクシア
「今はテイマーが本業になっちゃってるけど、本当の本業はエンジニアでね。
荒事は勘弁してほしいんだけどなあ……
君は本業なのかな、これが」
アレクシア
「そっちの方は行ったことないんだけど、そんな感じなんだ?
……ま、この戦いも長くなってきたからね。
物理的にも、精神的にも、振り落とされるひとが出てくるのは仕方がないのかも」
アレクシア
「ああ、方角は一緒だけど位置が違うな。
こっちはタワー方面に行く予定でね」
アレクシア
「温泉? ペンギン諸島かな。
一度行っただけだけど、「あでりゐ」って旅館の温泉は悪くなかったよ。
……旅館自体はボロだったけどね」
>>Eno.130 アレクシア
「味覚……というと、完全機械化した人でも、
わざわざ脳に味覚信号を流すこともあるらしいねえ。
持ってたものがなくなると、物足りなくなるってことなのか。
それこそ、人間性を求めてるとも言えるのかもね」
アレクシア
「はは、一長一短だ。
まあ……当たり外れはあるけど、ある程度のものは出てくるからね。
3食昼寝付き、ここの数少ない良いところだよ」
と言いつつ、本日のメニューを見遣る。
>>Eno.161 アレクシア
「新人類ねえ、いいんじゃない。
となると私は旧人類か。
その内、ジェリィちゃんたちみたいな新人類に征服される側ね」
口調は冗談めかしているが、残念ながら表情の変化は乏しい。
アレクシア
「ほら、艦の警備をしてる船員、いるじゃない。
……数は少ないけど。あの人らのことだよ」
アレクシア
「"コレ"はね~……まあ、お察しくださいってところ。
稼ぐならジャンク品を売り捌く方が良いね、絶対」
アレクシア
「そっか。なんだか変に気を回しちゃったかな。
慣れないことはするもんじゃないね」
と言いつつ、あなたの変わらない様子に、いくらか安心したような口振り。
アレクシア
「あー、あれ。派手な武器だよね。
あれを使う人とは同じ戦場になりたくないもんだよ。
……でもジェリィちゃんが持ってるのは、イメージに合うな」
アレクシア
「はは、ありがと。
……まあ、そう言ってもらえるのは有難いことだね」
と、珍しく。
本当に珍しく、口元を緩めた。
アレクシア
「……」
アレクシア
「……、……あー……
そういう……
うん、まあ、そうだよね」
アレクシア
「……なんかやだな。意識してる人みたいじゃん、私。
今のは忘れて」
アレクシア
「ずーっとあんな感じの顔してるよね。彼。
チーム無表情ねえ……
ポーカー大会とかあったら負ける気がしないや。
ジェリィちゃんと……ハンプバックさんも強そうだなー」
◆13回更新のメッセログ
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ENo.66からのメッセージ>>
エリーゼ
「そう、『ルナール◇フネートル』。……チャルミィとも話しているかしら。そうね……一人だったら戦力的にもだけど、もっと虚しかったかもしれないわね」
エリーゼ
「あら、グレムリン乗りは副業? それこそ、こんなところまで来る優秀なパイロットだと思ったのだけれど。」
エリーゼ
「ええ、ええ。自分の身ぐらいはちゃんと守って欲しいところだけど……この【赤渦】辺りでも、整備や動きが甘い子もいるみたいだし……。」
エリーゼ
「私たちは作戦は【虚ろの海】あたりの地域で行って……その後は、またその後かしら。一段落したら、温泉に行きたいのだけれど」
ENo.96からのメッセージ>>
チャルミィ
「うふふンッ♪
『ルナール◇フネートル』はワテクシと同じキツネなのですわ!
ルナールは狐、フネートルは窓。狐の窓という意味ですの!」
チャルミィ
「四脚の……ええ、ワテクシのお友達の機体ですわ!
一緒に行く人のことを僚機、というのならそう呼ぶべきなのかちら?
でも、やっぱりお友達だからそっちの方が呼びやすいでしわ」
チャルミィ
「覚醒は……ええと、確か……
みんなが頑張れば覚醒しますわ!!!!」
チャルミィ
「アレクシア様ですわね、よろしくお願いしますわ!
お友達じゃない僚機……パートナーや相棒かちら?」
ENo.161からのメッセージ>>
ジェリィ
「人類の上位互換だといいんだけどなー。
だとしたら新人類様だガハハと威張り散らしてやる。
でもまあ多分、そんなうまい話は無いんだろうなと
諦観気味の私です」
などと言ってはいるが、悲壮感のようなものは欠片も見えない。
いや、無表情かつ無感情っぽく見えるせいかもしれないが、
元が兵器だからか、そういう情緒が最初から実装されていないのかもしれない。
ジェリィ
「防衛部門?
ちゃんとそれなりのコレ貰えるんならそれも悪くないけど――」
人差し指と親指でマルを作って見せる。
ジェリィ
「まー、残念ながら、貰えないんだろな。
なんか副料理長も辞めたみたいだし。
グレムリンの残骸売ってたほうが稼げそうだぜ~~」
ジェリィ
「おうよ心配すんな、私ゃ私なりに楽しんでるからよ。
今は拡散火球砲で敵を焼き尽くすのが楽しくて仕方ねえ。
汚物は消毒っつってなフハハ。」
ジェリィ
「で、今んとこは依頼無しか。まあ気が変わったらいつでも言えよなー。
いや、パートナーっつうのはビジネスパートナーの意味で言ったわけだが
そうか、そういう受け取り方もあんのか」
ジェリィ
「言われてみりゃ私も艦内でコール君が表情変えてるとこ
見たことねえな。
チーム無表情か???」
送信ログ
>>Eno.80 アレクシア
「さあ、どうだろ?
私も彼のことはあまりよく知らないからなあ」
アレクシア
「確かに、君はひとりで戦っているものね。
戦い方の前提からして違うか」
アレクシア
「……僚機は君ほど『元気』ではないけど、強くなったら助かるかな。
ほら、その方が生存率が上がりそうじゃない? ……私のさ」
アレクシア
「ネレちゃんね。そうそう、あの子も二足の草鞋ってやつ。
確かに、君ほどやんちゃはしてないなー。」
アレクシア
「じゃ、あれは君の趣味ってわけか。
いや、同業者として助かるけどね。強いひとがいるってのは」
それから。
ふとした拍子に流れた沈黙。
今までと色の違う声に、一拍、考え込むようにして、
アレクシア
「……。
私の観測範囲で認識していることを言っただけなんだけどな。
今の言葉に君を担ごうという意図は含まれていない」
とだけ、返す。
言葉を選んでいるが、嘘を吐くような様子はない。
ENo.66からのメッセージ>>
エリーゼ
「そう、『ルナール◇フネートル』。……チャルミィとも話しているかしら。そうね……一人だったら戦力的にもだけど、もっと虚しかったかもしれないわね」
エリーゼ
「あら、グレムリン乗りは副業? それこそ、こんなところまで来る優秀なパイロットだと思ったのだけれど。」
エリーゼ
「ええ、ええ。自分の身ぐらいはちゃんと守って欲しいところだけど……この【赤渦】辺りでも、整備や動きが甘い子もいるみたいだし……。」
エリーゼ
「私たちは作戦は【虚ろの海】あたりの地域で行って……その後は、またその後かしら。一段落したら、温泉に行きたいのだけれど」
ENo.96からのメッセージ>>
チャルミィ
「うふふンッ♪
『ルナール◇フネートル』はワテクシと同じキツネなのですわ!
ルナールは狐、フネートルは窓。狐の窓という意味ですの!」
チャルミィ
「四脚の……ええ、ワテクシのお友達の機体ですわ!
一緒に行く人のことを僚機、というのならそう呼ぶべきなのかちら?
でも、やっぱりお友達だからそっちの方が呼びやすいでしわ」
チャルミィ
「覚醒は……ええと、確か……
みんなが頑張れば覚醒しますわ!!!!」
チャルミィ
「アレクシア様ですわね、よろしくお願いしますわ!
お友達じゃない僚機……パートナーや相棒かちら?」
ENo.161からのメッセージ>>
ジェリィ
「人類の上位互換だといいんだけどなー。
だとしたら新人類様だガハハと威張り散らしてやる。
でもまあ多分、そんなうまい話は無いんだろうなと
諦観気味の私です」
などと言ってはいるが、悲壮感のようなものは欠片も見えない。
いや、無表情かつ無感情っぽく見えるせいかもしれないが、
元が兵器だからか、そういう情緒が最初から実装されていないのかもしれない。
ジェリィ
「防衛部門?
ちゃんとそれなりのコレ貰えるんならそれも悪くないけど――」
人差し指と親指でマルを作って見せる。
ジェリィ
「まー、残念ながら、貰えないんだろな。
なんか副料理長も辞めたみたいだし。
グレムリンの残骸売ってたほうが稼げそうだぜ~~」
ジェリィ
「おうよ心配すんな、私ゃ私なりに楽しんでるからよ。
今は拡散火球砲で敵を焼き尽くすのが楽しくて仕方ねえ。
汚物は消毒っつってなフハハ。」
ジェリィ
「で、今んとこは依頼無しか。まあ気が変わったらいつでも言えよなー。
いや、パートナーっつうのはビジネスパートナーの意味で言ったわけだが
そうか、そういう受け取り方もあんのか」
ジェリィ
「言われてみりゃ私も艦内でコール君が表情変えてるとこ
見たことねえな。
チーム無表情か???」
送信ログ
>>Eno.80 アレクシア
「さあ、どうだろ?
私も彼のことはあまりよく知らないからなあ」
アレクシア
「確かに、君はひとりで戦っているものね。
戦い方の前提からして違うか」
アレクシア
「……僚機は君ほど『元気』ではないけど、強くなったら助かるかな。
ほら、その方が生存率が上がりそうじゃない? ……私のさ」
アレクシア
「ネレちゃんね。そうそう、あの子も二足の草鞋ってやつ。
確かに、君ほどやんちゃはしてないなー。」
アレクシア
「じゃ、あれは君の趣味ってわけか。
いや、同業者として助かるけどね。強いひとがいるってのは」
それから。
ふとした拍子に流れた沈黙。
今までと色の違う声に、一拍、考え込むようにして、
アレクシア
「……。
私の観測範囲で認識していることを言っただけなんだけどな。
今の言葉に君を担ごうという意図は含まれていない」
とだけ、返す。
言葉を選んでいるが、嘘を吐くような様子はない。
◆12回更新のメッセログ
受信ログ
ENo.80からのメッセージ>>
アザミネ
「ふうん、アンタ僚機持ちか。聞いてる限り、随分お育ちが良さそうだ。
それなら尚更、俺とアンタじゃ戦り方も違うだろ。
それともそいつにも、何か使えることでも持ち帰りたいってところか?
そっちが俺くらい『元気』って可能性もあるしな」
アザミネ
「……ん。
ハイドランジアは青花にしちゃ物持ちな方だが、あんな無駄弾出せるほどはねえよ。
アンタのところなら、ネレっつったか。156。
連中から名前出てたぜ、あいつも多分ハイドランジアだ。だがあんな戦り方してねえだろ?」
感情の薄い女の声、高慢さを隠さぬ少年の声。
しばらく続いた反復を先に崩したのはこちらだった。グレムリンを『たまたま動かせた』人間が、『結構いる』。
あなたのふと漏らした言葉に、次がれていく言葉が止まる。息さえ忘れるしばしの無音。
アザミネ
「…………はあ?
なあ。担ごうったってそうはいかねえよ。
アンタが新米だってのは分かったが、もうちょっとマシな言い訳があるんじゃねえの?」
送信ログ
>>Eno.161 アレクシア
「バイオ兵器ぃ?
……バイオ兵器ねえ。なるほど。納得できなくはないかあ。
ジェリィちゃん、色々と人間離れしてたしね」
アレクシア
「にしてもすごい技術だ。見た目、人間にしか見えないのに。
グレムリンも動かせて、知能だって私たちと遜色ないじゃない。
むしろ上だったりして?」
アレクシア
「へーえ……すごいじゃん。っていうかやばいね。
あ、でも艦長には黙っときなよ。ベルーガの防衛部門、絶対押し付けられるから」
アレクシア
「始末……ねえ。はは。ありがと。
……そう言ってくれるのは嬉しいけど、気持ちだけ受け取っとくよ」
アレクシア
「寿命ねえ……そればっかりは、なんとも言えないな」
アレクシア
「ごめん。気の利いた言葉っていうのが苦手でさ。
………まあ、ジェリィちゃんがいなくなったら寂しくなるんだろう、とは思うけど」
アレクシア
「確かに兵器なんだろうけど……
私とか、あとネレちゃんとか、君のことをそうは思っていないと思うよ」
アレクシア
「私も無理だから、明るくしろとは言わないけど……
んん、なんていうかさ。あんまりこだわらなくてもいんじゃない。そういうことは」
アレクシア
「兵器だからって変に気にしないで、楽しむことは楽しんで、いつも通りでさ。
……まあ、ちょっとよくわかんないんだけど」
アレクシア
「パートナー……ん? コール君のこと?
やだなあ。そんなんじゃないし。単なる僚機だよ」
アレクシア
「……よく考えたらコール君が笑ったところも見たことないな。
改めてうちのユニオンの表情筋死んでる率、やばいね」
>>Eno.66 アレクシア
「ああ、『ルナール◇フネートル』?
良い機体だね。こんなところまで来るのに、一人では心細いだろうし」
アレクシア
「いやあ、私はそうでもないけれど。
何せ本業でもないし……」
アレクシア
「でも、確かにタワーはね。
本当に動かしてんの? って動きのグレムリンもいるし、
そういう点ではそうかもしれない」
アレクシア
「君たちももう少しこの辺りにいるのかな。
同じ線上になった時は、頼りにさせてもらいたいものだね」
>>Eno.96 乗り手の顔がモニターに映る。
……人間じゃない。
赤毛の女は、僅かに目を瞬かせた。
アレクシア
「そうそう。なんだか見慣れちゃってね、君のキツネみたいな機体と……
僚機かな? 四脚の機体。
通信でも送ってみるか、って思ったわけ」
アレクシア
「そうだねえ、そろそろ覚醒も近いんじゃない。
……あれの仕組み、あんまりよく分かってないんだけどさ」
アレクシア
「チャルミィ、ね。私はアレクシア。
お友達……じゃないけど、私にも僚機はいるよ。」
ENo.80からのメッセージ>>
アザミネ
「ふうん、アンタ僚機持ちか。聞いてる限り、随分お育ちが良さそうだ。
それなら尚更、俺とアンタじゃ戦り方も違うだろ。
それともそいつにも、何か使えることでも持ち帰りたいってところか?
そっちが俺くらい『元気』って可能性もあるしな」
アザミネ
「……ん。
ハイドランジアは青花にしちゃ物持ちな方だが、あんな無駄弾出せるほどはねえよ。
アンタのところなら、ネレっつったか。156。
連中から名前出てたぜ、あいつも多分ハイドランジアだ。だがあんな戦り方してねえだろ?」
感情の薄い女の声、高慢さを隠さぬ少年の声。
しばらく続いた反復を先に崩したのはこちらだった。グレムリンを『たまたま動かせた』人間が、『結構いる』。
あなたのふと漏らした言葉に、次がれていく言葉が止まる。息さえ忘れるしばしの無音。
アザミネ
「…………はあ?
なあ。担ごうったってそうはいかねえよ。
アンタが新米だってのは分かったが、もうちょっとマシな言い訳があるんじゃねえの?」
送信ログ
>>Eno.161 アレクシア
「バイオ兵器ぃ?
……バイオ兵器ねえ。なるほど。納得できなくはないかあ。
ジェリィちゃん、色々と人間離れしてたしね」
アレクシア
「にしてもすごい技術だ。見た目、人間にしか見えないのに。
グレムリンも動かせて、知能だって私たちと遜色ないじゃない。
むしろ上だったりして?」
アレクシア
「へーえ……すごいじゃん。っていうかやばいね。
あ、でも艦長には黙っときなよ。ベルーガの防衛部門、絶対押し付けられるから」
アレクシア
「始末……ねえ。はは。ありがと。
……そう言ってくれるのは嬉しいけど、気持ちだけ受け取っとくよ」
アレクシア
「寿命ねえ……そればっかりは、なんとも言えないな」
アレクシア
「ごめん。気の利いた言葉っていうのが苦手でさ。
………まあ、ジェリィちゃんがいなくなったら寂しくなるんだろう、とは思うけど」
アレクシア
「確かに兵器なんだろうけど……
私とか、あとネレちゃんとか、君のことをそうは思っていないと思うよ」
アレクシア
「私も無理だから、明るくしろとは言わないけど……
んん、なんていうかさ。あんまりこだわらなくてもいんじゃない。そういうことは」
アレクシア
「兵器だからって変に気にしないで、楽しむことは楽しんで、いつも通りでさ。
……まあ、ちょっとよくわかんないんだけど」
アレクシア
「パートナー……ん? コール君のこと?
やだなあ。そんなんじゃないし。単なる僚機だよ」
アレクシア
「……よく考えたらコール君が笑ったところも見たことないな。
改めてうちのユニオンの表情筋死んでる率、やばいね」
>>Eno.66 アレクシア
「ああ、『ルナール◇フネートル』?
良い機体だね。こんなところまで来るのに、一人では心細いだろうし」
アレクシア
「いやあ、私はそうでもないけれど。
何せ本業でもないし……」
アレクシア
「でも、確かにタワーはね。
本当に動かしてんの? って動きのグレムリンもいるし、
そういう点ではそうかもしれない」
アレクシア
「君たちももう少しこの辺りにいるのかな。
同じ線上になった時は、頼りにさせてもらいたいものだね」
>>Eno.96 乗り手の顔がモニターに映る。
……人間じゃない。
赤毛の女は、僅かに目を瞬かせた。
アレクシア
「そうそう。なんだか見慣れちゃってね、君のキツネみたいな機体と……
僚機かな? 四脚の機体。
通信でも送ってみるか、って思ったわけ」
アレクシア
「そうだねえ、そろそろ覚醒も近いんじゃない。
……あれの仕組み、あんまりよく分かってないんだけどさ」
アレクシア
「チャルミィ、ね。私はアレクシア。
お友達……じゃないけど、私にも僚機はいるよ。」
◆11回更新のメッセログ
受信ログ
ENo.66からのメッセージ>>
エリーゼ
「あら、戦果通信で聞こえた声ね……《TINDHARIA》のエリーゼよ。……優秀な僚機のおかげで無事に過ごせているわ。この辺りは……味方の練度が高いという点では、タワーの辺りより過ごしやすいかもしれないわ。あなたも含めてね」
ENo.96からのメッセージ>>
チャルミィ
「『ルナール◇フネートル』から『サイレント・リップルス』へ!
こちらも進みは順調ですわ♪」
通信を拒否しなければ、
乗り手の顔が映るだろう
チャルミィ
「ごきげんよう!
まあ!本当だわ!
ワテクシ達すすむ道が何日も同じですのね」
チャルミィ
「ふしぎな縁ですわ。こんな地図の端まで
おんなじ道を行くなんて!
端っこですけれど、これだけの人数がここに集まれば
覚醒が近いような気がしてましわ!」
チャルミィ
「ワテクシの名前はチャルミィ。
お友達と一緒にいろんなところへ行っておりますの!
あなたのお名前は?」
ENo.161からのメッセージ>>
ジェリィ
「あ、私の正体な。部分的に分かったぞ。
目ェ覚めて割とすぐにバイオ研究所行ったんだけどな、
そん時に生体サンプル提出して解析してもらってたんだわ。
その返事がようやく来たってワケ」
ジェリィ
「バイオ兵器らしいぞ私。
それも形式も技術ツリーもよく分からん
出自不明の古代のバイオ兵器。
”部分的に”ってのはそこだな。
記憶に障害が出てんのも骨董品だからかね?」
ジェリィ
「耐久力と再生力が高く、人間が生身で勝利するのは
自動小銃を使用しても困難、ってお墨付き貰った。
そんなわけで、兵器は人に使われてなんぼだからな。
誰か始末してほしいヤツとかいたら言うがよいぞ。
お友達価格で引き受けてやるぜ。
有効稼働時間、要するに”寿命”が分からんから
いつ停まるか分からんらしいし、
依頼あるんならお早めにな」
親指で首をかっ切るジェスチャーなどして見せた。
ジェリィ
「んーーーでーーー、あー、なんだっけ。
ああそうそう、私達が明るく愛想良くなったら
逆に怖いって話な。
私はまあ兵器だからそーゆーことせんでも別にええやん、
って話だけど」
ジェリィ
「姉御はパートナーぐらいになら笑顔見せてやってもいいんじゃね?
安売りする必要は無ェけどさ。
むしろSSR笑顔ぐらいのプレミアム感売ってくのは悪くねェと思うぜ」
送信ログ
>>Eno.138 いつの間にか、少年とのビデオメッセージのやり取りが日常の一つになってしまっている。
妙な縁を持ってしまったものだ。そう思いつつ、届いたそれをいつものように開いてみたら、
アレクシア
「……はーん、なるほどねえ」
状況はよく分からない。が、何かあったのだろう。
見知らぬ女のきな臭く慌ただしいビデオメッセージから、それは間違いないように思えた。
アレクシア
「(どーしよっかなー……)」
アレクシア
「(ま、連絡来るでしょ。生きてたら)」
向こうの事情に下手に首を突っ込みかねない。ここでアクションを起こすことは得策ではないように思えた。
それに、律儀そうな彼のことだ。いずれ向こうから返事があるだろう。
強いて言うなら、それまで自分の為すべきことは、生き残ることだ。
そう判断して、メッセージは送らなかった。
>>Eno.129 アレクシア
「それはそうだけどさー……」
アレクシア
「……」
アレクシア
「……まあ、私もコール君には感謝してるよ。
僚機、いなくて困ってたし。
君がいなかったら、ここまで生き残れてなかったかもしれない」
アレクシア
「コーヒー屋? 私が?」
アレクシア
「……分かり難い冗談は言わない方がいいよ、コール君。
大体、私、コーヒー詳しくないし。愛想も悪いし。接客業には向いてなさそう」
アレクシア
「……うん。だから、無理だよ、私には」
アレクシア
「あー……そういう感じかあ。
コール君も大変だね」
>>Eno.80 アレクシア
「私……っていうより、僚機がねえ。食道楽なもんで。
私はそこまでこだわりないんだけどさ」
アレクシア
「おー、健全健全。
吸うと落ち着くんだけどね。君は知らないままの方がいいよ」
アレクシア
「そう? トップランカーにそう言ってもらえるのは嬉しいなー。
上司からもそのくらい評価してほしいもんだよ」
と言いつつ、さほど嬉しそうではない。
嘘でもなさそうだが、相変わらず感情の薄い声。
アレクシア
「日が浅いのはほんとだよ。
ほら、今回の戦いが始まった頃、グレムリンが動かなくなっちゃったじゃない?
その時にたまたま動かせて、それから戦場に駆り出されっぱなしってわけ。
……そういう人、今回は結構いるみたいだけどねえ」
アレクシア
「はは、そりゃ確かにそうだ。
生き残れたら良いからね。私は。
君みたいに、あそこまでする元気はないなー」
アレクシア
「……あれはハイドランジアの方針? それとも君の?
あ、これは単純な興味。答えたくなかったら気にしないで」
ENo.66からのメッセージ>>
エリーゼ
「あら、戦果通信で聞こえた声ね……《TINDHARIA》のエリーゼよ。……優秀な僚機のおかげで無事に過ごせているわ。この辺りは……味方の練度が高いという点では、タワーの辺りより過ごしやすいかもしれないわ。あなたも含めてね」
ENo.96からのメッセージ>>
チャルミィ
「『ルナール◇フネートル』から『サイレント・リップルス』へ!
こちらも進みは順調ですわ♪」
通信を拒否しなければ、
乗り手の顔が映るだろう
チャルミィ
「ごきげんよう!
まあ!本当だわ!
ワテクシ達すすむ道が何日も同じですのね」
チャルミィ
「ふしぎな縁ですわ。こんな地図の端まで
おんなじ道を行くなんて!
端っこですけれど、これだけの人数がここに集まれば
覚醒が近いような気がしてましわ!」
チャルミィ
「ワテクシの名前はチャルミィ。
お友達と一緒にいろんなところへ行っておりますの!
あなたのお名前は?」
ENo.161からのメッセージ>>
ジェリィ
「あ、私の正体な。部分的に分かったぞ。
目ェ覚めて割とすぐにバイオ研究所行ったんだけどな、
そん時に生体サンプル提出して解析してもらってたんだわ。
その返事がようやく来たってワケ」
ジェリィ
「バイオ兵器らしいぞ私。
それも形式も技術ツリーもよく分からん
出自不明の古代のバイオ兵器。
”部分的に”ってのはそこだな。
記憶に障害が出てんのも骨董品だからかね?」
ジェリィ
「耐久力と再生力が高く、人間が生身で勝利するのは
自動小銃を使用しても困難、ってお墨付き貰った。
そんなわけで、兵器は人に使われてなんぼだからな。
誰か始末してほしいヤツとかいたら言うがよいぞ。
お友達価格で引き受けてやるぜ。
有効稼働時間、要するに”寿命”が分からんから
いつ停まるか分からんらしいし、
依頼あるんならお早めにな」
親指で首をかっ切るジェスチャーなどして見せた。
ジェリィ
「んーーーでーーー、あー、なんだっけ。
ああそうそう、私達が明るく愛想良くなったら
逆に怖いって話な。
私はまあ兵器だからそーゆーことせんでも別にええやん、
って話だけど」
ジェリィ
「姉御はパートナーぐらいになら笑顔見せてやってもいいんじゃね?
安売りする必要は無ェけどさ。
むしろSSR笑顔ぐらいのプレミアム感売ってくのは悪くねェと思うぜ」
送信ログ
>>Eno.138 いつの間にか、少年とのビデオメッセージのやり取りが日常の一つになってしまっている。
妙な縁を持ってしまったものだ。そう思いつつ、届いたそれをいつものように開いてみたら、
アレクシア
「……はーん、なるほどねえ」
状況はよく分からない。が、何かあったのだろう。
見知らぬ女のきな臭く慌ただしいビデオメッセージから、それは間違いないように思えた。
アレクシア
「(どーしよっかなー……)」
アレクシア
「(ま、連絡来るでしょ。生きてたら)」
向こうの事情に下手に首を突っ込みかねない。ここでアクションを起こすことは得策ではないように思えた。
それに、律儀そうな彼のことだ。いずれ向こうから返事があるだろう。
強いて言うなら、それまで自分の為すべきことは、生き残ることだ。
そう判断して、メッセージは送らなかった。
>>Eno.129 アレクシア
「それはそうだけどさー……」
アレクシア
「……」
アレクシア
「……まあ、私もコール君には感謝してるよ。
僚機、いなくて困ってたし。
君がいなかったら、ここまで生き残れてなかったかもしれない」
アレクシア
「コーヒー屋? 私が?」
アレクシア
「……分かり難い冗談は言わない方がいいよ、コール君。
大体、私、コーヒー詳しくないし。愛想も悪いし。接客業には向いてなさそう」
アレクシア
「……うん。だから、無理だよ、私には」
アレクシア
「あー……そういう感じかあ。
コール君も大変だね」
>>Eno.80 アレクシア
「私……っていうより、僚機がねえ。食道楽なもんで。
私はそこまでこだわりないんだけどさ」
アレクシア
「おー、健全健全。
吸うと落ち着くんだけどね。君は知らないままの方がいいよ」
アレクシア
「そう? トップランカーにそう言ってもらえるのは嬉しいなー。
上司からもそのくらい評価してほしいもんだよ」
と言いつつ、さほど嬉しそうではない。
嘘でもなさそうだが、相変わらず感情の薄い声。
アレクシア
「日が浅いのはほんとだよ。
ほら、今回の戦いが始まった頃、グレムリンが動かなくなっちゃったじゃない?
その時にたまたま動かせて、それから戦場に駆り出されっぱなしってわけ。
……そういう人、今回は結構いるみたいだけどねえ」
アレクシア
「はは、そりゃ確かにそうだ。
生き残れたら良いからね。私は。
君みたいに、あそこまでする元気はないなー」
アレクシア
「……あれはハイドランジアの方針? それとも君の?
あ、これは単純な興味。答えたくなかったら気にしないで」
◆10回更新のメッセログ
受信ログ
ENo.80からのメッセージ>>
アザミネ
「生憎と、食えりゃ何でもいい、食えるだけマシって方でね。
アンタは飽きが来る方みてえだけど。
葉巻ってのも俺には年寄りどもの道楽にしか見えなくてね。何だって空気をわざわざ汚す必要があるんだか」
さしたる興味もないと言わんばかりの返答。
とりとめなく次がれるだけだったそれに変化をつけたのは、あなたの語るグレムリンの話だった。
ふうん、と値踏むような、しかし隠し切れぬ関心の滲む一声。
アザミネ
「日が浅い? 本当に?
ならこの状況に叩き込まれて、生き残ってるだけよくやってる方じゃねえの。
そっから勉強する姿勢はご立派だが、下手に真似して墜ちんなよ。
『先輩』からご忠告しとくぜ。虚空領域一勢いのあるユニオンのリーダー様が、そんな死に方しちゃあもったいねえだろ?」
どこか馬鹿にした風だった口ぶりは、ふと、エンジンを切るように静かに。
少年の声は低く冷たく、それまでの嘲りは薄く、己へ向けて。
アザミネ
「それに生き残るだけなら、あそこまでやる意味なんざねえ。
俺の記録は俺と同じ、『それ以上』やる奴の参考にしかならねえよ。
狂った亀どもをどうしても殺りたい奴でもなきゃな。
アンタ、どうみたってそういうクチじゃねえし」
ENo.129からのメッセージ>>
コール
「文句と感謝は両立する。例外もあることはあるが。」
コール
「雇い主さんも一緒にやるか?コーヒー屋。そしたら、わざわざ飲みに来る必要も無い」
コール
「気づいたら、半身が機械だった。生まれつきというわけでは無い。恐らく兵器研究の一環だったのだと思う」
ENo.138からのメッセージ>>
???
「はぁ~そういう感じね~マニュアルがコミックスなのはいいわね。
あっこれカメラ回ってるわ。」
アレクシアに送られた、少年からのビデオメッセージログ。
未識別融合体との戦いが終わった後のこと。生還報告か…はたまた
何かを得たか、失ったかの報告…かと思えば、再生されたのは全く知らない女の声だった。
???
「急ぎなもんでとシンプルメッセージになるけど許してね。
オズワルド君だっけ?彼しばらく出れないと思うからこの前のメッセージはこっちで保管しておくね。
思念制御拡張モニターこれでいいの?波形出てる?」
???
「別にそういう連絡オトナのアナタにはしなくてもいいんだろうけど
今までのメッセージ、確認したらやっぱそういうのよくないかなって。」
???
「渡世の義理、大事でござんすからねぇ~駆動キーこれでいいかな?」
???
「今までありがとうね、素敵なオトナのヒト。」
???
「あっそうだ。識別コードでオズワルド君見つけても近寄らないでね。
こっちもなんかよくわかってないからサ~コンデンサここかな……よっと」
???
「よぉ~し!セイバー・シルフMk-Ⅱ、出るよ!」
メッセージはそこで終わっている…
送信ログ
>>Eno.161 アレクシア
「わー。やったー」
棒読み。
アレクシア
「正解が分かんないんじゃ問題になってなくない? 別にいいけどさ」
アレクシア
「ふぅん……そりゃ厳しそうだね」
アレクシア
「年代が古いっていうのが痛いな。
七月戦役で昔のデータも人も大分死んでるし、灰燼戦争でもかなり被害は出てるし」
アレクシア
「グレイヴネットに流したら、ワンチャンありそうな気もするけどー……
まあ、望みは薄いかなあ。皆それどころじゃないか。
ジェリィちゃんが急がないなら、落ち着いてから探すっていうのも良いかもしれないね」
アレクシア
「それは残念。
こっちはここまで来たから辺境海域まで足を伸ばして、それからタワー方面に戻るかな。
遠いからしばらくかかりそうだけど」
アレクシア
「あー、コンテナねえ。うちもここのところずっと持ってる。
最近はコンテナ狙いのジャンクテイマーとしか戦ってないし、
巨大未識別融合体の件も、正直言って他人事の気分だったよ」
アレクシア
「そうそう。地味かつ地道な勧誘活動の賜物ってわけ。
もっと褒められても良いくらいじゃない?」
アレクシア
「明るく愛想良くねえ。
たまに言われるけど……でしょ、私がそんなになったら逆に怖いって」
>>Eno.66 戦闘後、あなたの通信に応じてグレイヴネット回線130から音声通信が入る。
もちろん、応じなくても問題は無いだろう。
アレクシア
「あー、あー。こちら『サイレント・リップルス』。
こちらは問題なし。障害が酷いけど、そっちも無事は無事なのかな。
そっちもジャンクテイマーの相手でしょ? こんな辺境まで困ったもんだね」
>>Eno.96 戦闘後、あなたの通信に応じてグレイヴネット回線130から音声通信が入る。
もちろん、応じなくても問題は無いだろう。
アレクシア
「『ルナール◇フネートル』へ。こちら『サイレント・リップルス』。
戦闘はつつがなく終了。このまま【北西柱】に向かう……そっちも一緒かな?
少し前から同じ航路だったけど、奇遇なもんだね。
辺境まで行く物好きが私たち以外にもいるのは心強いよ」
ENo.80からのメッセージ>>
アザミネ
「生憎と、食えりゃ何でもいい、食えるだけマシって方でね。
アンタは飽きが来る方みてえだけど。
葉巻ってのも俺には年寄りどもの道楽にしか見えなくてね。何だって空気をわざわざ汚す必要があるんだか」
さしたる興味もないと言わんばかりの返答。
とりとめなく次がれるだけだったそれに変化をつけたのは、あなたの語るグレムリンの話だった。
ふうん、と値踏むような、しかし隠し切れぬ関心の滲む一声。
アザミネ
「日が浅い? 本当に?
ならこの状況に叩き込まれて、生き残ってるだけよくやってる方じゃねえの。
そっから勉強する姿勢はご立派だが、下手に真似して墜ちんなよ。
『先輩』からご忠告しとくぜ。虚空領域一勢いのあるユニオンのリーダー様が、そんな死に方しちゃあもったいねえだろ?」
どこか馬鹿にした風だった口ぶりは、ふと、エンジンを切るように静かに。
少年の声は低く冷たく、それまでの嘲りは薄く、己へ向けて。
アザミネ
「それに生き残るだけなら、あそこまでやる意味なんざねえ。
俺の記録は俺と同じ、『それ以上』やる奴の参考にしかならねえよ。
狂った亀どもをどうしても殺りたい奴でもなきゃな。
アンタ、どうみたってそういうクチじゃねえし」
ENo.129からのメッセージ>>
コール
「文句と感謝は両立する。例外もあることはあるが。」
コール
「雇い主さんも一緒にやるか?コーヒー屋。そしたら、わざわざ飲みに来る必要も無い」
コール
「気づいたら、半身が機械だった。生まれつきというわけでは無い。恐らく兵器研究の一環だったのだと思う」
ENo.138からのメッセージ>>
???
「はぁ~そういう感じね~マニュアルがコミックスなのはいいわね。
あっこれカメラ回ってるわ。」
アレクシアに送られた、少年からのビデオメッセージログ。
未識別融合体との戦いが終わった後のこと。生還報告か…はたまた
何かを得たか、失ったかの報告…かと思えば、再生されたのは全く知らない女の声だった。
???
「急ぎなもんでとシンプルメッセージになるけど許してね。
オズワルド君だっけ?彼しばらく出れないと思うからこの前のメッセージはこっちで保管しておくね。
思念制御拡張モニターこれでいいの?波形出てる?」
???
「別にそういう連絡オトナのアナタにはしなくてもいいんだろうけど
今までのメッセージ、確認したらやっぱそういうのよくないかなって。」
???
「渡世の義理、大事でござんすからねぇ~駆動キーこれでいいかな?」
???
「今までありがとうね、素敵なオトナのヒト。」
???
「あっそうだ。識別コードでオズワルド君見つけても近寄らないでね。
こっちもなんかよくわかってないからサ~コンデンサここかな……よっと」
???
「よぉ~し!セイバー・シルフMk-Ⅱ、出るよ!」
メッセージはそこで終わっている…
送信ログ
>>Eno.161 アレクシア
「わー。やったー」
棒読み。
アレクシア
「正解が分かんないんじゃ問題になってなくない? 別にいいけどさ」
アレクシア
「ふぅん……そりゃ厳しそうだね」
アレクシア
「年代が古いっていうのが痛いな。
七月戦役で昔のデータも人も大分死んでるし、灰燼戦争でもかなり被害は出てるし」
アレクシア
「グレイヴネットに流したら、ワンチャンありそうな気もするけどー……
まあ、望みは薄いかなあ。皆それどころじゃないか。
ジェリィちゃんが急がないなら、落ち着いてから探すっていうのも良いかもしれないね」
アレクシア
「それは残念。
こっちはここまで来たから辺境海域まで足を伸ばして、それからタワー方面に戻るかな。
遠いからしばらくかかりそうだけど」
アレクシア
「あー、コンテナねえ。うちもここのところずっと持ってる。
最近はコンテナ狙いのジャンクテイマーとしか戦ってないし、
巨大未識別融合体の件も、正直言って他人事の気分だったよ」
アレクシア
「そうそう。地味かつ地道な勧誘活動の賜物ってわけ。
もっと褒められても良いくらいじゃない?」
アレクシア
「明るく愛想良くねえ。
たまに言われるけど……でしょ、私がそんなになったら逆に怖いって」
>>Eno.66 戦闘後、あなたの通信に応じてグレイヴネット回線130から音声通信が入る。
もちろん、応じなくても問題は無いだろう。
アレクシア
「あー、あー。こちら『サイレント・リップルス』。
こちらは問題なし。障害が酷いけど、そっちも無事は無事なのかな。
そっちもジャンクテイマーの相手でしょ? こんな辺境まで困ったもんだね」
>>Eno.96 戦闘後、あなたの通信に応じてグレイヴネット回線130から音声通信が入る。
もちろん、応じなくても問題は無いだろう。
アレクシア
「『ルナール◇フネートル』へ。こちら『サイレント・リップルス』。
戦闘はつつがなく終了。このまま【北西柱】に向かう……そっちも一緒かな?
少し前から同じ航路だったけど、奇遇なもんだね。
辺境まで行く物好きが私たち以外にもいるのは心強いよ」
◆9回更新のメッセログ
受信ログ
ENo.161からのメッセージ>>
ジェリィ
「正解の景品? ほれ」
めちゃくちゃ投げやりな投げキッスを
ディスプレイに向かって飛ばした。
ジェリィ
「もうちょい難しい問題に答えられたら
もっといいものやるよ。
例えば私の正体はなんでしょう、とか。
このグレムリン、元は何フレームだったでしょう、とか。
まあ正解は自分でも分からんけど」
ジェリィ
「人の名前が保存されてるっつってもなあ。
元の所有者の登録情報は抹消されてるし、
ホント取り留めのない情報や画像データばっかりだぜ。
どこかのハンガーで撮られた集合写真、
戦場で咄嗟に撮ったとしか思えないブレッブレの静止画、
数百人分の名前が羅列されてる名簿、
新聞の切り抜き記事のスキャン。
しかもそれら全部、いつのものかも分かんねえ。
見たことないタイプのスーツ着てる奴もたまに写ってる。
10年・20年前のもんならまだいい方で、
下手したらグレムリンってカテゴリの兵器が登場した頃の
大昔のものかもしれん。
まず大枚はたいて調査に出さんとダメだろうな。
そんで私はそこまでの手間と金はさすがに惜しむぞ」
ジェリィ
「あー、アネモネ向かってんのか。
だったらすれ違いだな。
私はアネモネからぐるっと北回って
今は静かの海だわ。
コンテナの配達コース的に翡翠の工廠には寄らないな。
こっからタワーに向かう」
ジェリィ
「コンテナ2つ持ってんだぜ今。ウケる。
届けた先から増えやがる」
ジェリィ
「予想より地道かつ地道に勧誘やってたんだなァ。
だったら尚更もっと明るくて愛想良くした方が
いいと思――
いや、この陰鬱な世界で明るくて愛想いい勧誘は
なんかやっぱ逆に怖いな。
姉御は姉御のままでいてくれ」
送信ログ
>>Eno.129 アレクシア
「……」
アレクシア
「……、……」
アレクシア
「あ、ごめん。びっくりしてた。
……そう。感謝してるの。
知らなかったな。いつも文句ばかりだったから、ほら」
アレクシア
「そんなに好きなんだ、コーヒー。
……良いことじゃない。やりたいことがあるってさ。
それじゃ、お金貯めないとね」
アレクシア
「店を開いたら、飲みにいってあげようか」
アレクシア
「ふぅん、半機半身ねえ……何でそうなったの? 自分から?」
>>Eno.156 アレクシア
「やあネレちゃん。先日はありがと」
アレクシア
「……ん? 何ってほら、アセンの相談に乗ってもらったやつ。
助かったよ。お陰でなんとかなりそうだ」
アレクシア
「お礼って程でもないけど、これあげる」
と、いつかどこかで顔を合わせた際、アレクシアはあなたに『ペンギン温泉饅頭』を渡すのであった。
>>Eno.138 アレクシア
「ん~? 別にいいよ、謝んなくても。
私も面倒だったら返事してないし」
アレクシア
「……あ、さすがにお悩み相談室みたいに使われるのは困るけどね?」
実際のところ、正直言って面倒臭くはあった。
しかし、少年の様子を受けて、きちんと答えるべきだろうと思ったのだ。
この倫理もクソもない世界で、それでも人で在ろうとするのであれば。
アレクシア
「そうね。今はそれでいいんじゃないのかな。
冷たいかもしれないけど、それでも結局、やる時はやらなきゃいけないわけじゃない。
こんなご時世なんだから」
アレクシア
「その時が来るまで自分で考えたり、他の人の話を聞いたりして、目一杯悩んでおいたら。
どんな道を選ぶにせよ、さ」
アレクシア
「……そうやって悩めるのは、きっと大事なことだよ。
私と違ってね」
アレクシア
「はいはい、ご心配ありがと。
オズワルドくんも気を付けなさいね。見知った子どもが死ぬのは気分が悪いから。
それじゃ、また」
>>Eno.80 意外に若い声が聞こえ、僅かに目を瞠る。
アレクシア
「応答ありがとう、『フォールスビーク』。
知ってくれてるとは光栄だね。
その通り。『ナイトフライヤー』も所属の、今虚空領域で一番勢いのあるユニオンさ」
今適当に考えた売り文句だが、規模が大きいのは確かだからこのくらいの虚言は許されるような気がした。
アレクシア
「やっぱりか。いい傭兵を持ったもんだねー、あそこも。羨ましいよ。
葉巻も独自ルートで融通利くんだっけ? それも羨ましい限り」
アレクシア
「どっちも本題かな。強いて言うなら、実利と興味が半々くらい」
アレクシア
「たとえば君が肉の缶詰に飽き飽きして、ハイドランジアにものすごい不満を持ってるかもしれないじゃない?
そこでユニオン勧誘の話が来る。渡りに船ってやつさ。
そういう可能性に賭けてみたわけ」
アレクシア
「グレムリンの方はねー……私も逆関節の機体に乗ってるんだけど、テイマーになってから日が浅くてさ。なかなか上手くいかないことだらけでね。
そこでランキングを眺めてたら、逆関節機体がとんでもない戦果を叩き出してるってわけ。
話、聞いてみたくならない?」
ENo.161からのメッセージ>>
ジェリィ
「正解の景品? ほれ」
めちゃくちゃ投げやりな投げキッスを
ディスプレイに向かって飛ばした。
ジェリィ
「もうちょい難しい問題に答えられたら
もっといいものやるよ。
例えば私の正体はなんでしょう、とか。
このグレムリン、元は何フレームだったでしょう、とか。
まあ正解は自分でも分からんけど」
ジェリィ
「人の名前が保存されてるっつってもなあ。
元の所有者の登録情報は抹消されてるし、
ホント取り留めのない情報や画像データばっかりだぜ。
どこかのハンガーで撮られた集合写真、
戦場で咄嗟に撮ったとしか思えないブレッブレの静止画、
数百人分の名前が羅列されてる名簿、
新聞の切り抜き記事のスキャン。
しかもそれら全部、いつのものかも分かんねえ。
見たことないタイプのスーツ着てる奴もたまに写ってる。
10年・20年前のもんならまだいい方で、
下手したらグレムリンってカテゴリの兵器が登場した頃の
大昔のものかもしれん。
まず大枚はたいて調査に出さんとダメだろうな。
そんで私はそこまでの手間と金はさすがに惜しむぞ」
ジェリィ
「あー、アネモネ向かってんのか。
だったらすれ違いだな。
私はアネモネからぐるっと北回って
今は静かの海だわ。
コンテナの配達コース的に翡翠の工廠には寄らないな。
こっからタワーに向かう」
ジェリィ
「コンテナ2つ持ってんだぜ今。ウケる。
届けた先から増えやがる」
ジェリィ
「予想より地道かつ地道に勧誘やってたんだなァ。
だったら尚更もっと明るくて愛想良くした方が
いいと思――
いや、この陰鬱な世界で明るくて愛想いい勧誘は
なんかやっぱ逆に怖いな。
姉御は姉御のままでいてくれ」
送信ログ
>>Eno.129 アレクシア
「……」
アレクシア
「……、……」
アレクシア
「あ、ごめん。びっくりしてた。
……そう。感謝してるの。
知らなかったな。いつも文句ばかりだったから、ほら」
アレクシア
「そんなに好きなんだ、コーヒー。
……良いことじゃない。やりたいことがあるってさ。
それじゃ、お金貯めないとね」
アレクシア
「店を開いたら、飲みにいってあげようか」
アレクシア
「ふぅん、半機半身ねえ……何でそうなったの? 自分から?」
>>Eno.156 アレクシア
「やあネレちゃん。先日はありがと」
アレクシア
「……ん? 何ってほら、アセンの相談に乗ってもらったやつ。
助かったよ。お陰でなんとかなりそうだ」
アレクシア
「お礼って程でもないけど、これあげる」
と、いつかどこかで顔を合わせた際、アレクシアはあなたに『ペンギン温泉饅頭』を渡すのであった。
>>Eno.138 アレクシア
「ん~? 別にいいよ、謝んなくても。
私も面倒だったら返事してないし」
アレクシア
「……あ、さすがにお悩み相談室みたいに使われるのは困るけどね?」
実際のところ、正直言って面倒臭くはあった。
しかし、少年の様子を受けて、きちんと答えるべきだろうと思ったのだ。
この倫理もクソもない世界で、それでも人で在ろうとするのであれば。
アレクシア
「そうね。今はそれでいいんじゃないのかな。
冷たいかもしれないけど、それでも結局、やる時はやらなきゃいけないわけじゃない。
こんなご時世なんだから」
アレクシア
「その時が来るまで自分で考えたり、他の人の話を聞いたりして、目一杯悩んでおいたら。
どんな道を選ぶにせよ、さ」
アレクシア
「……そうやって悩めるのは、きっと大事なことだよ。
私と違ってね」
アレクシア
「はいはい、ご心配ありがと。
オズワルドくんも気を付けなさいね。見知った子どもが死ぬのは気分が悪いから。
それじゃ、また」
>>Eno.80 意外に若い声が聞こえ、僅かに目を瞠る。
アレクシア
「応答ありがとう、『フォールスビーク』。
知ってくれてるとは光栄だね。
その通り。『ナイトフライヤー』も所属の、今虚空領域で一番勢いのあるユニオンさ」
今適当に考えた売り文句だが、規模が大きいのは確かだからこのくらいの虚言は許されるような気がした。
アレクシア
「やっぱりか。いい傭兵を持ったもんだねー、あそこも。羨ましいよ。
葉巻も独自ルートで融通利くんだっけ? それも羨ましい限り」
アレクシア
「どっちも本題かな。強いて言うなら、実利と興味が半々くらい」
アレクシア
「たとえば君が肉の缶詰に飽き飽きして、ハイドランジアにものすごい不満を持ってるかもしれないじゃない?
そこでユニオン勧誘の話が来る。渡りに船ってやつさ。
そういう可能性に賭けてみたわけ」
アレクシア
「グレムリンの方はねー……私も逆関節の機体に乗ってるんだけど、テイマーになってから日が浅くてさ。なかなか上手くいかないことだらけでね。
そこでランキングを眺めてたら、逆関節機体がとんでもない戦果を叩き出してるってわけ。
話、聞いてみたくならない?」
◆8回更新のメッセログ
受信ログ
ENo.80からのメッセージ>>
通信を繋いでも表示されるのは機体エンブレムひとつだ。そのままにしばらく。
応答があるのはあなたが話し終えた後。
探るような若い声の中に隠しきれぬ訝しみが滲む。
アザミネ
「どーも。こちら80、『フォールスビーク』。
【ベルーガ】。へえ。
デケえユニオンだよな。今残ってる中じゃ一二クラスのさ。
47、『ナイトフライヤー』なんて、なかなかやるテイマーじゃないか」
アザミネ
「お察し通り、俺は今のところハイドランジア・フリーランサーの端の端だよ。
お陰で食い物……肉の缶詰には困ってない」
アザミネ
「……ま、だいたいわかって連絡してるんだろ?
そっちだってハナから『聞くだけどうか』なんて言ってんだし。
それとも、グレムリンの話の方が本題とか?」
ENo.129からのメッセージ>>
コール
「確かにこの艦は食事も職場環境もクソだが、お金が貰える上に寝床があるからな」
コール
「そう、拾われたことには感謝している。拾われなければあそこで朽ち果てていた。今は飯も食える。感謝」
コール
「やりたいこと?今はコーヒーショップを開くのが将来の夢だが……」
コール
「そう、半機半身。半分は人間だが、半分はグレムリン接続ユニットのための機械。半分は兵器。特に生きていくためには支障は無い」
ENo.138からのメッセージ>>
オズ
「……アレクシアさん。ごめんなさい。
その……色々大変な時だってわかっているのですが、どうしても聞かずにいられませんでしした。
勝手に聞いて、勝手に納得しているようで…僕もどういえばわかりません。」
アレクシアからのビデオレターの返事を受けた後。さんざん悩んで聞いた末のこと。
アレクシアの話から、話し方から大なり小なり汲み取ることはできた。
その中でも一番大きく感じられたのは、アレクシアは自分が思うような大人であったことだ。
この世界で培われたものがどうあれ忙しい時に子供の話を聞いて応えてくれる人はそう多くはない。
そして……そのような大人が返答を窮するような内容であり、それにも関わらず飾らず応えてくれたこと。
死にたくないから戦っている。あまりにシンプルで、飾らず、真実のようにすら思える内容を教えてくれる。
いや、ある種の真理なのだ。人間にとって……そして、死んだらどうなるかがわかってしまったこの世界では。
相手がどう考えていようが殺されないように戦う。死なないために…あまりに無情だ、
だがアレクシアは死なないために相手を殺すとは言っていなかったことも救いでもある。
戦うこと、すなわち殺すこととは思っていないか…それとも暗に結びついている人が故のかは判断できないが。
オズ
「その…お答えいただいたことに対して、どう答えていいのかまだわかっていません。
言葉に出来ませんでした。
人と戦うこととか命を……どうこうすることをどうしても肯定できませんでした。」
オズ
「……否定することも、今この状況ではできませんでした。」
オズ
「ですから……その……」
オズ
「ごめんなさい。何か言えるようになりましたらまた送ります。」
オズ
「アレクシアさんも、ユニオンのみなさんもどうかご無事で。
誰も…死なないことを願っています。」
ビデオメッセージはそこで終わっている……
送信ログ
>>Eno.161 アレクシア
「そ、本業は整備士。
正解の景品とかあったりする?」
アレクシア
「にしても、不思議な話だね。
確かにジェリィちゃんのグレムリンとは考え辛い……
って、本当に知らない人の名前まで保存されてるんだ」
アレクシア
「その人に話を聞けたら色々と解決しそうなものだけど。探したりはしてないの?
……グレムリンの状態からして、ろくなテイマーじゃなさそうだけど」
アレクシア
「グレムリンと違って近い兵器……というと、RMくらいしか思いつかないなあ。
そこを探るのは難しそうだ」
アレクシア
「お、青花工廠。アネモネ? ルピナス?
私はアネモネの方に用事があって今向かってるところ」
アレクシア
「そりゃ三大勢力様の工廠だからねー。
しっかり整備してもらえて良いよね。
たまにフレーム詐欺してくるところだけ気を付ければ」
アレクシア
「実際はこんなに和やかに話してるのにね」
言葉の割に相変わらず表情が乏しいが、やはり嘘を言うような感じでもない。
本人的には和やかな会話なのだろう。
アレクシア
「いやいや、そんな選り好みしてないよ。できる艦でもないじゃない」
アレクシア
「んー、ジェリィちゃんとネレちゃんは広域メッセージでユニオン探してたでしょ?
それで声を掛けた」
アレクシア
「後はランキングを上から見て、ユニオンに入ってなさそうな人に通信飛ばして……とか。
涙ぐましい営業努力してるんだよー、これでも」
ENo.80からのメッセージ>>
通信を繋いでも表示されるのは機体エンブレムひとつだ。そのままにしばらく。
応答があるのはあなたが話し終えた後。
探るような若い声の中に隠しきれぬ訝しみが滲む。
アザミネ
「どーも。こちら80、『フォールスビーク』。
【ベルーガ】。へえ。
デケえユニオンだよな。今残ってる中じゃ一二クラスのさ。
47、『ナイトフライヤー』なんて、なかなかやるテイマーじゃないか」
アザミネ
「お察し通り、俺は今のところハイドランジア・フリーランサーの端の端だよ。
お陰で食い物……肉の缶詰には困ってない」
アザミネ
「……ま、だいたいわかって連絡してるんだろ?
そっちだってハナから『聞くだけどうか』なんて言ってんだし。
それとも、グレムリンの話の方が本題とか?」
ENo.129からのメッセージ>>
コール
「確かにこの艦は食事も職場環境もクソだが、お金が貰える上に寝床があるからな」
コール
「そう、拾われたことには感謝している。拾われなければあそこで朽ち果てていた。今は飯も食える。感謝」
コール
「やりたいこと?今はコーヒーショップを開くのが将来の夢だが……」
コール
「そう、半機半身。半分は人間だが、半分はグレムリン接続ユニットのための機械。半分は兵器。特に生きていくためには支障は無い」
ENo.138からのメッセージ>>
オズ
「……アレクシアさん。ごめんなさい。
その……色々大変な時だってわかっているのですが、どうしても聞かずにいられませんでしした。
勝手に聞いて、勝手に納得しているようで…僕もどういえばわかりません。」
アレクシアからのビデオレターの返事を受けた後。さんざん悩んで聞いた末のこと。
アレクシアの話から、話し方から大なり小なり汲み取ることはできた。
その中でも一番大きく感じられたのは、アレクシアは自分が思うような大人であったことだ。
この世界で培われたものがどうあれ忙しい時に子供の話を聞いて応えてくれる人はそう多くはない。
そして……そのような大人が返答を窮するような内容であり、それにも関わらず飾らず応えてくれたこと。
死にたくないから戦っている。あまりにシンプルで、飾らず、真実のようにすら思える内容を教えてくれる。
いや、ある種の真理なのだ。人間にとって……そして、死んだらどうなるかがわかってしまったこの世界では。
相手がどう考えていようが殺されないように戦う。死なないために…あまりに無情だ、
だがアレクシアは死なないために相手を殺すとは言っていなかったことも救いでもある。
戦うこと、すなわち殺すこととは思っていないか…それとも暗に結びついている人が故のかは判断できないが。
オズ
「その…お答えいただいたことに対して、どう答えていいのかまだわかっていません。
言葉に出来ませんでした。
人と戦うこととか命を……どうこうすることをどうしても肯定できませんでした。」
オズ
「……否定することも、今この状況ではできませんでした。」
オズ
「ですから……その……」
オズ
「ごめんなさい。何か言えるようになりましたらまた送ります。」
オズ
「アレクシアさんも、ユニオンのみなさんもどうかご無事で。
誰も…死なないことを願っています。」
ビデオメッセージはそこで終わっている……
送信ログ
>>Eno.161 アレクシア
「そ、本業は整備士。
正解の景品とかあったりする?」
アレクシア
「にしても、不思議な話だね。
確かにジェリィちゃんのグレムリンとは考え辛い……
って、本当に知らない人の名前まで保存されてるんだ」
アレクシア
「その人に話を聞けたら色々と解決しそうなものだけど。探したりはしてないの?
……グレムリンの状態からして、ろくなテイマーじゃなさそうだけど」
アレクシア
「グレムリンと違って近い兵器……というと、RMくらいしか思いつかないなあ。
そこを探るのは難しそうだ」
アレクシア
「お、青花工廠。アネモネ? ルピナス?
私はアネモネの方に用事があって今向かってるところ」
アレクシア
「そりゃ三大勢力様の工廠だからねー。
しっかり整備してもらえて良いよね。
たまにフレーム詐欺してくるところだけ気を付ければ」
アレクシア
「実際はこんなに和やかに話してるのにね」
言葉の割に相変わらず表情が乏しいが、やはり嘘を言うような感じでもない。
本人的には和やかな会話なのだろう。
アレクシア
「いやいや、そんな選り好みしてないよ。できる艦でもないじゃない」
アレクシア
「んー、ジェリィちゃんとネレちゃんは広域メッセージでユニオン探してたでしょ?
それで声を掛けた」
アレクシア
「後はランキングを上から見て、ユニオンに入ってなさそうな人に通信飛ばして……とか。
涙ぐましい営業努力してるんだよー、これでも」
◆7回更新のメッセログ
受信ログ
ENo.161からのメッセージ>>
ジェリィ
「まー確かにグレムリンの近くにゃいたけど、
コイツ、明らかに元々私のもんじゃねえからなあ。
最初、大人用の操縦棺だったし
中にホコリ積もってたからな。
絶対ずっと放置されてた年季モンだぜ。
私は元テイマーって感じじゃないんだよなー。
なんかもっと違う兵器に乗ってた気がするんだよ。
グレムリン、かなり近いんだけどちょっと違うっつーか」
ジェリィ
「ちぐはぐ正解。さすが本業は整備士――
だったよね? なだけはあるぜ。
フレーム以外の純正品がひとっつもついてない有様だった。
武装や装甲は勿論、センサーや電脳に至るまで
複数のグレムリンのパーツを寄せ集めて組み上げた
ツギハギって感じの奴でな。
おかげでデータベース当たったら
知らない奴の名前が保存されてたりもする」
ジェリィ
「装甲やパーツ、弄ってもらおうと思ったけど
青花工廠でフレーム換装してもらった時に
ついでにやってもらって割といい感じになったんだよなー。
だからしばらくはいいや。さすがは大工廠だわ。
まあそれでも純正とは程遠い感じみたいだけど」
ジェリィ
「にしてもアレだな。
アレクシアの姉御と私が並んでたら
無表情無愛想コンビに見えて
すっげえ雰囲気重くなりそうだよな。
なんで表情筋壊滅してる棒読みガールがこんな集まるんだ。
似たようなタイプの方が話しかけやすいからって選んだ?」
送信ログ
>>Eno.92 アレクシア
「ん~……いや、どうだろう。
コールくん……僚機の方は、やっぱり考えたことあるかも。
断言できるほど知らないし、彼のこと」
アレクシア
「まあ、といっても私はないんだけど……
テイマーになったのも最近だし、もう暫くしたらそういうことも分かるのかもね」
結局のところ、自分自身はグレムリンとの仲を考えたことはないが、
あなたの返答の間を耳聡く気にしてか、フォローめいた言葉だ。
そして、ぽつぽつと続くあなたの言葉を静かに聞いて、
アレクシア
「そういう風に言われたら、ちょっと分かるところはあるかも。
……機嫌? とか、調子? みたいな。そういう感じのやつ」
アレクシア
「相性か。そうだねー、大丈夫だといいな。
戦場でヘソ曲げられて、撃墜されちゃ堪ったもんじゃないし。
お互いに慣れることを祈るよ」
アレクシア
「にしても、グレムリンについて詳しいっていうか、通じ合ってるって感じだねえ。
ベルゼリアちゃんはグレムリンに乗って長いのかな?」
向き不向きについては、神妙に頷いた。
アレクシア
「ねー。私もそう思う。
やり易いじゃない、機械の方が素直で。
まったく、うちの艦長に適材適所って言葉を教えてやりたいよ」
アレクシア
「あー……それはなんとなく想像つくな。
じゃ、今回に限っては適材適所だったわけだ。
ベルゼリアちゃんみたいなカワイイ子と話せたし。私も役得だったかな、今回は」
アレクシア
「ふふ。いーねぇ、頼もしくて。
期待してるよ、ふたりとも」
あなたの言い振り、そしてグレムリンとの仲の話を聞いたこともあり、
あえて、あなたとグレムリンのふたりに期待している、とそう言った。
>>Eno.141 アレクシア
「(あ、返ってきた。
ほんとに押したらいけちゃったよ。ラッキー)」
アレクシア
「はーい、承りました。迅速なご対応に感謝します。
それじゃあこれからよろしくね、イライアさん」
アレクシア
「ん? あー、まあ、手取り足取りってわけにはいかないですねー。
他にも色々仕事があるので」
アレクシア
「コールくんの方が暇してるんで、そっちのが早いかなとは……
思うんですけど、何かまずいことありました?」
と、妙に焦る様子に対して、そう尋ねた。
>>Eno.138 アレクシア
「あ~……あそこかあ。P.Dくん、大人気なんじゃない」
先日、彼女のグレムリンは真紅工廠[スルト]でフレームを勝手に換装されていた。
つい表情を渋くする。
アレクシア
「盗まれる……あそこの連中ならやりかねないな。
気を付けた方がいいよ、うん。
あと、変なフレームに変えられないように見張っときな」
アレクシア
「ジャンクテイマーか。
困るよねー、未識別機動体だけでてんやわんやしてるってのに……」
そして続いたあなたの神妙な様子と慎重な言葉に対し、暫し間を置いて、口を開く。
アレクシア
「まあ、そうだね。相手がその気なら戦うよ。
そうじゃなかったら、死ぬのはこっちでしょう」
アレクシア
「私はまだ遭ったことがないけれど、きっとそうする。
死にたくはないから」
アレクシア
「オズワルドくんは、抵抗あるんだ?
ジャンクテイマー……いや、人間かな。と、戦うの」
アレクシア
「……ま、そりゃそうだよねえ。普通に嫌でしょ。私も嫌だし」
こんなご時世だが、それでも。
自明であるように、そう言った。
>>Eno.80 あなた宛てに、発信元「Alexia Echoes」からリアルタイム通信が入る。
もし通信に応じれば、モニターに赤毛の女が映し出される。
アレクシア
「う~わ……すご。っていうかやば。桁違いじゃん。
……ん? あれ、もう繋がってる?
失礼しました、えー、グレイヴネット回線130から80へ。こんにちは」
アレクシア
「ランキングで君の名前を見たんだ。
気になって氷獄での戦いのログも見せてもらったんだけど、いやー、とんでもないねえ。
獅子奮迅の勢いじゃない。しかもたった一機で。どうやったの? あれ」
嘘ではなさそうだが、賞賛する言葉と対照的に女の声音は抑揚に乏しく、ちぐはぐな印象を受けるかもしれない。
アレクシア
「そんな優秀なテイマーの君に、一つ聞いてほしい話があって。
悪鬼巡洋艦【ベルーガ】。コロッセオ・レガシィの船の一つでね。
絶賛人員募集中なんだ」
アレクシア
「……君、探してたりしないかなー?
雇われ先とか、副業先とか、ユニオンとか」
アレクシア
「……いや、青花の方の所属かなー、って気はしてるんだけどさ?
まあ聞くだけどうかな、なんて」
……どうにも、ユニオンの営業らしい。
もちろん、興味がなければ話を合わせなくても特に支障はないだろう。
>>Eno.129 アレクシア
「慣れの問題だと思うけどなー。
食べてるうちに意外と馴染んでくるよ。多分」
アレクシア
「クソ艦だけど、それでもどこにも属してないよりはマシだからね。
こんな世界、こんなご時世、一人で生きるのは厳しい」
アレクシア
「コールくんだってそうでしょう。私が拾わなかったらどうなってたのやら」
アレクシア
「やりたいこと、作っておいた方がいいんじゃない?
戦いが終わったら暇になるよ」
アレクシア
「……前から気になってたけど、コールくんってグレムリンなの?
操縦棺も、今まで見たことないタイプだったし」
ENo.161からのメッセージ>>
ジェリィ
「まー確かにグレムリンの近くにゃいたけど、
コイツ、明らかに元々私のもんじゃねえからなあ。
最初、大人用の操縦棺だったし
中にホコリ積もってたからな。
絶対ずっと放置されてた年季モンだぜ。
私は元テイマーって感じじゃないんだよなー。
なんかもっと違う兵器に乗ってた気がするんだよ。
グレムリン、かなり近いんだけどちょっと違うっつーか」
ジェリィ
「ちぐはぐ正解。さすが本業は整備士――
だったよね? なだけはあるぜ。
フレーム以外の純正品がひとっつもついてない有様だった。
武装や装甲は勿論、センサーや電脳に至るまで
複数のグレムリンのパーツを寄せ集めて組み上げた
ツギハギって感じの奴でな。
おかげでデータベース当たったら
知らない奴の名前が保存されてたりもする」
ジェリィ
「装甲やパーツ、弄ってもらおうと思ったけど
青花工廠でフレーム換装してもらった時に
ついでにやってもらって割といい感じになったんだよなー。
だからしばらくはいいや。さすがは大工廠だわ。
まあそれでも純正とは程遠い感じみたいだけど」
ジェリィ
「にしてもアレだな。
アレクシアの姉御と私が並んでたら
無表情無愛想コンビに見えて
すっげえ雰囲気重くなりそうだよな。
なんで表情筋壊滅してる棒読みガールがこんな集まるんだ。
似たようなタイプの方が話しかけやすいからって選んだ?」
送信ログ
>>Eno.92 アレクシア
「ん~……いや、どうだろう。
コールくん……僚機の方は、やっぱり考えたことあるかも。
断言できるほど知らないし、彼のこと」
アレクシア
「まあ、といっても私はないんだけど……
テイマーになったのも最近だし、もう暫くしたらそういうことも分かるのかもね」
結局のところ、自分自身はグレムリンとの仲を考えたことはないが、
あなたの返答の間を耳聡く気にしてか、フォローめいた言葉だ。
そして、ぽつぽつと続くあなたの言葉を静かに聞いて、
アレクシア
「そういう風に言われたら、ちょっと分かるところはあるかも。
……機嫌? とか、調子? みたいな。そういう感じのやつ」
アレクシア
「相性か。そうだねー、大丈夫だといいな。
戦場でヘソ曲げられて、撃墜されちゃ堪ったもんじゃないし。
お互いに慣れることを祈るよ」
アレクシア
「にしても、グレムリンについて詳しいっていうか、通じ合ってるって感じだねえ。
ベルゼリアちゃんはグレムリンに乗って長いのかな?」
向き不向きについては、神妙に頷いた。
アレクシア
「ねー。私もそう思う。
やり易いじゃない、機械の方が素直で。
まったく、うちの艦長に適材適所って言葉を教えてやりたいよ」
アレクシア
「あー……それはなんとなく想像つくな。
じゃ、今回に限っては適材適所だったわけだ。
ベルゼリアちゃんみたいなカワイイ子と話せたし。私も役得だったかな、今回は」
アレクシア
「ふふ。いーねぇ、頼もしくて。
期待してるよ、ふたりとも」
あなたの言い振り、そしてグレムリンとの仲の話を聞いたこともあり、
あえて、あなたとグレムリンのふたりに期待している、とそう言った。
>>Eno.141 アレクシア
「(あ、返ってきた。
ほんとに押したらいけちゃったよ。ラッキー)」
アレクシア
「はーい、承りました。迅速なご対応に感謝します。
それじゃあこれからよろしくね、イライアさん」
アレクシア
「ん? あー、まあ、手取り足取りってわけにはいかないですねー。
他にも色々仕事があるので」
アレクシア
「コールくんの方が暇してるんで、そっちのが早いかなとは……
思うんですけど、何かまずいことありました?」
と、妙に焦る様子に対して、そう尋ねた。
>>Eno.138 アレクシア
「あ~……あそこかあ。P.Dくん、大人気なんじゃない」
先日、彼女のグレムリンは真紅工廠[スルト]でフレームを勝手に換装されていた。
つい表情を渋くする。
アレクシア
「盗まれる……あそこの連中ならやりかねないな。
気を付けた方がいいよ、うん。
あと、変なフレームに変えられないように見張っときな」
アレクシア
「ジャンクテイマーか。
困るよねー、未識別機動体だけでてんやわんやしてるってのに……」
そして続いたあなたの神妙な様子と慎重な言葉に対し、暫し間を置いて、口を開く。
アレクシア
「まあ、そうだね。相手がその気なら戦うよ。
そうじゃなかったら、死ぬのはこっちでしょう」
アレクシア
「私はまだ遭ったことがないけれど、きっとそうする。
死にたくはないから」
アレクシア
「オズワルドくんは、抵抗あるんだ?
ジャンクテイマー……いや、人間かな。と、戦うの」
アレクシア
「……ま、そりゃそうだよねえ。普通に嫌でしょ。私も嫌だし」
こんなご時世だが、それでも。
自明であるように、そう言った。
>>Eno.80 あなた宛てに、発信元「Alexia Echoes」からリアルタイム通信が入る。
もし通信に応じれば、モニターに赤毛の女が映し出される。
アレクシア
「う~わ……すご。っていうかやば。桁違いじゃん。
……ん? あれ、もう繋がってる?
失礼しました、えー、グレイヴネット回線130から80へ。こんにちは」
アレクシア
「ランキングで君の名前を見たんだ。
気になって氷獄での戦いのログも見せてもらったんだけど、いやー、とんでもないねえ。
獅子奮迅の勢いじゃない。しかもたった一機で。どうやったの? あれ」
嘘ではなさそうだが、賞賛する言葉と対照的に女の声音は抑揚に乏しく、ちぐはぐな印象を受けるかもしれない。
アレクシア
「そんな優秀なテイマーの君に、一つ聞いてほしい話があって。
悪鬼巡洋艦【ベルーガ】。コロッセオ・レガシィの船の一つでね。
絶賛人員募集中なんだ」
アレクシア
「……君、探してたりしないかなー?
雇われ先とか、副業先とか、ユニオンとか」
アレクシア
「……いや、青花の方の所属かなー、って気はしてるんだけどさ?
まあ聞くだけどうかな、なんて」
……どうにも、ユニオンの営業らしい。
もちろん、興味がなければ話を合わせなくても特に支障はないだろう。
>>Eno.129 アレクシア
「慣れの問題だと思うけどなー。
食べてるうちに意外と馴染んでくるよ。多分」
アレクシア
「クソ艦だけど、それでもどこにも属してないよりはマシだからね。
こんな世界、こんなご時世、一人で生きるのは厳しい」
アレクシア
「コールくんだってそうでしょう。私が拾わなかったらどうなってたのやら」
アレクシア
「やりたいこと、作っておいた方がいいんじゃない?
戦いが終わったら暇になるよ」
アレクシア
「……前から気になってたけど、コールくんってグレムリンなの?
操縦棺も、今まで見たことないタイプだったし」
◆6回更新のメッセログ
受信ログ
ENo.92からのメッセージ>>
ベルゼリア
「……そう、なんですね。私は仲良くやれてる方だと思います。
あまり他所のテイマーさんと話すこともないので
よくわからないんですけど」
ベルゼリア
「今日は調子がいいなぁ、とか
こう動かすと喜んでる気がする、とか
そういうの、無いですか? なんとなく……ですけど。
こちらの要求にきちんと応えてくれたりとか……
身体に伝わってくるものもありますし…」
少女なりに言葉を選びながらぽつぽつと話していく。
ベルゼリア
「相性もあるけど、グレムリンが選んだテイマーなら
そこは大丈夫なはずだし……
たぶん、そのうち慣れると思います。お互いに。
私も、最初の頃はイマイチだったし」
ベルゼリア
「……うん。アレクシアはあんまり営業向いてないと思う。
人より機械の相手をしてるほうが好きそうだし。
でも。なんか口の上手いぺらぺらよく喋る人が来てたら
面倒臭くて断っていたと思う。たぶん。」
冗談めかすでもなく、淡々と。
ベルゼリア
「だから。
声をかけたのが私たちでよかったね、アレクシア。
あなたの見る目は間違っていないと証明してみせるよ」
相変わらず、淡々としている。
けれど自信のような、自負のようなものが薄く滲んでいる
……ように感じられる、かもしれない。
ベルゼリア
「94720」
ベルゼリア
「ラスト」
ベルゼリア
「真紅連理のために」
ベルゼリア
「::::::」
ベルゼリア
「確認必要なし」
ベルゼリア
「1」
ベルゼリア
「11 月 27 日 16 : 58 : 27」
ENo.129からのメッセージ>>
コール
「いや、食事のランクを戻すのはありえない。ただでさえ美味くないのに」
コール
「まあ、確かにそうだ。こんな艦に人が集まるのが不思議だ。けれど、他に人間も生活のためならこんな艦に乗るのもやむえないのかもしれない。逆に言うとこの艦に乗ればその最低限の生活は確保できる。それは素晴らしい事だ」
コール
「俺も生活のためだ。生活のためでもあるし、グレムリンは俺の身体の一部だ。それ以外にやる事が無い」
ENo.138からのメッセージ>>
アレクシアの疑念と警戒とは他所に転送の広告もないがビデオメールは続いて届けられる。
オズ
「(なんとなく察してくれたのかな……)」
ビデオメールから汲み取れる、汲み取れたそうした大人の対応が
信頼感というものを感じさせられるものがあった。
おそらくそういうことが、本人からしたら押し付けられているとの弁だが
アレクシアなら任せられるに値すると他者に思わせる要因なのだろう。
オズ
「あー……えっとアレクシアさん。
P.Dは今フレームの乗り換えのための手続きをやってもらっています。
なんていうか……ここですと赤…赤いことが存在しているだけで有利なんだとか……」
真紅旗艦に現在滞在していう、とも添える。
時折赤いドロイド故に抱えて盗まれそうにもなるのだとかなんとか……
オズ
「世界的な情勢からしてグレムリンの装備慎重や乗り換えが必要だって言ってました。
僕が乗るんですけどよくわからなくて……」
このような時世だから。ビデオメールでアレクシアが話す事柄が再び。
リーダーでもないのになんでそんなことを、というのは先に考えた通りこの人だからなのだろうが……
オズ
「その……こんなことをお聞きするのはおかしいとは思うんですけど……
最近の時世…ラジオで聞いたんですが…ジャンクテイマーが組織化しているって話で…」
オズ
「アレクシアさんは、アレクシアさんたちは遭遇したとして戦えるんですか?
理由があって戦えるとして……あぁなるかもしれない、してしまうかもしれない相手と……」
オズ
「すいません…その、ユニオンのリーダーみたいなことしている人なら何か……そういうことにはっきりしたものがあるのかなって……
他の人への行動指針とか規範もありますし…」
ENo.141からのメッセージ>>
イライア
「へっ、えっ、まだ一言も入るとは言ってな……」
(やっべー、契約書もう送られてきた。無慈悲にも程がないか??
これもう書くしか選択肢がないわ、さよならホワイト企業を探そうとする私)
送られてきた電子契約書にサインをして送り返した。
イライア
「こ、これで大丈夫ですか……?
え、あなたが全部教えてくれるんじゃないんですか!?」
(僚機の名前がなんとなく男だ!
喋られるわけがない、見捨てないで、しぬしぬ、戦場の前に精神が死んじゃう!!!)
送信ログ
>>Eno.140 アレクシア
「ふぅん? そりゃまたどうして。
……なるほどねぇ。天然モノか」
アレクシア
「ん~……事情は分かった。
それは構わないけど、こちらからも一つ」
アレクシア
「君が入れようとしているものが、本当に人間か。
証明が欲しい。方法は任せるよ」
アレクシア
「ま、こういうご時世だからさ。
危険物でも持ち込まれたら堪ったもんじゃない。
それは理解してもらえると思うんだけど」
アレクシア
「あ、個室のセキュリティは期待しないで。
ザルとまでは言わないけど、やる人がやろうと思えば侵入くらいはできる。
……あと、二人で過ごすには狭いと思うけど大丈夫?」
アレクシア
「話が長くなったけど、整備もできるテイマーがいると助かるんだけどなあ。
どう?」
>>Eno.47 あまり期待せずに送ったメールの返信。それを認めて、目を瞬かせた。
アレクシア
「快諾じゃん」
意外かつ有り難いメールの内容を、時折頷きつつさらりと読み進める。
少し席を外した後、戻ってきてすぐにキーボードを叩いた。
件名:Re:Re:ユニオン加入について
『――傭兵登録No.47『ナイトフライヤー』様
ご返信ならびにユニオン加入のご快諾、誠にありがとうございます。
条件について承知いたしました』
『【ベルーガ】所属のテイマーとして戦果を上げていただきさえすれば、こちらは問題ございません。
そのような機体に搭乗しておられるということは、これまでお一人で戦ってきたことと存じ上げます。
時と場合によりますが、要請された地点に物資を輸送するといったことがある程度は可能かと思いますので、
そういった形で【ベルーガ】として支援させていただければ幸甚です』
『なお、【ベルーガ】への通信回線はU-No.13-0Bとなります。
他にも所属のテイマーやエンジニアがおりますので、良ければ情報交換などにご活用ください。
それでは、貴殿のご活躍を祈念いたします。 …傭兵登録No.130 Alexia Echoes』
アレクシア
「……一人で絶滅戦場か。どんな人なんだろ」
少なくとも、自分では絶対にやらない選択肢だ。
その人となりに少しの興味を覚えつつ、メールの送信ボタンを押した。
>>Eno.161 アレクシア
「や、ジェリィちゃん。景気が良さそうだね」
アレクシア
「グレムリンのパーツは良い小遣いになる。
ここで稼ぐ方法を早速見抜くとは、なかなか筋が良いじゃない」
アレクシア
「戦火の方も上々だねー。
いやはや、これは良いテイマーをスカウトしたみたい」
言葉こそ得意げだが、声音は相変わらず平坦だ。
アレクシア
「記憶喪失ってこと? そりゃ大変だね。
ん~……グレムリンの近くにいたなら、ジェリィちゃんは元々テイマーで、
撃墜されて、そのショックで記憶が飛んだとか。
……我ながら単純な推理だなー」
アレクシア
「……マジかあ。いや、それは驚き。
もみあげなんて些細なことに思えるくらい」
アレクシア
「有毒っていうか、生き物が吸ったら即死だね。
ジェリィちゃんみたいな体質の生き物もいないことないけど、
普通じゃ考えらんないよ。
ますます深まっちゃうねー、謎が」
アレクシア
「その辺はね。そろそろお察しいただけてるんじゃない?
まあ、整備関係については安心してよ」
アレクシア
「弱そうっていうか、ベルーガで見た印象だとちぐはぐな感じだったかな。
本来はこれを付けるつもりじゃなかったんだろな、って。
……私の感覚だけどね」
アレクシア
「倒したグレムリンのパーツ、あるんでしょ?
艦の方に言ったらきっと上手く改造してもらえるよ。
その方が節約にはなる」
ENo.92からのメッセージ>>
ベルゼリア
「……そう、なんですね。私は仲良くやれてる方だと思います。
あまり他所のテイマーさんと話すこともないので
よくわからないんですけど」
ベルゼリア
「今日は調子がいいなぁ、とか
こう動かすと喜んでる気がする、とか
そういうの、無いですか? なんとなく……ですけど。
こちらの要求にきちんと応えてくれたりとか……
身体に伝わってくるものもありますし…」
少女なりに言葉を選びながらぽつぽつと話していく。
ベルゼリア
「相性もあるけど、グレムリンが選んだテイマーなら
そこは大丈夫なはずだし……
たぶん、そのうち慣れると思います。お互いに。
私も、最初の頃はイマイチだったし」
ベルゼリア
「……うん。アレクシアはあんまり営業向いてないと思う。
人より機械の相手をしてるほうが好きそうだし。
でも。なんか口の上手いぺらぺらよく喋る人が来てたら
面倒臭くて断っていたと思う。たぶん。」
冗談めかすでもなく、淡々と。
ベルゼリア
「だから。
声をかけたのが私たちでよかったね、アレクシア。
あなたの見る目は間違っていないと証明してみせるよ」
相変わらず、淡々としている。
けれど自信のような、自負のようなものが薄く滲んでいる
……ように感じられる、かもしれない。
ベルゼリア
「94720」
ベルゼリア
「ラスト」
ベルゼリア
「真紅連理のために」
ベルゼリア
「::::::」
ベルゼリア
「確認必要なし」
ベルゼリア
「1」
ベルゼリア
「11 月 27 日 16 : 58 : 27」
ENo.129からのメッセージ>>
コール
「いや、食事のランクを戻すのはありえない。ただでさえ美味くないのに」
コール
「まあ、確かにそうだ。こんな艦に人が集まるのが不思議だ。けれど、他に人間も生活のためならこんな艦に乗るのもやむえないのかもしれない。逆に言うとこの艦に乗ればその最低限の生活は確保できる。それは素晴らしい事だ」
コール
「俺も生活のためだ。生活のためでもあるし、グレムリンは俺の身体の一部だ。それ以外にやる事が無い」
ENo.138からのメッセージ>>
アレクシアの疑念と警戒とは他所に転送の広告もないがビデオメールは続いて届けられる。
オズ
「(なんとなく察してくれたのかな……)」
ビデオメールから汲み取れる、汲み取れたそうした大人の対応が
信頼感というものを感じさせられるものがあった。
おそらくそういうことが、本人からしたら押し付けられているとの弁だが
アレクシアなら任せられるに値すると他者に思わせる要因なのだろう。
オズ
「あー……えっとアレクシアさん。
P.Dは今フレームの乗り換えのための手続きをやってもらっています。
なんていうか……ここですと赤…赤いことが存在しているだけで有利なんだとか……」
真紅旗艦に現在滞在していう、とも添える。
時折赤いドロイド故に抱えて盗まれそうにもなるのだとかなんとか……
オズ
「世界的な情勢からしてグレムリンの装備慎重や乗り換えが必要だって言ってました。
僕が乗るんですけどよくわからなくて……」
このような時世だから。ビデオメールでアレクシアが話す事柄が再び。
リーダーでもないのになんでそんなことを、というのは先に考えた通りこの人だからなのだろうが……
オズ
「その……こんなことをお聞きするのはおかしいとは思うんですけど……
最近の時世…ラジオで聞いたんですが…ジャンクテイマーが組織化しているって話で…」
オズ
「アレクシアさんは、アレクシアさんたちは遭遇したとして戦えるんですか?
理由があって戦えるとして……あぁなるかもしれない、してしまうかもしれない相手と……」
オズ
「すいません…その、ユニオンのリーダーみたいなことしている人なら何か……そういうことにはっきりしたものがあるのかなって……
他の人への行動指針とか規範もありますし…」
ENo.141からのメッセージ>>
イライア
「へっ、えっ、まだ一言も入るとは言ってな……」
(やっべー、契約書もう送られてきた。無慈悲にも程がないか??
これもう書くしか選択肢がないわ、さよならホワイト企業を探そうとする私)
送られてきた電子契約書にサインをして送り返した。
イライア
「こ、これで大丈夫ですか……?
え、あなたが全部教えてくれるんじゃないんですか!?」
(僚機の名前がなんとなく男だ!
喋られるわけがない、見捨てないで、しぬしぬ、戦場の前に精神が死んじゃう!!!)
送信ログ
>>Eno.140 アレクシア
「ふぅん? そりゃまたどうして。
……なるほどねぇ。天然モノか」
アレクシア
「ん~……事情は分かった。
それは構わないけど、こちらからも一つ」
アレクシア
「君が入れようとしているものが、本当に人間か。
証明が欲しい。方法は任せるよ」
アレクシア
「ま、こういうご時世だからさ。
危険物でも持ち込まれたら堪ったもんじゃない。
それは理解してもらえると思うんだけど」
アレクシア
「あ、個室のセキュリティは期待しないで。
ザルとまでは言わないけど、やる人がやろうと思えば侵入くらいはできる。
……あと、二人で過ごすには狭いと思うけど大丈夫?」
アレクシア
「話が長くなったけど、整備もできるテイマーがいると助かるんだけどなあ。
どう?」
>>Eno.47 あまり期待せずに送ったメールの返信。それを認めて、目を瞬かせた。
アレクシア
「快諾じゃん」
意外かつ有り難いメールの内容を、時折頷きつつさらりと読み進める。
少し席を外した後、戻ってきてすぐにキーボードを叩いた。
件名:Re:Re:ユニオン加入について
『――傭兵登録No.47『ナイトフライヤー』様
ご返信ならびにユニオン加入のご快諾、誠にありがとうございます。
条件について承知いたしました』
『【ベルーガ】所属のテイマーとして戦果を上げていただきさえすれば、こちらは問題ございません。
そのような機体に搭乗しておられるということは、これまでお一人で戦ってきたことと存じ上げます。
時と場合によりますが、要請された地点に物資を輸送するといったことがある程度は可能かと思いますので、
そういった形で【ベルーガ】として支援させていただければ幸甚です』
『なお、【ベルーガ】への通信回線はU-No.13-0Bとなります。
他にも所属のテイマーやエンジニアがおりますので、良ければ情報交換などにご活用ください。
それでは、貴殿のご活躍を祈念いたします。 …傭兵登録No.130 Alexia Echoes』
アレクシア
「……一人で絶滅戦場か。どんな人なんだろ」
少なくとも、自分では絶対にやらない選択肢だ。
その人となりに少しの興味を覚えつつ、メールの送信ボタンを押した。
>>Eno.161 アレクシア
「や、ジェリィちゃん。景気が良さそうだね」
アレクシア
「グレムリンのパーツは良い小遣いになる。
ここで稼ぐ方法を早速見抜くとは、なかなか筋が良いじゃない」
アレクシア
「戦火の方も上々だねー。
いやはや、これは良いテイマーをスカウトしたみたい」
言葉こそ得意げだが、声音は相変わらず平坦だ。
アレクシア
「記憶喪失ってこと? そりゃ大変だね。
ん~……グレムリンの近くにいたなら、ジェリィちゃんは元々テイマーで、
撃墜されて、そのショックで記憶が飛んだとか。
……我ながら単純な推理だなー」
アレクシア
「……マジかあ。いや、それは驚き。
もみあげなんて些細なことに思えるくらい」
アレクシア
「有毒っていうか、生き物が吸ったら即死だね。
ジェリィちゃんみたいな体質の生き物もいないことないけど、
普通じゃ考えらんないよ。
ますます深まっちゃうねー、謎が」
アレクシア
「その辺はね。そろそろお察しいただけてるんじゃない?
まあ、整備関係については安心してよ」
アレクシア
「弱そうっていうか、ベルーガで見た印象だとちぐはぐな感じだったかな。
本来はこれを付けるつもりじゃなかったんだろな、って。
……私の感覚だけどね」
アレクシア
「倒したグレムリンのパーツ、あるんでしょ?
艦の方に言ったらきっと上手く改造してもらえるよ。
その方が節約にはなる」
◆5回更新のメッセログ
受信ログ
ENo.47からのメッセージ>>
件名:Re:ユニオン加入について
『ナイトフライヤー』
「''ナイトフライヤー''より''Alexia Echoes''へ、
この度は【ベルーガ】に勧誘いただき、ありがとうございます」
『ナイトフライヤー』
「ユニオン加入の件、お受けいたしたく思います。
しかしながら、一つだけご理解いただきたい条件があるのです……」
『ナイトフライヤー』
「当機に搭載されている特殊な装置は……詳細は省きますが、
艦船の電子機器や、近くのグレムリンに霊的障害を引き起こす可能性があります。」
『ナイトフライヤー』
「悪鬼巡洋艦の直接の護衛や、着艦しての作業はできかねます。
それでもかまわなければ、戦列の末席に加えていただきたく思います……」
加入申請通知:1件
No.47『ナイトフライヤー』を加入させますか?
y/n
ENo.140からのメッセージ>>
ハンプバック
「はいはい、こちらファータ・メガプテラ。
ハンプバックが応答するぜ」
ハンプバック
「ユニオン……ああ、いつぞやに通信で流していたね。
聞いていたのかい?」
ハンプバック
「そうだね、こちらとしても大歓迎だが……条件をひとつ。
個室に移る作業の間は、周囲に誰も立ち入らせないようにしてくれるかな?
アレクシア女史、君もだ」
ハンプバック
「天然モノの子が1人いるんだ。
情報にある程度信頼性は置いているけれど、
スキを見せている間に誘拐されたりしたら敵わない
ボクの大事な子を売られちゃあたまんないからね」
ハンプバック
「個室のセキュリティについては問わない。
こちら側で厳重にしておくよ」
ハンプバック
「それで、どうだい?
整備士くずれだが、それなりに役には立つつもりだぜ」
ENo.161からのメッセージ>>
ジェリィ
「ちーっす、儲かってる~~?
私は儲かってま~~す。
おたくのユニオン出来高制っつてたけど、
ちゃんと戦果出しゃ払いはええのんな。
タイマンでグレムリンボコったら
割といい額出してくれたぜ。
小粒の未識別プチプチ潰すより
よっぽど割がいいな」
さすがにそこを払い渋ると
すぐに逃げられるからだろうか。
支払いそのものは正当なもののようだった。
……ランキングを確認すると、
この小さい少女の名前がぽつぽつと
見つかったりするかもしれない(第4回目現在)。
この少女が儲かっている様子なのは
そのためなのだろう。多分。
ジェリィ
「自分が何かってのは私もよくわかんねー。
気づいたら廃工場ン中で錆びたグレムリンの近くにいてな。
それまでの記憶とか割と飛んでる。
素性不明存在のお約束ってヤツだな。
でもまあ、フツーの人間って
もみあげがアームになったりはせんじゃろ。
ベルーガん中で直接見たと思うけど。
あとメットつけずに外歩いてもなんか平気。
フツーは有毒なんだっけ?」
ジェリィ
「で、そのベルーガだけど、
コロッセオ・レガシィが経営母体言うても
同じ海域に浮いてるだけとか
その程度の繋がりじゃろ~~。
まあ私は最初に言った通り
整備用の設備さえ使わせてもらえりゃ
文句は無いからいいんだけど」
ジェリィ
「もーちょっとイケたカタチの装甲でも
削り出してもらおうかねェ。
私の機体、ぶっちゃけめっちゃ弱そうでしょ。
起動時純正パーツがフレームしか
なかったんだよな~~」
送信ログ
>>Eno.92 部下、と聞いて己の僚機の顔が脳裏に浮かぶ。
そんなことを言ったら気を悪くしそうだなあと少し愉快な気持ちになって、
笑いこそしないが、いくらか声音が柔らかくなる。
アレクシア
「グレムリンとの仲か。考えたことなかった。
私もだけど、きっと僚機もね。
……君はグレムリンと仲が良いのかな?」
仲が良い、という状態にピンと来ておらず、いまいち要領を得ない問いかけ。
まさかグレムリンと喋れるわけでもないだろうし、と内心。
アレクシア
「いやあ、お恥ずかしいことにそうなんだよね。
絶賛人手不足で」
アレクシア
「まあでも、ただの子供には声をかけないよ。
君の実力を買ってこそのお誘いさ」
アレクシア
「ご検討ありがとう。すぐにデータを送るね。
ごゆっくりどーぞ」
アレクシア
「(……感触は悪くなかったなー。
ランカーだし、素直そうだし、来てくれたら助かるんだけどなあ)」
データを送って待つこと暫し。
回線92から通信が入ると、すぐに応じた。
アレクシア
「はーい、こちらグレイヴネット回線130。
……お、そりゃ有難い。
お試しでも大歓迎だよー。実際に見てみないと分からないこともあるだろうしね」
アレクシア
「私はアレクシア・エコーズ。グレムリンは『サイレント・リップルス』。
よろしくね、ベルゼリアちゃん。
分からないことがあれば私か僚機……回線番号は129かな。
どっちかにでも聞いてくれたらいいよ」
アレクシア
「あ~……私も静かな方が好きかな。うん。
営業かけるならもうちょっと社交的な方がいいんだろうけど、
人には向き不向きってのがあるからねー」
アレクシア
「まあ騒がしい人もいるけど、そういうのはスルーしたらいいよ。
最低限のコミュニケーションが取れたらオッケーオッケー。
何よりテイマーとしてスカウトしてるんだから、戦えれば問題ないさ」
>>Eno.141 アレクシア
「そうそう、テイマー……なんですねー」
グレムリンテイマー兼エンジニア兼スカウトマンの三役を押し付けられている現状は黙っておいた。
アレクシア
「試用期間? もちろんありますよ。
実際に見てみないと分からないこともあるだろうし……」
アレクシア
「(……押せばいけそうだな)」
アレクシア
「他のところと兼業してる人もいるんで、
やろうと思えばそういう形でもいけるんじゃないですかねー。
まあ、物は試しってことでここは一つ。
電子契約書送るんで、サインして送り返してくれます?」
と、あなたの返事を聞く前に、グレイヴネット回線130から141へ電子契約書のデータが送られてきた。
なんてブラック。なんて強引。
アレクシア
「分からないことがあったら私か、僚機にでも聞いてくれたらいいんで。
僚機の回線は129です」
続いて送られてきた回線129のアドレスには、『Call=Turner』と男性名が記載されている。
>>Eno.138 通信類をチェックする最中、一件の電子ビデオメールを見て作業の手が止まる。
アレクシア
「(……抵抗運動の子か~……)」
念のため、厳重にウィルスチェックをしてからそれを開いた。
アレクシア
「……なるほどねえ」
アレクシア
「(誤送されたメールにヤバいのが入ってなくて良かったなー……)」
しかし、これを放っておくのも得策ではない気がする。まず身の潔癖を証明せねば。
オスカー・エコー宛てにアレクシアが送った電子ビデオメールの内容は、次の通りだ。
アレクシア
「オズワルドくんへ。アレクシアです」
アレクシア
「ご丁寧にありがとう。こっちもほとんど営業のダイレクトメールだったよ。
いやあ、ほんと逞しいよねえ。こんな状況なのにさ」
アレクシア
「……んん? 何の話かな。
私は間違いメールを転送しただけだったよね?」
抵抗運動? そんな単語聞いていませんが? と言う顔をしている。
君子危うきに近寄らずという奴だ。入る虎穴でもない、という判断。
アレクシア
「ふ、リーダー……してるように見える?」
アレクシア
「まあ、ユニオンのメンバーを募集してるのは間違いないんだけど。
このご時世どこも人手不足じゃない。
テイマーもスカウトマンも足りてないから、私が駆り出されてるってわけ」
アレクシア
「……いやあ、押し付けられてるだけでそんな褒められるようなもんじゃないよ。うん」
アレクシア
「そういえば、P.Dくんの方は元気かな。
この前の通信の最後、バタバタしてたみたいだけど」
ENo.47からのメッセージ>>
件名:Re:ユニオン加入について
『ナイトフライヤー』
「''ナイトフライヤー''より''Alexia Echoes''へ、
この度は【ベルーガ】に勧誘いただき、ありがとうございます」
『ナイトフライヤー』
「ユニオン加入の件、お受けいたしたく思います。
しかしながら、一つだけご理解いただきたい条件があるのです……」
『ナイトフライヤー』
「当機に搭載されている特殊な装置は……詳細は省きますが、
艦船の電子機器や、近くのグレムリンに霊的障害を引き起こす可能性があります。」
『ナイトフライヤー』
「悪鬼巡洋艦の直接の護衛や、着艦しての作業はできかねます。
それでもかまわなければ、戦列の末席に加えていただきたく思います……」
加入申請通知:1件
No.47『ナイトフライヤー』を加入させますか?
y/n
ENo.140からのメッセージ>>
ハンプバック
「はいはい、こちらファータ・メガプテラ。
ハンプバックが応答するぜ」
ハンプバック
「ユニオン……ああ、いつぞやに通信で流していたね。
聞いていたのかい?」
ハンプバック
「そうだね、こちらとしても大歓迎だが……条件をひとつ。
個室に移る作業の間は、周囲に誰も立ち入らせないようにしてくれるかな?
アレクシア女史、君もだ」
ハンプバック
「天然モノの子が1人いるんだ。
情報にある程度信頼性は置いているけれど、
スキを見せている間に誘拐されたりしたら敵わない
ボクの大事な子を売られちゃあたまんないからね」
ハンプバック
「個室のセキュリティについては問わない。
こちら側で厳重にしておくよ」
ハンプバック
「それで、どうだい?
整備士くずれだが、それなりに役には立つつもりだぜ」
ENo.161からのメッセージ>>
ジェリィ
「ちーっす、儲かってる~~?
私は儲かってま~~す。
おたくのユニオン出来高制っつてたけど、
ちゃんと戦果出しゃ払いはええのんな。
タイマンでグレムリンボコったら
割といい額出してくれたぜ。
小粒の未識別プチプチ潰すより
よっぽど割がいいな」
さすがにそこを払い渋ると
すぐに逃げられるからだろうか。
支払いそのものは正当なもののようだった。
……ランキングを確認すると、
この小さい少女の名前がぽつぽつと
見つかったりするかもしれない(第4回目現在)。
この少女が儲かっている様子なのは
そのためなのだろう。多分。
ジェリィ
「自分が何かってのは私もよくわかんねー。
気づいたら廃工場ン中で錆びたグレムリンの近くにいてな。
それまでの記憶とか割と飛んでる。
素性不明存在のお約束ってヤツだな。
でもまあ、フツーの人間って
もみあげがアームになったりはせんじゃろ。
ベルーガん中で直接見たと思うけど。
あとメットつけずに外歩いてもなんか平気。
フツーは有毒なんだっけ?」
ジェリィ
「で、そのベルーガだけど、
コロッセオ・レガシィが経営母体言うても
同じ海域に浮いてるだけとか
その程度の繋がりじゃろ~~。
まあ私は最初に言った通り
整備用の設備さえ使わせてもらえりゃ
文句は無いからいいんだけど」
ジェリィ
「もーちょっとイケたカタチの装甲でも
削り出してもらおうかねェ。
私の機体、ぶっちゃけめっちゃ弱そうでしょ。
起動時純正パーツがフレームしか
なかったんだよな~~」
送信ログ
>>Eno.92 部下、と聞いて己の僚機の顔が脳裏に浮かぶ。
そんなことを言ったら気を悪くしそうだなあと少し愉快な気持ちになって、
笑いこそしないが、いくらか声音が柔らかくなる。
アレクシア
「グレムリンとの仲か。考えたことなかった。
私もだけど、きっと僚機もね。
……君はグレムリンと仲が良いのかな?」
仲が良い、という状態にピンと来ておらず、いまいち要領を得ない問いかけ。
まさかグレムリンと喋れるわけでもないだろうし、と内心。
アレクシア
「いやあ、お恥ずかしいことにそうなんだよね。
絶賛人手不足で」
アレクシア
「まあでも、ただの子供には声をかけないよ。
君の実力を買ってこそのお誘いさ」
アレクシア
「ご検討ありがとう。すぐにデータを送るね。
ごゆっくりどーぞ」
アレクシア
「(……感触は悪くなかったなー。
ランカーだし、素直そうだし、来てくれたら助かるんだけどなあ)」
データを送って待つこと暫し。
回線92から通信が入ると、すぐに応じた。
アレクシア
「はーい、こちらグレイヴネット回線130。
……お、そりゃ有難い。
お試しでも大歓迎だよー。実際に見てみないと分からないこともあるだろうしね」
アレクシア
「私はアレクシア・エコーズ。グレムリンは『サイレント・リップルス』。
よろしくね、ベルゼリアちゃん。
分からないことがあれば私か僚機……回線番号は129かな。
どっちかにでも聞いてくれたらいいよ」
アレクシア
「あ~……私も静かな方が好きかな。うん。
営業かけるならもうちょっと社交的な方がいいんだろうけど、
人には向き不向きってのがあるからねー」
アレクシア
「まあ騒がしい人もいるけど、そういうのはスルーしたらいいよ。
最低限のコミュニケーションが取れたらオッケーオッケー。
何よりテイマーとしてスカウトしてるんだから、戦えれば問題ないさ」
>>Eno.141 アレクシア
「そうそう、テイマー……なんですねー」
グレムリンテイマー兼エンジニア兼スカウトマンの三役を押し付けられている現状は黙っておいた。
アレクシア
「試用期間? もちろんありますよ。
実際に見てみないと分からないこともあるだろうし……」
アレクシア
「(……押せばいけそうだな)」
アレクシア
「他のところと兼業してる人もいるんで、
やろうと思えばそういう形でもいけるんじゃないですかねー。
まあ、物は試しってことでここは一つ。
電子契約書送るんで、サインして送り返してくれます?」
と、あなたの返事を聞く前に、グレイヴネット回線130から141へ電子契約書のデータが送られてきた。
なんてブラック。なんて強引。
アレクシア
「分からないことがあったら私か、僚機にでも聞いてくれたらいいんで。
僚機の回線は129です」
続いて送られてきた回線129のアドレスには、『Call=Turner』と男性名が記載されている。
>>Eno.138 通信類をチェックする最中、一件の電子ビデオメールを見て作業の手が止まる。
アレクシア
「(……抵抗運動の子か~……)」
念のため、厳重にウィルスチェックをしてからそれを開いた。
アレクシア
「……なるほどねえ」
アレクシア
「(誤送されたメールにヤバいのが入ってなくて良かったなー……)」
しかし、これを放っておくのも得策ではない気がする。まず身の潔癖を証明せねば。
オスカー・エコー宛てにアレクシアが送った電子ビデオメールの内容は、次の通りだ。
アレクシア
「オズワルドくんへ。アレクシアです」
アレクシア
「ご丁寧にありがとう。こっちもほとんど営業のダイレクトメールだったよ。
いやあ、ほんと逞しいよねえ。こんな状況なのにさ」
アレクシア
「……んん? 何の話かな。
私は間違いメールを転送しただけだったよね?」
抵抗運動? そんな単語聞いていませんが? と言う顔をしている。
君子危うきに近寄らずという奴だ。入る虎穴でもない、という判断。
アレクシア
「ふ、リーダー……してるように見える?」
アレクシア
「まあ、ユニオンのメンバーを募集してるのは間違いないんだけど。
このご時世どこも人手不足じゃない。
テイマーもスカウトマンも足りてないから、私が駆り出されてるってわけ」
アレクシア
「……いやあ、押し付けられてるだけでそんな褒められるようなもんじゃないよ。うん」
アレクシア
「そういえば、P.Dくんの方は元気かな。
この前の通信の最後、バタバタしてたみたいだけど」
◆4回更新のメッセログ
受信ログ
ENo.92からのメッセージ>>
ベルゼリア
「92より130へ。聞こえています。
問題ありません」
ベルゼリア
「…そう。ありがとう。
私のグレムリンは移動砲台みたいなものだから
それに見合った仕事をしているだけ。
褒めてもらえたって、伝えておきます」
ベルゼリア
「コツもなにも、私はトリガーを引くだけだから。
あなたの部下が上手くいっていないのなら…
それは、グレムリンとの仲がイマイチなのかもね」
赤毛の女性からの話は要はスカウトだった。
どこにも所属せずに、僚機もなく、一人。
ランキングでそれなりに上の方に名を連ねているので
目につきやすかったのかもしれない。
ベルゼリア
「ふぅん。私みたいな子供の手も借りたいの?
人手不足ってワケ。まぁ、いいけれど。
検討してみるから、データを見せて。
少し、時間も頂戴」
要求して提示されるであろう資料を受け取る。
そうして暫くの時間が経過した後、アレクシアの元に通信が入る。
ベルゼリア
「グレイブネット回線92より130へ。
お待たせ。お世話になろうと思います。」
ベルゼリア
「ベルゼリア=フランキスカ及び、『ゼローア』
とりあえずは試験期間ということでよろしく。」
ベルゼリア
「人が多くて騒がしいのは正直、苦手で面倒だけれど…
あなたみたいな人がやっていけているのなら、大丈夫かも」
ENo.138からのメッセージ>>
ピッと電子ビデオメールが受信される。
送り主はオスカー・エコー。オズワルド・エコールからだった。
オズ
「えぇと……これでいいのかな。アレクシアさんへ、オズワルドです。」
オズ
「こういうやり取りあまりしないものでこの前は慌ただしくてごめんなさい。
もうちょっとちゃんと送りたかったんですけど…」
付随されるように転送されているのはアレクシア・エコーズ向けの電子メールだ。
大体は伺っていた通り。商品紹介のダイレクトメールがぎっしり。
オズ
「あとその……この前はすごい混乱した状況だったので、色々忘れていただけると……
三大勢力とかと戦っているわけではないのですが……アレクシアさんにご迷惑がかかるようなことは避けたいので…」
いわゆる抵抗運動のことだ。あまりに混乱した状況だったのもあり、つい出てしまったし
それに漏らしたP.Dを咎めることもなかったからだ。
何と戦っているか、詳しくは言及しなかったが未識別機体の話でないことは確かであり。
オズ
「あっ……えぇと…そうだ。アレクシアさんユニオン?の人を募集されてるんですよね。
ユニオン?のリーダーなんですか?そういうお仕事とか……?すごいですよね……
大変な時期に大変なお仕事されてて……」
ちょっとした話題の転換か話題はユニオンの募集広告の話へ……
聊か強引かもしれないが、名前を聞いていたものでまず話題に出た。
ENo.141からのメッセージ>>
イライア
「アレクシアさん、あ、ベルーガの……テイマーなんですね」
(どうしよう、説明聞いている限りだとブラックの匂いがプンプンする!
今入っているとこもソロ活させるまあまあブラックだし、これでブラックの副業ってマ?)
イライア
「あー、えっと……そうですね。なかなか魅力的な企業だと思います。
此処って試用期間みたいなやつってあります?
一応今別の企業にも入ってるんで慣れるかどうか試してからがいいかと思って」
(違う違う、程よく断ろうと思ったのに断る力が足りなさすぎる!!
こういう時いっつも言葉ミスってそのままボロッボロまでイエスマンしてたじゃん!
そうやってこの戦争以前もめっちゃ戦わされたのに!!)
送信ログ
>>Eno.129 アレクシア
「どうなるか分からない、ねえ……ま、それもそうね。
私もコールくんも、何ならこの世界だって明日どうなるかすら分かんないわけだ。
見通しなんか立ちゃしない」
アレクシア
「え? 修理代が差っ引かれた上で出てるんだよ、給与。ないよりマシじゃない。
それにほら、コールくん食事ランク上げたでしょ。
戻したら手元のお金、もうちょい増えるよ」
アレクシア
「んー? 理由?
……ま、そうだね。そんな感じ。生活のためだよ。
仕事でなければ乗るわけないじゃん、こんな艦」
アレクシア
「コールくんこそ、なんでグレムリンテイマーなんてやってんのさ。
生活のため以外にあるの?」
>>Eno.156 アレクシア
「どーぞどーぞ、ご自由に。
私の仕事は勧誘までだから後は知らないし。
君がそれからどうなろうとも私には関係ないさ。
もちろん君もそうでしょ」
アレクシア
「あ、でも抜ける時は一言連絡があれば嬉しいかも。
何か枠の上限があるとかないとか、艦長が言ってたなー。
ま、できればよろしく」
アレクシア
「はーい、こちらこそよろしくね。また後で」
>>Eno.161 アレクシア
「いいね、仕事が早くて。それでは承りました、っと……」
アレクシア
「そりゃあ悪鬼巡洋艦ですから、整備施設はばっちり。
その辺はエンジニアだった私が保証しよう。
設備で分かんないことがあったら聞いてもらったらいいよ」
アレクシア
「ふぅん? 可愛い女の子にしか見えないけどなー。
人は見た目によらないもんだね。
じゃあ、君は一体何者なのかな」
アレクシア
「食事は金を積めばそれなりの物が出てくるし、そうでなければただの栄養かな。
テンション向上のために積むのも手だね。
確か去年のクリスマスにはバイオチキンが出た」
アレクシア
「そうそう、シェフィルさんね。
うちの上の上の……更に上のお偉いさんだ。
つまり経営母体も安心安全。大船に乗ったつもりでどーぞ」
まあうちはその潤沢な資源の恩恵をほとんど受けてないんだけど。
最悪情報は内心で留めた。
すでに電子署名は貰っているのだし、言う必要もない。というか、バレているような気もするし。
アレクシア
「あはは。まずかった?
具体例があった方がいいかと思ったんだけど、営業って難しいね。
まあ、本職じゃない割には上出来じゃない? こうやって入ってくれるんだし。ねえ」
>>Eno.140 あなた宛てにリアルタイム通信が入る。
発信元は「Alexia Echoes」。
もしあなたが通信に応じれば、モニターに赤毛の女が映し出される。
アレクシア
「あー、あー。グレイヴネット回線130から140へ」
アレクシア
「こんにちは。ハンプバックさん?
風の噂でユニオンを探していると聞いて連絡してみたのだけれど。合ってるかな」
アレクシア
「私はアレクシア。悪鬼巡洋艦【ベルーガ】のテイマー。
うち、絶賛人員募集中なんだ。良かったらご検討くださいな」
そう言うと、あなたのアドレスに添付ファイルが送られてくる。
中には【ベルーガ】の詳細が記されていた。
アレクシア
「売りとしてはまあ、個室と3食昼寝付きってところかなー」
アレクシア
「あ、質問があれば受け付けるんで。
遠慮なくどーぞ」
>>Eno.165 アレクシア
「そうそう、そんな感じ。
私も詳細は分かんないんだけど、まあみんな同じなんじゃないかな。
何せ色々と急だったし」
アレクシア
「お、良い返事だねー。前向きなことは悪くないね。
今は戦うしかないわけだし」
好意的な言葉でそこに嘘はないが、いまいち感情が籠っていない平坦な声だ。
アレクシア
「あ~……ユニオンっていうのは互助組織なんだけど、うちの場合は艦のことだね。
悪鬼巡洋艦【ベルーガ】の仲間を募集してるってわけ」
アレクシア
「私も乗組員、というかテイマーか。その内の一人なんだよね」
アレクシア
「まあ、興味があればうちで働かない? ってこと」
そう言うと、貴方にユニオン・悪鬼巡洋艦【ベルーガ】のデータが送られてくる。
……が、【ベルーガ】がその人手不足及び資材不足から、限りなくブラック寄りのグレー船であることは少し調べたら分かるだろう。
こんなご時世であるから、どこのユニオンもそう変わりないかもしれないが。
アレクシア
「もちろん、断ってくれても構わないんだけどね。他にもユニオンはあるし。
あと、メモリの欠落だっけ? その状況の君に決断を迫るのも酷な気がしてきたからさ」
と本人が言う通り、断っても特に問題はなさそうだ。
>>Eno.47 アレクシア
「は~……ユニオン勧誘ねえ……」
気怠げな女の声と、キーボードを叩く音。
広域通信と戦場のログをチェックする最中、ある機体が目に入る。
傭兵登録No.47『ナイトフライヤー』。コールサイン以外の詳細不明。
一つ明確なのは、好んで絶滅戦場へ出撃していること。つまり、腕が立つのでは?
アレクシア
「……送るだけ送ってみるかぁ」
『――傭兵登録No.47『ナイトフライヤー』様
絶滅戦場で戦う貴方は名うてのテイマーとお見受けしました。
悪鬼巡洋艦【ベルーガ】では共に戦う仲間を募集しています。
ご興味があれば、一度ご連絡頂けませんでしょうか。 …傭兵登録No.130 Alexia Echoes』
という内容のメールが、グレイヴネット経由であなたに送られてくる。
ユニオンの勧誘らしいが、もちろんゴミ箱行きでも問題はないだろう。
ENo.92からのメッセージ>>
ベルゼリア
「92より130へ。聞こえています。
問題ありません」
ベルゼリア
「…そう。ありがとう。
私のグレムリンは移動砲台みたいなものだから
それに見合った仕事をしているだけ。
褒めてもらえたって、伝えておきます」
ベルゼリア
「コツもなにも、私はトリガーを引くだけだから。
あなたの部下が上手くいっていないのなら…
それは、グレムリンとの仲がイマイチなのかもね」
赤毛の女性からの話は要はスカウトだった。
どこにも所属せずに、僚機もなく、一人。
ランキングでそれなりに上の方に名を連ねているので
目につきやすかったのかもしれない。
ベルゼリア
「ふぅん。私みたいな子供の手も借りたいの?
人手不足ってワケ。まぁ、いいけれど。
検討してみるから、データを見せて。
少し、時間も頂戴」
要求して提示されるであろう資料を受け取る。
そうして暫くの時間が経過した後、アレクシアの元に通信が入る。
ベルゼリア
「グレイブネット回線92より130へ。
お待たせ。お世話になろうと思います。」
ベルゼリア
「ベルゼリア=フランキスカ及び、『ゼローア』
とりあえずは試験期間ということでよろしく。」
ベルゼリア
「人が多くて騒がしいのは正直、苦手で面倒だけれど…
あなたみたいな人がやっていけているのなら、大丈夫かも」
ENo.138からのメッセージ>>
ピッと電子ビデオメールが受信される。
送り主はオスカー・エコー。オズワルド・エコールからだった。
オズ
「えぇと……これでいいのかな。アレクシアさんへ、オズワルドです。」
オズ
「こういうやり取りあまりしないものでこの前は慌ただしくてごめんなさい。
もうちょっとちゃんと送りたかったんですけど…」
付随されるように転送されているのはアレクシア・エコーズ向けの電子メールだ。
大体は伺っていた通り。商品紹介のダイレクトメールがぎっしり。
オズ
「あとその……この前はすごい混乱した状況だったので、色々忘れていただけると……
三大勢力とかと戦っているわけではないのですが……アレクシアさんにご迷惑がかかるようなことは避けたいので…」
いわゆる抵抗運動のことだ。あまりに混乱した状況だったのもあり、つい出てしまったし
それに漏らしたP.Dを咎めることもなかったからだ。
何と戦っているか、詳しくは言及しなかったが未識別機体の話でないことは確かであり。
オズ
「あっ……えぇと…そうだ。アレクシアさんユニオン?の人を募集されてるんですよね。
ユニオン?のリーダーなんですか?そういうお仕事とか……?すごいですよね……
大変な時期に大変なお仕事されてて……」
ちょっとした話題の転換か話題はユニオンの募集広告の話へ……
聊か強引かもしれないが、名前を聞いていたものでまず話題に出た。
ENo.141からのメッセージ>>
イライア
「アレクシアさん、あ、ベルーガの……テイマーなんですね」
(どうしよう、説明聞いている限りだとブラックの匂いがプンプンする!
今入っているとこもソロ活させるまあまあブラックだし、これでブラックの副業ってマ?)
イライア
「あー、えっと……そうですね。なかなか魅力的な企業だと思います。
此処って試用期間みたいなやつってあります?
一応今別の企業にも入ってるんで慣れるかどうか試してからがいいかと思って」
(違う違う、程よく断ろうと思ったのに断る力が足りなさすぎる!!
こういう時いっつも言葉ミスってそのままボロッボロまでイエスマンしてたじゃん!
そうやってこの戦争以前もめっちゃ戦わされたのに!!)
送信ログ
>>Eno.129 アレクシア
「どうなるか分からない、ねえ……ま、それもそうね。
私もコールくんも、何ならこの世界だって明日どうなるかすら分かんないわけだ。
見通しなんか立ちゃしない」
アレクシア
「え? 修理代が差っ引かれた上で出てるんだよ、給与。ないよりマシじゃない。
それにほら、コールくん食事ランク上げたでしょ。
戻したら手元のお金、もうちょい増えるよ」
アレクシア
「んー? 理由?
……ま、そうだね。そんな感じ。生活のためだよ。
仕事でなければ乗るわけないじゃん、こんな艦」
アレクシア
「コールくんこそ、なんでグレムリンテイマーなんてやってんのさ。
生活のため以外にあるの?」
>>Eno.156 アレクシア
「どーぞどーぞ、ご自由に。
私の仕事は勧誘までだから後は知らないし。
君がそれからどうなろうとも私には関係ないさ。
もちろん君もそうでしょ」
アレクシア
「あ、でも抜ける時は一言連絡があれば嬉しいかも。
何か枠の上限があるとかないとか、艦長が言ってたなー。
ま、できればよろしく」
アレクシア
「はーい、こちらこそよろしくね。また後で」
>>Eno.161 アレクシア
「いいね、仕事が早くて。それでは承りました、っと……」
アレクシア
「そりゃあ悪鬼巡洋艦ですから、整備施設はばっちり。
その辺はエンジニアだった私が保証しよう。
設備で分かんないことがあったら聞いてもらったらいいよ」
アレクシア
「ふぅん? 可愛い女の子にしか見えないけどなー。
人は見た目によらないもんだね。
じゃあ、君は一体何者なのかな」
アレクシア
「食事は金を積めばそれなりの物が出てくるし、そうでなければただの栄養かな。
テンション向上のために積むのも手だね。
確か去年のクリスマスにはバイオチキンが出た」
アレクシア
「そうそう、シェフィルさんね。
うちの上の上の……更に上のお偉いさんだ。
つまり経営母体も安心安全。大船に乗ったつもりでどーぞ」
まあうちはその潤沢な資源の恩恵をほとんど受けてないんだけど。
最悪情報は内心で留めた。
すでに電子署名は貰っているのだし、言う必要もない。というか、バレているような気もするし。
アレクシア
「あはは。まずかった?
具体例があった方がいいかと思ったんだけど、営業って難しいね。
まあ、本職じゃない割には上出来じゃない? こうやって入ってくれるんだし。ねえ」
>>Eno.140 あなた宛てにリアルタイム通信が入る。
発信元は「Alexia Echoes」。
もしあなたが通信に応じれば、モニターに赤毛の女が映し出される。
アレクシア
「あー、あー。グレイヴネット回線130から140へ」
アレクシア
「こんにちは。ハンプバックさん?
風の噂でユニオンを探していると聞いて連絡してみたのだけれど。合ってるかな」
アレクシア
「私はアレクシア。悪鬼巡洋艦【ベルーガ】のテイマー。
うち、絶賛人員募集中なんだ。良かったらご検討くださいな」
そう言うと、あなたのアドレスに添付ファイルが送られてくる。
中には【ベルーガ】の詳細が記されていた。
アレクシア
「売りとしてはまあ、個室と3食昼寝付きってところかなー」
アレクシア
「あ、質問があれば受け付けるんで。
遠慮なくどーぞ」
>>Eno.165 アレクシア
「そうそう、そんな感じ。
私も詳細は分かんないんだけど、まあみんな同じなんじゃないかな。
何せ色々と急だったし」
アレクシア
「お、良い返事だねー。前向きなことは悪くないね。
今は戦うしかないわけだし」
好意的な言葉でそこに嘘はないが、いまいち感情が籠っていない平坦な声だ。
アレクシア
「あ~……ユニオンっていうのは互助組織なんだけど、うちの場合は艦のことだね。
悪鬼巡洋艦【ベルーガ】の仲間を募集してるってわけ」
アレクシア
「私も乗組員、というかテイマーか。その内の一人なんだよね」
アレクシア
「まあ、興味があればうちで働かない? ってこと」
そう言うと、貴方にユニオン・悪鬼巡洋艦【ベルーガ】のデータが送られてくる。
……が、【ベルーガ】がその人手不足及び資材不足から、限りなくブラック寄りのグレー船であることは少し調べたら分かるだろう。
こんなご時世であるから、どこのユニオンもそう変わりないかもしれないが。
アレクシア
「もちろん、断ってくれても構わないんだけどね。他にもユニオンはあるし。
あと、メモリの欠落だっけ? その状況の君に決断を迫るのも酷な気がしてきたからさ」
と本人が言う通り、断っても特に問題はなさそうだ。
>>Eno.47 アレクシア
「は~……ユニオン勧誘ねえ……」
気怠げな女の声と、キーボードを叩く音。
広域通信と戦場のログをチェックする最中、ある機体が目に入る。
傭兵登録No.47『ナイトフライヤー』。コールサイン以外の詳細不明。
一つ明確なのは、好んで絶滅戦場へ出撃していること。つまり、腕が立つのでは?
アレクシア
「……送るだけ送ってみるかぁ」
『――傭兵登録No.47『ナイトフライヤー』様
絶滅戦場で戦う貴方は名うてのテイマーとお見受けしました。
悪鬼巡洋艦【ベルーガ】では共に戦う仲間を募集しています。
ご興味があれば、一度ご連絡頂けませんでしょうか。 …傭兵登録No.130 Alexia Echoes』
という内容のメールが、グレイヴネット経由であなたに送られてくる。
ユニオンの勧誘らしいが、もちろんゴミ箱行きでも問題はないだろう。
◆3回更新のメッセログ
受信ログ
ENo.129からのメッセージ>>
コール
「技師。そういえばそうだった。雇い主さんの""専門職""というのを信じることにしよう」
コール
「敵を倒す分には問題ない、と思う。意外と思ったよりは良く動けてる。この先どうなるかはわからないが」
コール
「ゴミ捨て場に落ちていた時?ああ、あれは確かに撃墜だ。あの時は死んだと思ったが案外丈夫なものだ。機体も俺も」
コール
「修理代を払うにも…この艦の給与では。そういえば拾った猫缶がある。あれで払う」
コール
「お金を残す必要が無い?そういえば、雇い主さんはそもそも何でこの艦にいるんだ。日々の生活のためか」
ENo.156からのメッセージ>>
ネレ
「ううーん。
こう見えて気分屋なんでぇ、お好きなタイミングで抜けていいならいいですよぉ」
ネレ
「ほら、いつご依頼で銃口突きつけ合うかもしれませんしぃ。
ねぇ~?」
ネレ
「申請だけ送っておくんで、確認したら了承しといてくださいねぇ。
その前に死んじゃあ駄目ですよぉ~。へへ」
ネレ
「ああっ。パネルの上には乗らないでくださいってばぁ~。
前もそれで記録がブッ飛んだんですからぁ……もう」
ネレ
「ええっとぉ、じゃあそんな感じで、よろしくお願いしまぁす」
ENo.161からのメッセージ>>
ジェリィ
「ぅーーい、こちら161番、ジェリィ~。
おッまじ? 入る入る、入りま~~~す」
ジェリィ
「
/23/@@@気の抜けたような返事。
次の瞬間、ほとんど安請け合いとすら思えるほどの気楽さで、あなたの元に電子署名が届くことだろう。
」
ジェリィ
「まーぶっちゃけね、アレですよ。
自由に使えるグレムリン用の整備施設が欲しいんですよ。
クレーンとか、工具とか、塗装用具とか。
見ての通りのちんちくりんボディだからさー、整備も大変で。
かと言って各地の他人のヤツ借りようとしたら交渉に代金支払いにと面倒じゃん?
だからさ、そういう設備、あるよね? あるって言ってくれ、頼む」
ジェリィ
「私、どうも人間じゃないっぽいからさー。
それ以外の福利厚生は別に重視しないよ。
メシは3食、味の無い栄養補給ペーストとか
ボッソボソの高カロリーブロックとか、汚染で奇形化した魚とか、
そーゆーのでもいいしー」
ジェリィ
「そーゆーのでもいいけど、うまいもん食えば
ちゃんとテンションは上がります。こんぺいとうとかな。
シェフィル47世いい奴だな」
ジェリィ
「はい、まーそんなわけで、よろしく~~~。
ちゃんと戦果出せるかは知らんけど。
なんかグレムリンってのがしっくり来んのよ」
――――
ジェリィ
「いや、やっぱ最後にひとついい?
なんかしらセールスポイントを並べる時って、
”並べられなかった項目”については推せないってことだろーからさ。
もっとこうふわふわした言葉で勧誘した方がいいよ、ウン」
ENo.165からのメッセージ>>
2A
「連絡ありがとうございます、こちらは2Aです」
2A
「なるほど、つまりは世界を救うために戦っているのですね」
2A
「だったら僕もできる範囲で頑張ってみます!どのみちここで出来ることってそれぐらいですからね」
2A
「それで……ユニオンですか?何をすればいいんでしょう?」
送信ログ
>>Eno.141 アレクシア
「ん? 通信……おお……?」
通信から聞こえてきた内容に、小さく声を漏らした。
こほんと咳払いをし、
アレクシア
「はい、そうそう、こちら悪鬼巡洋艦【ベルーガ】でーす。
お問い合わせありがとうございます。
イライアさん、かな?」
回線に表示された差出人名を見つつ、確認する。
アレクシア
「私はアレクシア・エコーズ。
【ベルーガ】の……えー、テイマーの一人です」
アレクシア
「戦力? ああいや、もうね、グレムリンに乗れさえすれば大歓迎。
ほら、こんな御時勢でしょ? どこもかしこも人が足りてない。
うちも例に漏れず、猫の手も借りたいくらいなんで」
アレクシア
「いやあ、こんな美人さんが同僚になってくれるなんて嬉しいなー」
嘘を吐いている様子はないが、賞賛する言葉と対照的に女の声音は感情が乏しく、ちぐはぐな印象を受けるかもしれない。
アレクシア
「労働環境はこんな感じでー、住み込みもできるけど必須ではないです。
雇用形態は業務委託とか副業的な形も取れるし、希望に応じてその辺はフレキシブルに」
と、労働環境(ユニオン紹介文)をつらつらと説明していく。
……が、【ベルーガ】がその人手不足及び資材不足から、限りなくブラック寄りのグレー船であることは少し調べたら分かるだろう。
こんなご時世であるから、どこのユニオンもそう変わりないかもしれないが。
アレクシア
「以上、何か質問はあるかな?」
その辺りのことには一切触れず、女はしれっとそう問うた。
>>Eno.138 アレクシア
「そうそう、安全な人。ただのしがないグレムリンテイマーだよ。
分かってるねー、P.D……くん?」
アレクシア
「こんな御時勢によくやるよねー。
まあ、こんな御時勢だからこそ、なのかもしれないけど……うん?」
抵抗運動? 聞こえた単語に疑問符を浮かべたのも束の間。
アレクシア
「いえいえ、どういたしまして。
そんな大したことじゃないしね」
アレクシア
「オスカー・エコーくん。……オズワルド・エコールくん。
ああ、オスカーの方がニックネームみたいな?
なんか良いねえ、そういうの。親しみがあって。
……エコールとエコーズも似てるねえ。こりゃまた間違えられそうだ」
アレクシア
「あー、お気をつけて。
急がなくていいよ。大した内容じゃないなら、何なら破棄してもらっても良いし」
慌ただしく切られた回線にものんびりと、あるいは気怠げに返し、
アレクシア
「……抵抗運動って言ってたなー。
もしかしてヤバい人に連絡した?」
独り言ちる。
が、思案はすぐに打ち切られた。
アレクシア
「ま、いっか。気にしない気にしない。
気にしてもしょーがない」
>>Eno.92 あなた宛てに、発信元「Alexia Echoes」からリアルタイム通信が入る。
もし通信に応じれば、モニターに赤毛の女が映し出される。
アレクシア
「えー、グレイヴネット回線130から92へ。
こんにちは。聞こえるかな?」
アレクシア
「ランキングで君の名前を見たんだ。
いやー、すごいね。超火力型機体、惚れ惚れしちゃうよ。
うちの僚機にコツをご教示願いたいくらい」
嘘を吐いている様子はないが、賞賛する言葉と対照的に女の声音は抑揚に乏しく、ちぐはぐな印象を受けるかもしれない。
アレクシア
「そんな優秀なテイマーの君に、一つ聞いてほしい話があって」
アレクシア
「悪鬼巡洋艦【ベルーガ】。コロッセオ・レガシィの船の一つでね。
絶賛人員募集中なんだ」
アレクシア
「……君、探してたりしないかなー?
雇われ先とか、副業先とか、ユニオンとか」
……どうにも、ユニオンの営業らしい。
もちろん、興味がなければ話を合わせなくても特に支障はないだろう。
ENo.129からのメッセージ>>
コール
「技師。そういえばそうだった。雇い主さんの""専門職""というのを信じることにしよう」
コール
「敵を倒す分には問題ない、と思う。意外と思ったよりは良く動けてる。この先どうなるかはわからないが」
コール
「ゴミ捨て場に落ちていた時?ああ、あれは確かに撃墜だ。あの時は死んだと思ったが案外丈夫なものだ。機体も俺も」
コール
「修理代を払うにも…この艦の給与では。そういえば拾った猫缶がある。あれで払う」
コール
「お金を残す必要が無い?そういえば、雇い主さんはそもそも何でこの艦にいるんだ。日々の生活のためか」
ENo.156からのメッセージ>>
ネレ
「ううーん。
こう見えて気分屋なんでぇ、お好きなタイミングで抜けていいならいいですよぉ」
ネレ
「ほら、いつご依頼で銃口突きつけ合うかもしれませんしぃ。
ねぇ~?」
ネレ
「申請だけ送っておくんで、確認したら了承しといてくださいねぇ。
その前に死んじゃあ駄目ですよぉ~。へへ」
ネレ
「ああっ。パネルの上には乗らないでくださいってばぁ~。
前もそれで記録がブッ飛んだんですからぁ……もう」
ネレ
「ええっとぉ、じゃあそんな感じで、よろしくお願いしまぁす」
ENo.161からのメッセージ>>
ジェリィ
「ぅーーい、こちら161番、ジェリィ~。
おッまじ? 入る入る、入りま~~~す」
ジェリィ
「
/23/@@@気の抜けたような返事。
次の瞬間、ほとんど安請け合いとすら思えるほどの気楽さで、あなたの元に電子署名が届くことだろう。
」
ジェリィ
「まーぶっちゃけね、アレですよ。
自由に使えるグレムリン用の整備施設が欲しいんですよ。
クレーンとか、工具とか、塗装用具とか。
見ての通りのちんちくりんボディだからさー、整備も大変で。
かと言って各地の他人のヤツ借りようとしたら交渉に代金支払いにと面倒じゃん?
だからさ、そういう設備、あるよね? あるって言ってくれ、頼む」
ジェリィ
「私、どうも人間じゃないっぽいからさー。
それ以外の福利厚生は別に重視しないよ。
メシは3食、味の無い栄養補給ペーストとか
ボッソボソの高カロリーブロックとか、汚染で奇形化した魚とか、
そーゆーのでもいいしー」
ジェリィ
「そーゆーのでもいいけど、うまいもん食えば
ちゃんとテンションは上がります。こんぺいとうとかな。
シェフィル47世いい奴だな」
ジェリィ
「はい、まーそんなわけで、よろしく~~~。
ちゃんと戦果出せるかは知らんけど。
なんかグレムリンってのがしっくり来んのよ」
――――
ジェリィ
「いや、やっぱ最後にひとついい?
なんかしらセールスポイントを並べる時って、
”並べられなかった項目”については推せないってことだろーからさ。
もっとこうふわふわした言葉で勧誘した方がいいよ、ウン」
ENo.165からのメッセージ>>
2A
「連絡ありがとうございます、こちらは2Aです」
2A
「なるほど、つまりは世界を救うために戦っているのですね」
2A
「だったら僕もできる範囲で頑張ってみます!どのみちここで出来ることってそれぐらいですからね」
2A
「それで……ユニオンですか?何をすればいいんでしょう?」
送信ログ
>>Eno.141 アレクシア
「ん? 通信……おお……?」
通信から聞こえてきた内容に、小さく声を漏らした。
こほんと咳払いをし、
アレクシア
「はい、そうそう、こちら悪鬼巡洋艦【ベルーガ】でーす。
お問い合わせありがとうございます。
イライアさん、かな?」
回線に表示された差出人名を見つつ、確認する。
アレクシア
「私はアレクシア・エコーズ。
【ベルーガ】の……えー、テイマーの一人です」
アレクシア
「戦力? ああいや、もうね、グレムリンに乗れさえすれば大歓迎。
ほら、こんな御時勢でしょ? どこもかしこも人が足りてない。
うちも例に漏れず、猫の手も借りたいくらいなんで」
アレクシア
「いやあ、こんな美人さんが同僚になってくれるなんて嬉しいなー」
嘘を吐いている様子はないが、賞賛する言葉と対照的に女の声音は感情が乏しく、ちぐはぐな印象を受けるかもしれない。
アレクシア
「労働環境はこんな感じでー、住み込みもできるけど必須ではないです。
雇用形態は業務委託とか副業的な形も取れるし、希望に応じてその辺はフレキシブルに」
と、労働環境(ユニオン紹介文)をつらつらと説明していく。
……が、【ベルーガ】がその人手不足及び資材不足から、限りなくブラック寄りのグレー船であることは少し調べたら分かるだろう。
こんなご時世であるから、どこのユニオンもそう変わりないかもしれないが。
アレクシア
「以上、何か質問はあるかな?」
その辺りのことには一切触れず、女はしれっとそう問うた。
>>Eno.138 アレクシア
「そうそう、安全な人。ただのしがないグレムリンテイマーだよ。
分かってるねー、P.D……くん?」
アレクシア
「こんな御時勢によくやるよねー。
まあ、こんな御時勢だからこそ、なのかもしれないけど……うん?」
抵抗運動? 聞こえた単語に疑問符を浮かべたのも束の間。
アレクシア
「いえいえ、どういたしまして。
そんな大したことじゃないしね」
アレクシア
「オスカー・エコーくん。……オズワルド・エコールくん。
ああ、オスカーの方がニックネームみたいな?
なんか良いねえ、そういうの。親しみがあって。
……エコールとエコーズも似てるねえ。こりゃまた間違えられそうだ」
アレクシア
「あー、お気をつけて。
急がなくていいよ。大した内容じゃないなら、何なら破棄してもらっても良いし」
慌ただしく切られた回線にものんびりと、あるいは気怠げに返し、
アレクシア
「……抵抗運動って言ってたなー。
もしかしてヤバい人に連絡した?」
独り言ちる。
が、思案はすぐに打ち切られた。
アレクシア
「ま、いっか。気にしない気にしない。
気にしてもしょーがない」
>>Eno.92 あなた宛てに、発信元「Alexia Echoes」からリアルタイム通信が入る。
もし通信に応じれば、モニターに赤毛の女が映し出される。
アレクシア
「えー、グレイヴネット回線130から92へ。
こんにちは。聞こえるかな?」
アレクシア
「ランキングで君の名前を見たんだ。
いやー、すごいね。超火力型機体、惚れ惚れしちゃうよ。
うちの僚機にコツをご教示願いたいくらい」
嘘を吐いている様子はないが、賞賛する言葉と対照的に女の声音は抑揚に乏しく、ちぐはぐな印象を受けるかもしれない。
アレクシア
「そんな優秀なテイマーの君に、一つ聞いてほしい話があって」
アレクシア
「悪鬼巡洋艦【ベルーガ】。コロッセオ・レガシィの船の一つでね。
絶賛人員募集中なんだ」
アレクシア
「……君、探してたりしないかなー?
雇われ先とか、副業先とか、ユニオンとか」
……どうにも、ユニオンの営業らしい。
もちろん、興味がなければ話を合わせなくても特に支障はないだろう。
◆2回更新のメッセログ
受信ログ
ENo.138からのメッセージ>>
オズ
「えっ?あれ……本当だ」
???
「いやーこういうこともあるんですねぇオズさん。あっ大丈夫です安全な人ですよ。」
オズ
「チェックが早いよP.D…えぇとメールの確認と……あとお礼を……」
オズ
「商魂たくましいですね。我々のような抵抗運動をしている連中にはすごいありがたいのですが。」
ピポパポとかカタカタ音が続く……アクセスを受け取ってから記録を繋げたままのようで。
オズ
「えぇと……アレクシア・エコーズ”Alexia Echos”さん。
こちらオスカー・エコー"Oscaer Echo"と登録しています。
オズワルド・エコールです。連絡ありがとうございました。」
P.D
「こちらでもチェックしましたが同じ内容のメールがアレクシア・エコール宛に届いていますね!
ちょうど入れ違いに送られていたようです。いやーこんな時ですから混乱していたのでしょう。」
オズ
「それではこちらから転送して……」
P.D
「ぬあっ!いけません!潜航の時間とかぶりましたね…転送はまた後程!!作戦が近いもので今回はここまで!!」
オズ
「すいませんまた後で!」
ENo.141からのメッセージ>>
イライア
「広域メッセージ聞いたけど、ユニオン募集してるところは此処かな」
イライア
「あ、戦力じゃないと駄目とかアレだったら大人しくしてるんですけど……うん」
送信ログ
>>Eno.129 アレクシア
「あのねえ、私の本職は技師だよ? ぎ・し。
サポートの専門職じゃない。任せなさいって」
アレクシア
「私はコール君の方が心配だけどなあ。
ゴミ捨て場で見つけた時も撃墜されてああなったんでしょ?
敵、ちゃんと倒せる?」
アレクシア
「じゃ、ますます死なないでほしいな。
それか死ぬ前に修理代を払うか。どっちかにしてよ」
アレクシア
「私に紹介してもらう必要はないけどなー。
お金遺すような人もいないし」
>>Eno.161 あなた宛てにリアルタイム通信が入る。
発信元は「Alexia Echos」。
もしあなたが通信に応じれば、モニターに赤毛の女が映し出される。
アレクシア
「あー、あー。グレイヴネット回線130から161へ。
聞こえる?」
アレクシア
「こんにちは。私はアレクシア。
この前の広域通信を聞いてね。
ユニオンを探してるなら、うちはどうかなーと思って」
アレクシア
「悪鬼巡洋艦【ベルーガ】。コロッセオ・レガシィの船の一つでね。
絶賛人員募集中なんだ」
アレクシア
「出来高報酬制の住み込み可、3食昼寝付き。今なら個室に空きもある。
プライバシー遵守をモットーにしてるから船員の趣味嗜好までは把握してないけど、ロリコンは居てほしくないねー。
あと細かいところは……」
女は細々とした労働環境をつらつらと説明する。
……が、【ベルーガ】がその人手不足及び資材不足から、限りなくブラック寄りのグレー船であることは少し調べたら分かるだろう。
こんなご時世であるから、どこのユニオンもそう変わりないかもしれないが。
アレクシア
「……以上、何か質問とかある?
君みたいな可愛い子に来てくれたら、私も嬉しいんだけどなー」
ブラック労働環境には一切触れず、女は何食わぬ顔でそう問いかけた。
>>Eno.156 あなた宛てにリアルタイム通信が入る。
発信元は「Alexia Echos」。
もしあなたが通信に応じれば、モニターに赤毛の女が映し出される。
アレクシア
「あー、あー。グレイヴネット回線130から156へ。
聞こえる?」
アレクシア
「こんにちは。私はアレクシア。
この前の広域通信を聞いてね。
飼い主を探してるなら、うちのユニオンはどうかなーと思って」
アレクシア
「悪鬼巡洋艦【ベルーガ】。コロッセオ・レガシィの船の一つでね。
絶賛人員募集中なんだ」
アレクシア
「出来高報酬制の住み込み可、あと3食昼寝付き。
ポイントは個室に空き有ってところかなあ。
だからもちろん猫の飼育も可だよ。良いよねー、猫。私も好きだ。
あと細かいところは……」
女は気怠げに、細々とした労働環境をつらつらと説明する。
……が、【ベルーガ】がその人手不足及び資材不足から、限りなくブラック寄りのグレー船であることは少し調べたら分かるだろう。
こんなご時世であるから、どこのユニオンもそう変わりないかもしれないが。
アレクシア
「……以上、何か質問はあるかな?」
ブラック労働環境には一切触れず、女は何食わぬ顔でそう問いかけた。
>>Eno.165 あなた宛てにリアルタイム通信が入る。
発信元は「Alexia Echos」。
もしあなたが通信に応じれば、モニターに赤毛の女が映し出される。
アレクシア
「あー、あー。グレイヴネット回線130から165へ。
聞こえるかな? AIテイマーくん。
こんにちは。私はアレクシア」
アレクシア
「この前の広域通信を聞いてね。
なーんか、大変そうだから連絡してみたんだ。
同じグレムリンテイマーのよしみ的な? 感じで。」
アレクシア
「で、今の状況だっけ?
もう誰かから聞いてるかもしれないけど……」
そう確認すると、女はざっくりとこの虚空領域の状況――
未識別機動体という謎の敵の侵攻を受けていること、
それにより世界の全域が敵の手に落ちていること、
グレムリンテイマーは世界を取り戻すための戦いに身を投じていること――を説明する。
アレクシア
「大変なことになっちゃったもんだよ。やれやれ」
アレクシア
「AIってことは君を造ったひとが居そうなもんだけど、そういうわけでもないのかな。
それでも君は戦うと。殊勝だねぇ」
アレクシア
「……でもさー、一人っていうのも心細くない?
君、ユニオンとか興味ないかな?」
……タダほど怖いものはない。
どうも女が連絡をしてきた、本当の目的はこちららしい。
ENo.138からのメッセージ>>
オズ
「えっ?あれ……本当だ」
???
「いやーこういうこともあるんですねぇオズさん。あっ大丈夫です安全な人ですよ。」
オズ
「チェックが早いよP.D…えぇとメールの確認と……あとお礼を……」
オズ
「商魂たくましいですね。我々のような抵抗運動をしている連中にはすごいありがたいのですが。」
ピポパポとかカタカタ音が続く……アクセスを受け取ってから記録を繋げたままのようで。
オズ
「えぇと……アレクシア・エコーズ”Alexia Echos”さん。
こちらオスカー・エコー"Oscaer Echo"と登録しています。
オズワルド・エコールです。連絡ありがとうございました。」
P.D
「こちらでもチェックしましたが同じ内容のメールがアレクシア・エコール宛に届いていますね!
ちょうど入れ違いに送られていたようです。いやーこんな時ですから混乱していたのでしょう。」
オズ
「それではこちらから転送して……」
P.D
「ぬあっ!いけません!潜航の時間とかぶりましたね…転送はまた後程!!作戦が近いもので今回はここまで!!」
オズ
「すいませんまた後で!」
ENo.141からのメッセージ>>
イライア
「広域メッセージ聞いたけど、ユニオン募集してるところは此処かな」
イライア
「あ、戦力じゃないと駄目とかアレだったら大人しくしてるんですけど……うん」
送信ログ
>>Eno.129 アレクシア
「あのねえ、私の本職は技師だよ? ぎ・し。
サポートの専門職じゃない。任せなさいって」
アレクシア
「私はコール君の方が心配だけどなあ。
ゴミ捨て場で見つけた時も撃墜されてああなったんでしょ?
敵、ちゃんと倒せる?」
アレクシア
「じゃ、ますます死なないでほしいな。
それか死ぬ前に修理代を払うか。どっちかにしてよ」
アレクシア
「私に紹介してもらう必要はないけどなー。
お金遺すような人もいないし」
>>Eno.161 あなた宛てにリアルタイム通信が入る。
発信元は「Alexia Echos」。
もしあなたが通信に応じれば、モニターに赤毛の女が映し出される。
アレクシア
「あー、あー。グレイヴネット回線130から161へ。
聞こえる?」
アレクシア
「こんにちは。私はアレクシア。
この前の広域通信を聞いてね。
ユニオンを探してるなら、うちはどうかなーと思って」
アレクシア
「悪鬼巡洋艦【ベルーガ】。コロッセオ・レガシィの船の一つでね。
絶賛人員募集中なんだ」
アレクシア
「出来高報酬制の住み込み可、3食昼寝付き。今なら個室に空きもある。
プライバシー遵守をモットーにしてるから船員の趣味嗜好までは把握してないけど、ロリコンは居てほしくないねー。
あと細かいところは……」
女は細々とした労働環境をつらつらと説明する。
……が、【ベルーガ】がその人手不足及び資材不足から、限りなくブラック寄りのグレー船であることは少し調べたら分かるだろう。
こんなご時世であるから、どこのユニオンもそう変わりないかもしれないが。
アレクシア
「……以上、何か質問とかある?
君みたいな可愛い子に来てくれたら、私も嬉しいんだけどなー」
ブラック労働環境には一切触れず、女は何食わぬ顔でそう問いかけた。
>>Eno.156 あなた宛てにリアルタイム通信が入る。
発信元は「Alexia Echos」。
もしあなたが通信に応じれば、モニターに赤毛の女が映し出される。
アレクシア
「あー、あー。グレイヴネット回線130から156へ。
聞こえる?」
アレクシア
「こんにちは。私はアレクシア。
この前の広域通信を聞いてね。
飼い主を探してるなら、うちのユニオンはどうかなーと思って」
アレクシア
「悪鬼巡洋艦【ベルーガ】。コロッセオ・レガシィの船の一つでね。
絶賛人員募集中なんだ」
アレクシア
「出来高報酬制の住み込み可、あと3食昼寝付き。
ポイントは個室に空き有ってところかなあ。
だからもちろん猫の飼育も可だよ。良いよねー、猫。私も好きだ。
あと細かいところは……」
女は気怠げに、細々とした労働環境をつらつらと説明する。
……が、【ベルーガ】がその人手不足及び資材不足から、限りなくブラック寄りのグレー船であることは少し調べたら分かるだろう。
こんなご時世であるから、どこのユニオンもそう変わりないかもしれないが。
アレクシア
「……以上、何か質問はあるかな?」
ブラック労働環境には一切触れず、女は何食わぬ顔でそう問いかけた。
>>Eno.165 あなた宛てにリアルタイム通信が入る。
発信元は「Alexia Echos」。
もしあなたが通信に応じれば、モニターに赤毛の女が映し出される。
アレクシア
「あー、あー。グレイヴネット回線130から165へ。
聞こえるかな? AIテイマーくん。
こんにちは。私はアレクシア」
アレクシア
「この前の広域通信を聞いてね。
なーんか、大変そうだから連絡してみたんだ。
同じグレムリンテイマーのよしみ的な? 感じで。」
アレクシア
「で、今の状況だっけ?
もう誰かから聞いてるかもしれないけど……」
そう確認すると、女はざっくりとこの虚空領域の状況――
未識別機動体という謎の敵の侵攻を受けていること、
それにより世界の全域が敵の手に落ちていること、
グレムリンテイマーは世界を取り戻すための戦いに身を投じていること――を説明する。
アレクシア
「大変なことになっちゃったもんだよ。やれやれ」
アレクシア
「AIってことは君を造ったひとが居そうなもんだけど、そういうわけでもないのかな。
それでも君は戦うと。殊勝だねぇ」
アレクシア
「……でもさー、一人っていうのも心細くない?
君、ユニオンとか興味ないかな?」
……タダほど怖いものはない。
どうも女が連絡をしてきた、本当の目的はこちららしい。
◆1回更新のメッセログ
受信ログ
>>Eno.130 コール
「役割分担はそれで構わない。<BR>攻撃の方が得意だ。俺にはサポートはあまり向いていない。かと言って、エコーズさんが向いているかと言えばそれはそれで疑問だが…」
コール
「生命保険には入っていない。だから、死んだらそれまでだ。今度いい会社を探しておく。そしたら、あんたに紹介するよ」
送信ログ
>>Eno.130 コール
「役割分担はそれで構わない。<BR>攻撃の方が得意だ。俺にはサポートはあまり向いていない。かと言って、エコーズさんが向いているかと言えばそれはそれで疑問だが…」
コール
「生命保険には入っていない。だから、死んだらそれまでだ。今度いい会社を探しておく。そしたら、あんたに紹介するよ」
送信ログ
◆戦闘結果
戦闘結果は*こちら*
◆ダイジェスト結果
◆友軍からの通信
精算
報酬 47
経費 0
フラグメンツ獲得 47
経費 0
フラグメンツ獲得 47
あなたはフラグメンツと交換で猫ちぐらを手に入れた……
あなたはフラグメンツと交換で猫ちぐらを手に入れた……
あなたはフラグメンツと交換で弾避け魔女のノーズアートを手に入れた……
あなたはフラグメンツと交換で猫ちぐらを手に入れた……
【物資入手】夜空に翻る影……何かが落下してくる!!
あなたは未開封コンテナを手に入れた……(特別配布)
東南東海域【南の島】の仲間がこのコンテナを求めている。頼んだぞ
キャラデータ
__0__1__2__3__4__5
__6__7__8__9_10_11
_12_13_14_15_16_17
_18_19_20_21_22_23
所持品リスト
アイアンソウルーL
種別:アイアンソウル [操縦棺]
《広域DLパーツ:『ナイトフライヤー』(Eno47)からのDL》プテロダクチルス
種別:プテロダクチルス [飛行]
安定型:遅延式エンジン
種別:低圧エンジン [ミストエンジン]
《広域DLパーツ:夜女(Eno37)からのDL》005-LEG《REX》
種別:レックス [逆関節]
《広域DLパーツ:死喰い鳥のザミエル(Eno13)からのDL》未開封コンテナ
種別:未開封コンテナ [コンテナ]
キャット・アイズⅠ
種別:リコンユニット [レーダー]
未開封コンテナ
種別:未開封コンテナ [コンテナ]
Vril
種別:広域レーダー [レーダー]
《広域DLパーツ:みなと(Eno120)からのDL》オフプライスシャワー
種別:小型粒子銃 [粒子射撃火器]
《広域DLパーツ:ルーク・ダイモン・バイロン(Eno123)からのDL》テイルガスト
種別:シャドウブースター [ブースター]
《広域DLパーツ:シオル(Eno164)からのDL》オフプライスシャワー
種別:小型粒子銃 [粒子射撃火器]
《広域DLパーツ:ルーク・ダイモン・バイロン(Eno123)からのDL》ヘヴィサイクロプス
種別:サイクロプス [頭部]
《広域DLパーツ:レイジー・サム(Eno113)からのDL》ゲーミングフルフェイス
種別:鋭牙頭部 [頭部]
《広域DLパーツ:フランメル(Eno85)からのDL》ジャミングバード
種別:リコンキトゥン [レーダー]
《広域DLパーツ:藍の羽(Eno3)からのDL》緊急推進器
種別:緊急推進器 [ブースター]
速防高耐久コアトル
種別:コアトル [飛行]
《広域DLパーツ:collider(Eno5)からのDL》トイボックス
種別:トイボックス [操縦棺]
残弾なし
術導縛鎖陣
種別:術導縛鎖陣 [連射聖魔格闘火器]
未開封コンテナ
種別:未開封コンテナ [コンテナ]
ミネルヴァ
種別:ミネルヴァ [FCS]
キャット・アイズⅡ
種別:リコンユニット [レーダー]
4-D-4
種別:赤鬼 [腕部]
《広域DLパーツ:デュアルサンズ(Eno25)からのDL》猫じゃらし
種別:猫じゃらし [素材]
猫ちぐら
種別:猫ちぐら [素材]
猫じゃらし
種別:猫じゃらし [素材]
猫缶
種別:猫缶 [素材]
猫ちぐら
種別:猫ちぐら [素材]
猫じゃらし
種別:猫じゃらし [素材]
猫缶
種別:猫缶 [素材]
猫じゃらし
種別:猫じゃらし [素材]
猫ちぐら
種別:猫ちぐら [素材]
猫ちぐら
種別:猫ちぐら [素材]
猫じゃらし
種別:猫じゃらし [素材]
猫じゃらし
種別:猫じゃらし [素材]
ヴォイドコンパス
種別:ヴォイドコンパス [素材]
猫ちぐら
種別:猫ちぐら [素材]
猫ちぐら
種別:猫ちぐら [素材]
猫じゃらし
種別:猫じゃらし [素材]
猫じゃらし
種別:猫じゃらし [素材]
マインドターボ
種別:マインドターボ [素材]
猫缶
種別:猫缶 [素材]
マインドターボ
種別:マインドターボ [素材]
複層プロペラ
種別:複層プロペラ [素材]
猫じゃらし
種別:猫じゃらし [素材]
猫ちぐら
種別:猫ちぐら [素材]
ヴォイドシグナル
種別:ヴォイドシグナル [素材]
猫缶
種別:猫缶 [素材]
猫缶
種別:猫缶 [素材]
猫缶
種別:猫缶 [素材]
猫缶
種別:猫缶 [素材]
マインドターボ
種別:マインドターボ [素材]
マインドターボ
種別:マインドターボ [素材]
弾避け魔女のノーズアート
種別:弾避け魔女のノーズアート [素材]
複層プロペラ
種別:複層プロペラ [素材]
マインドターボ
種別:マインドターボ [素材]
猫ちぐら
種別:猫ちぐら [素材]
複層プロペラ
種別:複層プロペラ [素材]
弾避け魔女のノーズアート
種別:弾避け魔女のノーズアート [素材]
猫ちぐら
種別:猫ちぐら [素材]
猫ちぐら
種別:猫ちぐら [素材]
猫ちぐら
種別:猫ちぐら [素材]
弾避け魔女のノーズアート
種別:弾避け魔女のノーズアート [素材]
猫ちぐら
種別:猫ちぐら [素材]