ENo.0138　オズワルド・エコール

「オ……起き……変……」

声が聞こえる。何かすごい近い所から繰り返し呼び掛けている声が聞こえる。

「オズさん、起きてください。大変なことになっています」
「う……」

「オズさん！目が覚めたんですね！よかった！状況は最悪です！」
「……」

「一体どういうことでしょう。状況がわかりません。」
「あちこち酷い有様で……グレムリンはみんなどこかへ行ってしまいました。」
「共に戦ってきたセイバー・シルフもです。」

声がはっきり聞こえるにつれて目も覚めてくる。
視界に映るのはゆっくり明滅している機材。
そこで初めて自分がヘルメットを装着していることがわかった。

「無線が先ほどから入っています。救援依頼です。未確認機がすぐそこまで来ています。」
「メールからの指示でセットアップは完了しています。オズさんなら軽量加速機が一番慣れているはずです。」
「こんな状況でもグレイヴネットが生きているのが幸いでした。フヌさんに感謝ですね！まだ戦えますよ！まだ負けていません！」

順序良く自らの周囲の電子機器。パネル、閉鎖的な空間が明るくなっていく。
操縦スティック、ディスプレイ、ペダル………それが何かかは見ればすぐにわかった。
どういうものかを……

「私はいつもの通り操縦棺の後部に接続して操作支援します。」
「オズさんのバイタルがまだ安定していませんね……快調でないのは不安ですが……」
「大丈夫。中速までは試運転、チュートリアルです。慣らし運転さえ終わればいつもの通り戦えるはずです。」

自然と物理的に触れられるところに触れては確認していた。先ほどからの声は真後ろから聞こえる。

「さぁ行きましょう！まずはレジスタンスのみんなと合流しなければ！」

tips
未来の話をしているのに過去の話をしている……？

グレムリンを収容、運用することができる超巨大潜水艦”グレムリン・ダイバーキャリア”
その中の一角でアイリスの刺繍が胸に入った作業員がせわしなく働いている……
慌ただしい状況のようだ。緊急事態である。