第23回目 午前2時のツィール・ブライ

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プロフィール

名前
ツィール・ブライ
愛称
ツィール・ブライ
プロフ絵経歴

〇ツィール・ブライ:スクラップ置き場に全裸で倒れていた青年。肩口にひどい火傷痕がある。
自称服飾デザイナーのボリス、その自称弟子であるエリエスに拾われた。
自らに関する記億を全く持っておらず、内腿に刻まれたZIEL-bLEIの文字からエリエスによってツィールと名付けられる。
その正体は「統制群体によるグレムリンの連携運用」――、通称【レギオン】システムと呼称される計画によって生み出された特殊培養人間。
言われた事を素直に信じてしまうのは記憶が無いからなのか元からそうなのか、とにかくあまり変な事は教えない方がよさそうだ。

〇シュピネ:自称服飾デザイナーの蟹。蟹と呼ばれるたびに蜘蛛だと訂正しているが、どうみても蟹。
ボリス・シュピンラッドによる遠隔操作で行動してたが病没、しかし何故か今も動いている。

〇エリエス・シェーレ:ボリスの弟子を自称していたが、現在はツィールの機体整備を担当している。
男装しているのは単に身の安全を確保する為なので、親しくなった人相手には割と簡単に性別を明かしている。



◆日誌


連環から外れた個は未来を行く。



「シュピネはそれで怒ってハサミ振り回してたの?」

 エリエスは呆れた様子で学生鞄を抱えなおし、足元を見降ろした。

『このワレワレの! 渾身のデザインを否定されて我慢出来るものかニィ!』

 シュピネと呼ばれた膝下までの高さがあるカニ――本人はクモと自称している――のような姿のロボットが、アームをぶんぶんと振りながら力説していた。

「今度こそデザインコンペを勝ち取るなんて意気込んでいたからな。鋏を取り上げるのに苦労した」

 赤髪の青年が、エリエスとシュピネの後をついて歩く。歩く人の姿もまばらなこの区画は、廃材置き場――、もっとはっきり言ってしまえばゴミ捨て場だ。
 タワー上層から投下されたゴミがパイプラインを伝って処分場に向かうまでの中継地点なのだが、誰がいつどうやってこじ開けたのか、廃棄物の一部がこの場所に吹き溜まるようになっている。リサイクル環境の整っているこのタワー沿岸部では、かなり特殊な場所だ。
 二人と一機、なぜそんなところを歩いているのかと言うと、シュピネの提案だった。この廃材置き場には「お宝」が眠っている! 熱心なシュピネに根負けするかたちで、時々こうやって下校途中に「寄り道」しているのだ。
 実際、最新の携帯端末に付ける追加パーツが無傷のまま拾えたこともあるし、用途はわからないが七色に光る綺麗な小石を見つけたこともあった。

「今の流行だと身体の線が目立つようなシルエットのが人気みたいだしねえ」

『いや、あれは単にモデルが着てるからキレイに見えるだけっ! もう少しルーズなシルエットにして……』

 その先はほとんど独り言のように、シュピネは早口で自前の服飾論を語り始める。シュピネは、ネットをメインの活動拠点にファッションデザイナーを自称していた。人気のほどはよくわからないが、最近では多少の仕事も請け負うようになり、エリエスも手伝わされることが増えてきた。
 エリエスは適当に相槌を打ちながら、赤髪の青年と共に新しく流れ込んできたと思しき廃材の山へと歩を進めた。

「ここだけまるで、別の世界に迷い込んだみたいだな」

「エイゼルもそう思う? 何だか、変な感じだよね」

 地面に広がる赤錆色の廃液溜まりを避けながら歩いていると、廃材の中に人の足が覗いて見えた。マネキン人形にしては随分と生々しい質感だ。エイゼルに頼んで引っ張り出してもらうと、ボロ布と共に五体揃ったヒトの体がまろび出てきた。全裸で。

「ちょ……、は、裸とかっ」

『なになに、どうしたかニィ?』

 廃材を崩した音を聞きつけてシュピネが寄ってきた。エリエスは裸を見ないように鞄で顔を隠している。
 
『おや、ようやくアタリが見つかったニィ』

 シュピネの言葉に首を傾げながら、エイゼルは倒れている男を調べる。僕と同じくらいの背格好、年の頃は二十くらいだろうか? エイゼルが所感を述べながら男の頭部を覆うボロ布を払いのけると、赤い髪が現れた。

「どういう、ことだ?」

 驚きの声をあげるエイゼルにつられて鞄をどけたエリエスは目を見張る。エイゼルと同じ髪の色――、いや、髪の色ばかりではない。エイゼルと生き写しの姿が目の前に倒れていたのだ。

「エイゼルが、二人いる……」

 肩口にひどい火傷を負った痕があるものの、それ以外に目立つ外傷はない。シュピネがそのアームで肩口の火傷痕に触れた時、小さな呻き声が聞こえた。

「生きてる!?」

 全裸の男は震えるように身じろぎした後、ゆっくりと目を開く。しばらく呆然と周囲を見回したあとで身体を起こした。

「ええと、ただいまって言ったほうがいいのかな」

「何言ってるのよ、それにあなた一体誰? なんでエイゼルと同じ顔してこんな場所で全裸で倒れて……ああもう意味わかんない!」

 顔を真っ赤にしてそっぽを向いてしまったエリエスに、赤髪の青年は、

「取りあえず、何か着るものあるかな」

 そう言った。



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死灰鉱石を破棄した
涙の装置を破棄した
刹那の実を破棄した
無常の鐘を破棄した
死灰鉱石を破棄した
刹那の実を破棄した
刹那の実を破棄した
兎の尻尾を破棄した
ツィール・ブライはラスト・アーマーを手に入れた!!(フラグメンツ-1)

◆アセンブル

頭部【頭部】に頭部《Wolf singt》を装備した
腕部【腕部】にスニペットセメタリーを装備した
操縦棺【操縦棺】にクリスタルストークを装備した
脚部【脚部】に高零力フォルスラコスを装備した
エンジン【エンジン】にL.B-C3/BOILING-BLACKを装備した
索敵【索敵】にキトゥンスターズを装備した
主兵装【主兵装】にナギナタブレードを装備した
副兵装【副兵装】に驟雨を装備した
背部兵装【背部兵装】に境越〚霞隼〛を装備した
機動補助【機動補助】に境越〚霞隼〛を装備した

◆僚機と合言葉