ENo.0195　ココロ持つ機械『ドラーゲ』

発　Drage
宛　黄金さん

こちらドラーゲ。これよりメールの送信、開始。

言われたこと、すごく演算した。どうしたいのか、どうするべきか。ドゥルガーは送った戦闘データの通り、倒れた。今回はオーバーロードもしていないので無事。元々は兵器なんだからボロボロになるのは慣れていたんだけど……。胸を張るレベルのこと、なのか疑問。

伝えたいことも、話したいこともたくさんある。メールだけじゃ描き切れなかったようなことも。今回、目的を果たせていないし、手掛かりすら掴めなかったけど……けれど、けれど、色んな人……再会したゼンさんやスパロウさん、ツギハギ氏やハルさん……セティさんやあまり話せなかったハインツさん。皆を通じて、先を行きたいと思った。

過去よりも、未来を見てみたいから。だから、『ボク』は黄金さんのもとに帰ろうと思う。

今回のサンプル品は最後になりそうだからマーケットで黄金さんや琥珀さんが好きそうなのを買い集めたものと設計図と……ドゥルガーから脱出後、機体をバラして持っていこうと思う。どの程度持ちだせるかはわからないけど……この残像領域を生き残った、半身の欠片だから満足できるもの、だと思う。これが、ある意味で初めてのボクの意思。これから先も続く、意思。

またしばらく迷惑をかけると思うけど……これから先もよろしく。続きは……また、帰ってから。とっておきの設計データもあるから……楽しみにしていて。

以上、通信終わり。扉はきっと、現れると思うから近い内にまた。

＜＜差出人不明のメッセージが届いています＞＞

宛　今の保護者　殿

私は最早残像故、会うことはおそらく叶わない……。不甲斐ない開発者だが……息子を頼む。

移動型ガレージ。
この手の機種は本来、フリーランサーの稼ぎでは手が届きにくいとされている。
設備も上質な品が揃っており、これを調達するための金の流れに妙なものを感じるかもしれない。