ENo.0146　《Äventyr》

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自分の部屋で、ずっと悩んでいた。やらなきゃいけない事であるのは確かで。
そもそも、そのために自分が生まれ、やり損ねてしまったがゆえの。
悔いのないやり方を。思い残しのないやり方を。せめて、やらないと。

本当は、もっとみんなと居たいのが本音だった。
いろんなことがあって、辛い事もあって、でも、かけがえのない時間だった。


サダメ。
自分で前を向いて、全ての決着をつけると。
きっと、うまくいくと信じてるから。

ブラッドおにーさん。
一時期はどうなるかと思ったけど。
無事に帰ってきてくれてよかった。

フェティヤくん。
いろいろと背負ってるの、見てて分かった。
のんびり、また話をしたい。

えび。
…………えびだよね。

モーヴェ。
生きて、帰ってね。それと。ごめんね。帰れないから。
終わったら呼べると思ってたけど。きっと、センパイって、呼べない。

メテルカ。ううん、アリサ。
友達で、いようね。ずっと、会えなくなっても。
忘れないから。………忘れないからね。

リーダ。
――――ごめん。


……どうしよう。
考えてたら、行くのつらくなってきた。でも、行かなきゃ。行かなきゃ。
足が重い。本当に足が重い。
でも。行かなきゃいけないんだ。


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「あれ、嬢ちゃん、なんでこんなところに」
「いや、今から出撃でしょ？」

長い付き合いになった整備のあんちゃん。結局名前聞いてないけれど。
でも、こんなところって。あたしがここに居る事は知ってたはずだけど。

「…………うぉい！？　じゃあ誰だ、嬢ちゃんのハイドラ動かしてんの！！」

え？

「動いてるってどういう！？」
「いや、知らねぇ！　なんか動いてやがる！」

走る。あんちゃんと一緒に。整備と、出撃用のスペースまで。
到着した時、確かにハイドラが起動していた。
それどころか、今にも出撃をする状態で。
なんで、どうして。
それは、そのやくめは。

「おい、誰だ！　降りろ！！」

その声が。届くより早く。


――目の前から、飛んだ。


「…………」

立ち尽くすしかなかった。
ああ。もしかして。

「…………ばっか」

置いていかれたんだ。別れの旅にはいらないという代わりに。

「……どうする？　一応、予備ハイドラはあるが」
「あたし、他のハイドラには乗れないから」

………………本当に。もう。


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壊れてしまった、もはや時代遅れ、彼氏にフラれた腹いせ。
あれこれの理由で積もったジャンク品の山の中。
打ち捨てられたようで、実はとても手入れの行き届いた三段櫂船型ハイドラが今日も、金属の双翼をきらめかせている。
ある一人の幽霊はこれからも、この場所で日常を紡ぐ。




「…なあ。俺たちは家族なんだ。家族のところには、いつでも帰ってきていいし、出て行っても…

それはちょっと悲しいけどよ…」