ENo.0132　パド・パラドクス

「――銀の弾丸＜シルバーバレット＞が欲しい」パドの第一声がそれだった。

「ハイドラ大隊は強い。だが、それだけでは足りないかもしれない。戦況を変える決定的な一撃を加えるための魔法が。割と切実に必要だ」

「あるよ？」アリューカの返答がそれだった。

「私の両親が残してくれた、豪華絢爛の飾り銃。その中に一発だけ装填された、ありえないはずの、世界の吐いた嘘」

「それ、使っていいか？」

「ベイランドへの帰還のために使おうかと思っていたけど……パドはこの残像領域にけっこう愛着を持っているんだね」

「ああ」

「ならいいよ、使っても。パド、グリップの底を見て」

「『夜明けは早められ、悪しき者は滅ぼされる』……『これより神話が紡がれ、人々は語り継ぐだろう』……」

「……何が始まるんです？」

「トリッピー。今からパドが始めるのは、神話。全てはここから始まり、めでたしめでたしで終わる。
　言語魔術師風に言えば、大団円。残像領域風に言うなら、巨大霊障＜ワールドクラック＞」

「パド・パラドクス。未来を知っている男。ベイランドの覇者。僕の愛する夫。大好きなパド。
　操縦の半分は僕が受け持つよ。思うがままに戦場を駆けるといい」

「ありがとう。アリューカ」

「知ってる？　世界最古の神話。それは、愛という神話なんだよ。さあ、全てを終わらせに行こう。
　肉体言語＜ボディ・ランゲージ＞と、タイム・パラドクスで、僕らの更新結果＜ミライ＞を書き換えよう」

「「『我こそ伝説』！！」」

いやー霧5期は最高だったな。未来人の集う場所だよ。まあ、『リアルタイム』っていうのも、悪くないね