ENo.0052　ギベオン

某日…少なくとも、最終決戦を前にした時期ではある。

「よぉ、なんの気紛れだよ? それとも俺をヤるつもりか?
３４よぅ…?」

「いや…お前を殺す気など微塵もないが」

　返事をした相手は整った身形、緑眼と黒白目と、それ以外はギベオンと大差ない…複製の存在である。

「そちらの戦場の激しさは把握済みだ。放っておいても死ぬ可能性もある奴をわざわざ標的にしないさ」
「おいぃぃ一言多いんじゃねえのかああ?! 俺をイラつかせるためにジャックしたのかてめえわよぅ?!」
「死ぬときは気構えていてもあっさり逝くものだ…。 で、話が反れたがな…お前はまだ『旧神』を赦せないか?」
「は?」
「……決まってんだろ? あのババアをヤるのが俺の『最大級』の目標よ」
「…そうか、『最終』の目標だなんて言ったらどうしようかと思ったが」
「はああ?! ざけんじゃねえよ、いつまでもあのｸｿ女をしがらみに生きてたまるかってんだ!! あくまで通過点にすぎねえよ!
俺は悪意をばら撒いて幸も不幸も手中にしてやる!!」
「…お前は個体で最も、自分に素直な奴だよな」
「るせえ!! てめえに何言われても嬉しかねーわ!!」
「『旧神』を……………でもか?」
「………!?」
「………んだと?」

「ん～～…」

「お前はどうする?」

「おい、ゴウキ」


「……え?」

此処には肉体のアセンブルがおかしい奴がいる