ENo.0032　メーネ・フライス

いよいよ全て終わり、だろうか。
なんだかんだ、この残像領域には5年だか6年だか居座ってしまった。
とは言え、ハイドラに乗っていなければ、数十年単位での居残りを覚悟していたので
それを考えれば随分短縮されたと思う。

…そう、終わりなのだ。多分。
次の戦いできっと、この残像領域での私の活動はおしまい。
”アンカー”は設置したので転移魔法を使えばまた来れるだろうけど、
ハイドラに乗って戦うのはこれで多分おしまいだ。おしまいにしたい。終われ。

私が今回使っていた機体、”ブルースチール”も、幾度かの大破とオーバーロードを経てフレームそのものにガタが来ている。
全部終わったらオーバーホールの後、武装を取り外されて作業用ハイドラとしての第二の人生が待っているだろう。完膚なきまでに粉々になったりしなければだけど。
別に愛着があるわけじゃないけど、あの機体もできれば無事に連れ帰ってあげたい。

機体と言えば、前戦争の最後に結局間に合わなかった新造機は一体どうなったんだろ。
あの戦いが終わった後、社は吸収合併を繰り返したり、上層部の夜逃げ未遂事件があったりとかなり慌ただしく、失われた記録や技術が幾つかあったという。
あの時の機体も、そうしたゴタゴタの中でいつの間にか姿を消していたように思う。

ともあれ。
あとは生き残るのみ。
この残像領域がどういう結末を迎えるにせよ、生き残って見届けなきゃ意味が無いものね。

「♪（ディーヴァが歌っている。あなたと目が合うと、ニコリとほほ笑んだ）」
（射撃５　素材＋１）


----------------------------

緩い空調にむき出しのコンクリートと配線。

人間用の火器練習用の的がやや離れた場所に見える。

人数分のイスが用意され、それ以外は壁際に積まれている。

軋む扉を二枚抜ければ、ただ広い荒野と、いくつか点在したジャンクで出来た的。

戦場のジャンクが一時的に集められる場所のすぐ近く。練習にそれらを吹き飛ばせば、幾らか使えるものくらいは見つかるだろう。

それでは皆さん

お元気で。