ENo.0018　教団構成員A

運命の渦が捻じ曲げられ、そして、数多ある世界に着地し、切り取られ、それをもう何度続けてきた？

運命が……変わる……！

こう、運命とやらにしたがって（もしくは反抗して）

色々と実験をしていると、

悔いが残りそうなのは恐ろしい。

実験、研究、そういったたぐいのものは、

自らが見届けてこそだと思っている。

未来のためなどと言えば聞こえはいいが、

俺は別に後進のことなどどうでもいいからな。

暴れるのはいいんだが、教団の教えとコイツの行いは相反してはいないか？

コイツに乗って、死ぬかもしれないと考える悲観的なグレムリン乗りはそうはいないだろう。

しかし、運命到達点はどこまでも正直で、平等（と、言い伝えられているな）だ。

ま、構わんがね。

人のカネで実験して、それで文句がつけられないんなら好きなだけやるさ。

手始めに遊撃に出てみようか。

大人数でドンパチやってもこれ以上代わり映えもしまい。

はっはっは、やりすぎたな。

死は遠ざかったが、これは俺の活躍とは別の要因だろう。

この間死んだなんだかいうパイロットはぼんくらだったかもしれないが、
だからといって大活躍しているグレムリン乗りは死から遠いかというと、
そんなことはないように見える。

では、運命到達点とはどのような要因によって近づいてくるのか？

その探求のためにやってることとは行っても、解き明かせる問題には見えないな。

俺の仕事じゃあないから、どうでもいいがね……。

まともなグレムリンを組めと言っておきながら、
デザインは教団が決めるっていうんだから笑わせる。

趣味が悪いな、こいつは。
まさしく偶像、カルト教団にふさわしい。

ま、人のことは言えんがね。
ドラコニウムをここまでふんだんに使った機体も珍しいんじゃないか？
まともには動かんだろう。
それでも、教団から文句を言われない自信はあった。
細工は流々ということだ。

それに、ただただ運命を眺めているだけのカルト教団なんだから、
この重さは相応しいだろう？

俺は龍眼部門の上司に呼ばれて、本部にいた。
上司って言い方が適切かは知らん。
俺は宗教の体系とかには興味がないからな。
言い分はこうだ。

「祖はこの世界線における『龍眼』の強化はこれ以上意味がないと断じた。
　運命を捻じ曲げることによる運命到達点の変化をデータとして集積する」

ああ、祖ってやつはなんかちょっと先が見えたり見えなかったり、
数多に広がる多元……なんだっけ？
まあいいや。ともかく、そのへんの理由ですべてを見通したい奴だ。

要約すると、俺にこれ以上レーダーの強化はさせずに、
まともにグレムリンに乗れ……ということらしい。
あがくことで運命到達点が変わるのかどうか、それを見たいとさ。

ああ、それにしても困ったな。
闘いはもっとも生に近いじゃないか。

ライトフレーム